京扇子の大西常商店|扇子の文化を未来へつなぐ挑戦

暑さ対策といえば、クーラーや扇風機が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

今回おすすめしたい暑さ対策アイテムは、日本の伝統工芸品である京扇子です。京扇子の老舗である大西常商店は、扇子をつくるだけでなく、扇子の文化を伝える活動にも邁進しています。

京扇子の新たな可能性を切り拓く挑戦をご紹介します。

京扇子の老舗!大西常商店

大西常商店は、100年にわたり京扇子の製造・販売をしている老舗。伝統技術を守りながら、現代のライフスタイルにあうアイテムの開発にも尽力しています。

もともと大西家は、江戸〜明治時代にかけて、元結製造所として京都・建仁寺で商売をしていました。元結とは、日本髪を結う際に使用する和紙製の髪留め。しかし、日本髪が衰退し、洋装が流行り始めたことで、その需要は後退したのです。

このピンチをチャンスに変えたのが、新たに開始した事業が扇子製造でした。

京扇子の製造は上絵・扇面・扇骨など、いくつかの工程に分かれています。大西常商店では完全分業制を採用し、それぞれの工程ごとに専門の職人が在中。鍛錬を重ねた職人が、強みを生かしながら高品質な扇子を生み出しています。

令和になった現在では、寺社仏閣や将棋界の先生など、高品質な扇子を求める方からリピートされる扇子屋になりました。

「扇子の技術と美しさを百年先の未来へ繋ぐ」

変わらぬ美しさを守る強さと進化し続ける勇気を兼ね備えた大西常商店。これが、時代が変わっても輝き続けている理由でしょう。

日本文化に寄り添ってきた扇子

扇子は、平安時代の京都でうまれた伝統工芸品です。無限に広がる「末広がり」の形は、縁起がいいとも言われています。

古くから能や日本舞踊といった日本の伝統文化のなかで親しまれ、発展してきました。

涼をとりたいときに活躍したり、冠婚葬祭や七五三、茶席など、大切なハレの日を彩ったりと、さまざまな場面で愛用されてきました。

時代がいくどなく移り変わっても、約1200年もの間、形を変えることなく受け継がれてきたのです。

扇子の価値をどう届けるか

エアコンや扇風機が年々アップデートされていく現代。伝統工芸品である扇子が招く風は、最新家電の温度調整には敵いません。

なくても困らないものを現代人にどう届けるべきか。時代の変化によって生じた大きな壁にぶつかりました。

「扇子の製造はもう必要ないのか。」
「扇子事業で今やるべきことはなにか。」

現代における扇子の価値を考えた末、たどり着いたのが「扇子をつくる会社から風をうむ会社へ」という目標でした。

扇子をつくるだけではなく、扇子にまつわる文化を1人でも多くの人へ伝えたい。扇子の美しさを次世代へつないでいこう。

こうして「文化の風をうむ」事業への挑戦が幕を開けました。

始めたのは、扇子の絵付け教室や投扇興体験などの文化体験。まずは買うことよりも、扇子を使う楽しさを実感してもらうことに重きを置いたのです。

扇子のある日常を百年後も残したいと願う大西常商店。日本の伝統文化を守るため、扇子の魅力を体感できる機会を提供し続けています。

京扇子から生まれた和フレグランス

大西常商店が手掛ける京扇子は、デザインだけではなく素材にもこだわって製造されています。

扇面に京都産の紙を、扇骨に滋賀の素材を用いています。地元の素材と丁寧な手仕事がかけ合わさって生まれた京扇子。デザインも品質も世界に誇れるものといえるでしょう。

けれども、扇子は一般的に涼を取る道具のため、売れるピークは7〜9月。それ以外は売れにくいという季節ものならではの課題を抱えていました。

大西常商店では15人〜20人ほどの職人と取引しています。彼らが通年偏らず仕事ができて、冬の時期にも売れる商品はないのだろうか。

通年愛用できるアイテムを模索した末、生まれたのが、扇子の加工技術を活かしたルームフレグランス「がさ」でした。

部屋に置くだけで、パッと和の雰囲気を醸し出します。繊細で美しいデザインは見るだけでも心を癒してくれるでしょう。

ルームフレグランスのスティックには、扇子用に薄く加工された竹の扇骨を用いています。器は清水焼、香りは京都の工房が調合するこだわりようです。

竹の扇骨は「保香性」があるため、フレグランスと相性抜群。緻密な透かし彫りが光る扇骨から、白檀や檜、八重桜の香りが包み込むように漂います。

扇子屋が手掛けるルームフレグランスは予想以上の大反響。立ち上げたクラウドファンディングは目標金額を瞬く間に達成。現在は全国の百貨店や有名セレクトショップで取り扱われる商品になりました。

日本の伝統美が生み出す暑さ対策

扇子の美しさや華やかさは、クーラーや扇風機にはない魅力です。扇子は男物・女物に分かれていますが「女性だから女物しか使えない」という堅苦しいルールはありません。心がときめくデザインを選ぶことが大切です。

・桜吹雪 桃色

桜の布地に桜が舞う扇子。竹の本来の色をいかした白竹が涼しげな印象を演出しています。

・秋兎

紫の布地に白うさぎがとびはねるデザインです。灰色ベースの茶色に染めた竹を使用しています。

・暁色の夜明け

風合いのある和紙に、紺と朱のぼかしを入れたデザインで、美しいグラデーションが際立ちます。黒色に染めた竹がシックな雰囲気を演出しています。

 

・鳥獣戯画

 

薄茶色の布に鳥獣戯画を描いています。伝統文化をより感じられる作品です。

まとめ

自分のお気に入りの扇子を持ち歩けば、夏のおでかけも前より心が弾むのではないでしょうか。また大西常商店は、購入後のアフターメンテナンスも充実しています。長く愛用できるのも魅力といえるでしょう。

大西常商店が手掛ける京扇子とともに今年の夏をすてきに楽しみたいと思った方は、実際のアイテムをぜひチェックしてみてください。

大西常商店の商品のご購入はこちら
大西常商店公式HP

 

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