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青井阿蘇神社|由緒ある国宝神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

青井阿蘇神社|由緒ある国宝神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

熊本県人吉市に鎮座する青井阿蘇神社は、大同元年(806年)の創建から1200年を超える歴史を誇る由緒ある神社です。茅葺屋根の楼門と桃山様式の華麗な装飾が特徴的な社殿群は、平成20年に熊本県初の国宝に指定され、茅葺建造物としては全国で唯一の国宝として注目を集めています。

青井阿蘇神社の概要・基本情報

青井阿蘇神社の概要・基本情報

青井阿蘇神社は人吉球磨地方の総鎮守として、長きにわたり地域の人々に親しまれてきた神社です。地元では愛情を込めて「青井さん」と呼ばれ、阿蘇神社の分霊を祀る開拓の守護神として信仰を集めています。現在の社殿群は江戸時代初期の慶長15年(1610年)から18年にかけて造営されたもので、本殿・廊・幣殿・拝殿・楼門の5棟が国宝に指定されています。

歴史と由来

青井阿蘇神社の創建は大同元年(806年)9月9日の重陽の節句にさかのぼります。阿蘇神社の神主であった緒方権之助大神惟基が、神のお告げによって阿蘇大明神の分霊をこの地に勧請したのが始まりとされています。

人吉球磨地方の開拓が進むにつれ、開拓の守護神として阿蘇三神への信仰が深まりました。鎌倉時代に相良長頼が人吉庄の地頭となると、青井阿蘇神社は相良氏の篤い崇敬を受けるようになります。特に人吉藩初代藩主・相良長毎(頼房)とその重臣相良清兵衛の発起により、慶長15年から18年にかけて現在の壮麗な社殿群が造営されました。

江戸時代には相良藩の氏神として手厚い保護を受け、人吉球磨地方の宗社としての地位を確立しました。明治時代の神仏分離令により、それまで行われていた神仏習合から唯一神道へと改められましたが、仏形の神像絵は現在も神社に保存されています。

祭神とご利益

青井阿蘇神社には阿蘇三神と呼ばれる三柱の神々が祀られています。主祭神は建磐龍命(たけいわたつのみこと)で、神武天皇の孫にあたる阿蘇開拓の祖神です。配神として建磐龍命の后神である阿蘇津媛命(あそつひめのみこと)、そして両神の御子神である国造速甕玉神(くにのみやつこはやみかたまのみこと)を祀っています。

これらの神々は熊本県阿蘇市の阿蘇神社の祭神12柱のうち3柱で、開拓・殖産・縁結び・家内安全・商売繁盛などのご利益があるとされています。特に建磐龍命は阿蘇の広大な原野を開拓した神として、新たな事業の成功や困難の克服を願う参拝者が多く訪れます。

青井阿蘇神社の見どころ・特徴

青井阿蘇神社の見どころ・特徴

青井阿蘇神社の最大の魅力は、400年の歳月を経てなお美しさを保つ国宝建造物群です。境内には南から北へ一直線に楼門・拝殿・幣殿・廊・本殿が配置され、その配置と建築様式は球磨地方の社寺建築の規範となっています。

国宝建造物の魅力

青井阿蘇神社の楼門は高さ12メートルを誇る壮大な建造物で、禅宗様式と桃山様式が美しく調和した茅葺屋根が特徴的です。急勾配の寄棟造茅葺屋根は、球磨民謡にも歌われるほど地域のシンボルとして親しまれています。

楼門の上層軒先の四隅には、陰陽一対の鬼面がはめ込まれており、これは人吉様式と呼ばれる全国に類例のない独特な装飾です。欄間には二十四孝物語をはじめとする大陸の影響を受けた精巧な彫刻が施され、天井には経年により彩色の剥落は見られるものの、見事な二体の龍が描かれています。

拝殿は建造物の内部が拝殿・神楽殿・神供所の三部屋に仕切られているのが最大の特徴で、拝殿横に神供所を配置するL字状の配置は球磨地方独特の形式です。神楽殿には天体にたとえたヤツジメと呼ばれるこの地方独特の舞台装飾が施されており、毎年10月8日の夕刻には国の重要無形民俗文化財に指定されている球磨神楽が演じられます。

桃山様式と球磨地方の建築技法

青井阿蘇神社の社殿群は、中世球磨地方に展開した独自性の強い意匠を継承しつつ、桃山期の華やかな意匠を巧みに取り入れているのが特徴です。黒漆塗を基調とした社殿には、随所に桃山様式の多彩な装飾や色彩が施されています。

本殿と幣殿には優れた彫刻や錺金具などが配され、花鳥風月や植物をデザインした精緻な装飾が見る者を魅了します。社紋である「並び鷹の羽」が金箔で美しく描かれ、職人の確かな技術力を物語っています。

特に南九州地方に見られる雲龍の彫刻は、この地域の建築文化の特色を示すものとして注目されています。青井阿蘇神社の彫刻技法や特異な拝殿形式は、広く南九州地方にその影響が認められ、近世球磨地方における社寺造営の手本となりました。

青井の杜国宝記念館

令和5年11月には、世界的建築家・隈研吾氏設計による「青井の杜国宝記念館」が境内にオープンしました。地元の市房杉や屋久杉などの銘木をふんだんに使用した現代的な建築は、伝統的な神社建築との見事な調和を見せています。

記念館内では青井阿蘇神社の歴史や文化財に関する展示のほか、人吉球磨地方の歴史や文化の資料を見ることができます。社務所の機能も兼ね備えており、御朱印の受付なども行われています。伝統と現代が融合した新たな文化発信拠点として、多くの参拝者や観光客が訪れています。

参拝案内

参拝案内

青井阿蘇神社では一年を通じて多くの方が参拝に訪れ、厳かな雰囲気の中で心静かに祈りを捧げることができます。国宝建造物を間近で見学しながら、1200年の歴史が刻まれた神聖な空間での参拝体験をお楽しみください。

参拝作法とマナー

青井阿蘇神社での参拝は、一般的な神社の作法に従って行います。楼門をくぐる前に一礼し、参道の中央は神様の通り道とされているため、端を歩くよう心がけましょう。

手水舎では左手、右手の順に清め、口をすすいで身を清めてから拝殿へと向かいます。拝殿前では二拝二拍手一拝の作法で参拝を行い、日頃の感謝と願いを込めて祈りを捧げます。

国宝建造物の見学の際は、建物に直接触れることは避け、撮影については境内の案内に従ってください。静寂な境内では大きな声での会話は控え、他の参拝者への配慮を忘れずに過ごしましょう。

年中行事・おくんち祭

青井阿蘇神社では年間を通じて様々な祭事が執り行われますが、中でも毎年10月3日から11日にかけて開催される「おくんち祭」は、平安時代から続く人吉球磨地方最大の祭りとして知られています。

おくんち祭では国指定重要無形民俗文化財の球磨神楽が奉納され、10月8日の夕刻には拝殿内の神楽殿で神秘的な舞が披露されます。また祭り期間中には2000人以上が参加する盛大な神幸行列が人吉市内を練り歩き、行列中の獅子面に頭を噛まれると無病息災のご利益があるとされています。

その他にも夏越祭や稲荷神社の初午祭など、季節ごとの行事が開催されています。祭事の詳細な日程については事前に神社へお問い合わせいただくか、公式サイトでご確認ください。

御朱印・お守り情報

青井阿蘇神社では美しい御朱印を授与しており、青井の杜国宝記念館内の社務所で受け付けています。御朱印帳をお渡しして直筆でいただくことができ、早朝など参拝者が少ない時間帯であれば比較的短時間で受け取ることができます。

また青井阿蘇神社では「オンライン授与所」も開設されており、遠方にお住まいの方でも郵送にて御朱印を受け取ることが可能です。コロナ禍以降、このサービスを利用する方が増えており、自宅にいながら青井阿蘇神社との縁を感じることができます。

境内では開運厄除けや縁結び、商売繁盛などのお守りも授与されています。特に阿蘇三神のご利益にちなんだお守りが人気で、新たな挑戦や事業成功を願う方に好まれています。

アクセス・利用情報

アクセス・利用情報

青井阿蘇神社は人吉市の中心部に位置し、公共交通機関でも自家用車でもアクセスしやすい立地にあります。人吉駅からは徒歩圏内で、周辺には人吉温泉や球磨川下りなどの観光スポットも点在しています。

交通アクセス

電車をご利用の場合、JR肥薩線人吉駅から徒歩約5分と非常にアクセスが良好です。人吉駅は九州新幹線の新八代駅から在来線で約1時間、熊本駅からは約1時間30分の距離にあります。

自家用車でお越しの場合は、九州自動車道人吉インターチェンジから約10分の距離です。熊本市内からは国道3号線経由で約1時間30分、鹿児島方面からは約2時間の道のりとなります。

高速バスをご利用の場合は、熊本市内や福岡市内から人吉行きの便が運行されており、人吉バスセンターから神社までは徒歩約10分です。

拝観時間・料金・駐車場情報

青井阿蘇神社の参拝時間は午前9時から午後5時までとなっていますが、境内への立ち入りは24時間可能です。ただし青井の杜国宝記念館の見学については開館時間にご注意ください。

参拝料は無料ですが、国宝記念館の見学については詳細は現地でご確認ください。御朱印の授与や各種お守りについては別途料金が必要です。

駐車場は神社正面に無料駐車場を完備しており、普通車約30台、大型バス2台の駐車が可能です。正面駐車場が満車の場合は、物産館横の駐車場もご利用いただけます。ただし違反駐車は罰金の対象となりますので、目的外での利用は控えてください。

観光シーズンや祭事開催時には駐車場が混雑することがありますので、可能な限り公共交通機関のご利用をおすすめします。

<住所> 〒868-0005 熊本県人吉市上青井町118

参照サイト

・青井阿蘇神社 公式ホームページ:https://aoisan.jp/

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