
龍宮神社|北海道開拓ゆかりの由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
小樽市の龍宮神社は、幕末の志士として知られる榎本武揚が創建した歴史ある神社です。海の神様である綿津見神を祀り、開運・出世のご利益で多くの参拝者に親しまれています。北海道開拓時代の貴重な文化財や、国の重要無形民俗文化財である松前神楽の奉納でも有名な、小樽を代表する神社の一つです。
龍宮神社の概要・基本情報
龍宮神社は、北海道小樽市稲穂に鎮座する神社で、旧社格は郷社です。小樽駅から徒歩わずか3分という好立地にありながら、北海道開拓の歴史を物語る貴重な文化遺産を数多く保有しています。現在では約4,000世帯の氏子を有し、地域の人々の心の支えとして親しまれています。
歴史と由来
龍宮神社の歴史は、明治2年(1869年)に国有地払い下げの折、榎本武揚が小祠を設けて遠祖である桓武天皇を奉祀したことに始まります。榎本武揚は箱館戦争で旧幕府軍を率いた人物として知られていますが、明治政府に登用された後は北海道開拓に尽力しました。
1869年、国有地の払い下げで現在の龍宮神社がある稲穂町一帯の広い土地を手に入れ、開発にあたりました。まだ何もないこの土地に、他から移り住んできた人々の心の拠り所を作ろうと、1876年に龍宮神社を建立します。
神社の名称については興味深い由来があります。当時江差町に龍宮教会という海の神として信仰の厚い社があり、明治天皇北海道ご巡幸の際、随行された有栖川宮熾仁親王より「龍宮殿」と直筆の揮毫を頂き、明治15年に社名としました。その後、公爵一条実孝公より直筆にて「龍宮神社」「敬神」の揮毫を頂き、大正5年龍宮神社と改称しました。
祭神とご利益
龍宮神社は、底津和田都美神、中津和田都美神、上津和田都美神の和田都美三神(綿津見三神)を主祭神に、豊受姫命、大物主神、大毘古命、桓武天皇を配祀しています。2026年(令和8年)より榎本武揚を主祭神に加える準備が進められています。
主祭神の綿津見神は、海の神様として知られ、海運や商売繁盛のご利益があるとされています。これは、海の玄関口として栄えた小樽の歴史にふさわしい神様といえるでしょう。
特に注目すべきは開運・出世のご利益です。境内には第92代内閣総理大臣である麻生太郎が植えたオンコの木が植えられています。オンコの木を植えた翌年に、麻生太郎氏が内閣総理大臣に就任したことから、昇進出世のご利益がある神社ともいわれています。
龍宮神社の見どころ・特徴
龍宮神社は小規模ながらも、北海道開拓時代の貴重な文化財や伝統芸能など、多彩な見どころを有する神社です。榎本武揚ゆかりの品々や、北海道の伝統文化を間近で感じることができる貴重な場所として、多くの参拝者や観光客に愛され続けています。
建造物・構造の魅力
龍宮神社の社殿は神明造で、社殿面積は50坪、境内面積は535.1坪となっています。小樽駅から見上げる高台に位置しており、海を望む高台にあり、ご神木のスズカケノキが訪れる人を迎えます。
境内からは小樽の街並みや港を一望でき、線路を見下ろす形のところにあるので、鉄道好きの方のちょっとした撮影スポットとしても使えそうな感じです。参拝と合わせて小樽の美しい景観を楽しむことができます。
社殿の正面には、社殿には献額された榎本武揚直筆の書が飾られています。榎本武揚直筆の書『北海鎮護』が掲げられており、北海道開拓への想いを感じることができます。
榎本武揚ゆかりの文化財
龍宮神社最大の特徴は、創建者である榎本武揚に関する貴重な文化財の数々です。北海道開拓に貢献した榎本武揚が建立した神社であることから、榎本武揚の愛刀や書が納められていることも特徴です。
特に注目すべきは「流星刀」です。愛刀であった流星刀は、榎本武揚が隕石を材料にして作った刀といわれ、特別な期間のみ公開される珍しい宝物です。榎本武揚の書や、隕石から造ったという「流星刀」も残されています。
また境内には、榎本武揚の像も安置されています。この銅像は参拝者にとって重要な見学ポイントとなっており、北海道開拓に尽力した榎本武揚の功績を偲ぶことができます。
松前神楽と伝統芸能
龍宮神社で奉納される松前神楽は、北海道の貴重な文化遺産として高く評価されています。龍宮神社の祭事では、松前神楽が奉奏されています。この松前神楽は、北海道を代表する伝統芸能で、平成30年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。
約500年以上の歴史を持つ松前神楽は、龍宮神社の祭礼を彩るみどころの1つです。神職自らが舞いながら楽器を奏でる姿は、古来からの伝統的で幻想的な雰囲気が感じられます。北海道の伝統的で希少な文化遺産を間近で観賞できるのは、龍宮神社ならではの魅力といえるでしょう。
松前神楽は、例大祭や元旦などの重要な日に行われます。見学をしたい方は、神社の行事にあわせて訪問してみるのもおすすめです。
参拝・拝観案内
龍宮神社は地域に根ざした神社として、日々多くの参拝者を温かく迎えています。北海道開拓の歴史を感じながら、心静かに参拝することができる貴重な場所です。参拝の際は、神社の歴史と伝統に敬意を払い、マナーを守って訪れることが大切です。
参拝作法とマナー
龍宮神社での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従って行います。まず鳥居をくぐる際は一礼し、参道の端を歩いて拝殿に向かいます。手水舎で手と口を清めた後、拝殿前で二拝二拍手一拝の作法で参拝しましょう。
龍宮神社は住宅地の中にある神社のため、参拝の際は近隣住民への配慮も必要です。大きな声での会話は控え、静粛に参拝することを心がけてください。また、境内での写真撮影は可能ですが、他の参拝者の迷惑にならないよう注意しましょう。
年中行事・季節のイベント
龍宮神社の例祭日は6月21日です。この日には年間で最も重要な祭礼が行われ、松前神楽の奉納も実施されます。
現在でも毎月20日には、小樽繁栄・市民息災祈願祭というお祭りが行われ、市民の憩いの場所として親しまれています。このお祭りは地域の安全と繁栄を祈願する大切な行事として定着しています。
元旦には新年祈願祭が行われ、多くの初詣参拝者で賑わいます。この際にも松前神楽が奉納されることがあり、新年を寿ぐ伝統的な舞を鑑賞することができます。
御朱印・お守り情報
龍宮神社では御朱印を受けることができ、受付時間は08:30~17:00となっています。龍宮神社の御朱印は特に人気が高く、力強い龍の文字が印象的な見開き御朱印が有名です。
見開き御朱印は龍神と鳳凰の二種類があり、初穂料は600円となっています。物価高騰の時代にあって非常にリーズナブルな価格設定となっており、多くの参拝者に喜ばれています。
龍宮神社は、その名の通り龍にゆかりのある神社です。そのため、龍をモチーフにしたさまざまな御朱印や御札、お守りなどを購入できます。お守りには「昇龍吉守」があり、金色の刺繍が施された格調高いデザインとなっています。また、おみくじ付きの「金龍守」と「銀龍守」も人気です。
アクセス・利用情報
龍宮神社は小樽駅から徒歩圏内にあり、観光や参拝に非常にアクセスしやすい立地にあります。公共交通機関を利用しての参拝が推奨されており、小樽観光の一環として気軽に立ち寄ることができる神社です。
交通アクセス
龍宮神社へのアクセスは、JR小樽駅より徒歩3分と非常に便利です。小樽駅から余市方面へ5分ほど歩き、鳥居をくぐって坂をのぼると龍宮神社へたどり着きます。
具体的な道順として、小樽駅を出て左手(余市方面)に向かい、三角市場を過ぎた先に龍宮通りの入口があります。竜宮通りを南へ進み、急な坂道を登りきった高台に神社があります。坂道はやや急ですが、距離は短いため、一般的な体力があれば問題なく歩くことができます。
車でのアクセスの場合は、国道5号線から山手方向に向かいます。ただし、神社周辺は住宅地のため、運転には十分な注意が必要です。
<住所> 〒047-0032 北海道小樽市稲穂3丁目22-11
拝観時間・料金・駐車場情報
龍宮神社の境内は24時間開放されており、いつでも参拝することができます。ただし、授与所の受付時間は08:30~17:00となっているため、御朱印やお守りを希望される方はこの時間内に訪れることをお勧めします。
参拝料は無料です。お賽銭やお守りの購入は任意となっています。
駐車場については、境内に数台分の駐車スペースがありますが、台数に限りがあります。また、神社周辺は住宅地のため、路上駐車は近隣住民の迷惑となりますので避けてください。小樽駅からの距離が短いため、公共交通機関の利用が最も適しています。
お問い合わせは、電話番号0134-22-4268まで。参拝に関する詳細や行事の日程については、事前に確認することをお勧めします。
参照サイト
・龍宮神社 公式ホームページ:http://dragonjinja.ec-net.jp/
・北海道神社庁:https://hokkaidojinjacho.jp/龍宮神社/
・龍宮神社 – Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/龍宮神社_(小樽市)