
青島神社|由緒ある神話の聖地の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
宮崎県宮崎市の青島に鎮座する青島神社は、日本神話「海幸彦・山幸彦」の舞台として語り継がれる由緒ある神社です。周囲1.5キロメートルの青島全体が境内地となっており、「鬼の洗濯板」と呼ばれる奇岩に囲まれた神秘的な島で、縁結びの聖地として全国から多くの参拝者が訪れています。亜熱帯植物が生い茂る島の中央に朱塗りの美しい社殿が佇む姿は、まさに南国宮崎を象徴する絶景スポットです。
青島神社は宮崎県宮崎市青島のほぼ中央に鎮座し、島全体が熱帯・亜熱帯植物の群生地として国の特別天然記念物に指定されています。境内には最高樹齢350年のビロウ樹をはじめ、約5,000本もの亜熱帯植物が生息し、本土では見ることのできない南国の雰囲気を醸し出しています。現在は神社本庁の別表神社として、地域の信仰を集めています。
歴史と由来
青島神社の創建年代は明確ではありませんが、平安時代の国司巡視記「日向土産」に「嵯峨天皇の御宇奉崇青島大明神」と記されており、約1200年前には既に崇敬されていたと推定されています。元来は海洋に対する信仰によって創祀されたと考えられ、古くから青島自体が霊域として崇められてきました。
室町時代の文亀3年(1503年)に伊東尹祐によって社殿が再建され、以降は飫肥藩主伊東家の篤い崇敬を受けて幾度にもわたる社殿の造営や改修が行われました。江戸時代には島全体が神域として保護され、元文2年(1737年)まで入島は神職と島奉行のみに限られていました。一般の村民は対岸の現青島海水浴場に拝所を設けて遙拝していたと伝えられています。
明治4年(1871年)に境内地が国有地となりましたが、戦後の昭和24年(1949年)に国から返還され現在に至っています。特に大正時代には皇太子時代の大正天皇が参拝され、その後多くの皇族方が参拝されるなど、格式高い神社として知られています。
祭神とご利益
青島神社には日本神話「海幸彦・山幸彦」に登場する三柱の神々が祀られています。主祭神は天津日高彦火火出見命(あまつひだかひこほほでみのみこと)で、山幸彦として親しまれている神様です。配神として山幸彦の妃神である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、そして山幸彦を海神の宮殿へ導いた塩筒大神(しおづつのおおかみ)を祀っています。
これらの神々は海幸山幸神話において、山幸彦が海神の宮殿で豊玉姫と結ばれた物語から、縁結び・安産・夫婦円満のご利益があるとされています。また海神の力を借りて兄を服従させた神話から、航海安全・交通安全・商売繁盛などの幅広いご利益でも信仰を集めています。特に縁結びの神様として有名で、全国から恋人同士や結婚を願う女性参拝者が多く訪れています。
青島神社の見どころ・特徴
青島神社の最大の魅力は、海に浮かぶ島全体が神域という他に類を見ない立地と、亜熱帯の自然に包まれた神秘的な雰囲気です。朱塗りの美しい社殿と南国の植物が織りなすコントラストは、まさに神話の世界を彷彿とさせる絶景を生み出しています。
海と亜熱帯植物に囲まれた神秘的な境内
青島神社へは青島ビーチから弥生橋を渡って参拝します。橋を渡る途中からは日向灘の美しい海と、島を取り囲む「鬼の洗濯板」の景観を楽しむことができます。島に足を踏み入れると、ビロウ樹やハイビスカスなどの亜熱帯植物が生い茂る別世界が広がります。
境内には朱塗りの鮮やかな社殿が佇み、その周囲を覆う緑豊かな植物との美しいコントラストが印象的です。特に最高樹齢350年のビロウ樹は圧倒的な存在感を放ち、北半球最大の亜熱帯性植物群落として学術的にも貴重な価値を持っています。
境内各所には縁結びにちなんだスポットが点在しており、ハート形の絵馬やオブジェ、建築装飾の「猪の目(いのめ)」など、恋愛成就を願う参拝者に人気の「隠れハート」を探すのも楽しみの一つです。絵馬で埋め尽くされたトンネル「祈りの古道」は、これまでに参拝した多くの人々の願いが込められた神秘的な空間となっています。
鬼の洗濯板と青島の自然
青島を取り囲む「鬼の洗濯板」は、隆起海床と奇形波蝕痕として国の天然記念物に指定されている貴重な自然景観です。規則正しく波打つような奇岩の造形は、まるで巨大な洗濯板のように見えることからこの名前で親しまれています。
この奇岩は約1500万年前から800万年前にかけて海底に堆積した砂岩と泥岩の互層が、地殻変動により隆起し、長年の波の浸食によって形成されたものです。干潮時には岩場を散策することができ、潮だまりでは小さな海洋生物を観察することも可能です。
青島自体も堆積した貝殻によってできた島で、昔は「真砂島」とも呼ばれていました。島の地質と気候条件が相まって、本土では見ることのできない独特の植物相が形成されており、学術的にも非常に価値の高い自然環境となっています。
元宮と古代祭祀跡
境内の奥、島の中心部には青島神社の元宮があります。この場所は古代から祭祀が行われていた聖地で、元宮跡からは弥生式土器、獣骨、貝殻などが出土しており、古い時代から小祠があり祭祀が行われていたものと推定されています。
元宮は本来の社地であったと伝わる場所で、本社と同じ三柱の神を祀っています。亜熱帯植物に囲まれた神秘的な空間は、古代から続く信仰の歴史を感じさせる厳かな雰囲気に満ちています。江戸時代には病気平癒や婦人病に霊験あらたかとされ、元宮に髪を結び帰るという信仰もあったと伝えられています。
大正時代の皇太子時代の大正天皇の御成り以降、多くの皇族方にも参拝されており、現在でも参詣が絶えることがない神聖な場所として大切に守られています。元宮周辺には「御成道」と呼ばれる参道が整備されており、ビロウ林の中を歩きながら古代からの信仰の歴史に思いを馳せることができます。
参拝案内
青島神社では四季を通じて多くの参拝者が訪れ、海に囲まれた神秘的な環境の中で心静かに祈りを捧げることができます。縁結びの聖地として特に人気が高く、恋愛成就を願う多彩な神事や体験が用意されています。
参拝作法とマナー
青島神社での参拝は、一般的な神社の作法に従って行います。弥生橋を渡る際は、島全体が神域であることを意識し、敬虔な気持ちで渡るよう心がけましょう。参道は中央を避けて端を歩き、鳥居をくぐる前には一礼します。
手水舎で身を清めた後、拝殿前では二拝二拍手一拝の作法で参拝を行います。縁結びの神様として知られているため、恋愛成就や夫婦円満、家内安全などの願いを込めて祈りを捧げる方が多く見られます。
境内では亜熱帯植物や自然環境の保護にご協力いただき、植物に触れたり採取したりすることは避けてください。また写真撮影の際は他の参拝者への配慮を忘れず、静寂な境内では大きな声での会話は控えるようお願いします。
多彩な神事と願掛け体験
青島神社では10種類もの多彩な神事や願掛け体験が用意されており、他の神社では味わえない特別な参拝体験ができます。最も有名なのが「天の平瓮投げ(あめのひらかなげ)」で、古代祭祀跡である磐境に素焼きの皿を投げ入れ、入ると心願成就、割れると開運厄除になるとされています。
「産霊紙縒(むすびこより)」では、願い事によって色が異なるこよりを、寄り添うようにそびえる「夫婦ビロウ」の木に結んで願いを込めます。恋愛成就のピンク色が特に人気で、多くのカップルや女性参拝者が体験されています。
「賽の目神事」では「縁」や「金」などの目が振られたサイコロを振り、出た目が導きとなる神事として親しまれています。その他にも恋みくじや鯛みくじなど、青島神社ならではの多彩な神事が用意されており、参拝の記念として多くの方が体験されています。
御朱印・お守り情報
青島神社では美しい御朱印を授与しており、縁結びの神社らしい華やかなデザインが人気です。御朱印は社務所で受け付けており、参拝の記念として多くの方が求められています。
お守りについては、古例に依る「神ひなの御守」が特に有名です。安永年間の記録にも記載されている伝統的なお守りで、別名「夫婦びな」「願かけびな」とも呼ばれ、結縁、安産、病気平癒、家内安全、海上交通安全など、あらゆる願いを込めてご神前にお供えします。
その他にも縁結び、恋愛成就、安産、交通安全などのお守りが豊富に用意されており、特に縁結びにちなんだお守りは全国から訪れる参拝者に人気です。ハート形のお守りや、青島の自然をモチーフにしたデザインなど、記念品としても喜ばれています。
アクセス・利用情報
青島神社は宮崎市南東部に位置し、宮崎市中心部や宮崎空港からのアクセスも良好です。青島ビーチに隣接しているため、海水浴やマリンスポーツと合わせて楽しむことができ、周辺には温泉やリゾート施設も充実しています。
交通アクセス
電車をご利用の場合、JR日南線青島駅から徒歩約15分です。宮崎駅からは普通電車で約25分、特急で約20分の距離にあります。青島駅から神社までは、宮崎を象徴するヤシの木並木が続く美しい参道を歩いて向かうことができます。
自家用車でお越しの場合は、宮崎自動車道宮崎インターチェンジから国道220号線を日南方面へ約13キロメートル、約15分の距離です。宮崎市内中心部からは約30分、宮崎空港からは約20分でアクセス可能です。
路線バスをご利用の場合は、宮崎交通の青島行きバスが宮崎駅や宮崎空港から運行されており、青島バス停下車徒歩約10分です。観光シーズンには臨時バスも運行されることがあります。
拝観時間・料金・駐車場情報
青島神社は24時間参拝可能ですが、社務所の受付時間は午前9時から午後5時頃までとなっています。御朱印やお守りの授与、各種神事の受付はこの時間内にお願いします。
参拝料は無料ですが、天の平瓮投げなどの神事については別途料金が必要です。神前結婚式も執り行われており、詳細については事前に神社へお問い合わせください。
駐車場については、青島神社周辺に有料駐車場と無料駐車場があります。最も近い「青島参道南広場駐車場」は無料ですが、利用時間が午前8時30分から午後5時までと限られており、約40台収容可能です。青島駅前にも市営の無料駐車場があり、徒歩約10分で神社に到着できます。
有料駐車場は神社により近い場所にあり、普通車500円程度が相場となっています。観光シーズンや週末は駐車場が混雑するため、できる限り早い時間帯での到着をおすすめします。特に夏季は海水浴客も多いため、公共交通機関の利用も検討されることをお勧めします。
<住所> 〒889-2162 宮崎県宮崎市青島2丁目13番1号
参照サイト
・青島神社 公式ホームページ:https://aoshima-jinja.jp/