
赤坂氷川神社|由緒ある縁結びの聖地の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
東京都港区赤坂に鎮座する赤坂氷川神社は、天暦5年(951年)の創建から1000年を超える歴史を誇る由緒ある古社です。東京十社の一つであり、東京三大縁結び神社としても知られ、縁結び・厄除のご利益を求めて全国から多くの参拝者が訪れています。徳川吉宗建立の社殿が江戸時代そのままの姿で現存し、都心にありながら江戸の情景を色濃く残す貴重な神社として親しまれています。
赤坂氷川神社の概要・基本情報
赤坂氷川神社は東京都港区赤坂六丁目に鎮座し、旧社格は府社で元准勅祭神社として格式高い地位を誇っています。同区内にある白金氷川神社や麻布氷川神社と区別するため「赤坂氷川神社」と称され、地域の鎮守として長きにわたり信仰を集めてきました。境内には江戸時代の年号が刻まれた鳥居・狛犬・灯籠が数多く現存し、都内では珍しい江戸の情景を肌で感じることができる神社です。
歴史と由来
赤坂氷川神社の創建は天暦5年(951年)に遡ります。東国を遊行していた蓮林僧正が霊夢を見て、一ツ木村(現在の赤坂4丁目付近)に奉斎したのが始まりと伝えられています。創祀から約100年後の治暦2年には関東に大旱魃が発生した際、当社で降雨を祈願するとその験があり、以来よく祭事が行われるようになりました。
江戸時代に入ると、紀州藩中屋敷があった赤坂の鎮守として、紀州藩主であった徳川吉宗が篤く信仰しました。享保14年(1729年)、8代将軍となった徳川吉宗公の命により、老中岡崎城主水野忠之が現在地への遷座を実施。翌享保15年(1730年)4月26日に遷座が行われ、28日には将軍直々の参拝がありました。
現在地は忠臣蔵で有名な浅野内匠頭長矩の正室・瑤泉院の実家である浅野土佐守邸があった場所で、歴史的な意味合いの深い土地です。以降、14代家茂公まで歴代将軍の朱印状が下附され、江戸幕府からの厚い尊信を受けてきました。
明治時代には准勅祭神社に指定され、戦後は東京十社の一つとして東京の鎮護と平安を祈願する重要な神社として位置づけられています。
祭神とご利益
赤坂氷川神社には三柱の神々が祀られています。主祭神は素盞嗚尊(すさのおのみこと)で、八岐大蛇を退治した神話で知られる天照大神の弟神です。配神として奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)と大己貴命(おおなむぢのみこと)を祀っています。
素盞嗚尊は八岐大蛇を退治したことから、古来より厄除開運の御神徳があると伝えられています。「すさ」という御神名は「すさぶ(荒ぶる)」の意味があり、穢れ・災い・災厄など悪しきことを荒々しい力で祓い清めるお力があることを表しています。
奇稲田姫命は豊穣を司る神様で、八岐大蛇のいけにえになったところを素盞嗚尊に助け出され、後に夫婦となった神話から縁結びのご利益があるとされています。大己貴命は別名を大国主命といい、因幡の白兎を助けた神様として親しまれ、各地に恋愛伝説を残していることから良縁祈願の神様として知られています。
これらの神々から、縁結び・厄除開運・商売繁盛・家内安全・学業成就などの幅広いご利益があるとされ、特に縁結びの神社として「東京三大縁結び神社」の一つに数えられています。良縁を求める方々や夫婦円満を願う方々に篤い信仰を集めています。
赤坂氷川神社の見どころ・特徴
赤坂氷川神社の最大の魅力は、江戸時代から変わらぬ姿を現代に伝える歴史的価値と、都心にありながら感じられる厳かな雰囲気です。徳川吉宗建立の社殿をはじめ、境内各所に江戸時代の面影が色濃く残っています。
徳川吉宗建立の社殿と江戸の文化財
現在の社殿は享保15年(1730年)に徳川吉宗公の命により造営されたもので、総欅造り銅葺朱塗の一間社流造です。安政の大地震・関東大震災・東京大空襲の被災を奇跡的に免れ、江戸時代当時のままの姿を残しており、東京都重要文化財に指定されています。
社殿は全体的に質素な印象でありながら、要所要所にさまざまな意匠が取り入れられた美しい建築です。丹青荘重な装飾が施され、約300年の歳月を経てなお美しさを保っています。現存する徳川将軍建立の社殿として、非常に貴重な文化財です。
境内には江戸時代の年号が刻まれた文化財が数多く現存しています。都内の神社で最も古い狛犬は延宝3年(1675年)6月に作られたもので、御社殿よりも古い350年前の作品です。その他にも石燈籠四基、旧紀州家櫓太鼓、月岡芳年筆の絵馬など、港区指定の有形文化財が多数保存されています。
境内の大イチョウは東京都港区指定天然記念物に指定されており、樹齢数百年の御神木として参拝者の心を癒しています。秋には美しい黄葉を見せ、都心にありながら四季の移ろいを感じることができる貴重な自然です。
忠臣蔵ゆかりの地としての歴史
現在の赤坂氷川神社が鎮座する地は、忠臣蔵で有名な浅野内匠頭長矩の正室・瑤泉院の実家である三次浅野家の下屋敷があった場所です。元禄赤穂事件後に出家した瑤泉院は、この地に移居し死去するまで幽居していました。
享保5年(1720年)に三次浅野家が断絶・廃藩となった後、幕府が徴収した土地を赤坂氷川神社に与えたことで、現在の鎮座地となりました。このような歴史的背景から、神社は忠臣蔵ゆかりの地として特別な意味を持っています。
神社近くの南部坂には、大石内蔵助が討ち入り前に瑤泉院に別れを告げたとされる「南部坂雪の別れ」の伝説も残されており、多くの歴史愛好家が訪れる場所となっています。ただし、この「南部坂の別れ」は後世の創作であり史実ではないとされていますが、忠臣蔵の物語と深く結びついた土地として親しまれています。
縁結び・厄除のパワースポット
赤坂氷川神社は東京大神宮、出雲大社東京分祠と並んで「東京三大縁結び神社」として知られ、縁結びを求める多くの参拝者が訪れています。御祭神の素盞嗚尊と奇稲田姫命、大己貴命の神話に基づく縁結びのご利益は特に有名で、良縁を求める方々に篤い信仰を集めています。
境内には縁結びのパワースポットとして親しまれる場所が点在しています。中でも子持ち狛犬は子宝・安産のご利益があるとされ、多くの夫婦や女性参拝者が訪れます。また、境内で最も古い狛犬は笑顔に見える表情から「福を呼ぶ狛犬」として親しまれています。
神前結婚式も人気が高く、東京都有形文化財の社殿で挙式が行われます。当社独自の儀式である「御櫛預けの儀」では、女性の分身ともいわれる櫛を新婦から新郎へ預けることで、お二人一体となり新しい生活を二人三脚で営む誓いを立てます。この儀式は御祭神の神話に基づいた当社ならではの特別な儀式として注目されています。
参拝案内
赤坂氷川神社では一年を通じて多くの参拝者が訪れ、江戸時代から変わらぬ厳かな雰囲気の中で心静かに祈りを捧げることができます。縁結びや厄除のご利益を求める方々をはじめ、様々な願いを持つ人々に愛され続けています。
参拝作法とマナー
赤坂氷川神社での参拝は、一般的な神社の作法に従って行います。境内に入る際は鳥居をくぐる前に一礼し、参道の中央は神様の通り道とされているため、端を歩くよう心がけましょう。
手水舎では左手、右手の順に清め、口をすすいで身を清めてから拝殿へと向かいます。拝殿前では二拝二拍手一拝の作法で参拝を行い、縁結びや厄除、家内安全などの願いを込めて祈りを捧げます。
境内には江戸時代から現存する貴重な文化財が数多くありますので、建造物や石造物に直接触れることは避け、撮影の際は他の参拝者への配慮を忘れずに行ってください。都心にありながら静寂な境内では、大きな声での会話は控え、厳かな雰囲気を大切にしましょう。
年中行事・赤坂氷川祭
赤坂氷川神社では年間を通じて様々な祭事が執り行われますが、中でも毎年9月15日に開催される例大祭「赤坂氷川祭」は最も重要な年中行事です。隔年で神輿連合渡御が行われ、都内では貴重な最大高さ8メートルを超える山車と大きな宮神輿が赤坂通りを練り歩きます。
赤坂氷川祭では江戸型山車が登場し、”江戸の祭の華”でもあった迫力ある山車を間近に見ることができます。この山車は港区の文化財にも登録されており、江戸時代の祭礼文化を現代に伝える貴重な文化遺産です。祭りの期間中は地域の方々と一体となった賑やかな雰囲気に包まれ、多くの見物客で賑わいます。
その他にも月次祭、歳旦祭、節分祭など季節ごとの祭事が行われており、特に縁結び参りは3月の桃の節供と7月の星合いの時期に特別な祈願が執り行われます。これらの祭事は事前予約制となっており、詳細については神社へお問い合わせください。
御朱印・お守り情報
赤坂氷川神社では美しい御朱印を授与しており、平常時は本社の赤坂氷川神社と境内社の四合稲荷の2種類の御朱印を受けることができます。四合稲荷は勝海舟によって命名された「しあわせいなり」で、勝海舟揮毫の扁額の墨跡を用いて制作された社名印が使用されています。
2018年より祭事や季節に応じた限定御朱印も頒布されており、月参り御朱印「かさね」は日本の伝統的な配色である「襲の色目」を用いて奉製される人気の御朱印です。毎月1日9時より頒布され、十二単に見られるような美しい色合いが特徴です。
お守りについては、縁結びを中心とした様々なご利益のお守りが授与されています。特に縁結びのお守りは東京三大縁結び神社の一つとして多くの方に求められており、良縁を願う方々に人気です。その他にも厄除、家内安全、商売繁盛、学業成就などのお守りも豊富に用意されています。
境内社の四合稲荷では「しあわせ」の語呂合わせから幸福を呼ぶお守りも授与されており、勝海舟ゆかりの神社として歴史愛好家にも人気があります。
アクセス・利用情報
赤坂氷川神社は港区の中心部に位置し、複数の地下鉄路線からアクセス可能な便利な立地にあります。六本木や赤坂の繁華街からも徒歩圏内で、観光やビジネスの合間に参拝することができます。
交通アクセス
電車をご利用の場合、最寄り駅は東京メトロ千代田線赤坂駅(5番出口)で徒歩約7分です。その他にも東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅(7番出口)から徒歩約8分、東京メトロ南北線六本木一丁目駅(1番出口)から徒歩約11分、東京メトロ銀座線溜池山王駅(12番出口)から徒歩約13分と、複数の路線からアクセス可能です。
都バスをご利用の場合は、六本木四丁目バス停が最寄りとなります。赤坂通りや六本木通りなど主要道路に面しているため、タクシーでのアクセスも便利です。
神社周辺は赤坂や六本木の繁華街に隣接しており、参拝前後に食事や買い物を楽しむこともできます。また、近隣には東京ミッドタウンやアークヒルズなどの商業施設もあり、観光コースに組み込みやすい立地です。
拝観時間・料金・駐車場情報
赤坂氷川神社の開門時間は午前6時で、閉門時間は午後5時30分となっています。社務所の受付時間は午前9時から午後5時までで、御朱印やお守りの授与、ご祈祷の受付はこの時間内に行ってください。
参拝料は無料ですが、個人や法人のご祈祷については別途料金が必要です。縁結び参りなどの特別な祈願や神前結婚式については事前の予約が必要となりますので、詳細は神社へお問い合わせください。
駐車場については境内に9台分のスペースがありますが、都心部という立地のため平日でも満車になることが多く、土日祝日はさらに混雑が予想されます。可能な限り公共交通機関のご利用をおすすめします。
境内での撮影については一定のルールがありますので、撮影をご希望の方は事前に神社へお問い合わせください。特に結婚式の前撮りなどは専用のプランが用意されています。
<住所> 〒107-0052 東京都港区赤坂6-10-12
参照サイト
・赤坂氷川神社 公式ホームページ:https://www.akasakahikawa.or.jp/