家事の道具で燕三条の未来を守る「家事問屋」

洗い物や調理など、毎日の手間を少しでも楽にしたい、楽しくしたい。家事の道具を探すとき、そう思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、家事の道具を手がける家事問屋を紹介します。燕三条の技術や職人を守る挑戦をまとめました。家事の道具をもう一度見直してみませんか。

家事問屋とは

金属加工品の一大産地、新潟県燕三条で生まれた家事の道具を手がける問屋です。

「ありきたり、なのに使いやすい。」

受け継がれてきた作り手の技術を活かし、使い手の声に耳を傾ける。作り手と使い手に寄り添うことで生まれる道具は、思わず手に取ってみたくなるものばかりです。

ずっと使いたくなるものを、ずっとつくり続ける。

それが家事問屋が愛され続ける理由です。

燕三条で生まれた家事問屋

新潟県の中央に位置する燕市と三条市。通称「燕三条」として親しまれるこの地域で、家事問屋は生まれました。

燕三条は、日本を代表する金属加工品の産地。カトラリーなどの金属洋食器分野において、国内シェア9割以上を占めています。

機械化が進むなかでも、世界に誇る技術と丁寧な手仕事は、現在も受け継がれています。

状況に合わせたきめ細かい調整。一切の妥協を許さず、高品質を追求し続ける情熱。職人の技術と思いから生み出される道具は、使いやすさもトップクラスといえます。

世界に誇る伝統技術を守るために

世界に誇る伝統技術だからといって、明るい未来が保証されている訳ではありません。

「先が見えない不安から子どもたちに継がせない」

そう考える人が多いのが現状。廃業する工場もあとをたちません。

この辺りは「こうじょう」というよりも「こうば」がしっくりくる家族経営の小さな工場が大半。それぞれの工場が得意とする技術を担当し、分業制でものづくりに取り組んでいます。

産地全体が一つの工場になっているため、一社の廃業は大きな痛手。産地全体の生産能力が低下したり、技術が途絶えて製品が作れなくなったりすることも。燕三条は、そのようなリスクと常に隣り合わせなのです。

立ちはだかる壁は、後継者不足だけではなく、高齢化や材料費の値上げ……。産地を取り巻く環境は、厳しさを増しています。

「燕三条の技術、産地を守れる存在になりたい」

家事問屋は、これまで産地に支えられていたきたからこそ、これからも産地とともに生きていきたいと強く願っています。自分たちにできることは何か。それを常に考えています。

まずできることは、少しずつでも、一定の量の仕事を依頼し続けること。安心して仕事に集中できるよう、持続可能な取引に努めています。

二つ目は、家事問屋の製品を通して、燕三条の魅力を伝えること。時代に合った製品を企画し、使い手に支持され続けるブランドであり続けることが、燕三条の未来につながると考えています。

使い手の声に耳を傾ける

「昔から燕三条でつくられてきたものを今必要なかたちにアレンジする」

これは家事問屋が大切にしていることです。

洗いやすさや乾かしやすさ、収納しやすさやながく使うために必要な見た目の美しさ。食器洗浄機やIHに対応しているかどうか……。

使い手のレビューや、こんなものが欲しいという要望に耳を傾ける。そして固定概念にとらわれず「定番アイテムを、今の時代に合わせたらどのようになるのか」を徹底的に見直す。そうすることで、商品の可能性を切り開いているのです。

例えば、洗濯板。木製の大きな板を想像したかもしれません。

しかし、家事問屋の洗濯板は、ステンレス製でスマートフォンくらいのコンパクトサイズ。

表裏で凸部の形状が異なり、角ばった凸面は頑固な汚れに、丸みのある凸面はデリケートな生地にと、使い分けることが可能です。そして、ステンレス製であるため、サビにくくお手入れも簡単で、長く使えます。

他には「昔ながらのすり鉢は溝があるから洗うのが手間」という悩みから生まれたステンレス製のすり鉢。

「油ハネを道具で解決できないか」という疑問から生まれた揚げ物トング。

「市販のターナーは少し大きい」という悩みから生まれた穴あきターナー。

40年愛され続けた製品に家事問屋らしさを取り入れた、鳥の形がかわいい柑橘皮むき。

家事問屋がつくる道具には、目新しさはないかもしれません。しかし、使い手のひと手間を助けるものばかりです。

「ずっと使いたくなるものをつくることで、ずっとつくり続けられる環境をつくる」

そう信じて、家事問屋は使い手とつくり手に寄り添い続ける商品づくりに努めています。

家事や暮らしがもっと豊かに

家事問屋のアイテムは、無駄を削ぎ落としたシンプルなものばかり。

「ありきたり、なのに使いやすい。」

それが一番の自慢です。さらに、一度気に入ったものは長く使ってもらえるように、製品の修理や部品だけでの販売も行っています。

「家事」を支える道具を通して、使い手に寄り添う。「問屋」として、産地の作り手に寄り添う。

家事問屋は、これまでもこれからも使い手と産地の未来に豊かさを与えることでしょう。

燕三条で生まれた家事の道具が気になった方はぜひチェックしてみてください。

「家事問屋」の公式HP

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