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高照神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

高照神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

青森県弘前市の岩木山麓に静かに佇む高照神社は、弘前藩4代藩主津軽信政を祀る格式高い神社です。吉川神道による独特な社殿構成で全国的にも類例がなく、多くの建造物が国の重要文化財に指定されています。藩の精神的支柱として崇敬を集めた歴史ある神社の魅力を詳しくご紹介します。

高照神社の概要・基本情報

高照神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

高照神社は青森県弘前市に鎮座する神社で、弘前藩4代藩主・津軽信政の廟所に始まり、信政を神として祀る神社です。岩木山の麓という風光明媚な立地にあり、社殿群が岩木山山麓に東西の軸線上に並んでいるという独特な構成が特徴的です。

拝観料は無料で、休業日は無休となっており、いつでも参拝することができます。平成18年(2006年)7月には、本殿をはじめとする建物8棟と4代藩主・津軽信政公墓が、国の重要文化財に指定されており、文化財的価値の高い神社として知られています。

歴史と由来

宝永7年(1710年)に卒去した弘前藩4代藩主の津軽信政の廟所に起源を持ちます。信政は生前、吉川神道の創始者・吉川惟足に師事していた経緯があり、信政の遺命により5代藩主・信寿が、幕府の神道方で吉川神道2代・吉川従長を斎主とし神葬祭を行い、高岡の地に埋葬しました。

正徳元年(1711年)に廟所、翌年には本殿などが建立されました。その後も歴代藩主によって整備が続けられ、7代藩主・津軽信寧が拝殿を造り替え、9代藩主・津軽寧親が随神門、廟所門を整備し、現在の壮麗な社殿群が完成しました。

明治10年には初代藩主為信を合祀し、津軽家の祖霊を祀る神社としての性格を強めています。享保6年(1721年)には門前に小者を配置し現在の高岡集落の元をつくったことからも、神社を中心とした地域形成が行われたことがわかります。

祭神とご利益

高照神社の主祭神は弘前藩4代藩主津軽信政公です。津軽信政は、弘前藩の「中興の英主」と見なされ、「名君」として語られることが多く、また藩主で唯一、神として祀られています。領内最高の権威を誇る神社として藩主、藩士などからの崇敬が厚く「高岡様」として信仰の対象となっていました。

信政公は藩政改革や産業振興に力を注いだ名君として知られており、学問や政治的手腕に優れていたことから、学業成就や仕事運向上などのご利益があるとされています。また、藩の安泰と発展を願って建立された神社であることから、家内安全や地域の発展を祈願する参拝者も多く訪れます。

津軽家は南部家の一族である久慈氏出身とされ、本来は源氏(南部家の祖)の氏神、八幡神を崇敬していましたが、南部家からの独立に際し、自らの祖を藤原氏とした為、藤原氏の氏神、春日神(春日大社の分霊)を祀る必要性があったという歴史的背景もあり、春日四神も祀られています。

高照神社の見どころ・特徴

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高照神社の最大の特徴は、吉川神道に基づいた独特な社殿構成であり、全国的にほとんど類例がなく、近世神社建築の展開の一端を示すものとして価値が高いことです。この神社でしか見ることのできない建築様式と配置が、多くの研究者や建築愛好家の注目を集めています。

建造物・構造の魅力

東から鳥居、随神門、拝殿及び幣殿、東軒廊、中門、西軒廊、本殿が建ち並ぶ構成で、津軽信政公墓のある廟所は本殿の約200メートル西方にあります。この東西一直線の配置は吉川神道の教えに基づくもので、他の神社では見られない独特な空間構成となっています。

正徳2年(1712)に建立された本殿が老木に囲まれて建つ様子は特に印象的で、江戸時代中期の神社建築の特徴をよく表しています。本殿は桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、正面千鳥破風付、唐破風造向拝一間、こけら葺という格式高い造りとなっています。

随神門は文化7年(1810年)、廟所門は文化12年(1815年)に9代藩主津軽寧親によって建立されており、各時代の建築技術と美意識が結集した建造物群を見ることができます。

自然・景観の美しさ

高照神社は岩木山の麓という自然豊かな環境に位置しており、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。推定樹齢300年、樹高16メートル、幹周2.76メートルのシダレザクラが境内にあり、4代藩主・信政が大星神社にシダレザクラを植樹したと伝わり、その頃に高照神社へも植えられたと考えられています。

百沢街道は百沢寺(現・岩木山神社)への参詣道、高岡街道は高岡霊社(現・高照神社)への参拝道で、松並木は樹齢150年から300年と考えられます。現在でも参道沿いには歴史ある松並木が残されており、参拝者を厳かな気持ちにさせてくれます。

境内は深い森に囲まれており、観光化され過ぎていないところが何とも良く、深閑とした森の中に建つ雰囲気には、神々しさすら感じると多くの参拝者が感想を述べています。都市部の喧騒から離れた静寂な環境で、心を落ち着けて参拝することができます。

文化財・重要な所蔵品

高照神社の本殿、拝殿、幣殿等8棟2基は国重要文化財に指定されており、文化財の宝庫としても知られています。建造物以外にも貴重な文化財が数多く所蔵されています。

高照神社は、中興の英主・津軽信政を祀り、藩の精神的拠り所であった。江戸時代後期以降、改元や重要な政策遂行、藩内の吉凶事のおりに、重臣を使者に立て同社に報告されていた。享和元年(1801年)から1919年(大正8年)までに報告された253件・255点の文書群が重要文化財として指定されています。

561件659点の文書群も所蔵されており、藩管理下の神社だったため、神社の縁起や祭礼の記録、祭司役の御用留、神領・神田関係などの古文書が多く残こります。これらの文書は弘前藩の歴史や江戸時代の神社運営を知る上で貴重な史料となっています。

1877年(明治10年)旧・藩士族が奉納した、関ヶ原の戦いに出陣し使用した背旗で、初代藩主・為信より拝領したと伝承されている品も所蔵されており、津軽家の長い歴史を物語る重要な遺品となっています。

参拝・拝観案内

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高照神社は通年無休で参拝することができ、拝観料も無料となっています。岩木山神社と比べると訪問客はずっと少ないので、落ち着いた雰囲気で参拝したい場合には、こちらの方がおすすめです。津軽藩主の霊廟という格式高い神社でありながら、静寂な環境で心を込めて参拝することができます。

参拝作法とマナー

高照神社での参拝は一般的な神社と同様の作法で行います。鳥居をくぐる際は一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎で手と口を清めてから拝殿前に進み、二拝二拍手一拝の作法で参拝します。

特に高照神社は弘前藩主を祀る格式高い神社であることから、敬意を持って参拝することが大切です。境内は静寂な環境が保たれているため、大きな声での会話は控え、写真撮影の際も他の参拝者への配慮を忘れずに行いましょう。

廟所については門が閉まっていて入ることはできませんが、外から参拝することは可能です。津軽信政公の眠る聖域として、より一層厳粛な気持ちで参拝されることをおすすめします。

御朱印・お守り情報

高照神社では御朱印をいただくことができます。ただし、常駐の神職はおらず、参道向かいの安倍商店で対応していただけます。300年間氏子さんたちが守り抜いてきたお社であり、地域の方々の温かい協力により神社が維持されています。

御朱印をお求めの際は、安倍商店での対応時間等について事前に確認されることをおすすめします。お守りなどの授与品については詳細は現地でご確認ください。

弘前藩中興の祖とよばれる4代目藩主津軽信政公が祀られている神社で、御廟もあることから、歴史ファンや津軽家ゆかりの方々にとって特別な意味を持つ御朱印となるでしょう。

アクセス・利用情報

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高照神社は青森県弘前市の中心部から岩木山方面に向かった場所にあり、岩木山神社の少し手前に位置しています。公共交通機関と自家用車の両方でアクセス可能ですが、バスの本数が限られているため、事前に時刻表を確認することをおすすめします。

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合は、弘前駅からバスで約40分となります。岩木山方面行きのバスに乗車し、高照神社前で下車します。弘前駅から7時過ぎの早朝便もあり、朝の静寂な時間帯に参拝することも可能です。

自家用車でのアクセスは、東北自動車道「大鰐弘前IC」から約40分となります。弘前市の中心部から岩木山に向かう途中にあり、比較的分かりやすい立地です。カーナビゲーションシステムを利用される場合は、神社名「高照神社」または住所で検索してください。

高照神社は弘前市の観光スポットエリアから完全に離れた所にあることもあって、有名な場所ではありませんが、その分観光化され過ぎていないところが何とも良く、深閑とした森の中に建つ雰囲気を楽しむことができます。

<住所>  〒036-1344 青森県弘前市高岡字神馬野87

拝観時間・料金・駐車場情報

高照神社の拝観時間は特に設定されておらず、年中無休で参拝することができます。拝観料は無料となっており、どなたでも気軽に参拝していただけます。

駐車場は境内に10台分が用意されており、無料で利用できます。大型バスでの参拝を予定されている場合は、事前に管理者にご相談されることをおすすめします。

クレジットカードや電子マネー、スマートフォン決済には対応していませんので、御朱印や授与品をお求めの際は現金をご用意ください。

令和8年より重要文化財である拝殿及び幣殿・東軒廊・西軒廊・中門の修理工事を開始し、約58カ月(約4年10カ月)での完了を目指しています。工事期間中も参拝は可能ですが、一部見学に制限がある場合もありますので、詳細は事前にご確認ください。

参照サイト

・弘前市公式サイト(高照神社):https://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/bunkazai/kuni/kuni20.html
・高照神社運営検討委員会:https://www.takaterushrine.com/
・文化遺産オンライン(高照神社本殿):https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/202909

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