
石切劔箭神社庭園|歴史と自然が織りなす名所の魅力を完全ガイド
大阪府東大阪市の生駒山麓に佇む石切劔箭神社は、古くから「石切さん」「でんぼの神様」として親しまれ、全国から多くの参拝者が訪れる歴史ある神社です。2019年には新たに美しい日本庭園が完成し、信仰と自然の調和が織りなす魅力的な空間として注目を集めています。
石切劔箭神社庭園の概要・基本情報
大阪平野の東、生駒山麓に鎮座する石切劔箭神社は、「いしきりさん」と親しみを込めて尊称され、氏子崇敬者の皆様より尊崇を集めております。社号の「石切劔箭(いしきりつるぎや)」は御祭神の御神威が強固な岩をも切り裂き、貫き通すほど偉大な様をあらわしております。
歴史と由来
石切劔箭神社の創建年代は、火災により社殿及び宝庫が悉く消失したため詳らかではないが、代々の社家「木積」家には、皇紀2年に生駒山中の宮山に可美真手命が饒速日尊を奉祀されたのを神社の起源とし、崇神天皇の御世に現本社に可美真手命が奉祀されたと伝わる。古い記録では、日本三代実録(巻十一)に「貞観7年(865年)の記述が見られ、平安時代には既に重要な神社として認識されていたことがわかります。
延喜式神名帳に記載されている河内郡の式内社・「石切劔箭命神社二座」として格式の高い神社であり、長い歴史の中で地域の人々の信仰を集めてきました。
祭神とご利益
石切劔箭神社は、「饒速日尊」(にぎはやひのみこと)と、その子である「可美真手命」(うましまでのみこと)の2柱を祭神とする神社。神社の名前にもなっている「石切劔箭」は、祭神2柱の神威(しんい:神の威光)が岩をも切り裂くほど大きく鋭いことに由来します。
この強力な神威により、腫れ物(=関西弁では、でんぼ)を治すことができると信じられていることから、「でんぼの神様」とも言われてきました。これが転じて、現代では腫れ物(=ガン)を封じてくれる神様としても有名。病気平癒や健康祈願を求める多くの人々が全国から参拝に訪れています。
庭園の成り立ちと作庭背景
本殿の東側に2019年5月に新たに作庭された日本庭園『石切劔箭神社東庭園』があります。昭和の京都の名作庭家・小島佐一の技を継承する小島庭園工務所による作庭。この庭園は、桂離宮などの整備も行われている京都嵐山の小島庭園工務所によって手がけられており、日本最高峰の技術と伝統が注ぎ込まれています。
水量を湛えた迫力のある滝が庭の力強さと優雅さを印象付ける。滝石には落差に見劣りしないよう堂々としたものを用い、流れ護岸に至るまで統一した山石で作られている。上流部はお宮のすぐ背後に控える生駒山系からの湧水をイメージし、地元の生駒石で仕上げてある。
石切劔箭神社庭園の見どころ・特徴
石切劔箭神社の魅力は、古来からの信仰の場としての側面と、新たに生まれた美しい庭園が調和する点にあります。参拝者は神聖な祈りの時間と自然の美しさを同時に味わうことができる貴重な空間となっています。
お百度参りと信仰の姿
特に加持祈祷、お百度参りは有名で関西一円はもとより、その御神徳を慕い全国から大勢の方がお参りになられています。本殿前と神社入り口にある百度石の間を行き来するお百度参りが全国的に有名。
お百度参りとは、本殿前でお参りして入口に戻り再び本殿前でお参りすることを百回繰り返すことです。「お百度を踏む」ともいいます。この伝統的な参拝方法は、真摯な祈りの姿勢を表すものとして多くの人々に受け継がれており、現在でも境内で熱心にお百度参りをする参拝者の姿を見ることができます。
2019年完成の東庭園の魅力
2018年に完成、2019年にお披露目会が行われた石切劔箭神社 東庭園は、日本最高峰の庭園「桂離宮」のメンテナンスも行っている小島庭園工務所によるものであり、生駒山に見立てた築山に高密度に山石を配している。
植栽は山取りの樹木を中心に常緑樹、落葉樹をバランスよく配置。春先から夏にかけては落葉樹の葉が庭全体を覆い、秋には紅葉。葉量の少ない冬には石組みと常緑樹が見どころとなる。四季を通じて異なる表情を見せる庭園は、訪れる時期によって新たな発見があります。
庭園の中心となる滝は、生駒山からの清流をイメージして作られており、水音が境内に清涼感をもたらします。地元の生駒石を使用した石組みは、この地域の自然と文化を表現した見事な作品となっています。
天然記念物の楠と境内の自然
本殿前の樹齢約470年のくすの木は、東大阪市の天然記念物です。この巨大な楠の木は、神社の長い歴史を物語る生き証人として、参拝者に深い印象を与えています。樹齢470年という歳月は、室町時代後期から現代まで、この地で人々の祈りを見守り続けてきた証でもあります。
境内には楠以外にも様々な樹木が植えられており、季節ごとに美しい自然の移ろいを楽しむことができます。特に新緑の季節や紅葉の時期には、庭園と境内の樹木が一体となって素晴らしい景観を作り出します。
参拝・拝観案内
石切劔箭神社は、古来からの信仰の場として多くの参拝者を迎え入れており、正しい参拝の作法を知ることで、より深く神様との繋がりを感じることができます。また、年間を通じて様々な行事が催され、それぞれに特別な意味と魅力があります。
参拝作法とマナー
神社での参拝は、まず鳥居をくぐる前に一礼することから始まります。参道は中央を避けて歩き、手水舎で手と口を清めてから本殿に向かいましょう。本殿での参拝は「二礼二拍手一礼」が基本的な作法となります。
石切劔箭神社で特に有名なお百度参りを行う場合は、本殿前の百度石と神社入り口の百度石の間を往復しながら参拝します。一回ごとに本殿前で手を合わせ、真摯な気持ちで祈りを捧げることが大切です。お百度参りは体力を要するため、無理をせず自分のペースで行うことが重要です。
境内では静粛を保ち、他の参拝者への配慮を忘れずに。庭園エリアは観賞用のため、立ち入りはできませんが、竹塀越しに美しい庭園を眺めることができます。
年中行事・季節のイベント
石切劔箭神社では年間を通じて様々な祭事が執り行われています。主要な行事として、4月15日・16日に「春季大祭」、8月3日・4日に「夏季大祭」(神輿渡御・大幣神事)、10月21日・22日に「秋季大祭」が開催されます。
秋の宝物館一般公開では、神社所蔵の刀剣や銅鏡などの貴重な宝物を拝見することができ、歴史と文化に触れる絶好の機会となっています。これらの宝物は普段は非公開のため、この期間に訪れる価値は十分にあります。
季節の移ろいとともに庭園の表情も変化するため、春の新緑、夏の緑陰、秋の紅葉、冬の石組みなど、それぞれの季節に訪れることで異なる魅力を発見できます。
御朱印・お守り情報
石切劔箭神社では、参拝の記念として御朱印をいただくことができます。御朱印は神社への参拝の証として、また信仰の証として多くの方に親しまれています。御朱印帳をお持ちでない方は、神社でも授与していただけます。
お守りについては、特に病気平癒や健康祈願に関するものが人気を集めています。「でんぼの神様」として知られる石切劔箭神社ならではのご利益を求めて、全国から多くの方がお守りを求めに訪れます。
詳細な授与品の種類や初穂料については、参拝時に社務所でご確認ください。
アクセス・利用情報
石切劔箭神社は大阪府東大阪市に位置し、複数の交通手段でアクセスすることができます。公共交通機関を利用した場合と自家用車での来訪について、それぞれ詳しくご案内いたします。
交通アクセス
電車でのアクセスが最も便利で、近鉄けいはんな線「新石切駅」より徒歩約10分、近鉄奈良線「石切駅」より徒歩約15分、近鉄奈良線「額田駅」より徒歩約15分となっています。
路線バスをご利用の場合は、四条畷駅・東花園駅より路線バス「石切神社前」バス停下車、徒歩約5分でアクセス可能です。
新石切駅からのルートは最も短距離で、駅から神社まで緩やかな上り坂を歩くことになります。石切駅からのルートは距離はありますが、石切参道商店街を通るため、レトロな雰囲気を楽しみながら参拝に向かうことができます。
自家用車でお越しの場合は、阪神高速13号東大阪線「水走出入口」から約10分、第二阪奈道路「壱分出入口」から約15分程度です。
<住所> 〒579-8011 大阪府東大阪市東石切町1丁目1-1
拝観時間・料金・駐車場情報
石切劔箭神社の境内は基本的に24時間参拝可能ですが、社務所の受付時間は午前9時から午後5時までとなっています。御朱印やお守りの授与を希望される場合は、この時間内にお越しください。
庭園の拝観については、現在のところ門が閉まっており、竹塀越しに眺める形での観賞となります。庭園への立ち入りはできませんが、塀越しでも十分に美しい景観を楽しむことができます。
参拝料は無料ですが、宝物館の特別公開期間中は別途拝観料が必要な場合があります。詳細は事前に神社にお問い合わせください。
駐車場については、神社周辺にいくつかの有料駐車場が用意されています。特に祭事期間中や週末は混雑が予想されるため、公共交通機関のご利用をおすすめします。駐車料金や営業時間については、各駐車場により異なりますので、現地でご確認ください。
バリアフリー対応については、境内の一部に段差がありますが、可能な限り配慮されています。車椅子での参拝を希望される場合は、事前に神社にご相談いただくことをおすすめします。
参照サイト
・石切劔箭神社(石切さん) 公式ホームページ:https://www.ishikiri.or.jp/
・小島庭園工務所 公式サイト:https://www.kojimateien.co.jp/
・東大阪市 石切劔箭神社 公式情報:https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000007190.html