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鎌数伊勢大神宮|干潟八万石総鎮守の歴史と鎌数神楽の魅力、参拝情報を完全ガイド

鎌数伊勢大神宮|干潟八万石総鎮守の歴史と鎌数神楽の魅力、参拝情報を完全ガイド

千葉県旭市に鎮座する鎌数伊勢大神宮は、江戸時代の大規模な干拓事業の完成を記念して創建された歴史ある神社です。伊勢神宮の分社として千葉県内で唯一の存在であり、地元では「お伊勢さま」として親しまれています。県指定無形民俗文化財の鎌数神楽や色とりどりの月替わり御朱印でも知られる、魅力あふれる神社をご紹介します。

鎌数伊勢大神宮の概要・基本情報

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鎌数伊勢大神宮は、寛文12年(1672年)に創建された神社で、旭市、匝瑳市、東庄町にまたがる「干潟八万石」と呼ばれる農地の総鎮守として重要な役割を担っています。伊勢皇大神宮の分社として、千葉県内では唯一の存在であり、地域の人々から深く敬愛され続けています。

歴史と由来

鎌数伊勢大神宮の創建には、江戸時代の壮大な干拓事業が深く関わっています。寛文7年(1667年)、現在の旭市周辺には「椿海」と呼ばれる広大な湖が存在していました。この湖を干拓して農地に変える大事業が、伊勢桑名藩士の辻内刑部左衛門らによって開始されました。

干拓工事は困難を極め、なかなか太平洋に通じる疏水を開くことができませんでした。そこで時の普請奉行である久松越中守は、伊勢内宮荒木田の神主である梅谷左近太夫長重に依頼し、伊勢神宮に大業の完成を祈願しました。長重の祈祷の後、ついに疏水が開通し、椿海の干拓事業が成功を収めたのです。

この大事業の完成を記念し、寛文12年(1672年)に伊勢皇大神宮より御分霊を迎えて現在地に社殿を建立し、干潟八万石の総鎮守として鎌数伊勢大神宮が創建されました。創建者である梅谷長重以来、梅谷家が宮司職を世襲し、現在の宮司は12代目にあたります。

祭神とご利益

鎌数伊勢大神宮の御祭神は天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)で、伊勢神宮と同じ神様をお祀りしています。天照皇大神は太陽の神として知られ、すべての生命を育む偉大な力を持つとされています。

御利益としては、五穀豊穣、天下泰平、工事安全、商売繁盛があり、特に農業や事業の発展を願う多くの参拝者が訪れます。また、椿海の干拓という大事業の成功に関わる歴史から、困難な課題に立ち向かう力や新しい事業の成功を祈願する場としても信仰を集めています。

鎌数伊勢大神宮の見どころ・特徴

鎌数伊勢大神宮|干潟八万石総鎮守の歴史と鎌数神楽の魅力、参拝情報を完全ガイド

鎌数伊勢大神宮は902坪の境内に、歴史ある建造物や美しい自然景観、そして貴重な無形民俗文化財が調和した魅力的な神社です。伊勢神宮との深いつながりを感じさせる神明造の社殿や、270年近く続く伝統芸能など、多彩な見どころがあります。

建造物・構造の魅力

境内には本殿、幣殿、拝殿、社務所が建ち並び、それぞれが歴史と伝統を物語る貴重な建造物となっています。本殿は萱葺神明造で建てられており、伊勢神宮の建築様式を継承した格調高い造りが特徴です。

享保20年(1735年)には、伊勢神宮の小工である浦田小左衛門を招いて社殿の改築が行われました。当初は伊勢皇大神宮と同じ様式で建立されましたが、幕府から破却命令を受けるという波乱万丈な歴史もありました。その後、社号変更の申請も却下されるなど、江戸時代には様々な困難に直面しながらも、地域の信仰の中心として存続してきました。

表参道には特徴的な大鳥居が立っており、鹿島鳥居に似た形状で笠木が右から左に向かって細くなっているのが印象的です。また、境内には手水舎があり、銅板屋根が部分的に瓦仕様になっているなど、細部にも工夫が凝らされています。

自然・景観の美しさ

鎌数伊勢大神宮の境内は、かつて椿海という湖だった場所に位置しているため、独特の地形と自然環境を持っています。干拓によって生まれた平坦な農地に囲まれた神社は、まさに人工と自然が調和した美しい景観を見せています。

境内には玉砂利の参道が整備されており、雨天時にも歩きやすい配慮がなされています。また、鎮守の森として緑豊かな環境が保たれており、都市部では体験できない静寂と清らかな空気に包まれた空間となっています。

興味深いことに、境内には椿海の干拓工事の際に掘り出された塩の化石が展示されており、この地がかつて海や湖であったことを物語る貴重な史料として保存されています。

県指定無形民俗文化財「鎌数神楽」

鎌数伊勢大神宮の最大の魅力の一つが、県指定無形民俗文化財に指定されている「鎌数神楽」です。江戸時代中期の宝暦6年(1756年)から現在まで、一度も欠かすことなく270年近く続けられている貴重な伝統芸能です。

毎年3月の最終日曜日とその前日の2日間、午前11時頃から午後5時頃まで境内の神楽殿で奉納されます。演目は猿田彦、うずめ、おかめ、手力雄命、八幡、三宝荒神、榊葉、田ノ神、保食神、種子蒔、鯛釣、出雲切の十二座に加えて、幣束の舞と扇の舞の稚児舞が伝承されています。

神楽は神楽師と稚児(女子小学生)によって演じられ、神恩感謝と五穀豊穣を祈念する神聖な儀式として行われています。太鼓、鼓、笛による古式豊かな演奏が神楽をさらに引き立て、観る者を江戸時代の神秘的な世界へと誘います。昭和40年4月30日に千葉県無形民俗文化財に指定され、地域の貴重な文化遺産として大切に保護されています。

参拝・拝観案内

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鎌数伊勢大神宮は年間を通じて多くの参拝者が訪れる神社であり、特に伝統的な参拝作法を重んじる神社として知られています。四季折々の行事や美しい御朱印なども魅力的で、初めて訪れる方でも安心して参拝できるよう丁寧な案内が心がけられています。

参拝作法とマナー

鎌数伊勢大神宮での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従って行います。鳥居をくぐる際は一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎で手と口を清めた後、拝殿前で二拝二拍手一拝の作法でお参りします。

伊勢神宮の分社という格式の高い神社であることから、参拝時には特に敬虔な気持ちを持って臨むことが大切です。境内では静粛を保ち、写真撮影は許可された場所のみで行うよう配慮が必要です。また、神楽殿や本殿など神聖な場所では、帽子を脱ぐなどの礼儀を心がけましょう。

年中行事・季節のイベント

鎌数伊勢大神宮では一年を通じて様々な行事が執り行われており、最も重要な祭事が3月の例大祭である鎌数神楽です。毎年3月の最終日曜日とその前日に開催され、多くの見学者が訪れます。

神楽の見学は自由ですが、神聖な儀式であることを理解し、静かに鑑賞することが求められます。特に稚児舞では地域の小学生が出演するため、温かく見守る気持ちが大切です。

このほかにも元日祭、春祭り、秋祭りなどの季節行事があり、地域の人々と共に神様への感謝を捧げる機会となっています。詳しい行事予定については、公式サイトや公式SNSで最新情報を確認することをお勧めします。

御朱印・お守り情報

鎌数伊勢大神宮の御朱印は、その美しいデザインで全国的に注目を集めています。特に月替わりの御朱印は、季節の花や風物詩をモチーフにしたカラフルで可愛らしいデザインが人気です。7月の朝顔、猫をモチーフにした御朱印など、訪れるたびに新しい発見があります。

御朱印は参道にある社務所で受付しており、受付時間は午前9時から午後4時まで(午後12時から午後1時は休憩)となっています。御朱印の初穂料は500円からで、鎌数伊勢大神宮の御朱印のほか、境内社である稲荷神社の御朱印や兼務社の御朱印も授与しています。

オリジナル御朱印帳も人気で、拝殿とイチョウの木をかたどった鎌数伊勢大神宮限定のデザインとなっています。また、風神と猫、雷神と猫をモチーフにした御朱印帳も用意されており、初穂料は2000円です。

お守りやお神札も各種取り揃えており、五穀豊穣、商売繁盛、工事安全などの御利益に応じたものが授与されています。特に農業関係者からは、豊作祈願のお守りが人気を集めています。

アクセス・利用情報

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鎌数伊勢大神宮へのアクセスは電車とタクシーの組み合わせまたは自家用車が便利です。千葉県旭市の自然豊かな環境に位置しており、都心からは少し距離がありますが、その分静かで落ち着いた参拝環境が整っています。

交通アクセス

電車でのアクセスは、JR総武本線を利用します。最寄り駅はJR総武本線干潟駅で、駅から神社までは約1.7キロメートルの距離があります。徒歩の場合は約20分程度かかりますが、タクシーを利用すれば約5分で到着できます。

JR総武本線旭駅からタクシーを利用する場合は約10分の距離です。旭駅の方がタクシーの待機台数が多く、利用しやすい場合があります。

自家用車でのアクセスは、銚子連絡道路横芝光ICから国道126号経由で約30分です。東京方面からは首都高速道路から京葉道路、千葉東金道路を経由して銚子連絡道路に入るルートが一般的です。

参拝時間・料金・駐車場情報

鎌数伊勢大神宮は年中無休で参拝することができます。境内への立ち入りは基本的に自由ですが、社務所での御朱印受付や各種祈祷の受付は午前9時から午後4時まで(午後12時から午後1時は休憩)となっています。

参拝料金は無料です。ただし、御朱印やお守り、祈祷などを希望する場合はそれぞれ初穂料が必要となります。

駐車場は鳥居前に大きな無料駐車場が完備されており、普通車200台まで駐車可能です。神楽開催時など大きな行事の際は混雑することがありますが、通常時は十分な駐車スペースが確保されています。

駐車場から境内までは徒歩すぐの距離で、バリアフリーにも配慮された環境となっています。大型バスでの参拝も可能で、団体参拝の受け入れも行っています。

<住所> 〒289-2505 千葉県旭市鎌数4314

参照サイト

・鎌数伊勢大神宮 公式ホームページ:https://kamakazu.com/
・旭市公式ホームページ:https://www.city.asahi.lg.jp/soshiki/29/2372.html

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