江戸風鈴の可能性を切りひらく!「篠原風鈴本舗」の魅力に迫る
風鈴と聞くと、夏をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、「江戸風鈴」はただの風物詩ではありません。
実は、そっと心にゆとりをもたらしてくれるアイテムなのです。
今回は、100年以上も江戸風鈴を作り続けている「篠原風鈴本舗」を紹介します。江戸風鈴の魅力を知ることで、風鈴のイメージがガラリと変わるかもしれません。ぜひ、最後までお読みください。
江戸風鈴を作り続ける「篠原風鈴本舗」
篠原風鈴本舗は、「江戸風鈴」の専門店です。東京都江戸川区にある製造工場で、風鈴の歴史を刻み続けています。
大正4年に創業してから100余年。江戸時代と変わらない製法で、職人たちが一つひとつ心を込めて制作しています。
当時「ガラス風鈴」「ビードロ風鈴」などと呼ばれていた風鈴に、「江戸風鈴」と名づけ、ブランド化したのは、二代目・篠原儀治さん。
昭和40年頃、先代から受け継いだガラス風鈴を『昔の東京すなわち「江戸」で、江戸時代と同じ製法で作られている』 という理由で「江戸風鈴」と名付けました。
300年の歴史をもつ江戸風鈴とは
江戸風鈴は、江戸時代から300年変わらない方法で作られています。
炉の中の温度は、1,320度前後。
炉の中には「坩堝(るつぼ)」というつぼが埋め込まれており、その中でガラスがどろどろに溶けています。
その溶けたガラスを長いガラスの竿で巻き取り、息を入れながら小さな玉を膨らませていきます。
この空中で丸い形を作る技法は「宙吹き」と呼ばれ、型を使わずに空中で丸い形を作る技法で江戸時代から300年間変わりません。
ガラスが冷めないように、わずか1〜2分で美しい丸を作るのは至難の業です。
また、音を良くするために、鳴り口の部分をわざとギザギザに仕上げるのも、江戸風鈴の特徴です。
その後、絵付けの職人が一つひとつ筆で色やイラストを添えることで、江戸風鈴はようやく完成します。
江戸風鈴の魅力は、何といっても心を癒すやさしい「音色」。
型を使わず一つひとつ人の手で作るため、玉の大きさやガラスの厚さは一点もの。同じ形・同じ柄でも、一つとして同じ音はありません。
「どの音色がいいかな」
「家に届く風鈴はどんな音色だろう」
一点ものの音色と出会えた喜びは、忙しい時間の中でそっと安らぎをもたらしてくれるでしょう。
コロナ禍の危機を乗り越えた「アマビエ」パワー
長い歴史の中には、10万個の風鈴が売れるほど景気のいい時代があった一方で、全然売れず苦しい時代もありました。
直近では、2020年より始まったコロナ禍が大きな危機だったそう。
百貨店の催事が中止になったり、修学旅行生の風鈴作り体験もキャンセルになったりと、仕事が実質的にゼロに。繁忙期である夏にガラスの炉を止めることになり、篠原風鈴本舗は最大の危機に立たされました。
先が見えない危機を救ったのが、2020年に発売した「アマビエ」デザインの風鈴。厄除けアイテムとして、多くの支持を集めたのです。
- もともと風鈴は、音で魔を払う『厄除け』というルーツを持つ
- 「換気」や「風通しをよくする」というイメージに風鈴がピッタリ合う
風鈴がもつ要素と「アマビエ」の絵が、時代のニーズにピッタリとハマり、SNSで話題に。たくさんの注文が入り、大きな危機を乗り越えるきっかけになりました。
アマビエのパワーと、どのような状況でも諦めない篠原風鈴本舗の強い意思が、未来への希望に繋がったのです。
伝統を守りながら挑戦し続けるパイオニア
篠原風鈴本舗が追求するのは、音の良さだけではありません。伝統を守りながら、時代に合わせて変化する心も大切にしています。
例えば、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の中で登場した煉獄家の風鈴の音は、実際に篠原風鈴を用いて収録した音が用いられました。
また、阪神のレトロ博2024「ビートルズ×日本伝統工芸品」においては、20世紀最大のスター「ビートルズ」とコラボしたデザインを発表しました。
(画像引用:https://www.instagram.com/p/C5e1yUwvqpV/)
常に、江戸風鈴の最先端を走り続けるのも、篠原風鈴本舗の魅力なのです。
お客様のニーズに寄り添い続ける
「こんな風鈴があったらいいな」
お客様のニーズに寄り添いながら、篠原風鈴本舗でしか作れない唯一無二の風鈴を生み出しています。
風鈴の形は、定番の「小丸」「中丸」「大丸」、二段になった「ひょうたん」、釣り鐘型の「しんすい」など、ある程度限られてしまいますが、絵付けの柄は時代に応じて柔軟に対応することが可能です。
そのため、篠原風鈴本舗が作る江戸風鈴は、夏の風物詩だけでは終わりません。
朝顔や金魚などの涼しげな柄が定番ですが、招き猫やだるまなど縁起のいい柄も人気を集めています。
他にもパンダやカッパなどのかわいらしいデザインも。
さらに、ハロウィンやクリスマスなど、季節のイベントを楽しめるアイテムまで展開しています。
「こんな風鈴は初めて見た」
そのような驚きやワクワクが、きっとこれからも待っていることでしょう。
江戸風鈴の音色に耳をすませるひとときを
日本の夏の風物詩として親しまれてきた風鈴の音色も「騒音問題」として捉えられることもあるそうです。
そこで軒下に吊さずとも、室内で風鈴を楽しんでもらうために、オリジナルの卓上スタンドを開発。現代のライフスタイルに合わせて「風鈴をインテリアとして楽しむ」提案も始めています。
風鈴はなくても生活に困らないかもしれません。しかし、涼やかな音が聞こえると、心がふわりと軽くなり、生活にゆとりを与えてくれるのではないでしょうか。
「風鈴が、季節を感じる心のゆとり、自分を労わる余裕を生むきっかけになってほしい」
そんな温かい思いを持って、篠原風鈴本舗は、今日も江戸風鈴を作り続けています。ぜひ、「江戸風鈴」の魅力をじっくり堪能してみてください。
▼「篠原風鈴本舗」の公式ホームページはこちら
https://www.edofurin.com/