
札幌伏見稲荷神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
札幌の街並みを見守るように佇む札幌伏見稲荷神社は、京都伏見稲荷大社の分霊を祀る由緒ある神社です。27基の朱塗り鳥居が連なる幻想的な光景と、藻岩山麓から札幌市街を一望できる絶景で多くの参拝者を魅了しています。商売繁盛や五穀豊穣のご利益で知られるパワースポットとして、地元の方々はもとより道外や海外からの観光客にも愛され続けています。
札幌伏見稲荷神社の概要・基本情報
札幌伏見稲荷神社は、明治17年(1884年)に京都伏見稲荷大社から分霊を迎えて創建された歴史ある神社です。現在の場所である札幌市中央区伏見の藻岩山麓に鎮座し、旧社格は郷社として格式高い地位を築いてきました。境内面積は4,300坪(14,190平方メートル)という広大な敷地を有し、社殿は神明造という伝統的な様式で建てられています。
歴史と由来
札幌伏見稲荷神社の歴史は、明治17年4月に初代野村茂翁元官幣大社札幌神社禰宜が発願したことから始まります。京都の元官幣大社稲荷神社(現在の伏見稲荷大社)に勧請し、御分神を奉載して札幌区南五条東一丁目に奉斎したのが創建の起源です。
その後、明治31年3月に琴似村十二軒に御遷座し、更に明治42年(1909年)に現在の藻岩山麓の地に遷宮されました。この遷宮により、周辺地域は京都本宮にならって「伏見」と呼称されるようになり、現在の地名の由来ともなっています。
神社の格式も時代とともに向上し、大正8年(1919年)に村社に列格、昭和16年(1941年)には郷社に昇格しました。この昇格は、地域の発展とともに神社への信仰が深まったことを物語っています。
明治36年(1903年)には大山祇命、大国主命、事代主命を合祀し、明治42年(1909年)には天鈿女命を合祀しました。これらの祭神の増加は、農商工の繁栄を祈願してのものとされ、北海道開拓期における人々の願いが込められています。
祭神とご利益
札幌伏見稲荷神社には、倉稲魂命(うがのみたまのみこと)を主祭神として、大山祇命、大國主命、事代主命、天鈿女命の五柱の神様が祀られています。
主祭神である倉稲魂命は、いわゆる「お稲荷様」として親しまれ、衣食住の太祖とされています。五穀豊穣、殖産興業、商売繁盛の守護神として、幅広い層の人々から崇敬を集めています。特に商売を営む方々や、豊かな実りを願う農業関係者からの信仰が厚く、その御神威は現在でも多くの参拝者によって実感されています。
大山祇命は山の神として知られ、自然の恵みや安全を司る神様です。大國主命は縁結びや福徳の神様として、事代主命は商売繁盛や漁業の守護神として、天鈿女命は芸能や技芸の神様として、それぞれ異なるご利益をもたらしてくれます。
これらの神様の組み合わせにより、札幌伏見稲荷神社は商売繁盛をはじめ、縁結び、家内安全、技芸上達など、人生のあらゆる場面でのご利益を授けてくださる総合的なパワースポットとして親しまれています。
札幌伏見稲荷神社の見どころ・特徴
札幌伏見稲荷神社の最大の魅力は、京都の本宮と同様の朱塗り鳥居が織りなす幻想的な景観と、札幌市街を見渡せる絶好のロケーションにあります。境内には複数のパワースポットが点在し、参拝者それぞれの願いに応えてくれる特別な空間が広がっています。
27基の朱塗り鳥居の魅力
札幌伏見稲荷神社の象徴ともいえるのが、本殿へと続く参道に立ち並ぶ27基の朱塗り鳥居です。京都伏見稲荷大社の千本鳥居を彷彿とさせるこの光景は、北海道にいながらにして本場の稲荷信仰の雰囲気を味わえる貴重な場所となっています。
鳥居は参拝者の願いが「通るように」または願いが「通った」お礼の意味を込めて奉納されたもので、それぞれに信仰者の真摯な思いが込められています。朱色に統一された鳥居が連なる様子は、日中は力強く美しい印象を与え、夕暮れ時には幻想的な雰囲気を醸し出します。
境内には鳥居のほかに7基の灯籠も設置されており、夕方になると明かりが灯されて、さらに神秘的な情景を楽しむことができます。この灯籠の光が鳥居を照らす様子は、まさに幻想的という言葉がふさわしく、多くの参拝者や観光客の心を魅了しています。
鳥居をくぐりながら本殿へ向かう参拝の道のりは、日常の喧騒を忘れて心を清める貴重な時間となります。一歩一歩進むたびに神聖な気持ちが高まり、神様への感謝の気持ちを新たにすることができるでしょう。
札幌市街を一望する絶景
札幌伏見稲荷神社は藻岩山の麓、標高の高い場所に位置しているため、境内からは札幌市街地を一望することができます。この眺望は神社の大きな魅力の一つで、参拝とともに札幌の美しい景色を楽しむことができる特別な場所となっています。
晴れた日には札幌ドームや札幌駅周辺の高層ビル群、さらには石狩平野まで見渡すことができ、札幌の発展ぶりを実感できます。特に夕暮れ時の景色は格別で、夕日に照らされた街並みが黄金色に輝く様子は息をのむほどの美しさです。
冬には雪化粧した札幌の街並みを見下ろすことができ、四季折々の表情を楽しめるのも大きな魅力です。雪に覆われた街並みと朱塗りの鳥居のコントラストは、北海道ならではの美しい風景として多くの人々に愛されています。
この絶景スポットとしての価値も相まって、札幌伏見稲荷神社は札幌観光の定番コースの一つとなっており、地元の方々だけでなく道外や海外からの観光客も多く訪れています。日本新三大夜景で有名な藻岩山ロープウェイからも近く、観光の際の立ち寄りスポットとしても人気を集めています。
願い石と藻岩白龍大神
札幌伏見稲荷神社の境内には、「願い石」と呼ばれるパワースポットがあります。この願い石は、好きなものを一つ絶って願をかけると叶うとされており、多くの参拝者が真剣に願いを込めて訪れています。何かを犠牲にすることで願いの真剣さを神様に伝える、古来からの信仰の形を現代に伝える貴重な場所です。
また、境内には「藻岩白龍大神」の石碑も建立されています。この白龍大神は財運を司る神様として信仰されており、特に2024年の辰年には多くの参拝者が訪れました。龍は古来より縁起の良い動物とされ、特に金運や財運に関するご利益があるとされています。
藻岩白龍大神への参拝は、商売繁盛や金運向上を願う方々にとって特に意味深いものとなっています。主祭神である倉稲魂命のご利益と合わせて参拝することで、より一層のご利益を期待する参拝者も多くいらっしゃいます。
これらのパワースポットは、それぞれ異なる特色を持ちながらも、参拝者の様々な願いに応えてくれる場所として大切にされています。願い石では自分自身の決意を新たにし、藻岩白龍大神では財運の向上を祈るという具合に、目的に応じた参拝ができるのも札幌伏見稲荷神社の魅力の一つです。
参拝案内
札幌伏見稲荷神社での参拝は、神聖な場所での貴重な体験となります。適切な参拝作法を心がけ、他の参拝者への配慮を忘れずに、心を込めてお参りすることが大切です。また、季節ごとの行事や特別な催しも開催されており、それぞれの時期ならではの魅力を楽しむことができます。
参拝作法とマナー
札幌伏見稲荷神社での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従って行います。まず鳥居をくぐる際は一礼し、参道の中央は神様の通り道とされているため、左右どちらかに寄って歩くことが基本です。27基の鳥居が連なる参道では、それぞれの鳥居に込められた奉納者の思いを感じながら、ゆっくりと歩を進めましょう。
手水舎では、左手、右手の順で清め、口をすすいで身を清めます。本殿での参拝は「二拝二拍手一拝」の作法で行い、賽銭を納めてから鈴を鳴らし、深く一礼してから願いを込めて拝礼します。
札幌伏見稲荷神社では、境内での撮影に関して特別な規定があります。参拝者への迷惑となる商用撮影や人物が写る撮影は原則として禁止されており、個人的に楽しむ風景撮影のみが許可されています。これは信仰の場としての神聖さを保つための措置であり、すべての参拝者が快適に参拝できるよう配慮されたものです。
参拝の際は、他の参拝者への思いやりを持ち、静かに行動することを心がけましょう。特に朱塗りの鳥居が連なる参道では、撮影に夢中になりすぎて通行の妨げにならないよう注意が必要です。神様への感謝と畏敬の念を忘れずに、心静かに参拝することが何より大切です。
年中行事・季節のイベント
札幌伏見稲荷神社では、年間を通じて様々な行事やイベントが開催されています。最も重要な行事の一つが、毎年9月9日に行われる例祭です。この例祭は神社の創建を記念する大切な行事で、多くの参拝者が訪れて神様への感謝を捧げます。
春から秋にかけては「ふしみマルシェ」というイベントが開催されており、2025年7月6日には金運アップの御朱印や銭洗い、キッチンカーの出店などが予定されています。このようなイベントは、地域の方々と神社をつなぐ大切な機会となっており、参拝とともに楽しいひとときを過ごすことができます。
秋には新嘗祭が執り行われ、収穫への感謝を神様に捧げます。この時期には特別なマルシェも開催され、秋の恵みを感じながら参拝することができます。また、ひな祭りの時期には撮影会やお抹茶処の開催など、季節に合わせた特別な催しも行われています。
2月初旬には、キャンドルによるライトアップイベントも予定されており、朱塗りの鳥居と灯籠がキャンドルの光に照らされる幻想的な光景を楽しむことができます。このライトアップは、雪景色の中で行われることが多く、北海道ならではの美しい冬の風景として多くの人々に愛されています。
御朱印・お守り情報
札幌伏見稲荷神社では、参拝の記念として御朱印をいただくことができます。御朱印の初穂料は700円となっており、社務所で受け付けています。御朱印は神社参拝の証として、また神様とのつながりを感じられる大切なものとして多くの参拝者に親しまれています。
特別な行事の際には、限定の御朱印が授与されることもあります。例えば「ふしみマルシェ」開催時には金運アップの特別な御朱印が用意されるなど、その時期ならではの御朱印を拝受することができます。
社務所では、お守りやお札なども授与されています。商売繁盛、家内安全、縁結びなど、様々なご利益に応じたお守りが用意されており、自分の願いに合ったものを選ぶことができます。倉稲魂命のご利益である商売繁盛のお守りは特に人気が高く、事業を営む方々や就職活動中の方々に多く求められています。
社務所内には「お抹茶処 未庵」も設けられており、宇治抹茶と和菓子を楽しむことができます。営業時間は10時から14時で、日曜日とその他不定休があります。和菓子セットの菓子皿は持ち帰ることができ、参拝の思い出として大切にされています。
アクセス・利用情報
札幌伏見稲荷神社は、札幌市中央区の藻岩山麓に位置し、市内中心部からアクセスしやすい立地にあります。公共交通機関と自家用車の両方でアクセス可能で、それぞれの交通手段に応じた最適なルートが用意されています。
交通アクセス
公共交通機関をご利用の場合は、札幌市営地下鉄東西線円山公園駅が最寄り駅となります。円山公園駅からはJR北海道バスのロープウェイ線(界川先回り)に乗車し、約9分で慈啓会前停留所に到着します。停留所からは徒歩約3分で神社に到着できます。
また、札幌市電西線14条停留場からも徒歩でアクセス可能で、約15分の道のりとなります。市電を利用する場合は、のんびりと札幌の街並みを眺めながら移動でき、参拝前の心の準備にも適しています。
自家用車でお越しの場合は、札幌中心部(札幌駅)から約20分程度でアクセスできます。藻岩山麓通を円山方面から藻岩山ロープウェイに向かって走り、神社の案内看板を目印に山側へ右折すると駐車場に到着します。カーナビで目的地設定をする際は、マップコード「9 399 853*14」を使用すると駐車場側へ直接案内されるため便利です。
日本新三大夜景で有名な札幌藻岩山ロープウェイからも近く、観光の際の立ち寄りスポットとしても最適な立地です。藻岩山観光と合わせて参拝すれば、より充実した札幌観光を楽しむことができるでしょう。
<住所> 〒064-0942 北海道札幌市中央区伏見2丁目2番17号
拝観時間・料金・駐車場情報
札幌伏見稲荷神社は年中無休で参拝することができ、境内は終日開放されています。社務所の営業時間は9時から16時までとなっており、御朱印の授与やお守りの購入はこの時間内に行う必要があります。
年末年始は特別な時間設定となり、12月31日は8時から16時と19時から24時まで、1月1日は0時から19時まで、1月2日・3日は8時から19時まで、1月4日から7日は9時から17時までとなります。初詣の期間は多くの参拝者で賑わうため、時間に余裕を持って参拝することをおすすめします。
参拝料は無料で、どなたでも自由に境内に入ることができます。ただし、御朱印やお守りなどの授与品には それぞれ初穂料が設定されています。
駐車場は境内裏側に約15台分のスペースが用意されており、無料で利用できます。正面側には駐車場がないため、必ず裏側の駐車場をご利用ください。土日祝日や特別な行事の際は混雑することがあるため、公共交通機関の利用も検討されることをおすすめします。
駐車場へは藻岩山麓通から山側へ右折し、少し坂を上ったところにある「札幌伏見稲荷神社」と書かれた赤い立て看板が目印となります。駐車場は神社の運営によるもので、参拝者が安心して利用できるよう適切に管理されています。
参照サイト
・札幌伏見稲荷神社 公式ホームページ:https://fushimiinari.or.jp/