
札幌諏訪神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
札幌諏訪神社は、北海道札幌市東区北12条東1丁目にある神社で、旧社格は村社です。明治15年に信濃国一の宮である諏訪大社の御分霊を勧請して創建され、建御名方命と八坂刀売命の夫婦神を祀っています。縁結びや子宝祈願のご利益で知られ、近年は美しい花手水や月替わりの御朱印でも注目を集める人気の神社です。
札幌諏訪神社の概要・基本情報
札幌諏訪神社は、明治時代の北海道開拓期に信濃国から移住した人々によって創建された歴史ある神社です。札幌駅から地下鉄で1駅という利便性の良い立地にありながら、住宅地に静かに佇む地域密着型の神社として、多くの氏子や参拝者に親しまれています。
歴史と由来
明治10年(1877年)、信濃の人である上島正氏が単身この地に移住し、開墾の業を始めました。その後、明治15年(1882年)3月12日、上島氏が郷里の総社である官幣大社諏訪神社(現諏訪大社)の御分霊を勧請し、併せて30余名が信濃より移住しました。上島氏の邸内に小祠を建立し、永久治国安寧を祈り奉斎したことが札幌諏訪神社の創まりとされています。
明治31年(1898年)2月14日に内務省に出願し無格社となり、その後村社に昇格しました。信濃国から移住した開拓者たちが故郷の守護神を新天地に迎え、心の支えとしたことから始まった歴史は、北海道開拓の精神を物語る貴重な文化遺産といえます。
現在の社殿は神明造の様式で建てられており、平地に建っているにもかかわらず社殿が高い位置にあるのが特徴的です。これは神社前を流れる創成川の氾濫に備えてのことといわれており、先人たちの知恵が込められた造りとなっています。
祭神とご利益
札幌諏訪神社の御祭神は、建御名方命(たけみなかたのみこと)と八坂刀売命(やさかとめのみこと)の夫婦神です。この二柱の神様は諏訪大社の主祭神であり、信濃国の開発と発展を見守ってきた神々として古くから信仰されています。
建御名方命は大国主神の子神で、国土開拓や農業、狩猟の神として知られています。一方、八坂刀売命は建御名方命の妃神で、「八坂」は「弥栄(いやさか)」、つまり「ますます栄える」という意味を持つとされています。この夫婦神が多くの御子神を授かったことから、縁結び、夫婦円満、子授け、安産祈願に特にご利益があるとされています。
また、開拓の神としての性格から、開運厄除、殖産興業、商売繁盛のご利益もあるとされ、新しい事業を始める方や人生の転機を迎える方からの信仰も集めています。地域の守護神として、交通安全や家内安全、学業成就なども含め、幅広いご利益をもたらす神様として親しまれています。
札幌諏訪神社の見どころ・特徴
札幌諏訪神社は規模こそこぢんまりとしていますが、参拝者を楽しませる多彩な見どころがあります。特に近年力を入れている花手水や御朱印は、神社の新たな魅力として多くの人々に愛されています。
建造物・境内の魅力
境内は714坪(約2,356平方メートル)の広さを持ち、神明造の本殿を中心とした美しい空間が広がっています。鳥居は反りのない靖国鳥居で、石造りの重厚感ある佇まいが印象的です。
社殿は銅板一文字葺きの屋根を持つ神明造で、千木は外削ぎ、堅魚木は奇数本という男神を表す造りとなっており、主祭神である建御名方命の性格を表現しています。社殿の向拝部分には美しい装飾が施され、伝統的な神社建築の美しさを感じることができます。
境内には諏訪大社の神紋である「明神梶紋」が用いられており、札幌諏訪神社では根が5本の梶の葉が神紋として使われています。これは諏訪大社下社の神紋と同じもので、御分霊としての由緒を物語っています。
社務所では様々な授与品が頒布されており、茶屋も併設されているため、参拝後にゆっくりと過ごすことができます。境内全体が清潔に保たれており、地域の人々の愛情が感じられる温かな雰囲気に包まれています。
花手水の美しさと季節の装飾
札幌諏訪神社の最大の魅力の一つが、一年を通して楽しめる美しい花手水です。コロナ禍で参拝者が激減したことをきっかけに、花手水や御朱印に力を入れるようになり、現在では札幌を代表する花手水の名所として知られています。
手水舎の水盤に色とりどりの花を浮かべるだけでなく、周囲にはカラフルな傘や風車、季節に応じた装飾が施され、まるでアート空間のような美しさを演出しています。春には桜やチューリップ、夏にはひまわりや朝顔、秋には菊や紅葉、冬には葉牡丹など、四季折々の花々が手水を彩ります。
特に印象的なのは、北海道の厳しい冬でも続けられる花手水で、雪の中に咲く花々の美しさは他では見ることのできない光景です。時には氷柱ができた「フローズン花手水」として話題になることもあり、北海道ならではの花手水として多くの人々を魅了しています。
花手水の周囲には季節に応じて傘やうちわ、風鈴などの装飾が加えられ、参拝者の目を楽しませています。狛犬にも季節に応じた帽子や装飾が施されることがあり、神社全体が季節感あふれる空間として演出されています。
保存樹と自然環境
境内にはヤチダモとハルニレの8本の樹木が札幌市によって保存樹に指定されており、豊かな自然環境が保たれています。これらの樹木は長い年月をかけて成長した貴重な存在で、都市部にありながら自然を感じることができる憩いの空間を提供しています。
ヤチダモは湿地を好む北海道らしい樹木で、秋には美しい黄葉を見せてくれます。ハルニレも北海道を代表する樹木の一つで、大きく広がった枝葉が境内に豊かな緑陰を作り出しています。
これらの保存樹は、明治時代の開拓期からこの地に根を張り続けており、札幌諏訪神社の歴史と共に歩んできた生きた証人ともいえる存在です。参拝者はこれらの樹木に囲まれながら、都市部では得難い自然との一体感を味わうことができます。
境内は札幌市の避難指定場所にも指定されており、地域の安全と安心を支える重要な役割も担っています。自然環境の保全と地域コミュニティの拠点として、札幌諏訪神社は多面的な価値を持つ貴重な存在となっています。
参拝・拝観案内
札幌諏訪神社は地域密着型の神社として、年間を通じて多くの参拝者を迎えています。夫婦神を祀ることから縁結びや子宝祈願で訪れる方も多く、近年は美しい花手水や個性的な御朱印を目当てに訪れる観光客も増えています。
参拝作法とマナー
神社への参拝には基本的な作法があります。鳥居をくぐる際は一礼し、参道は中央を避けて歩くのが礼儀です。札幌諏訪神社では美しい花手水が設置されていますが、これは観賞用ですので、実際の手水は別に用意されている手水舎で行います。
手水舎では、まず右手で柄杓を取り左手を清め、次に柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。再び右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口をすすぎ、最後に柄杓を立てて柄の部分を清めて元の位置に戻します。
本殿での参拝は「二拝二拍手一拝」が基本です。賽銭箱にお賽銭を入れた後、深く二回お辞儀をし、胸の前で手を合わせて二回拍手を打ちます。心を込めて祈願した後、最後に深く一礼して参拝を終えます。
花手水や境内の装飾は写真撮影が可能ですが、他の参拝者への配慮を忘れずに行いましょう。特に人気の花手水周辺では、順番を守って撮影し、長時間の占有は避けるよう心がけてください。
年中行事・季節のイベント
札幌諏訪神社の例祭日は9月12日で、この日を中心に年間で最も重要な祭典が執り行われます。例祭では神楽の奉納や神輿の渡御が行われ、地域の人々が一堂に会する大切な行事となっています。
年末年始は多くの初詣客で賑わい、特別な営業時間で対応しています。12月31日は午前9時から翌1月1日の午後10時まで、1月2日は午後9時まで、1月3日は午後8時まで開門時間が延長され、1月4日から15日までは午後5時まで対応しています。
春には花手水が桜やチューリップで華やかに彩られ、札幌の「花詣」イベントにも参加しています。このイベントでは札幌市内の複数の神社で同時に花手水が楽しめ、神社巡りを楽しむ参拝者で賑わいます。
夏には涼しげな朝顔やひまわりの花手水に風鈴の音が加わり、北海道の短い夏を彩ります。秋は菊の花手水と紅葉の装飾で季節感を演出し、冬には雪と花のコントラストが美しい北海道ならではの花手水を楽しむことができます。
一粒万倍日や天赦日などの開運日には特別な御朱印や御守が頒布されることもあり、開運を願う参拝者が多く訪れます。
御朱印・お守り情報
札幌諏訪神社は御朱印の種類の豊富さで全国的に知られています。月替わりの御朱印をはじめ、切り絵御朱印、クリア御朱印、刺繍が施された御朱印など、様々なタイプの御朱印を授与しています。
花手水をモチーフにした切り絵御朱印は初穂料1,200円で、特に人気の高い御朱印です。見開き御朱印は1,000円、通常の御朱印は適正な初穂料で授与されています。天赦日や一粒万倍日には特別な御朱印も用意され、金のスタンプが押された華やかな仕上がりとなります。
オリジナルの御朱印帳も充実しており、通常サイズが1,500円、見開きサイズが2,000円で頒布されています。表が白で裏が紺色の大判サイズの御朱印帳は、札幌諏訪神社の専用御朱印帳として人気を集めています。
お守りも豊富な種類が用意されており、縁結び、子宝、安産、交通安全、学業成就など、様々なご利益のお守りがあります。特に夫婦神を祀ることから、縁結びや夫婦円満のお守りは特に人気があります。北海道らしいシマエナガのお守りも頒布されており、暗くなるとほんのり光る仕様になっています。
「幸だるまみくじ」は札幌諏訪神社オリジナルのおみくじで、通常は青一色ですが、特別な日には限定バージョンが作成されることもあります。月替わりのおみくじも用意されており、季節に応じた可愛らしいデザインが参拝者に喜ばれています。
参拝が困難な場合は郵送での御朱印授与も行っており、その際は「奉拝」ではなく「遥拝」と記載されます。送料は430円で、振込用紙が同封され、到着後2週間以内に初穂料と送料210円を郵便局で振り込む仕組みになっています。
アクセス・利用情報
札幌諏訪神社は札幌駅から非常にアクセスしやすい立地にあり、公共交通機関を利用して気軽に参拝することができます。住宅地の中にありながら、地下鉄駅から徒歩圏内という利便性の高さが魅力です。
交通アクセス
最寄り駅は札幌市営地下鉄東豊線の北13条東駅で、2番出口から徒歩約3分という非常に便利な立地です。札幌駅からは地下鉄東豊線で1駅という近さで、所要時間は約5分程度です。
地下鉄南北線を利用する場合は、北12条駅の1番出口から徒歩約8分でアクセスできます。JR札幌駅からは北口よりタクシーで約5分の距離にあり、料金は500円から700円程度が目安です。
JR札幌駅から徒歩でアクセスする場合は、北口から創成川通りを北上し、北12条で東に向かうルートで約15分程度です。創成川沿いの道は比較的分かりやすく、途中には札幌の街並みを楽しみながら歩くことができます。
新千歳空港からは、快速エアポートでJR札幌駅まで約40分、そこから地下鉄で約5分とアクセスも良好です。札幌観光の際に気軽に立ち寄ることができる立地の良さが札幌諏訪神社の大きな魅力の一つです。
札幌市内の他の観光地からのアクセスも良く、大通公園やすすきのからは地下鉄で約10分程度、円山公園エリアからも地下鉄を乗り継いで約20分程度でアクセスできます。
参拝時間・料金・駐車場情報
札幌諏訪神社の参拝は基本的に無料です。境内への立ち入りに料金はかかりませんが、御朱印や御守、おみくじなどの授与品には適正な初穂料が設定されています。
社務所の受付時間は午前9時から午後5時までとなっています。御朱印や御守の授与、祈祷の受付もこの時間内に行われます。年末年始は特別な開門時間となり、12月31日から1月15日まで時間が延長されます。
駐車場については詳細な情報が限られていますが、住宅地にある小規模な神社のため、専用駐車場の台数は限られている可能性があります。公共交通機関でのアクセスが非常に便利なため、地下鉄の利用をおすすめします。
参拝時間に特別な制限はありませんが、社務所が閉まっている時間帯は御朱印の授与や御守の頒布は受けられません。花手水は24時間見ることができますが、夜間の参拝の際は周辺住民への配慮を心がけましょう。
御朱印の授与には時間がかかる場合があり、特に人気の切り絵御朱印などは呼び出しベルを渡されて待つシステムになっています。時間に余裕を持って参拝することをおすすめします。
境内に茶屋が併設されており、参拝後にコーヒーなどを飲みながらゆっくりと過ごすことができます。茶屋のメニューには「神社エール」なども用意されており、ユニークなサービスが提供されています。
<住所> 〒065-0012 北海道札幌市東区北12条東1丁目1番10号
参照サイト
・札幌諏訪神社 公式ホームページ:https://www.sapporo-suwajinja.com/