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鎌倉宮|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

鎌倉宮|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

鎌倉の二階堂地区に佇む鎌倉宮は、明治天皇の勅命により創建された格式高い神社です。護良親王を祀る神社として知られ、地元では「大塔宮(だいとうのみや)」の愛称で親しまれています。厄除けや身代わり様の信仰で多くの参拝者が訪れる鎌倉宮の魅力を、歴史から見どころまで詳しくご紹介します。

鎌倉宮の概要・基本情報

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鎌倉宮は神奈川県鎌倉市二階堂に位置する神社で、建武中興十五社の一社であり、旧社格は官幣中社です。鎌倉時代から続く古刹が数多く残る鎌倉において、明治時代に創建された比較的新しい神社でありながら、その歴史的意義と格式の高さから多くの崇敬を集めています。

歴史と由来

1869年(明治2年)2月、武家から天皇中心の社会へ復帰させることを目的とした建武中興に尽力した護良親王の功を賛え、明治天皇は護良親王を祀る神社の造営を命じて自ら宮号を「鎌倉宮」と名づけました。

護良親王は後醍醐天皇の皇子として1308年に誕生し、11歳で比叡山延暦寺の大塔に入室しました。父である後醍醐天皇が鎌倉幕府打倒を計画すると、親王は還俗して楠木正成らと協力し、鎌倉幕府の打倒に大きく貢献しました。

しかし建武の新政後、足利尊氏との対立により捕らえられ、建武2年(1335年)の中先代の乱の混乱の中で、尊氏の弟の直義の命で家来である淵辺義博によって殺害されました。わずか28歳という若さでの悲劇的な最期でした。

7月15日に鎌倉宮の社号が下賜され、7月に東光寺跡の現在地に社殿が造営されました。1873年(明治6年)4月16日に明治天皇は鎌倉宮に行幸し、同年6月9日に鎌倉宮は官幣中社に列格され、その格式の高さが示されています。

祭神と御神徳

鎌倉宮の御祭神は護良親王(もりながしんのう)です。護良親王の通称である大塔宮(おおとうのみや)に因み、地元では大塔宮(だいとうのみや)と呼ばれることもあります。

護良親王は幼少より英明・勇猛な御方で、比叡山延暦寺の天台座主となられた親王は、父帝・後醍醐天皇が目指された理想の為に御自ら奮闘・活躍され、遂に鎌倉幕府打倒を果たされて平和な世を実現、征夷大将軍・兵部卿に任ぜられました。

鎌倉宮では厄除け、身代わり、病気平癒、勝負運、良縁成就などの御神徳があるとされ、特に困難を乗り越える力を授けてくださる神様として信仰されています。護良親王の波乱に満ちた生涯から、人生の試練を乗り越える強さを願う多くの参拝者が訪れています。

鎌倉宮の見どころ・特徴

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鎌倉宮の境内には護良親王ゆかりの見どころが数多く残されており、歴史の重みを感じながら参拝することができます。四季折々の自然の美しさと合わせて、訪れる人々に深い感動を与えています。

社殿と境内の魅力

鎌倉宮の社殿は明治時代の神社建築の特徴を色濃く残す美しい建物です。拝殿は参拝者を温かく迎え入れる開放的な造りとなっており、本殿は護良親王の御霊を静かにお祀りしています。

境内には春にはソメイヨシノやオガタマ(市指定天然記念物)、夏にはアジサイやキキョウ、秋にはモミジ、冬にはウメなど、四季を通じて美しい自然を楽しむことができます。特に鳥居左手の河津桜は、本数が多いわけではありませんが、それぞれ見ごろの時期がズレているため、長い間楽しむことができます。

神苑は2021年に約50年ぶりに大規模な整美が行われた鎮守の杜のような存在で、様々な樹木が植えられ、都市部にありながら豊かな自然環境を保っています。

護良親王幽閉の土牢

本殿の後方にある土手の穴が、護良親王がおよそ9か月間幽閉されていた土牢であるという古伝があります。拝殿や本殿より後方にある土牢や神苑、宝物殿の参拝は、別途拝観料が必要となっていますが、歴史の生々しい痕跡を間近で見ることができる貴重な場所です。

土牢は土窟で2段になっており、護良親王が最期を迎えるまでの約9か月間を過ごした場所とされています。この土牢を見学することで、護良親王の悲劇的な運命と当時の厳しい現実を深く理解することができます。

土牢周辺は静寂に包まれ、訪れる人々に歴史の重みと護良親王への深い敬意を抱かせる神聖な空間となっています。

身代わり様と厄割り石

鎌倉宮には身代わり地蔵ならぬ「身代わり様」が祀られています。祀られているのは護良親王の忠臣だった村上彦四郎義光公で、生前には親王の危機を幾度となく救った忠義の武将です。

鎌倉幕府倒幕に向けて、護良親王は奈良の吉野城で挙兵しましたが、鎌倉幕府軍に追い詰められてしまいます。このとき、護良親王の家臣である村上義光が親王の鎧をまとって、身代わりとなり切腹し、親王は逃れることができたと伝えられています。

拝殿の右横に建つ村上社は護良親王を救った村上義光を御祭神として祀っており、その社殿の前には「撫で身代わり様」と呼ばれる等身大の木造があります。参拝者は身代わり様の体をなでることができ、その際治ってほしい場所をなでると良いとされています。優しそうなお顔で合掌している親しみやすい木像で、厄除けや病気平癒のご利益があるとして多くの参拝者に親しまれています。

また、鎌倉宮には盃割り舎があります。盃に息を吹きつけて、自分についた悪いものを移し「厄割り石」に投げつけて割ると厄を払うことができるとされています。100円を納めてかわらけ(小皿)を受け取り、思いを込めて厄割り石に投げつける体験は、多くの参拝者に人気があります。

宝物殿の文化財

鎌倉宮宝物殿は、明治天皇行幸(明治6年4月16日)の際の行在所として明治2年に建設された歴史ある建物です。宝物殿では護良親王ゆかりの品々が所蔵・展示されており、親王の生涯と時代背景を深く知ることができます。

幕末関連の書が陳列されており、長州出身の伊藤博文、尊皇攘夷を唱えた水戸藩主徳川斉昭、「幕末の三舟」と呼ばれた勝海舟・高橋泥舟・山岡鉄舟らの書が陳列されています。これらの展示品は、護良親王が明治維新の精神的支柱として位置づけられていたことを物語る貴重な資料です。

宝物殿への入館は有料となっており、中学生以上300円、小学生150円で拝観することができます。護良親王の歴史をより深く理解したい方には、ぜひ訪れていただきたい施設です。

参拝案内

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鎌倉宮での参拝は、護良親王の御霊に敬意を表し、心を込めて行うことが大切です。格式高い神社として、適切な作法とマナーを守って参拝することで、より深い御神徳をいただくことができるでしょう。

参拝作法とマナー

鎌倉宮での参拝は、一般的な神社の作法に従って行います。鳥居をくぐる際は一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎では左手、右手、口の順に清め、心身を浄めてから拝殿に向かいます。

拝殿での参拝は「二拝二拍手一拝」の作法で行います。まず深く二度礼をし、柏手を二度打ち、最後に深く一度礼をします。護良親王の波乱に満ちた生涯を思いながら、心を込めて祈願することが大切です。

境内では大きな声での会話や携帯電話の使用は控え、神聖な雰囲気を保つよう心がけましょう。写真撮影は許可されている場所でのみ行い、他の参拝者の迷惑にならないよう配慮が必要です。

年中行事・季節のイベント

鎌倉宮では年間を通じて様々な行事が執り行われ、参拝者は季節ごとの特別な体験を楽しむことができます。

8月20日午前11時には鎌倉宮例祭が執り行われ、前夜祭は19日午後4時から行われます。19日午前10時には子ども神輿、奉納演芸大会があり、19日と20日夕刻より夜店と盆踊り大会が開催されます。地域の人々と共に護良親王を偲ぶ重要な行事です。

7月23日午後1時30分頃より、護良親王祭を執り行います。これは旧暦による護良親王の命日にあたる大切な祭典です。

6月30日午後3時からは夏越大祓式茅の輪くぐりが行われ、人気の「自分でつくる茅の輪守り」のワークショップも開催されます。

例年10月上旬には境内で「鎌倉薪能」(事前予約制)が催されます。「鎌倉薪能」は1959年(昭和34年)から行われている鎌倉を代表する伝統行事の一つで、全国で3番目に古い歴史があります。夜の幽玄な雰囲気の中でかがり火を焚いて演じられる能は、護良親王の御霊を慰める荘厳な催しです。

御朱印・お守り情報

鎌倉宮では美しい御朱印をいただくことができます。黄色に金字の神社名が入った御朱印帳も人気で、鎌倉近くに住んでいて毎月詣でをしたい方には特におすすめです。社務所では午前9時から午後4時まで対応しており、丁寧に書いていただけます。

護良親王ゆかりの真っ赤な獅子頭守は特に人気の高いお守りです。獅子頭守は古くから「厄を食べ、幸せを招く」と言われ、「厄除け・幸運招来・交通安全・身代わり」などの願いを叶えるものとされています。見た目も可愛らしく、大切な人への鎌倉土産としても喜ばれています。

その他にも身代わり様にちなんだお守りや、護良親王が悪縁を断ち良縁を結んでくれるという良縁成就のお守りなど、様々な御神徳に応じたお守りが用意されています。初穂料を納めて特別な祈願をお願いすることも可能です。

アクセス・利用情報

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鎌倉宮は鎌倉駅からアクセスしやすい立地にあり、公共交通機関を利用して気軽に参拝することができます。周辺には瑞泉寺や覚園寺など他の名所もあるため、鎌倉散策の拠点としても便利な場所です。

交通アクセス

JR横須賀線・江ノ島電鉄鎌倉駅東口⑤のりばより京浜急行バス鎌20鎌倉宮行きに乗車し、鎌倉宮(大塔宮)で下車すぐです。バスでの所要時間は約10分となっています。

徒歩でのアクセスも可能で、鎌倉駅東口から約30分の道のりです。住宅街を通る静かな道を歩きながら、鎌倉の町並みを楽しむことができます。途中には荏柄天神社もあり、受験生がいる場合は学問の神様への参拝と合わせて訪れることもおすすめです。

また、近くには古民家をリノベーションした素敵なレストラン「北條」もあり、参拝後の食事場所としても人気があります。

<住所> 〒248-0002 神奈川県鎌倉市二階堂154

拝観時間・料金・駐車場情報

鎌倉宮の参拝は基本的に無料ですが、宝物殿への入館は有料となっています。社務所は午前9時から午後4時まで開いており、御朱印や各種祈願の受付を行っています。

宝物殿の拝観時間は午前9時から午後4時30分まで(受付は30分前まで)で、拝観料は中学生以上300円、小学生150円です。障害者は障害者手帳の提示により無料、市内高齢者は福寿手帳の提示により無料となります。団体割引(30名以上)もあり、事前に電話連絡が必要です。

駐車場については、詳細は事前に鎌倉宮にお問い合わせいただくか、公式サイトでご確認ください。鎌倉は観光地のため、特に休日は交通渋滞が予想されますので、公共交通機関の利用をおすすめします。

参照サイト

・鎌倉宮 公式ホームページ:https://www.kamakuraguu.jp/

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