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久安寺|歴史ある古刹の魅力と美しい庭園、季節の花々と参拝案内を完全ガイド

久安寺|歴史ある古刹の魅力と美しい庭園、季節の花々と参拝案内を完全ガイド

大阪府池田市の山間に静かに佇む久安寺は、1300年近い歴史を誇る高野山真言宗の古刹です。神亀2年(725年)に聖武天皇の勅願を受けて行基によって開創され、天長年間(824年 – 834年)の頃に空海(弘法大師)が留錫して真言密教の道場として栄えていた安養院が当寺の前身と伝わります。重要文化財に指定された美しい楼門と、四季折々の花々が彩る境内で知られ、特に「あじさいうかべ」で話題の花の寺として多くの参拝者に愛されています。

久安寺の概要・基本情報

久安寺|歴史ある古刹の魅力と美しい庭園、季節の花々と参拝案内を完全ガイド

久安寺は大阪府池田市伏尾町に位置する高野山真言宗の寺院で、山号は大澤山、本尊は千手観音です。行基が開創したと伝わる「安養院」が前身で、その後、久安元(一一四五)年、近衛天皇の勅願所となり、「久安寺」と号しました。境内は約3万平方メートルの広大な敷地を有し、四季を通じて様々な花木が楽しめることから関西花の寺第十二番霊場にも指定されています。

歴史と由来

神亀2年(725)、行基菩薩が開創し、天長年間(824~834)に弘法大師留錫し、真言密教道場として栄えた「安養院」が前身であります。行基菩薩は奈良時代の高僧で、聖武天皇の勅願により東大寺の大仏造立にも関わった人物として知られています。その後平安時代初期には空海(弘法大師)がこの地に留まり、真言密教の道場として発展させました。

保延6年(1140)安養院は灰塵に帰しましたが、薬師如来像、阿弥陀菩薩像は損傷を免れ、本尊千手観音像は岩の上に飛行して、光明を放ったと伝えられています。その後、久安元年(1145年)に近衛天皇の勅願により祈願所として再興され、賢実上人が境内の本堂などの伽藍を増築し、「久安寺」と称するようになりました。

戦国時代から江戸時代にかけても歴史に名を残しており、安土桃山時代の頃、豊臣秀吉が参拝の際に月見茶会を開いたといわれ、境内には秀吉手植えと伝わるカヤの大木や腰掛石が現在も残されています。

宗派と本尊

久安寺は高野山真言宗に属する寺院で、本尊は千手観音菩薩です。本堂の本尊の千手観音は、後一条天皇の勅願で仏師定朝の作と伝わり、秘仏につき非公開となっています。千手観音は慈悲と救済の仏として信仰され、結縁、安産、学業、商売繁盛などの祈願で多くの参拝者が訪れます。

また久安寺は複数の霊場札所としても知られており、西国薬師四十九霊場第18番札所、摂津国三十三所霊場第19番札所、摂津国八十八箇所第67番札所として位置づけられています。特に薬師如来は池田市最古の仏像で8世紀のものとして貴重な文化財となっています。

久安寺の見どころ・特徴

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久安寺の境内には歴史的価値の高い建造物と美しい庭園が調和した景観が広がっています。国の重要文化財に指定された楼門をはじめ、本堂、阿弥陀堂、薬師堂などの諸堂が配置され、それぞれに貴重な文化財が安置されています。また現代になって整備された庭園群は、伝統的な日本庭園の美しさと現代的な感性が融合した独特の魅力を持っています。

重要文化財楼門の美しさ

楼門(重要文化財) – 入母屋造、本瓦葺、間口約5.4メ-トル、奥行約3.6メ-トルの楼門。金剛力士(仁王)像を安置する。寺内最古の建物である楼門は、久安寺参拝の玄関口として参拝者を迎えます。室町時代中期の15世紀前半ごろに建てられたとされており、その優美な姿は「最も美しい楼門」とも評されています。

楼門の最大の特徴は、優雅な屋根の線は<水平のない軒反り>という技法が創り出した美しさにあります。この独特の建築技法により、屋根の曲線が絶妙なバランスを保ち、見る者に深い印象を与えます。鎌倉期彫刻を偲ばせる金剛力士像を中央親柱筋より後方に安置して前面を広く、その親柱を高くして頭上を高くした<仏堂形式>は、三間一戸の楼門をより壮大に見せています。

楼門は1903年に旧国宝に指定され、戦後に改めて国の重要文化財となりました。現在でも国道423号線に面して堂々と建ち、その歴史的価値と美的価値を現代に伝え続けています。

三つの庭園と自然美

久安寺の境内には「虚空園」「普供養の庭」「具足池」という三つの特色ある庭園があり、それぞれ異なる美しさを楽しむことができます。

「虚空園」はバン字池を中心に作庭された池泉回遊式庭園で、荒木芳邦による作庭です。「虚空にバン字あり・・・」と本堂での修法瞑想。本堂北に広がる「バン字(こころ)池」を中心に花咲く庭。参道である両果の道をはさんで、東にある小山を「ア字山」といい、庭園全域を虚空園と称します。バン字池。パンとは「心」を意味し、いわゆる心字池である。池泉に突き出た浮座は、大日如来の座ともいわれる。

「普供養の庭」は「供養菩薩遊化の庭」とも呼ばれ、信者さん達によって創作した庭として親しまれています。この庭園は本堂と三十三所堂を繋ぐ渡り廊下の下部に位置し、静寂な雰囲気の中で心を落ち着けることができます。

「具足池」は久安寺で最も有名な池で、特に千株もあるアジサイの白、青、ピンク、紫の花を参道沿いの具足池に浮かべる「花のお葬式」は、参拝者の目と心を魅了する光景として知られています。具足池に浮かべた巨石である。まるで山をイメージしたような自然石であり美しい景観も見どころの一つです。

文化財・重要な所蔵品

久安寺には国指定重要文化財をはじめとする貴重な文化財が数多く保存されています。阿弥陀堂 – 文化財保存に適すように高床式の宝物殿となっており、阿弥陀如来坐像(重要文化財)、薬師如来立像(池田市指定有形文化財)、紙本著色涅槃図、久安寺縁起、他に行基像、賢実上人像などを安置する構造となっています。

特に注目すべきは木造阿弥陀如来坐像 – 久安寺の前身、安養寺にあったもので平安時代後期の作で、1913年に重要文化財に指定されました。また木造薬師如来立像 – 平安時代作で池田市最古の仏像として1978年に池田市指定有形文化財となっています。

境内には仏塔・舎利殿涅槃堂 – 6.4メートルの釈迦涅槃石像が安置されている納骨慰霊堂もあり、この巨大な涅槃像は訪れる人々に深い印象を与えています。その他にも江戸時代の紙本著色涅槃図(大岡春卜筆)や久安寺縁起なども重要な文化財として保管されています。

参拝・拝観案内

久安寺|歴史ある古刹の魅力と美しい庭園、季節の花々と参拝案内を完全ガイド

久安寺は年中無休で参拝者を迎えており、静寂な山間の環境の中で心静かに参拝することができます。境内は広大で、車椅子での参拝にも配慮されており、境内奥、仏塔まで車椅子で通行できます(本堂・御影堂等は不可)。参拝の際は寺院としての礼節を守り、静かに境内を巡ることが大切です。

参拝作法とマナー

久安寺は高野山真言宗の寺院として、仏教の教えに基づいた参拝作法があります。まず楼門をくぐる際は一礼し、境内では帽子を脱いで敬意を表します。本堂では本尊千手観音菩薩に向かって合掌し、心を込めて参拝します。

各お堂での参拝では、鈴を鳴らしてから手を合わせ、願い事や感謝の気持ちを込めて静かに祈ります。御影堂(遍照殿) – 空海(弘法大師)留錫の際の草庵跡地で、弘法大師像と聖武天皇などゆかりの天皇の位牌を祀る場所では、特に弘法大師への敬意を込めて参拝することが大切です。

境内での写真撮影は基本的に可能ですが、お堂内部や仏像の撮影は禁止されている場合があります。また他の参拝者の迷惑にならないよう、静かに行動することを心がけましょう。

四季の花々と年中行事

久安寺は「花の寺」として親しまれ、春の牡丹、ツツジ、初夏のアジサイとスイレン、秋の紅葉、冬はサザンカ、ロウバイなど、四季を通じて様々な花や木が楽しめます。特に有名なのが6月中旬から7月上旬にかけての「あじさいうかべ」で、「あじさいうかべ」と名付けられた池に浮かべられたあじさいが幻想的でインスタ映えすると、近年人気のスポットとなっています。

春には境内各所でボタンやツツジが咲き誇り、特に本堂前のツツジは見事な景観を作り出します。秋の紅葉シーズンには、久安寺の紅葉も素晴らしい。人が多くないし、ここでは紅葉が真っ赤でとても鮮やかで、京都のような趣があると評価されています。

年中行事としては、11月第3日曜日 もみじまつり 紫灯大護摩供が開催され、多くの参拝者が訪れます。また大晦日の除夜の鐘は23時45分から翌日2時で行われ、希望者は全員撞くことができるため、年末年始には特別な雰囲気を楽しむことができます。

修行体験・写経のご案内

久安寺では一般の方でも参加できる修行体験が用意されており、心を静めて仏教の教えに触れることができます。毎月10日写仏の会 10:00~12:00 参加費1,500円が定期的に開催されており、仏様の姿を描きながら心を整える体験ができます。

写経や写仏は単なる文字や絵を写すのではなく、一文字一文字、一筆一筆に心を込めることで、日常の喧騒を離れて静寂な時間を過ごすことができます。初心者でも参加しやすく、指導も丁寧に行われるため、仏教に興味のある方はぜひ参加してみることをお勧めします。

その他にも境内では広大な境内の散策、写経、写仏などの修行体験もできますので、詳細は事前に寺院に問い合わせることをお勧めします。

アクセス・利用情報

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久安寺は大阪府池田市の山間部に位置しており、公共交通機関と自家用車の両方でアクセス可能です。最寄り駅からはバスを利用する必要がありますが、周辺の自然豊かな環境も含めて楽しむことができます。参拝の際は事前にアクセス方法と拝観情報を確認しておくことをお勧めします。

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合、阪急池田駅より阪急バス15分 久安寺下車すぐとなります。阪急バス [26] 希望ケ丘四丁目行などに乗車し、運賃 250円で久安寺バス停まで約18分の所要時間です。バスの運行頻度は1時間に1~2本程度のため、事前に時刻表を確認することをお勧めします。

自家用車でのアクセスの場合、阪神高速11号 木部第1出口より3km直進または新名神高速 箕面とどろみ出口より3km 池田方面が便利です。伊丹空港より約8km・JR新大阪駅より約20kmの距離にあり、関西の主要都市からもアクセスしやすい立地です。

最寄りの伏尾温泉からは徒歩圏内で、伏尾温泉 不死王閣 – 約300m (徒歩約4分)の距離にあるため、温泉とあわせて訪問することも可能です。

拝観時間・料金・駐車場情報

久安寺の拝観時間は9:00~16:00で、休日なしとなっています。境内への入場は基本的に無料ですが、[拝観料]300円が必要です。特別拝観時には別途料金が設定される場合があります。

駐車場はあり(60台)で、(駐車場有)無料で利用できます。拝観者用の無料駐車場があります。収容台数は100台くらいと十分な台数が確保されており、車なら駐車場も無料ですので車で行かれる方がいいかと思いますという口コミもあります。

アジサイの見頃など人気の時期には駐車場が10時ごろでほぼ満車になることもあるため、早めの時間帯での参拝をお勧めします。なお、クレジットカード 不可、電子マネー/スマートフォン決済 不可のため、現金での支払いが必要です。

<住所> 〒563-0011 大阪府池田市伏尾町697

参照サイト

・久安寺 公式ホームページ:https://kyuanji.jp/
・久安寺 (池田市) – Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/久安寺_(池田市)

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