
猿賀神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
青森県平川市に鎮座する猿賀神社は、1200年以上の歴史を誇る由緒ある神社です。「奥州津軽の霊地」として親しまれ、特に夏に咲き誇る北限の蓮の花で全国に知られています。農漁業・交通・眼の守護神として地域の人々に深く信仰され、四季を通じて美しい自然とともに参拝者を迎えています。
猿賀神社の概要・基本情報
猿賀神社は、約16,000坪という広大な境内を持つ神社で、隣接する猿賀公園と一体となった美しい景観を形成しています。旧社格は県社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。春の桜、夏の蓮、秋の紅葉、冬の雪景色と、一年を通じて訪れる人々の心を癒やしています。
歴史と由来
猿賀神社の歴史は古く、807年(大同2年)に深砂宮(神蛇宮)として創始されました。創建には征夷大将軍・坂上田村麻呂が深く関わっているとされています。
御祭神である上毛野君田道命は、仁徳天皇55年(367年)の蝦夷討伐で伊峙水門において戦死したとされる武将です。その後、大蛇の姿となって蝦夷を平定したという伝説が残されており、この神話的な背景が神社の霊験あらたかな性格を物語っています。
平安時代には仏教の守護神である深砂大王と習合し、深砂大権現(神蛇宮)と呼ばれるようになりました。武神として藤原秀衡、北畠顕家ら東北地方の武将たちの崇敬を集め、江戸時代には津軽藩の祈願所となり、猿賀山長命院と号する修験道場として栄えました。
明治時代の神仏分離により、明治4年(1871年)に現在の「猿賀神社」と改称され、明治16年(1883年)には県社に昇格しました。戦後は昭和34年(1959年)に神社本庁の別表神社となり、現在に至っています。
祭神とご利益
猿賀神社の主祭神は上毛野君田道命(かみつけののきみ たじのみこと)で、相殿に保食神(うけもちのかみ)を祀っています。
上毛野君田道命は崇神天皇の五世孫とされ、蝦夷討伐の武将として知られています。その勇猛な姿から武神として信仰され、現在では農漁業、交通安全、眼病平癒、辰年・巳年生まれの人の守護神として広く信仰されています。
保食神は五穀豊穣を司る神として知られ、農業が盛んな津軽地方において特に重要な存在となっています。両神の加護により、参拝者は様々な分野での開運・厄除けを祈願することができます。
猿賀神社の見どころ・特徴
猿賀神社は歴史的建造物と自然景観が調和した美しい神社として知られています。境内には見どころが数多く点在し、参拝者は歴史と自然の両方を同時に楽しむことができます。
建造物・構造の魅力
本殿は文政9年(1826年)の造替にかかる三間社流造で、青森県の重宝に指定されています。この本殿の特徴は、一般的な三間社流造が梁間(奥行)を2間とするのに対し、3間としている点です。通常は前室を設ける形式が多いのですが、猿賀神社では前室を設けずに身舎梁間全体を3間としており、これは青森県内の近世神社建築を考える上で非常に貴重な建造物とされています。
境内には複数の鳥居が配置されており、参道を進むにつれて神域への意識が高まる設計となっています。また、境内各所には歴史を感じさせる石灯籠や狛犬が配置され、長い歴史の重みを感じることができます。
猿賀神社では様々な高麗犬がお出迎えしてくれます。子を護り、厳しく外敵をにらみつけている珍しい親子の高麗犬もあり、これらの石造物も見どころの一つとなっています。
鏡ヶ池と北限の蓮の花
猿賀神社信仰の中心となっている神池・鏡ヶ池は、北限の蓮の花の群生地として広く知られています。この池は神社の象徴的な存在で、参拝者にとって最も印象深い場所の一つです。
蓮の花は7月上旬から徐々に咲き始め、8月上旬にピークを迎えます。満開時には池一面が美しい薄紅色の蓮の花で覆われ、その壮麗な光景は「さるかさまの蓮の花」として親しまれています。
蓮の花は午前中の早い時間に最も美しく咲くため、朝の参拝がおすすめです。この時間帯は参拝者も比較的少なく、静寂な境内で蓮の花と向き合う贅沢な時間を過ごすことができます。
鏡ヶ池の中島には胸肩神社(弁天宮)が鎮座しており、蓮の花を眺めながらお参りできる特別な空間となっています。赤い橋を渡って参拝する体験は、他の神社では味わうことのできない独特の情趣があります。
猿賀公園との一体的な景観
猿賀神社は隣接する猿賀公園と一体となった美しい景観を形成しています。公園内には見晴ヶ池があり、春には桜の名所として多くの花見客で賑わいます。しだれ桜、ソメイヨシノ、八重桜が順次開花し、2つの池を囲むように咲く絶景の桜を楽しむことができます。
見晴ヶ池ではボートに乗ることができ、水上からも桜や四季折々の景色を楽しめます。鯉の餌やりも人気のアクティビティで、家族連れにも親しまれています。
公園内には胸肩神社、池上神社、日吉神社、恵比寿神社といった境内社も点在しており、神社めぐりを楽しむこともできます。これらの神社は猿賀神社の信仰圏の広がりを物語る貴重な存在です。
また、猿賀神社周辺は津軽地方の歴史を感じられる地域でもあり、近くには国指定名勝の盛美園もあります。神社参拝と合わせて歴史散策を楽しむ観光客も多く訪れています。
参拝・拝観案内
猿賀神社は一年を通じて参拝可能で、それぞれの季節に応じた美しさと神聖な雰囲気を味わうことができます。参拝の際は適切な作法とマナーを心がけ、神聖な空間への敬意を表しましょう。
参拝作法とマナー
猿賀神社での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従います。鳥居をくぐる際は軽く一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎では左手、右手、口の順に清め、心身を浄化してから拝殿に向かいます。
拝殿では二拝二拍手一拝の作法で参拝します。賽銭を奉納した後、深く二回お辞儀をし、胸の高さで二回拍手を打ち、最後に深く一回お辞儀をします。祈願の際は心を込めて、感謝の気持ちとともにお願い事をしましょう。
境内は神聖な場所ですので、大声での会話や走り回ることは慎み、静かに参拝しましょう。写真撮影は可能ですが、他の参拝者の迷惑にならないよう配慮し、本殿内部など撮影禁止の場所では撮影を控えます。
年中行事・季節のイベント
猿賀神社では一年を通じて多くの祭事が行われており、特に「津軽の七日堂祭」として国の選択無形民俗文化財に選ばれた七日堂大祭が有名です。
旧暦1月7日(現在の2月頃)に行われる七日堂大祭は、1613年から続く伝統神事で、柳からみ神事とゴマの餅まき神事が行われます。弘前市の岩木山神社、鬼神社とともに「津軽の七日堂祭」として知られ、多くの参拝者で賑わいます。
津軽最大の祭礼である「猿賀神社十五夜大祭」は旧暦8月14日から16日(現在の10月上旬)に開催されます。県無形民俗文化財の津軽神楽が神前に奉奏されるほか、県下獅子踊大会や登山ばやし奉納などが3日間にわたって行われ、圧巻の光景を目にすることができます。
毎年5月3日の「崇敬会大祭」では、鬼の顔が描かれた板を弓矢と太刀で打ち砕く鬼面奉射神事が行われ、悪霊退散を願います。
神社近くの神饌田で行われる「御田植祭」は豊作を願う伝統神事で、1932年に始まり戦時中も休まず続けられています。
御朱印・お守り情報
猿賀神社では通年で御朱印を授与しており、初穂料は一般的な神社と同様です。特に夏季(7月1日から9月下旬頃)には、鏡ヶ池の蓮の花をモチーフにした特別な蓮の花御朱印を授与しています。この期間限定の御朱印は初穂料500円で、蓮の開花状況により頒布期間が前後する場合があります。
お守りについても豊富な種類が用意されており、特に蓮の花をモチーフにした「蓮まもり」(初穂料800円)が人気です。また、親子獅子に由来する子供を護るお守りも授与されており、子育て中の家族に喜ばれています。
交通安全、厄除け、開運、学業成就など、様々な願いに応じたお守りが揃っており、参拝者の多様なニーズに応えています。御朱印やお守りは社務所で授与されますが、詳細な授与時間については事前に確認することをおすすめします。
アクセス・利用情報
猿賀神社は青森県平川市に位置し、公共交通機関と自家用車の両方でアクセス可能です。周辺には駐車場も整備されており、観光地としての利便性も配慮されています。
交通アクセス
公共交通機関をご利用の場合は、JR奥羽本線弘前駅から弘南鉄道弘南線に乗り換え、津軽尾上駅で下車します。弘前駅から津軽尾上駅までは約20分、津軽尾上駅から猿賀神社までは徒歩約15分です。
バスをご利用の場合は、JR弘前駅または弘南鉄道津軽尾上駅から弘南バス「弘前-尾上線」に乗車し、「猿賀神社前」バス停で下車すると神社のすぐ近くに到着します。
自家用車でお越しの場合は、東北自動車道黒石インターチェンジから約10分の距離にあります。青森市内からは約1時間、弘前市内からは約30分程度でアクセス可能です。
新青森駅からお越しの場合は、新青森駅から弘前駅まで高速バスまたはJRを利用し、弘前駅で弘南鉄道に乗り換えるルートが便利です。
<住所> 〒036-0242 青森県平川市猿賀石林175
拝観時間・料金・駐車場情報
猿賀神社の参拝は終日可能で、特に拝観時間の制限はありません。ただし、社務所での御朱印授与やお守りの購入については、一般的に午前9時から午後5時頃までとなっています。詳細な時間については事前に神社(電話:0172-57-2016)にお問い合わせください。
参拝料は無料で、どなたでも自由に境内に入ることができます。ただし、特別な祭事やイベントの際には一部制限がある場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。
駐車場は神社の鳥居前に参拝者用の無料駐車場が用意されています。また、隣接する猿賀公園の駐車場(収容台数約200台)も無料で利用可能です。大型バスでの来訪を予定されている場合は、猿賀公園内の駐車場をご利用ください。
蓮の花の開花時期や桜の季節、主要な祭事の期間中は多くの参拝者や観光客が訪れるため、駐車場が混雑する可能性があります。特に週末や祝日は早めの時間での参拝をおすすめします。
バリアフリーへの配慮については、詳細は神社に直接お問い合わせください。また、ガイドによる案内も可能で、平川市観光協会(電話:0172-40-2231)にて予約受付を行っています。ガイド希望日の5日前までにお申し込みが必要です。
参照サイト
・猿賀神社公式ホームページ:http://ss701927.stars.ne.jp/
・平川市観光協会:https://hirakawa-kankou.com/2019/04/15/saruka-jinja/
・青森県観光情報サイト Amazing AOMORI:https://aomori-tourism.com/spot/detail_1884.html