
江島神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
神奈川県藤沢市の江の島に鎮座する江島神社は、1400年以上の歴史を誇る日本三大弁財天の一つです。辺津宮・中津宮・奥津宮の三社からなるこの神社は、縁結びや金運向上、芸道上達など様々なご利益で知られ、年間を通じて多くの参拝者が訪れています。
江島神社の概要・基本情報
江島神社は相模湾に浮かぶ江の島に位置する神社で、辺津宮、中津宮、奥津宮の三つの社殿からなる複合神社です。この三社を総称して江島神社と呼び、それぞれ異なる祭神を祀っています。現在は神社本庁の別表神社に指定されており、旧社格は県社でした。
宗像三女神を祀る神社として、福岡の宗像大社や広島の厳島神社と同じ祭神をお祀りしています。江戸時代までは弁財天を祀る寺院として「江島弁財天」「江島明神」と呼ばれていましたが、明治初年の神仏分離により純神道の神社として現在の形となりました。
歴史と由来
江島神社の創建は欽明天皇13年(552年)と伝えられており、これは仏教が日本に公伝された年と同じです。社伝によると、神宣により欽明天皇の勅命で島南の竜穴(現在の岩屋)に神様を祀ったのが始まりとされています。
文武天皇4年(700年)には役小角という修験者が江の島の御窟で修行を行い、修験の霊場を開きました。その後、弘仁5年(814年)に空海が岩屋本宮を、仁寿3年(853年)に慈覚大師が上之宮(現在の中津宮)を創建し、建永元年(1206年)に慈覚上人良真が源実朝に願って下之宮(現在の辺津宮)を創建しました。
鎌倉時代には源頼朝をはじめとする鎌倉幕府や北条氏の厚い信仰を集め、江戸時代には徳川家康の崇敬を受けて社領35石の寄進を受けました。明治6年(1872年)の神仏分離により仏式を廃して神社となり、「江島神社」と改称して現在に至っています。
祭神とご利益
江島神社には宗像三女神が祀られており、奥津宮に多紀理比賣命、中津宮に市寸島比賣命、辺津宮に田寸津比賣命をそれぞれお祀りし、この三女神を「江島大神」と総称しています。
この三女神は天照大神と須佐之男命の誓約の際に生まれた神々で、海運、漁業、交通の守護神とされています。江戸時代までは弁財天女として信仰され、海の神、水の神のほかに、幸福、財宝を招き、技芸上達の功徳を持つ神として仰がれていました。現在でも家内安全、商売繁昌、事業繁栄、縁結び、芸道上達など様々な願いを託す参拝者が訪れています。
江島神社の見どころ・特徴
江島神社最大の特徴は、三つの社殿がそれぞれ異なる場所に建立されていることです。江の島の地形を活かした配置となっており、参拝者は島内を巡りながら三社参りを行うことができます。各社殿には歴史的価値の高い建造物や文化財が数多く残されています。
三社の建造物・構造の魅力
辺津宮は田寸津比賣命を祀る社殿で、建永元年(1206年)に源実朝が創建し、延宝3年(1675年)に再建されました。昭和51年(1976年)に改築された権現造りの美しい社殿です。境内には奉安殿があり、八臂弁財天と妙音弁財天が安置されています。
中津宮は市寸島比賣命を祀り、文徳天皇仁寿3年(853年)に慈覚大師が創建しました。元禄2年(1689年)に五代将軍徳川綱吉により権現造りの社殿が再建され、平成8年(1996年)の全面改修により元禄時代の朱色鮮やかな姿が再現されています。
奥津宮は多紀理比賣命を祀る社殿で、昔は本宮または御旅所と称されていました。天保13年(1842年)に再建された入母屋造りの社殿で、拝殿天井には江戸時代の絵師・酒井抱一が描いた「八方睨みの亀」があり、どの角度から見ても目が合う不思議な絵として知られています。
自然・景観の美しさ
江島神社は相模湾に浮かぶ江の島という立地を活かした美しい景観に恵まれています。三社を結ぶ参道からは湘南の海や富士山を望むことができ、特に奥津宮周辺からの眺望は格別です。
中津宮広場では四季折々の花やソメイヨシノの木々を楽しむことができ、参拝の途中で自然に癒される憩いのスポットとなっています。島内各所に設けられたウッドデッキの展望台からは、湘南海岸の美しいパノラマを一望できます。
文化財・重要な所蔵品
江島神社には長い歴史を物語る貴重な文化財が数多く保存されています。青銅の鳥居は江ノ島入り口付近に存在し、経年とともに蒼くなった柱の下部に力強い蓑亀が刻まれており、藤沢市指定建造物となっています。
奥津宮には源頼朝が奉納した石鳥居があり、歴史的価値の高い文化財として保存されています。また、辺津宮の奉安殿に安置されている八臂弁財天と妙音弁財天は、江戸時代の神仏習合時代を物語る貴重な仏像です。
中津宮境内に奉納された石燈籠からは、江戸時代における商人・芸人・庶民の信仰の様子を知ることができます。これらの文化財は江島神社の長い歴史と人々の深い信仰を今に伝える貴重な遺産となっています。
参拝・拝観案内
江島神社では辺津宮、中津宮、奥津宮の三社を巡る「三社参り」が正式な参拝方法とされています。各社殿には異なる祭神が祀られているため、それぞれにお参りすることで江島大神の完全なご神徳をいただくことができるとされています。参拝の際は神社の作法を守り、心を込めてお参りしましょう。
参拝作法とマナー
神社での参拝は、まず鳥居前で一礼してから境内に入ります。手水舎では左手、右手、口の順に清め、身を清めてから参拝します。拝殿前では「二拝二拍手一拝」の作法でお参りし、お賽銭は静かに納めます。
江島神社では三社参りが基本となるため、辺津宮から中津宮、奥津宮の順に参拝するのが一般的です。各社殿での参拝時間に決まりはありませんが、混雑時は他の参拝者への配慮を心がけましょう。写真撮影は境内では可能ですが、社殿内や神聖な場所では控えるようにしてください。
年中行事・季節のイベント
江島神社では年間を通じて様々な祭礼や行事が執り行われています。例祭は4月初の巳の日と10月初の亥の日に行われ、多くの参拝者で賑わいます。
特に注目すべきは60年に1度開催される洪鐘弁天大祭で、江島神社と鎌倉市の円覚寺が共同で開催する特別な祭礼です。この祭りは1301年に鋳造された国宝の梵鐘「洪鐘」の完成を祝うもので、北条貞時が江島神社で7日間の参籠を行い、竜の頭のような金属を入手して鋳造に成功したという伝説に基づいています。
7月14日には末社の八坂神社の例祭で神輿渡御が行われ、夏の風物詩として親しまれています。また、季節ごとの自然の美しさも楽しみの一つで、春の桜、夏の緑、秋の紅葉、冬の澄んだ空気と富士山の眺望など、四季を通じて参拝者を魅了しています。
御朱印・お守り情報
江島神社では10種類の御朱印を授与しており、三社参りの記念として多くの参拝者が受けています。御朱印は各社殿近くの朱印所で授与されており、受付時間は午前8時30分から午後5時までです。三社それぞれの御朱印を集めることで、江島神社参拝の思い出を形に残すことができます。
お守りは60種類以上の豊富な種類が用意されており、特に人気なのが龍神をモチーフにした「龍神守」です。また、弁財天が描かれた琵琶型の「びわ守り」は財運招福と芸能上達のご利益があるとして人気を集めています。
縁結びのお守りも充実しており、ピンク色の「恋むすび・縁むすび絵馬」に名前を書くと良縁が結ばれるといわれています。家内安全、商売繁昌、学業成就、交通安全など、様々な願いに応じたお守りが用意されているため、自分の願いに合ったものを選ぶことができます。
アクセス・利用情報
江島神社へのアクセスは電車が便利で、小田急電鉄、江ノ島電鉄、湘南モノレールの3つの路線が利用できます。それぞれ異なる駅が最寄りとなりますが、いずれも江の島の入口まで徒歩圏内です。車でのアクセスも可能ですが、観光シーズンや週末は道路が混雑するため、公共交通機関の利用をお勧めします。
交通アクセス
電車でのアクセスは、小田急電鉄「片瀬江ノ島」駅から徒歩約15分が最も近く、江ノ島電鉄「江ノ島」駅から徒歩約19分、湘南モノレール「湘南江の島」駅から徒歩約20分となっています。
片瀬江ノ島駅からは江の島弁天橋を渡って江の島に入り、朱の鳥居を目指します。江ノ島駅と湘南江の島駅からは、それぞれ異なるルートで江の島に向かいますが、いずれも案内看板が設置されているため迷うことはありません。
車でアクセスする場合は、新湘南バイパス茅ヶ崎海岸ICから約40分です。羽田空港からは直行バスも運行されており、江ノ電バスや京浜急行バスが羽田空港と藤沢駅・鎌倉駅・大船駅を結んでいます。詳細な時刻表や料金については各バス会社にお問い合わせください。
<住所> 〒251-0036 神奈川県藤沢市江の島2丁目3番8号
拝観時間・料金・駐車場情報
江島神社の参拝時間は特に制限されていませんが、御札授与所や御朱印の受付時間は午前8時30分から午後5時までとなっています。参拝そのものは無料ですが、奉安殿での弁財天拝観や一部の特別な場所では拝観料が必要な場合があります。
駐車場は江の島内に有料駐車場が複数ありますが、観光シーズンや週末は満車になることが多いため、早めの到着をお勧めします。また、江の島内は観光地のため駐車料金も比較的高めに設定されています。
三社参りには徒歩で約2時間程度を要しますが、辺津宮から中津宮への移動には江の島エスカー(上り専用エスカレーター)を利用することができます。エスカーは3区間に分かれており、体力に不安のある方や足腰の弱い方でも安心して参拝できるよう配慮されています。
営業時間や料金などの詳細については、変更される場合もあるため、参拝前に公式サイトや藤沢市観光協会のサイトで最新情報をご確認ください。
参照サイト
・江島神社 公式ホームページ:http://enoshimajinja.or.jp/