
日光二荒山神社|世界遺産に登録された下野国一宮の歴史と見どころ、参拝案内を完全ガイド
世界遺産「日光の社寺」を構成する日光二荒山神社は、1200年を超える歴史を持つ由緒ある古社です。男体山を神体とし、縁結びや招福のご利益で多くの参拝者に愛され続けています。
日光二荒山神社の概要・基本情報
日光二荒山神社は栃木県日光市に鎮座し、日光山信仰の始まりとなった古社として知られています。宗教法人登記上の正式名称は「二荒山神社」ですが、宇都宮市の二荒山神社との区別のため、「日光二荒山神社」と称されています。式内社(名神大社)論社、下野国一宮として古くから崇敬され、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。
境内は日光東照宮、輪王寺とともに「日光山内」として国の史跡に指定され、1999年に「日光の社寺」として世界遺産に登録されました。関東平野北部にそびえる日光連山の主峰である日光三山を神体山として祀る神社で、本社・中宮祠・奥宮の3ヶ所に分かれています。
歴史と由来
日光二荒山神社の歴史は、奈良時代後期の782年(延暦元年)に遡ります。下野薬師寺の修行僧である勝道上人が男体山の登頂に成功し、山頂に奥宮を創建したのが始まりとされています。その後、784年(延暦3年)には中禅寺湖畔に中宮祠が建立されました。
平安時代には朝廷からの崇敬も厚く、836年(承和3年)に二荒神が正五位下の神階を受け、その後869年(貞観11年)には正二位まで昇叙されました。延喜式神名帳にも記載される名神大社として、古くから格式の高い神社として位置づけられていました。
鎌倉時代初期には男体山山頂遺跡の出土品から、山岳信仰が最盛期を迎えたことが示されており、この時期に神社祭礼も確立されたと考えられています。江戸時代には天海僧正により日光東照宮が創建されると、二荒山神社も江戸幕府や諸大名、民衆から厚い崇敬を受けました。1619年(元和5年)には徳川秀忠によって本殿が再建されています。
祭神とご利益
日光二荒山神社の主祭神は、男体山(二荒山)の神である大己貴命(おおなむちのみこと)です。配神として、女峰山の神である田心姫命(たごりひめのみこと)、太郎山の神である味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)の3神を合わせて「二荒山大神」と称しています。
大己貴命は出雲大社の主祭神としても知られ、国造りの神、農業の神、商業の神として信仰されています。特に縁結び、夫婦和合、家内安全、商売繁盛のご利益があるとされ、現在では縁結びの神様として多くの参拝者が訪れています。また、勝負運や開運招福のご利益もあるとされ、人生の節目や重要な決断の際に参拝する人も多くいます。
日光二荒山神社の見どころ・特徴
日光二荒山神社は世界遺産に登録された歴史的建造物群と、豊かな自然環境が調和した神聖な空間を形成しています。本社境内だけでなく、中宮祠や奥宮を含む広大な境内には、それぞれに異なる魅力と見どころが点在しています。
建造物・構造の魅力
日光二荒山神社の建造物群は、本社境内にある7棟すべてが国の重要文化財に指定されています。本殿は1619年(元和5年)に徳川秀忠によって再建されたもので、権現造の美しい建築様式を見ることができます。拝殿とともに朱塗りの鮮やかな色彩が印象的で、華麗な装飾が施されています。
神橋は日光山内の入り口を飾る木造朱塗りの美しい橋で、二荒山神社の建造物として世界遺産「日光の社寺」の玄関口ともいえる存在です。奈良時代に架けられたとされるこの神聖な橋は、山菅の蛇橋という別名でも知られ、勝道上人の日光開山伝説とも深く関わっています。
別宮として本宮神社と滝尾神社があり、それぞれに本殿、拝殿、唐門などの重要文化財建造物が配置されています。これらの建造物群は江戸時代初期の建築技術の粋を集めたもので、彫刻や彩色などの装飾美術も見どころの一つです。
自然・景観の美しさ
日光二荒山神社の境内は、日光国立公園内に位置し、男体山をはじめとする日光連山の雄大な自然に囲まれています。本社境内には樹齢数百年の杉並木があり、神聖な雰囲気を醸し出しています。特に神苑では四季折々の自然美を楽しむことができ、春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色がそれぞれに美しい景観を見せてくれます。
中宮祠からは中禅寺湖の美しい湖面と男体山の威容を一望することができ、特に朝夕の光に照らされた景観は格別の美しさです。男体山の登拝口近くにある巨大なイチイは、樹齢1000年を超えると推定され、A株とB株の2本が「中宮祠のイチイ」として栃木県指定天然記念物に指定されています。
奥宮のある男体山山頂(標高2486メートル)からは、関東平野を一望する壮大なパノラマが広がり、晴天時には遠く東京スカイツリーまで見渡すことができます。登拝期間中(4月25日から11月11日)には多くの登山者が山頂を目指し、信仰登山の伝統を今に伝えています。
文化財・重要な所蔵品
日光二荒山神社は多数の貴重な文化財を所蔵しており、その多くが国宝や重要文化財に指定されています。特に刀剣類のコレクションは全国的にも有名で、南北朝時代の「大太刀 無銘、号 太郎丸」をはじめ、数多くの名刀が奉納されています。
中宮祠の宝物館では、男体山頂遺跡から出土した奈良時代から近世にかけての祭祀遺物を展示しています。これらの出土品は「男体山頂遺跡出土品」として重要文化財に指定されており、日本の山岳信仰史を物語る貴重な資料となっています。銅製の経筒、鏡、刀剣類など、山岳修験の歴史を伝える品々が保管されています。
また、室町時代後期に成立した「日光山縁起」は、男体山と赤城山の神々の伝説を記した貴重な文献として知られています。この縁起には、男体山の神と赤城山の神がそれぞれ大蛇と大ムカデになって戦い、男体山の神が勝利したという伝説が記されており、現在も残る「赤沼」「戦場ヶ原」といった地名の由来となっています。
参拝・拝観案内
日光二荒山神社での参拝は、世界遺産という神聖な空間での特別な体験となります。境内では適切な参拝作法を心がけ、静寂な環境を保つことが大切です。本社、中宮祠、奥宮それぞれに異なる魅力があり、時間に余裕を持って参拝することをおすすめします。
参拝作法とマナー
日光二荒山神社での参拝は、一般的な神社と同様の作法に従います。鳥居をくぐる際には軽く一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎で手と口を清めてから本殿に向かい、賽銭を納めて二礼二拍手一礼の作法で参拝します。
神苑では御神水を頂くことができる霊泉があり、多くの参拝者がこの清らかな水で身を清めています。境内には化燈籠や大国殿などの見どころも点在しており、ゆっくりと散策しながら参拝することができます。
中宮祠では静かでゆったりとした参拝が可能で、「勝」の神様のパワーを感じることができるパワースポットとしても人気があります。男体山への登拝を希望する場合は、登拝口で登拝料を納め、安全祈願を受けてから登山を開始します。登拝期間は4月25日から11月11日までで、期間外の登山はできません。
年中行事・季節のイベント
日光二荒山神社では一年を通じて様々な祭事が行われ、中でも4月に開催される弥生祭は日光に春の訪れを告げる代表的な祭りです。色とりどりに飾られた花家体(はなやたい)が、賑やかなお囃子とともに日光地域の市街を練り歩く様子は壮観で、多くの見物客で賑わいます。
5月には男体山の山開きが行われ、登拝安全祈願祭が執り行われます。この時期から11月まで男体山への登拝が可能となり、全国から多くの登山者や信仰者が訪れます。夏季には中禅寺湖での船神事なども行われ、湖と山の両方で神事が執り行われる珍しい光景を見ることができます。
秋には紅葉祭りが開催され、境内や周辺の美しい紅葉を愛でながら参拝することができます。冬季は雪に覆われた静寂な境内で、厳かな雰囲気の中での参拝体験が可能です。年末年始には多くの初詣参拝者が訪れ、新年の祈願を行います。
御朱印・お守り情報
日光二荒山神社では本社、中宮祠、奥宮それぞれで御朱印を授与しており、特に男体山登拝を完了した際にいただける奥宮の御朱印は貴重なものとして知られています。本社では「二荒山神社」の御朱印のほか、別宮の本宮神社、滝尾神社の御朱印も授与されています。
お守りは縁結びや恋愛成就、家内安全、商売繁盛など、祭神のご利益に関連したものが数多く用意されています。特に縁結びのお守りは人気が高く、良縁を求める多くの参拝者が求めています。男体山登拝記念のお守りや、勝負運向上のお守りなど、この神社ならではのものもあります。
中宮祠では登拝安全のお守りや、中禅寺湖の美しい景観をデザインしたお守りなども授与されており、参拝の記念として人気があります。御神水を入れる容器なども販売されており、霊泉の水を持ち帰ることができます。
アクセス・利用情報
日光二荒山神社へのアクセスは公共交通機関と自家用車の両方で可能ですが、特に観光シーズンには混雑が予想されるため、事前の計画が重要です。本社と中宮祠では立地や交通手段が異なるため、参拝予定に応じて適切なルートを選択してください。
交通アクセス
本社(日光山内)への公共交通機関でのアクセスは、JR日光線・東武日光線の日光駅から東武バス「中禅寺湖方面行き」または「世界遺産めぐりバス」に乗車し、「大猷院・二荒山神社前」バス停で下車徒歩約3分です。日光駅からは徒歩約35分の距離にあります。
自家用車の場合は、日光宇都宮道路日光ICから約5分、東北自動車道宇都宮ICからは約40分です。カーナビゲーションシステムを使用する際は「日光二荒山神社」または「日光山内」で検索してください。
中宮祠へは日光駅から東武バス「中禅寺湖方面行き」に乗車し、「中禅寺温泉」バス停で下車徒歩約10分です。自家用車では日光ICから約30分、いろは坂を経由して中禅寺湖畔に向かいます。奥宮(男体山山頂)へは中宮祠から徒歩による登山となり、往復約8時間を要します。
<住所> 〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2484
参拝時間・料金・駐車場情報
本社の参拝時間は4月から10月が午前8時から午後5時まで、11月から3月が午前8時から午後4時までとなっています。神苑の拝観は有料(大人200円、小中学生100円)ですが、本殿への参拝は無料です。中宮祠の参拝時間も同様で、宝物館の拝観は別途料金(大人500円、中高生300円、小学生100円)が必要です。
駐車場は本社周辺に複数の有料駐車場があり、普通車で1回500円から1000円程度です。輪王寺第一駐車場や第二駐車場が比較的利用しやすく、徒歩約5分で本社に到着できます。中宮祠には専用の無料駐車場があり、約50台収容可能ですが、観光シーズンには早めの到着をおすすめします。
男体山登拝は登拝料(大人500円、小中学生300円)が必要で、登拝期間は4月25日から11月11日までです。登拝時間は午前6時から午後1時まで(下山は午後4時まで)となっており、天候により中止される場合があります。登拝を希望する場合は、十分な装備と体力の準備が必要です。
参照サイト
・日光二荒山神社 公式サイト:http://www.futarasan.jp/
・日光市観光協会 日光旅ナビ:https://www.nikko-kankou.org/spot/4
・とちぎ旅ネット:https://www.tochigiji.or.jp/spot/s6161