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荏柄天神社|日本三古天神の一つとして知られる学問の神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

荏柄天神社|日本三古天神の一つとして知られる学問の神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

神奈川県鎌倉市二階堂に鎮座する荏柄天神社は、学問の神様として知られる菅原道真公を祀る古社です。平安時代の創建とされ、北野天満宮・太宰府天満宮と並び日本三古天神の一つに数えられています。鎌倉幕府の鬼門に位置し、源頼朝をはじめとする武家政権から厚い信仰を受けてきました。現在も受験生や学業成就を願う多くの参拝者が訪れ、特に入試シーズンには合格祈願の絵馬で境内が彩られます。

荏柄天神社の概要・基本情報

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荏柄天神社は鎌倉の歴史と深く結びついた神社として、1000年近い歴史を持つ由緒ある古社です。鶴岡八幡宮の東方約1キロメートルに位置し、閑静な住宅街に囲まれた丘陵地に鎮座しています。境内は国の史跡に指定されており、文化的価値の高さが認められています。

歴史と由来

荏柄天神社の創建は長治元年(1104年)8月25日とされています。江戸時代に成立した「相州鎌倉荏柄山天満宮略縁起」によれば、雷雨の中、天空から天神(菅原道真)の姿絵が舞い降りた場所が現在の境内の大イチョウ付近と伝えられています。

鎌倉時代には、源頼朝が開いた幕府の鬼門鎮護の神社として重要な役割を果たしました。『吾妻鏡』には建仁2年(1202年)9月11日条で初めて記録が現れ、大江広元が荏柄社祭の奉幣使を務めたとあります。また、建保元年(1213年)には、渋川兼守が荏柄社に奉じた詠歌によって将軍実朝より罪を赦されたという逸話も残されています。

武家政権にとって天神は八幡神とともに重要な神として位置づけられ、貞永元年(1232年)成立の『御成敗式目』の末尾に付された起請文にも「天満大自在天神」として記されています。このことからも、荏柄天神社が鎌倉幕府にとって特別な存在であったことがうかがえます。

祭神とご利益

荏柄天神社の主祭神は菅原道真公です。菅原道真は平安時代の政治家・学者・漢詩人として知られ、優れた学識で右大臣まで昇進しましたが、藤原氏の陰謀により太宰府に左遷され、その地で亡くなりました。死後、京都で雷害が続いたため、道真の祟りと恐れられ、天満天神として祀られるようになりました。

相殿として八雲大神、熊野三柱神も祀られています。これらの神々とともに、学問成就、受験合格、書道上達、文芸向上などのご利益があるとされています。特に学問の神様としての信仰が厚く、受験シーズンには全国から多くの受験生や学生が参拝に訪れます。

また、道真公が誠実な人柄であったことから、正直・誠実な心を育むご利益もあるとされ、人格形成を願う参拝者も少なくありません。

荏柄天神社の見どころ・特徴

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荏柄天神社は歴史的建造物と自然の美しさが調和した境内で、多くの見どころを有しています。国の重要文化財に指定された本殿をはじめ、樹齢900年を誇る大イチョウ、全国でも珍しい漫画家ゆかりの筆塚など、他では見ることのできない魅力的なスポットが点在しています。

建造物・構造の魅力

荏柄天神社の本殿は三間社流造、銅板葺きの建物で、国の重要文化財に指定されています。この本殿は元々鶴岡八幡宮若宮社の本殿として14世紀に建造されたもので、江戸時代初期の1600年代に現在地に移築されたと考えられています。鎌倉市内でも希少な中世鎌倉の歴史的建築物として、極めて高い文化的価値を持っています。

朱色に塗られた美しい社殿は、梅の紋章が随所に配され、菅原道真公と梅の深い関係を物語っています。本殿の細部には精巧な彫刻が施され、当時の優れた建築技術を今に伝えています。

拝殿・幣殿は1923年の関東大震災で損壊し、1936年(昭和11年)の本殿修理の際に再建されました。現在の拝殿は伝統的な神社建築の様式を踏襲しながらも、参拝者が祈願しやすい構造となっています。

境内の配置は周囲よりも7メートル程高い東西約55メートル、南北約50メートルの削平地に社殿が設けられており、社殿裏は人工的に切り落とした急崖で、両側は袖状の尾根が張り出しています。この地形は鶴岡八幡宮の上宮敷地造成との共通性が見られ、鎌倉時代の神社建築の特徴を示しています。

自然・景観の美しさ

境内には樹齢900年と言われる大イチョウが立っています。このイチョウは鎌倉市指定天然記念物に指定されており、秋には黄金色の葉が空を覆う壮観な景色を見せてくれます。この大イチョウは創建時の天神降臨伝説とも関わりのある神聖な木として、多くの参拝者に親しまれています。

境内には約100本の梅の木が植えられています。本社前にある梅の木は「鎌倉一早咲きの梅」と呼ばれ、1月の受験シーズンには紅色の花を見ることができます。菅原道真公と梅の花の深い関係を表すこれらの梅は、早春の境内を美しく彩り、受験生にとって希望の象徴ともなっています。

四季折々の花々も境内を飾ります。春にはシャガやツツジ、夏にはアジサイやイワタバコ、秋にはヒガンバナとイチョウの黄葉、冬にはスイセンと梅が楽しめます。特に4月中旬頃には東側の丘の斜面に白地に黄色と青紫の模様が入った可憐なシャガの花が一斉に咲き、見ごたえのある光景を作り出します。

文化財・重要な所蔵品

荏柄天神社には数多くの文化財が保存されています。紙本著色束帯天神像(4幅)附 紙本墨書天神名号(1幅)は1974年に重要文化財に指定されました。これらは菅原道真公の肖像画として貴重な資料であり、中世の絵画史を研究する上でも重要な作品です。

また、荏柄天神社文書(4巻 25冊 3鋪 68通 2枚)は1997年に重要文化財に指定されており、神社の歴史や鎌倉時代の宗教的背景を知る上で貴重な史料となっています。

特に注目すべきは、境内にある2つの筆塚です。「かっぱ筆塚」は河童を描き続けた漫画家・清水崑が自ら愛用した絵筆を納めたもので、表側に清水崑作の大きな筆を担いだ河童の絵、裏側には川端康成の「かっぱ筆塚」の字が刻まれています。

「絵筆塚」は清水崑の意志を継いだ横山隆一らの漫画家によって建立されたもので、154人の漫画家によるカッパのレリーフが付けられています。青銅製で高さ3.2メートル、直径1メートル、重さ800キログラムの立派な塚です。藤子・F・不二雄さんの河童姿のドラえもんなども見ることができます。

これらの筆塚は全国でも珍しい漫画家ゆかりの文化財として、学問の神様を祀る神社にふさわしい現代的な信仰の形を示しています。

参拝・拝観案内

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荏柄天神社での参拝は、学問の神様である菅原道真公への敬意を込めて行います。境内は一年を通じて参拝可能で、特に受験シーズンや学業に関する節目の時期には多くの参拝者が訪れます。正しい参拝作法を心がけることで、より心のこもった祈願ができるでしょう。

参拝作法とマナー

荏柄天神社での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従います。まず鳥居をくぐる前に一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎で心身を清めてから拝殿に向かいましょう。

拝殿での参拝は「二拝二拍手一拝」の作法で行います。賽銭を納めてから鈴を鳴らし、深く二回おじぎをし、胸の前で二回拍手を打ち、心を込めて祈願した後、最後に深く一回おじぎをします。学業成就や受験合格を祈願する場合は、具体的な目標や願いを心の中で唱えると良いでしょう。

境内には合格祈願の絵馬を奉納する場所があります。菅原道真公が描かれた「祈願絵馬」やウソ鳥が描かれた「目的達成絵馬」があり、それぞれ願いを書いて納めることができます。目的達成絵馬は、目標を達成した後のお礼参りの際にウソ鳥に目を描き、次なる目標を書いて奉納するという独特の仕組みがあります。

年中行事・季節のイベント

荏柄天神社では一年を通じて様々な祭事が行われています。最も重要なのは1月25日の初天神祭で、筆供養も同時に行われます。この日は一年で最初の天神様の日とされ、御殿にて祭事を執り行った後、参道中央で古筆や鉛筆を燃やし、学力の向上と文字の上達を祈願します。

2月8日には針供養が行われます。これは使い終えた針の霊を労い、技術の上達を祈る行事で、「柔らかいお豆腐」に針を刺して供養します。この行事は裁縫や手芸に関わる人々にとって大切な年中行事となっています。

7月24日の宵宮祭は例大祭の前夜祭で、境内で祭囃子の響く中、子供たちの奉納行灯や模擬店が設置され、祭典や神賑が行われます。翌7月25日の例大祭は一年で最も大きな祭典で、神職、氏子が今日までの感謝と今後への祈りを捧げます。

境内の梅は「鎌倉一早咲きの梅」として知られ、1月の受験シーズンには美しい花を咲かせます。4月中旬にはシャガの花が見頃を迎え、秋には大イチョウの黄葉が壮観な景色を作り出します。季節ごとの自然の美しさも荏柄天神社参拝の大きな魅力の一つです。

御朱印・お守り情報

荏柄天神社では境内左手の授与所で御朱印をいただくことができます。御朱印は参拝の証として、また学問の神様からのご加護をいただく記念として多くの参拝者に親しまれています。

お守りについては、学業成就や受験合格に関するものを中心に各種取り揃えられています。特に「祈願鉛筆」は受験生に人気のお守りで、実際に試験で使用することで菅原道真公のご加護をいただけるとされています。

その他、お札や各種御守り、絵馬なども授与所で求めることができます。これらの授与品は全て正式に祈祷されたもので、学業成就を願う方々の心強い味方となります。詳細な授与品の種類や初穂料については、参拝時に授与所でご確認ください。

アクセス・利用情報

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荏柄天神社は鎌倉市の中心部からやや東側に位置し、公共交通機関を利用してアクセスすることができます。鶴岡八幡宮からも徒歩圏内にあるため、鎌倉観光の一環として参拝する方も多くいらっしゃいます。

交通アクセス

荏柄天神社へのアクセスは、JR鎌倉駅からバスを利用するのが最も便利です。JR鎌倉駅東口5番バス乗り場から京急バス「大塔宮」行きに乗車し、「天神前」バス停で下車して徒歩約3分です。バス乗車時間は約10分程度です。

徒歩でのアクセスも可能で、JR鎌倉駅から約20分、鶴岡八幡宮からは約10分の距離にあります。金沢街道を東に向かって歩くルートが一般的で、道中には他の史跡も点在しているため、鎌倉散策を楽しみながらアクセスできます。

荏柄天神社は一の鳥居から本殿まで距離があるため、途中の二の鳥居から入る参拝者も多くいます。最寄りのバス停「天神前」も二の鳥居の少し手前に位置しています。二の鳥居前には両側に大きな木があり、クロスしているような形状が印象的です。

<住所> 〒248-0002 神奈川県鎌倉市二階堂74

拝観時間・料金・駐車場情報

荏柄天神社の拝観時間は8時30分から16時30分までです。ただし、正月初頭は参拝時間が延長され、1月1日は元旦0時00分から18時30分まで、1月2日から5日は8時00分から18時30分まで参拝可能です。

拝観料は志納となっており、特に決められた金額はありません。参拝者の気持ちに応じてお納めください。

駐車場は境内にはありませんが、徒歩5分圏内に市営駐車場やコインパーキングがいくつかあります。リパーク鎌倉二階堂(徒歩約1分)、タイムズ鎌倉宮前(徒歩約2分)などが利用可能です。ただし、特に受験シーズンや観光シーズンには駐車場が混雑することがあるため、公共交通機関の利用をおすすめします。

境内には公衆トイレが設置されています。バリアフリー対応については階段があるため車椅子でのアクセスは困難ですが、乳幼児の入場は可能です。詳細な設備情報については事前に神社にお問い合わせいただくことをおすすめします。

参照サイト

・日本三古天神 荏柄天神社【公式】:http://www.tenjinsha.com/
・鎌倉市観光協会:https://www.trip-kamakura.com/place/82.html

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