【髙田耕造商店】棕櫚たわしの魅力
私たちの生活で、身近な家庭用商品として使用されている「たわし」。和歌山県海南市で生産した棕櫚(しゅろ)の木を原料とし、職人がこだわりを持って製造する高田耕造商店のたわしは、2020年にグッドデザイン賞を受賞しました。今回は伝統を大切にしながら、日本では数少ない棕櫚の繊維でたわしを作る髙田耕造商店と商品を紹介します。
髙田耕造商店
髙田耕造商店は、棕櫚を加工し日用品を製造する会社です。1948年に初代代表の高田耕造が和歌山県海南市に創業し、たわし製造を始めました。
1965年に靴洗い用たわし「チェリー」を開発して以来、棕櫚たわしがより身近なものになるようにと、身体を洗うものから掃除用品まで、使う方に寄り添う商品開発をしています。
さらに、70年ほど前に廃れてしまった和歌山県産の棕櫚を復活させるため、山の手入れから採取、繊維への加工、製造、検品まで自社で行っています。
たわしの原料 棕櫚
棕櫚は、日本において数少ないヤシ科の植物です。熱帯や亜熱帯地域に広く分布しており、垂れ下がった葉が大きな特徴。幹に巻きつく皮が繊維となり、強靭で耐水性、耐腐食性があります。頑丈な性質ですが、優しい肌触りで、たわしやほうきなどの家庭用品の原料に使われ、海南市や野上谷地域の産業発展へ貢献しました。他にも、建築材料や食料など多くの用途に利用されています。
棕櫚産業と新たな試み
棕櫚産業は江戸時代に発展し、職人たちは棕櫚で縄を編み、生計を立てたと言われています。しかし昭和になると、職人の高齢化や国産棕櫚の消失により、棕櫚産業は激減してしまいました。長く続く歴史の消滅を危惧した髙田耕造は職人から継承し、1948年の創業以来、今日まで守り続けています。
多くの製造会社が海外産の棕櫚を使い、機械による生産が増えるなか、地元の方々の協力の元、自分達で山の手入れから材料採取、製造まで一貫しているのは、日本では髙田耕造商店のみ。創業者の髙田耕造は海南市や旧野上谷で育ち、棕櫚産業を大切にしているからこそ、素材や伝統、ものづくりに対する姿勢にもこだわっています。
おすすめ商品3選
髙田耕造商店のたわしは、家庭日用商品からストラップまで幅広く販売。数ある商品の中から、おすすめの3選を紹介します。
しゅろのやさしいたわし ズック用
シューズやスニーカー、サンダルなどの靴を洗うために作られた「しゅろのやさしいたわし ズック用」は、髙田耕造商店にとって特別な思い入れがある商品です。
1965年(昭和40年)に初代社長の高田耕造がシューズブラシ「チェリー」を考案、販売しました。たわしに持ち手をつけたシューズブラシを生み出した商品は一世を風靡し、多くの人々の手に渡りました。
たわしと持ち手には角度がついているため洗いやすく、優しい棕櫚の毛が隅に残りがちな泥やホコリをかき出してくれます。
しゅろのやさしいたわし むすび
2020年度グッドデザイン賞を受賞した「しゅろのやさしいたわし むすび」は、丸いたわしを2つ結んでいるため、交差している部分が指に引っかかり、ボールを持っているかのように持ちやすいデザインです。
通常、たわしには針金が露出してますが、針金を隠すことによって、鍋や器などを傷つけることなく汚れを洗い落とせます。また、掃除用品だけではなく、野菜を洗うのにも最適です。水をつけたたわしで野菜を優しくこすると、皮を残したまま、泥だけを落とせます。野菜を皮ごと美味しくいただけるので栄養価も高く、生ゴミも減らせます。
たわしストラップ/チャームたわし
髙田耕造商店は棕櫚のたわしが身近なものであるように、2004年から「たわしストラップ/チャームたわし」を販売しています。「これ以上の小ささは、無理!」と熟練のたわし職人がつぶやくほど、とても小さいサイズのたわしストラップ。人気漫画『よつばと!』にも登場しています。登場人物が「カバンにたわしとか付けるとおしゃれ」とコメント。
デザインは4種類で、その時のファッションや用途に合わせましょう。また、ストラップやチャームとして付けるだけでなく、実際にたわしとして使用可能。出先で服に汚れが付いたら、「たわしストラップ/チャームたわし」と水で汚れを落とせます。
まとめ
棕櫚産業と伝統工芸を守るため、棕櫚を栽培し、たわしを製造する高田耕造商店と商品を紹介しました。
棕櫚を生業として日用品を製造してきました。激減した棕櫚を時間をかけて育て、商品ひとつひとつにこだわる熱意で溢れています。
今後の高田耕造商店の活動にも、目が離せません。