丹後ちりめんの約300年の歴史・特徴・魅力に迫る!

丹後ちりめんの約300年の歴史・特徴・魅力に迫る!

丹後ちりめんは約300年の歴史があり、今もなお高級絹織物として多くの方に親しまれています。そんな丹後ちりめんの歴史を4つの項目にわけて紹介しています。また、丹後ちりめんの特徴についても解説していますので、どのような魅力があるか見ていきましょう。

丹後ちりめんとは

丹後ちりめんとは

丹後ちりめんとは、京都府丹後地域を中心に生産されている後染め織物です。生地の表面にシボと呼ばれる凸凹があることが特徴です。この「シボ」があることによって、柔軟性が生まれ、シワになりにくくなります。また凸凹によって染め上がりに深みが増し、手触りや肌ざわりに優れた織物となります。

そもそもちりめん(縮緬)とは、タテ糸(無撚の生糸)とヨコ糸(強撚糸)を1~2本交互に打ち込み、精練によって表面にシボが生まれた絹織物のことです。織物はもともと天然繊維を素材にしていましたが、繊維技術の発展により化学繊維や合成繊維が生まれました。

現在では、強撚糸等のちりめん技法を用いて丹後地方で製織・精練された織物を「丹後ちりめん」と呼んでいます。

丹後ちりめんの歴史

丹後ちりめんの歴史

丹後ちりめんの約300年の歴史を見ていきましょう。

丹後ちりめんのルーツは約1,300年前

絹織物は711年、元明天皇が21ヶ国にあやとり師を遣わし、錦綾を織ることを習わせたのが起源と言われています。739年に丹後国竹野郡鳥取郷(現在の京丹後市)より「あしぎぬ」が朝廷に献上された記録が奈良県にある正倉院に保管されています。これが現存する最古の絹織物です。

丹後ちりめんの誕生

丹後ちりめんの誕生

江戸時代(1720年頃)になると京都・西陣で「西陣ちりめん」が開発され、江戸や京都などで需要が大きくなりました。丹後の代表的な絹織物「丹後精好織」の売れ行きが悪くなり、農業の凶作や厳しい年貢の取り立てもあり、丹後の人々は危機に直面します。

そこで立ち上がったのが絹屋佐平治ら4人です。当時は西陣ちりめんの技法は門外不出とされていたにもかかわらず、絹屋佐平治は西陣ちりめんの技法を習得し、丹後に持ち帰ります。

学んだ技法をもとに、これまでにない独自な風合いを醸し出した織物「丹後ちりめん」を開発したのです。また初めて織ったちりめん布が京丹後市にある禅定寺に現在も保存されています。

その後丹後ちりめんは大きく発展し、第5回パリ万国博覧会に出品されるほどまで成長し、ちりめんの種類の増加や手織りから力織機へと機械化が進みました。

丹後ちりめんのピーク

丹後ちりめんのピークを迎える前に産地に大打撃を与えたのが、1927年に発生した「丹後大震災」です。織機の7割が全壊するほどの打撃を負いましたが、京都府や業界の支援もあり驚異的に復興を遂げます。

1964年に開催された東京オリンピックを機に、丹後ちりめんのブームが再来します。また1973年には生糸価格が暴騰し、ちりめんの低需要が発生したことで丹後機業有史以来の好景気を記録したのです。

しかし、以降は国民の生活スタイルが変わり、和装の需要が激減し、丹後ちりめんの販売が落ち込みました。

丹後ちりめんの現在

2005年に絹織物・絹撚糸の輸入が完全自由化され、丹後ちりめんは海外に展開されます。和装だけでなく洋服やインテリアにも活用するようになり、従来の型にあてはまらない活用法が注目されたのです。

また2017年には「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」が日本遺産として登録されました。300年の歴史を持つ丹後ちりめんは、現在のスタイルに合った形に変化を遂げ、今もなお愛され続けています。

参照:丹後ちりめんの歴史 | THE SILK

丹後ちりめんの特徴

丹後ちりめんの特徴

丹後ちりめんの特徴は、独自技法によって生み出された「シボ」です。前述の通り、シボがあるからこそ、シワになりにくく、しなやかで優美になり、肌触りのいい感触が生まれます。

また注目すべきは、シボを作り出す独自の製造方法です。ちりめんは、タテ糸と強い撚りをかけたヨコ糸を交互に織り込んで作ります。丹後ちりめんのヨコ糸は1メートルあたり3,000回もの強い撚りがかかっていることで、美しいシボが生まれるのです。

丹後ちりめんの品質は高く評価され、今では白生地のシェア率が約70%に至ります。日本一の絹織物といっても過言ではないほどの実績も特徴の1つと言えるでしょう。

白生地

まとめ

まとめ

丹後ちりめんは、京都府丹後地域を中心に生産された絹織物です。300年の時を経て今も愛され続ける理由は、独自の製造方法から織りなす凸凹のシボです。シワになりにくく、しなやかで柔軟性のある風合いが、利用者の心を魅了しています。

そんな丹後ちりめんは、着物だけでなく洋服やインテリアなど、現在に合った形に変わりながら進化を遂げています。京都府丹後地域に赴いたときには、ぜひ丹後ちりめんを探してみてください。

参照元:丹後ちりめんとは | THE SILK | シルク生地の総合産地 丹後

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。