笠間焼の歴史や特徴とは?益子焼との関係性についても紹介

笠間焼の歴史や特徴とは?益子焼との関係性についても紹介

茨城県の代表的な伝統工芸品の一つが笠間焼です。関東地方では、最も歴史の古い焼き物産地としても有名です。毎年GW期間になると、県内最大の陶器イベントである「笠間の陶炎祭(ひまつり)」が開催されるほど、多くの人に愛されています。

そんな笠間焼の歴史や特徴を知り、笠間焼の魅力について学んでいきましょう。また笠間焼と関係性の深い益子焼についても紹介します。

笠間焼とは

笠間焼とは

笠間焼とは、茨城県笠間地域で作られている焼き物です。地元で採れた粘土を使用し、関東地域で最も古い歴史を持つ焼き物としても知られています。笠間市は陶器の町として有名で、春には「笠間の陶炎祭」、秋には「陶と暮らし。」の2つのイベントが開催されています。

1992年(平成4年)に、伝統的工芸品に指定され、伝統的な工法に加え、新たな技法である「笠間火器」も開発されるなど、現代に合わせた作品が増えていることが特徴です。

笠間焼の歴史

笠間焼の歴史

笠間焼の歴史は、大きく分けると「江戸時代中期」「明治時代」「戦後」「現在」の4つに分かれます。約250年の歴史を見ていきましょう。

笠間焼の起源は江戸時代中期

笠間焼の起源は、江戸時代中期(1772年~1781年)だと言われています。笠間藩・箱田村 (現在の笠間市箱田地区)の久野半右衛門が、信楽焼の陶工の指導を受け、開窯したことが始まりです。

その後、笠間焼の技術を学んだ陶芸家たちがその技術を近隣へ広め、「小砂焼」や「益子焼」が誕生しました。

笠間焼の隆盛期となる明治時代

明治時代に入ると、笠間藩の仕法窯として保護され、すり鉢や茶壷などの日用雑器も作られるようになりました。1877年(明治10年)に開催された内国博覧会では、笠間焼の茶壷が一等を受賞し、「笠間焼」の名が全国に広まったのです。

また1889年(明治22年)に水戸線が開通し、列車による運搬が可能になったことで、笠間焼が全国に広がり、隆盛期を迎えることになりました。すり鉢や茶壷のほかにも、火鉢・湯たんぽ・土瓶などさまざまな製品が生産され、技術者や陶芸家の数も増加しました。

窮地に追い込まれた戦後

好調を推移してきた笠間焼ですが、戦後はプラスチック製品の流入により、需要が減少し、今まで経験したことのないほど危機に瀕してしまったのです。この窮地を救ったのが行政です。

茨城県は笠間焼を救うために、県立窯業指導所や窯業団地、笠間焼協同組合などを設立しました。その結果、若い陶芸家たちが集まり、笠間焼は厨房用粗陶品から工芸陶器へと生まれ変わったのです。

伝統的な作風を残しつつも、自由な制作と風潮を作り出すことに成功しました。

現在の笠間焼

1992年(平成4年)に、伝統的工芸品に指定されて以来、約300人の陶芸家たちが笠間焼の伝統を守り継いでいます。現在は、伝統的な工法だけでなく、耐熱性を高めた「笠間火器」も注目されている作品の1つです。実用性や芸術性の2つを楽しめる自由な作風が、人々の心を鷲掴みにするポイントになっています。

GW期間中に開催される「笠間の陶炎祭(ひまつり)」は、200人近い陶芸家・窯元・地元販売店が参加し、多くの人でにぎわっています。笠間焼の魅力を知りたい人は、ぜひイベントに参加してみてください。

笠間焼の特徴

笠間焼の特徴

笠間焼の特徴は、自由で芸術性の高い作風です。笠間焼の窮地を救うために設立された「陶芸団地」や「窯業団地」には、多くの若手陶芸家や作家志望者が訪れました。現在も、その風潮が残っており、笠間焼の作り手はほとんどが作家です。

そのため、「笠間焼はこうあるべき」といった考え方がなく、作家ごとに好きな作品を作っていることが特徴です。作品ごとに表情が異なり、自由度の高さが人々を魅了する要因といえます。そのため、いくつかの笠間焼に触れてそれぞれの魅力に触れることをおすすめします。

笠間焼と益子焼の関係性

栃木県で有名な益子焼は、笠間焼の製法を受け継いでおり、兄弟産地となっています。江戸時代中期に笠間焼の技術を学んだ陶芸家たちが、近隣地域へと広めた際に生まれたのが益子焼です。

笠間焼と益子焼は地理的にも近く、親交も深いことから「かさましこ」として日本遺産に登録されました。また益子焼以外にも山形県の平清水焼、栃木県の小砂子焼とも関係性が深いと言われています。

まとめ

まとめ

笠間焼は、茨城県を代表する伝統的工芸品です。作家ごとに表情を変える自由な作風が特徴であり、現在も多くの人に愛されている焼き物です。約250年の歴史があり、関東で最も歴史の古い焼き物産地としても知られています。

笠間焼の魅力に触れたい人は、毎年GW期間に開催される「笠間の陶炎祭(ひまつり)」がおすすめです。200人近い陶芸家たちが集まり、さまざまな笠間焼が販売されています。ぜひ一度、笠間焼を手に取り、その魅力に触れてください。

参照元:笠間市公式ホームページ
参照元:笠間焼のあゆみ|笠間焼協同組合

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