江戸の粋を現代の日常に!「日伸貴金属」と東京銀器
日常に取り入れるだけで、日常に高級感がプラスされるシルバーアクセサリーや銀のカップ。シルバーの美しさが光るアイテムを手がけているのが「日伸貴金属」です。
今回は、日伸貴金属が生み出す東京銀器の魅力や作品に込められた思いを紹介します。
銀器で上質な日常を「日伸貴金属」
日伸貴金属は、東京下町の台東区に工房を構え、江戸時代から続く伝統工芸「東京銀器」やシルバーアクセサリーなどを製作・販売しています。
創業以来、洗練された職人技によって、銀の美しさとライフスタイルにマッチした上質なアイテムを提供しています。
東京銀器の魅力
東京銀器は、純銀92.5%以上のものしか認められません。合金は酸化すると黒っぽくなる一方で、東京銀器は酸化すると白っぽくなるのが大きな違いです。
熱伝導率が高いため、自然な冷たさや温かさを保持でき、機能性に優れています。
例えば、銀のアイススプーン。
カチコチに固まったアイスでも、すくう瞬間に熱が伝わり表面からじわ〜と柔らかくなります。高級感もあるため、出産祝いや結婚記念のお品物にも人気のアイテムです。
また、銀のカップに、冷えたビールを注げば最高の晩酌に。冷たさを保持できるため、キンキン状態で味わえます。
耐久性が高いのも魅力です。強度の高さは「鍛金(たんきん)」という技法が大きく関係しています。「鍛金」とは、一枚の金属板を叩いて加工する技法。叩くことで強度が増します。
さらに、そこから火で炙り、金属を柔らかくする「焼き鈍し(やきなまし)」という工程へ。日伸貴金では、一つの作品につき「鍛金→焼き鈍し」を10回もくり返すそうです。
銀師(しろがねし)の挑戦
「カンカンカン、カンカンカン…」リズム良く鳴り響く鍛金の音。
「鍛金のときは、音に耳を傾けながら、材料と会話している」
そう語るのは、日伸貴金属の職人である「銀師(しろがねし)」の上川善嗣さん。図面を頭で思い浮かべながら、感触と音を頼りに作り上げています。
幼い頃に銀師の祖父に抱かれながら聞いた、鍛金の音が今でも脳裏に焼き付いているそうです。善嗣さんは銀師になる前は、貴金属関連の一般企業に勤務。母親が体調を崩したことが大きなターニングポイントに。悩んだ末、名前の「嗣」が「継ぐ」という意味であることが大きな後押しとなり、家業を継ぐことを決意しました。
銀師となった現在も、祖父の背中を追いかけながら、職人として鍛錬を続けています。
「江戸の粋」に命を吹き込む
東京銀器の始まりは江戸時代中期。当時は「奢侈禁止令(しゃしきんしれい)」が出され、贅沢やおしゃれが禁止されていました。そんな中、町では「見た目は地味だが、隠れた部分におしゃれ要素がある」というアイテムが流行。凝らされた工夫「江戸の粋」が、江戸の町人文化から生まれました。
「江戸の粋を大切にしたい」
これは、上川善嗣さんが作品に込めている思いです。日伸貴金属では、江戸時代から受け継がれたデザインを現代風にアレンジしています。
例えば、銀のブレスレット。
一見、シンプルなデザインですが、そこにも秘密が。身につけていると、体温が伝わりブレスレットの形が変化。まるでシンデレラのガラスの靴のように、自分の腕にフィットしてくるのです。
厳しい状況でも決して諦めない
銀器は非常に素晴らしいものではある一方で、銀器を作る職人さんは減少しているのが現状です。同じ地域から、銀器制作の道具を仕立てる職人もいなくなりました。
しかし、そんな厳しい状況でも、諦めないのが、日伸貴金属の強さ。
「もっと多くの方に東京銀器を知ってもらいたい」
厳しい現状だからこそ、東京銀器を未来へ残したい。そんな思いから始まったのが、リングやブレスレットをオリジナルで制作できるワークショップです。完成する喜びや一生懸命に取組む姿勢、自分の手で作る感動を通じて、より東京の伝統工芸を身近に感じられるプログラムになっています。
料金には材料費しか含まれていないため、破格。大人気でほぼ毎日開催されていて、海外からの観光客にも大好評ですワークショップには世界各国から訪れ、東京銀器を通して、もの作りの楽しさ、伝統工芸の素晴らしさを共有しています。
日伸貴金属は、江戸の粋を大切にした製品作りと、職人の卓越した技術で、現代における伝統工芸の価値を再確認させてくれるブランドです。日本の伝統美を日常に取り入れたい方には、ぜひ一度手に取ってその魅力を実感してみてはいかがでしょうか。