京扇子の特徴と歴史を解説!伝統工芸品の魅力について学ぼう

京扇子の特徴と歴史を解説!伝統工芸品の魅力について学ぼう

京扇子は京都を中心に作られている伝統工芸品です。京扇子は、繊細優美な美しさだけでなく実用品としても使え、その魅力の虜となる人も少なくありません。

本記事では京扇子の特徴と歴史について解説しています。京扇子の魅力について学ぶだけでなく、ほかの日本の伝統工芸品にも興味を持ってもらえれば幸いです。

京扇子が歩んだ約1200年の歴史

京扇子が歩んだ約1200年の歴史

京扇子が歩んだ約1200年の歴史を見ていきましょう。

京扇子が生まれたのは平安時代初期

京扇子は、平安時代初期に筆記用具の代わりとして使用されていた「木簡」という薄い板を、扇の形にしたのが始まりと言われています。

薄い桧(ヒノキ)を重ねて作ったことから「桧扇(ひおうぎ)」と呼ばれる扇が始まりです。

日本に現存する最古の扇は、元慶元年(877年)と記された京都の東大寺にある仏像の腕の中から発見されました。

参考元:京都扇子団扇商工協同組合

平安時代中期~室町時代に用途が増える

平安時代中期には、広げた扇がこうもりに似ていることから「蝙蝠(かはほり)扇」と名付けられた扇が使われるようになりました。

平安時代は貴族への贈答用や僧侶の儀式用として使用されることが多かったです。

室町時代に入ると、竹と紙で作られて「紙扇(かみせん)」が出現し、能、狂言、舞踊、茶道、香道など用途別の京扇子が生まれました。

鎌倉時代から現代への発展

13世紀ごろ、日本の京扇子は中国へ輸出されました。

インドそしてヨーロッパへと伝わり、西洋風の姿に形を変え、再び日本に輸入され生まれたのが「絹扇(きぬせん)」です。

現在では扇子の生産量の内、約90%を京扇子が占めています。桧扇、蝙幅扇、絹扇、茶席扇、祝儀扇、有職扇、白檀扇、能扇、舞扇など種類も豊富です。

京扇子は、87にも及ぶ製作工程数があり、現在でも職人の手によって作られています。

京扇子の特徴

京扇子の特徴

京扇子は繊細優美な美しさだけでなく、実用性にも優れた伝統工芸品です。京扇子の特徴を見ていきましょう。

さまざまな「美」

京扇子はしっかりと吟味された材料(竹や紙)を用いて、職人たちの手で作られています。その確かな手仕事から生まれる小さな伝統工芸品には、さまざまな「美」があります。

まずは、なんといっても見た目の美しさです。花鳥風月や風景など、さまざまな情景が描かれ豪華な絵柄や美しい色彩は見る人の心を魅了します。

表面上の美しさだけでなく、上質な素材を用いて作られて質感や職人による丁寧な作りや風合いは、ほかの扇子とは違う美しさがあります。

コンパクトなサイズや持ち運びにも便利な折りたたみ式があるなど、実用性の優れた点も美しさの1つです。

熟練職人による87の製作工程

京扇子は、熟練職人たちの分業作業によって作られ、芸術的な美しさだけでなく使う人の手に馴染みやすくなっています。

その製作工程は87にも及び、ひとつひとつ丁寧に作られています。大きく分けると以下の5つです。

  1. 扇骨加工(せんこつかこう)
  2. 地紙加工(じがみかこう)
  3. 加飾(かしょく)
  4. 折加工(おりかこう)
  5. 附け加工(仕上げ)
    完成

江戸扇子は1人の職人がすべての工程を作業しますが、京扇子は工程ごとに専門の職人が担当することも特徴の1つです。

様々な種類の京扇子が販売されていますが、昔ながらの色や柄が職人の手によって再現され京扇子独特の特徴が表現されています。

さまざまな種類がある

京扇子はさまざまな種類があることも特徴です。主に使われている京扇子の種類を紹介します。

  • 涼感を与えてくれる夏扇子

夏扇子は暑い季節に風を扇いで涼感を得る扇子です。夏扇子といいますが、夏以外でも使えます。

夏扇子で扇げば涼を感じられ、熱中症対策にもなります。

  • 贈答品としても人気の飾り扇子

飾り扇子は、使用目的ではなく床の間や玄関などに飾るための扇子です。

飾り扇子の絵柄は、健康祈願や家の繁栄などの意味合いがあります。縁起がいいこともありお祝いや贈答品としても人気の高い扇子です。

  • 舞踊で使用される舞扇子

舞扇子はその名の通り、舞踊全般に使われる扇子です。夏扇子より少し大きく、日常的には使用しません。

  • 能楽で使用される仕舞扇子

仕舞扇子は能楽で使われる扇子です。金地に花や松が書かれている扇子は見た目が豪華で美しいこともあり、飾り用として使われることもあります。

  • 茶席で使われる茶扇子

茶扇子も名前の通り、茶席で使われる扇子です。茶席であいさつするときは、茶扇子を閉じた状態で正座し茶扇子を膝の上に置きます。

まとめ

まとめ

京扇子は約1200年の歴史があり、現在でも多くの場面で活用されています。

祝儀扇、有職扇、白檀扇、能扇、舞扇など種類も豊富にあり、活用方法もさまざまです。

見た目が豪華で美しく見るだけでも魅了されますが、実用性にも優れているのが特徴です。

日本の重要な伝統工芸品の一つでもある京扇子の魅力をお伝えしましたが、一人でも多くの人に京扇子を知ってもらい伝統工芸品について興味を持ってもらえれば幸いです。

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