【宮創製陶所】100年以上の九谷焼の伝統を現代の生活に
石川県小松市にある宮創製陶所は1914年に創業された九谷焼の窯元で、白磁の置物を中心に生産しています。今回は100年に渡り受け継がれる置物の魅力をご紹介します。
置物の特徴
宮創製陶所で作られる置物は、小松市八幡にある花坂原石山から採れる陶石を原料に作られた粘土を使用しています。
土によって色味や質感、温かみ、力強さなどが異なり、八幡で作られるものは鉄分が多いため、焼き上がりが青みがかった味わい深い白に仕上がるのが特徴です。
宮創製陶所での作業
九谷焼は完成までに大きく3つの工程があります。
・粘土製造
・素地づくり
・上絵付け
宮創製陶所では焼く前の、大事な工程の一つである素地づくり(絵付け前の白い素地の制作)を行っています。
器や置物などの成形に石膏型が使用されます。この石膏型に土を押し込むことで、製品の基本形状が作られます。
大正・昭和の技術の高い職人達によって作られた石膏型を多く所有しています。今でも職人さんが石膏型をつくり、技術力を受け継いでいます。
置物の土台づくり
形にする
粘土を置物や器の形にしていく工程には、粘土を手作業で型に詰める「おこし型」、液状の粘土を流し込む「鋳込み型」があります。
「おこし型」では、パーツごとに型を作り、パーツを組み合わせて一つの形にする方法。パーツを接着させる時に間違った力加減で行うと、ヒビや焼き切れを起こします。なかには20パーツ以上組み合わせた複雑なデザインのものも。全ての工程が手作業のため、大量に作ることができません。
「鋳込み型」は、液状にした粘土を型の中に流し込み作り上げる方法です。固まるときに、型の方に水分が吸われ、同時に粘土の粒子も型の壁面に吸着され、形が形成します。細かいデザインを作ることができ、現代的な需要に応えた商品を生産することができます。
一度に鋳込むことで大量生産できるが特徴です。
乾燥・仕上げ
成形したパーツを組み合わせたり、細かい仕上げをしたりします。乾燥させた生地はヤスリにかけ、表面を滑らかに仕上げ、傷がないかチェックします。
素焼き
仕上げた生地をそのまま800〜900度で焼いたものを「素焼き」と呼びます。軽く焼き固めることで、強度が増し、扱いやすくなります。
焼成時間は6〜7時間で、最近ではガスや電気の窯を使用し、安定した温度管理を行っているそうです。
施釉(せゆう)
施釉とは、釉薬(ゆうやく・高温で焼くとガラス質に変化し、生地を覆う膜となる液体)を乾燥した生地、または素焼きした生地にかける工程です。釉薬をかけて焼くことで汚れを防ぎ、小さな穴をふさぐことで耐水性が増し、生地の表面をなめらかにし、ツヤを与え、かつ強固にする効果もあります。
本窯焼き
素焼1300度で約14時間焼き上げます。本焼きを終えると、器は硬くなり、地肌は白く、釉薬は透明になりツヤが出ます。この状態のものを「白素地(しらきじ)」といい、これで素地づくりは完成です。
こうして宮創製陶所で作られた素地は絵付けの職人さんの元へ運ばれ、色鮮やかな九谷焼になります。
おすすめ商品「Maneki-neko」
宮創製陶所ではオリジナル釉薬を開発しています。現代のインテリアやライフスタイルに九谷焼の伝統を最適化させることをコンセプトに、これまでの九谷焼には存在しないカラー展開を可能にしました。
今回は、こだわりの九谷焼にオリジナル釉薬を使用した、「Maneki-neko」を紹介します。
宮創マット釉薬によるカラー商品。
艶のないマットな質感に仕上がる釉薬を使用しています。現代のインテリアやライフスタイルに九谷焼の伝統を最適化するために作られた焼物です。
右手を上げている招き猫は「福を招く」と言われ、左手を上げている招き猫は「人を招く」と言われています。色によって招く福が違います。
【白】福を呼ぶ「開運招福」
【黄】金運・財運・出世お金をまねく
【黒】家内安全・厄除魔除けや幸運、商売繁盛の象徴
【赤】無病息災・健康長寿
【青】「知性の色」学業向上・交通安全
【灰色】ステータス(地位、身分、状況など)アップ効果。人からの印象も良い方向に
ご自宅用だけでなく、お祝い事の贈り物としても喜ばれることでしょう。
まとめ
歴史ある宮創製陶所の置物制作について紹介していきました。
製作したい物の形や大きさ、作業を行う時期、天候などによって粘土を流すスピードや乾燥させる時間が異なったり、職人の経験から温度管理が行われていたりと、長い間修行を積んで培われた職人技が光ります。
その他、干支や雛人形、キャラクター商品など現代的な需要に応えた多種多様な素地も生産しています。現代にあわせて変化し続け、私たちの生活にもっと身近な存在になっていくことでしょう。