【竹工房 喜節】竹籠バッグの魅力
竹という素材を大切にしながら、日本の生活文化に根ざした竹工芸品を制作している「竹工房 喜節」。日常でも使いやすいデザインの竹籠バッグは「全国伝統的工芸品公募展 内閣総理大臣賞受賞」を受賞しています。ある人にはクラシカルに、ある人には目新しく映る竹籠バッグ。今回はそんな竹籠バックを「竹工房 喜節」でデザイン・制作している竹工芸職人の細川秀章さんとその技術の特徴について解説します。
「竹工房 喜節」の竹籠バッグ
「竹工房 喜節」は、京都・二条城の西北側にある工房です。古来から日本人の生活に欠かせない竹という素材を、現代の感覚でファッショナブルにデザインしてきました。そんな「竹工房 喜節」について紹介します。
なぜ竹なのか
外国には、竹そのものを見たことがない方もたくさんいます。一方で、竹という素材は日本人の生活の中に、欠かせないものです。一度切っても、2、3年したらまた伸びて利用できるところからも、昔から生活に使用する素材として慣れ親しんできました。
竹は草でもなく、木でもなく、「竹」という独自の特性を持っています。竹を扱う職人によって変幻自在の姿をみせる素材です。喜節は、竹の中でも強靭で温度や湿度による変化が殆どない真竹を使用しています。真竹は日本の竹を代表する青竹です。3年以上経った真竹は、古くから竹籠やうちわなどの竹細工、造園用の竹垣材料など竹材の中でも最も多くの方面で使われています。
「竹工房 喜節」は白竹も用いています。京都で直火で油抜きした白竹は京銘竹と呼ばれています。白竹は青竹と同じ真竹ですが、油抜きをすることにより色・艶などの表情が変わってきます。
「竹工房 喜節」とは
「竹工房 喜節」は、特別な文化の中で培われた技術を用いて、現代の生活道具であるバッグを製作しています。「喜節」という屋号は、季節を問わず楽しんでいただけるもの、使い手に喜んでいただけるものを作りたいという思いから名付けられました。
細く割った竹を編み上げて籠などをつくる「編組工芸」は、しなやかで丈夫な竹の特性を最大限に活かした伝統技法です。「竹工房 喜節」では竹籠のバッグを製作しています。竹割りから編み、漆塗、縫製などすべての工程を一貫して手掛け、細部にまで職人技が行き届いたものづくりを行っています。
「竹割り3年」といわれるほど長い修行期間を要し、多くの技法を有する編組工芸。基本的な編み方は8種類ほどですが、その変形や組み合わせで形状や編み模様に無限のバリエーションがあります。
職人・細川秀章
竹工芸職人の細川秀章は、1974年東京都出身。もともと東京の印刷会社で働いていましたが、31歳の時に11年間勤めた会社をやめて京都に移住し、伝統工芸の専門学校に通い始めます。卒業後は、卒業生が運営する共同工房の一角を借りて、個人で竹工芸職人としての活動を始めました。
個人で活動するに当たり、まず柱となる定番商品の開発に取り組みました。商品開発にあたって思い出したのが、学校の卒業制作で制作したトランクケースです。卒業作品展で発表した際にかなり評判がよく、賞賛されました。
これまでの竹籠バッグは「夏に和装の女性が持つ」といったイメージを強く持たれていましたが、「竹工房 喜節」ではドレスなどの洋装にもマッチするクラッチバッグや、男性が仕事に使うブリーフケース、旅行の際に荷物を持ち運ぶトランクケースなど、今まではあまり竹籠バッグを想定されなかった場面での使用を提案し、たくさんの方々に竹籠バッグを愛用されるようになりました。
おすすめ商品3選
「竹工房 喜節」の商品は、オーダーを受けて制作に取り掛かるので、半年ほど時間が必要です。全ての工程を手作業で行います。竹を割る、編むと言った簡単そうに見える作業にも1ミリもずれることができない熟練の技が必須です。同じ幅、薄さに合わせて竹を整えるには、長年の経験と技術がなければ成り立ちません。そんな「竹工房 喜節」のおすすめ商品をご紹介します。
網代編クラッチバッグ
「竹工房 喜節」の商品の多くは、網代編みという技法で編まれています。
網代編みの歴史は古く、縄文時代以降の遺跡からは、かご類の一部が発見されています。 また縄文土器の底部には、土器を制作する際に敷物として使っていた網代編みの目跡を見ることができます。まだ機械織りの布や、ビニール製のシートなど無い時代、ある程度の面積をもつ物を自然界から得ることは難しく、 身近な素材を編み広げて作る網代編みは、人類の生活に欠かせないものであったと考えられます。
「網代編クラッチバッグ」は、幅約2mm、厚さ約0.2mmにまで細く割った竹を明暗二色の茶色に染色し、同じ網代編みでありながら、配色を変化させることで、模様を描いたような印象の作品。
バッグの中には京友禅の金彩加工で竹家紋柄を施した生地を張り、中央の仕切りにはチャック付きポケット、カード等が入れられるポケットを設けています。バッグの中央には京都で手織りされた正絹の真田紐を使い、マグネット式ホックで開け閉めする仕様にすることで、使いやすさにこだわりました。少しの手荷物の際に活躍するバッグです。
網代編トセカンドバッグ
「網代編セカンドバッグ」は和装・洋装を問わず、男性が持ち歩ける竹籠バッグをイメージして制作されました。
クラッチバッグにも取り入れている真田紐を縦に配置して持ち手とすることで、男性がぶら下げて持てる気軽なデザインになっています。網代編みでありながら、配色を変化させることで、模様を描い 内装はクラッチバッグと同様に京友禅の金彩加工で竹家紋柄を施した生地を張り、中央の仕切りにはチャック付きポケット、カード等が入れられるポケットを配置してあるので、お財布バッグとしても使用できます。
網代編ブリーフケース(ショルダーストラップ付)
「網代編ブリーフケース」も網代編みをメインとした作品です。幅約3mm、厚さ約0.2mmと細く割った竹を丹念に編み上げて作っています。素材の竹幅を変えて編み上げることで、トランクよりも網目が細かく、一見革製品のような印象を受けます。一般的な竹籠バッグとは異なり、蓋があり、バッグの中は布地を張ってポケットも配置しています。また、持ち手や角当てには牛革を使っており、竹と牛革のコラボレーションを楽しめるのも本品の魅力です。アクセントにはゴールドの金具を取り入れ、高級感を醸し出しています。
A4サイズの封筒が収まることも嬉しいポイント。ビジネスシーンを想定して製作したバッグですが、手持ちのバッグとしても、ショルダーバッグとしてもお使いいただけるので仕事とプライベートのさまざまなシーンでご利用いただけます。
まとめ
今回は「竹工房 喜節」の技術と和から洋へと進化するデザインについて紹介しました。日本古来より重宝されてきた竹という素材を、カジュアルにもフォーマルにも楽しめる素材へと発展させてきた「竹工房 喜節」。「飾っておくものだと、もう本当に工芸品としての意味がなくなってしまうので、使ってもらえるものを作りたい」と細川さんは話します。
京都の竹の魅力を世界中に伝えるために、蘇嶐窯とのコラボレーション作品を制作するなど、どんどん新しい挑戦も続けています。これからの「竹工房 喜節」の活躍にご注目ください。