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「中村ローソク」は完全循環型で自然にやさしい和蝋燭|4代目当主が語る和蝋燭の魅力

今、海外メディアで和蝋燭が注目を集めているのをご存知でしょうか。

京都市伏見区にある中村ローソクは、135年以上もの間、職人が和蝋燭を作り続けています。和蝋燭の原料は植物由来で、使用後のごみは自然に戻ることから、SDGsやエコの観点から世界中の注目が集まっているのです。

今回は中村ローソク4代目の田川さんに和蝋燭の歴史や魅力についてお話を伺いました。

京都・伏見の老舗「中村ローソク」|伝統を絶やさぬように奮闘

中村ローソクが創業したのは1887年(明治20年)。135年以上もの間、和蝋燭を作り続けています。当代である4代目の田川さんは、歴35年の和蝋燭職人です。

主な販売先は全国の神社仏閣やお茶席、卸先の店舗など。しかし、石油系原料を使った洋蝋燭の普及とともに、和蝋燭の需要は減ってきています。田川さんは和蝋燭の衰退に危惧を感じ、魅力を広める活動を精力的に行っています。

田川さん「和蝋燭屋は全国に10軒ほどしかなくなってしまいました。和蝋燭屋だけではなく、原料を生産する企業や道具を製作する企業も少なくなっていき、業界全体が縮小しています。もし業界が完全に無くなってしまったら、自分たちだけで復活するのは難しいでしょう。そうならないように、和蝋燭を使った時代劇を開催したり、メディアに出演したりして、魅力を広げています」

和蝋燭の魅力は大き揺らめくオレンジ色の炎

中村ローソク公式HPより

和蝋燭の炎は、ほの暗いオレンジ色をしています。一方で洋蝋燭の炎は白っぽい灯り。これは沸点の違いによるもので、石油系よりも植物性の蝋は融点が低いため、優しく目に映る温かみのある灯りになるのです。また油煙が少なく、ほんのりと蝋の溶ける香りがします。

また、点火後に液体となったロウは芯に吸い上げられ、炎とともに蒸発するため、液だれもほとんどありません。ススが少ないため、周りが汚れにくく、汚れた場合でも簡単に拭き取れます。

田川さん「時代劇の夜の描写で街中が温かいオレンジ色で包まれているのは、実際に昔は和蝋燭や焚き火の灯りが使われていたからです。また、舞妓さんが白塗りしているのは、和蝋燭のオレンジ色の灯りで映えるようにするためです。このような知識は日本人でもなかなか知っている方はいませんが、一方で日本の文化に精通している海外の方が知っている場合が増えてきました」

完全循環型で世界から注目を浴びる和蝋燭

中村ローソ​​クの和蝋燭の原料はすべて植物由来。国産の櫨(はぜ)と米ぬか、パーム椰子のみを使用しています。原料がすべて自然由来のため、使用後に残ったごみは生ごみと同じく自然に戻せます。一方で洋蝋燭の使用後に出たごみは産業廃棄物扱いで捨てなければいけません。和蝋燭の完全循環型デザインは、海外メディアでよく取り上げられるのだとか。

田川さん「元々は櫨のみで作っていましたが、1990年代前半の雲仙普賢岳の噴火により、主産地であった長崎県の櫨が全滅してしまいました。以降、木蝋だけでなく、米ぬか蝋とパーム椰子蝋のブレンドしたものも作るようになりました。

最近はヨガや瞑想などで蝋燭が使われていますが、石油系の蝋燭を使用した場合は油煙が発生し、身体への悪影響が考えられます。和蝋燭から発生する煙は、植物由来なので健康への影響がないのです」

製造過程の感触は毎年違う

工房では職人さんによる手作業で和蝋燭が作られています。多い時で、小さい蝋燭を約1,000本も作るのだとか。

田川さん「原料はすべて植物由来なので、毎年、製造過程での感触が違ってくるんです。原料を混ぜているときに、乾燥しているときもあれば、雨が多い年は粘り気があるときもあります。手で蝋燭に原材料を塗る工程があり、塗りやすい年と、そうでない年がありますね」

イチオシは「手描き絵蝋燭」

中村ローソク公式HPより

中村ローソクのイチオシは王道の棒型和ろうそくに加えて、「手描き絵蝋燭」。絵付け職人さんによる手書きのイラストが、お部屋に彩りを添えます。

田川さん「絵蝋燭は福島県の会津松若が発祥の地です。雪国で花が栽培できない土地柄から、お仏壇にお供えする花の代わりに、絵の描いた蝋燭を飾ったのが絵蝋燭の始まりです。江戸時代には将軍家へ献上されていました。絵蝋燭は火を灯すこともできますが、インテリアとして飾るのが一般的です」

まとめ

中村ローソクの和蝋燭についてご紹介してきました。和蝋燭は職人による手作業で作られ、神社仏閣やお茶席などの場で使われ、日本文化とは切っても切れない存在です。

SDGsやエコの観点から、和蝋燭に再度注目が集まるようになりました。環境にも身体にも負担のない和蝋燭はとても画期的なのです。

オレンジ色で、静かに揺らめく灯りは、見る人を癒してくれるでしょう。家のインテリアやお風呂や瞑想のお供など使い方はさまざまです。お家でのリラックスタイムに活用してみてはいかがでしょうか。

「中村ローソク」公式ホームページ・オンラインショップ

 

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