
竹駒神社|日本三稲荷の霊験あらたかな古社の歴史と見どころ、参拝案内を完全ガイド
宮城県岩沼市に鎮座する竹駒神社は、日本三稲荷の一社に数えられる極めて霊験のあらたかな神社として千年以上にわたって人々の信仰を集めてきました。承和9年(842年)に小野篁によって創建されたと伝えられ、衣食住を守護する三柱の神々をお祀りする古社です。毎年約150万人が参拝に訪れ、初詣では東北地方でも屈指の参拝者数を誇ります。
竹駒神社の概要・基本情報
竹駒神社は、旧社格は県社で、第二次大戦後は神社本庁の別表神社となった格式高い神社です。別名竹駒稲荷とも呼ばれ、旧称は武隈明神として親しまれてきました。現在でも地元では親しみを込めて「竹駒さん」と呼ばれています。
歴史と由来
竹駒神社の創建は承和9年(842年)、小倉百人一首にも名を連ねる参議小野篁卿が陸奥守として御着任の際、東北開拓・産業開発の大神として御創建されたと伝えられています。社伝によると、小野篁が陸奥国司として赴任した際、伏見稲荷を勧請して創建したとされています。
興味深いことに、後冷泉天皇の治世(1045年 – 1068年)に陸奥国を歴遊中の能因が、竹駒神社の神が竹馬に乗った童の姿で示現したとして、当社に隣接した寶窟山に庵を結び、これが後に別当寺の竹駒寺となり山号の由来となったという逸話も残されています。
戦国時代には一時衰微していましたが、伊達稙宗が社地を寄進するなど、伊達家の崇敬を受け発展しました。江戸時代には仙台藩主伊達家歴代の篤い尊崇を受け、文化4年(1807年)には正一位の神階を受けたという栄誉に輝いています。
「竹駒」という社名については、現岩沼市域の旧称「武隈」の転訛であり、もともとは、市内を流れる阿武隈川に由来するとされており、この地域の古い歴史を物語っています。
祭神とご利益
竹駒神社では、倉稲魂神(うかのみたまのかみ・稲荷神)を主祭神とし、相殿に保食神(うけもちのかみ)・稚産霊神(わくむすびのかみ)を祀るという三柱の神々をお祀りしています。この三柱の祭神を総称し「竹駒稲荷大神」と呼ばれており、人間生活の基礎である衣食住を守護する神々として崇敬されているのが特徴です。
これらの神々は、産業開発・五穀豊穣・商売繁昌・海上安全などの信仰を集め、近年では交通安全・厄除開運・安産守護の神様としても崇敬を集めているとされています。特に商売繁昌のご利益で知られており、事業者や商店主の方々が多く参拝されています。
竹駒神社の見どころ・特徴
竹駒神社の境内には、江戸時代から受け継がれてきた貴重な建造物や美しい自然景観が数多く残されており、参拝者の目を楽しませています。歴史ある建造物と四季折々の自然が調和した境内は、まさに心の安らぎを得られる聖域といえるでしょう。
建造物・構造の魅力
竹駒神社の建造物で最も注目すべきは、宮城県有形文化財に指定された唐門です。柱の根巻に刻まれた年号から天保13年(1842)に建てられたと考えられるもので、江戸時代後期から末期に県内でつくられた神社建築の代表的な建物として高い評価を受けているという貴重な文化財です。
この唐門は、拝殿前の石敷基壇の上に存在する四脚門であり、屋根は銅板葺き。宮城県下の唐門では最も大きなものですが、破風の壁に雲龍の彫刻、欄間に波の彫刻、唐獅子の木鼻、虹梁をうける雲龍の籠彫等彫刻に富んでおり、重厚さと優美さを兼ね備えている門として知られているという芸術的価値の高い建造物です。
また、参道・随神門(楼門)は文化9年(1812年)の建立で、随神門内部には随神像と神狐像が安置されており、1990年5月11日に岩沼市有形文化財に指定されています。この随神門は二層構造の立派な楼門で、参拝者を迎える威厳ある姿が印象的です。
現在の社殿については、かつての社殿は、1710年に仙台藩の5代藩主伊達吉村によって造営されたもので、市の文化財に指定されたが、平成2年(1990年)11月21日未明、革労協の放火により焼失し、平成6年(1994年)に再建されたという経緯があります。現在の社殿は伝統的な様式を忠実に再現した美しい建造物となっています。
自然・景観の美しさ
竹駒神社の境内は豊かな自然に囲まれており、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。特に注目すべきは、境内のご神池近くにある竹駒桜です。この桜は樹令15年程の若木ではありますが、春、秋、冬に花をつける珍しい桜として知られており、年間を通じて参拝者の目を楽しませています。
昭和天皇が竹駒神社で講演した際、境内に咲く竹駒桜を見て詠んだ歌「竹駒の神のみやしろもうで来て綻びそめし初桜見る」という御製も残されており、この桜の美しさを物語っています。
境内各所には稲荷神社の御使者である狐の像が配置されており、さまざまな表情の「おきつねさま」が参拝者を迎えています。これらの狐像は、白狐の姿を借りた大神の分霊が現在の神社裏手にある森に姿を隠したことをご神託と受け取って神社を建てたという創建の逸話にちなんでいます。
夏の時期には「夏詣」が開催され、境内には多くの風鈴や風車が設置されます。特に参道に設置される風鈴アーチは圧巻で、風が吹くたびに夏らしい音色を奏でる無数の風鈴が訪れる人々を涼しげに迎えています。
文化財・重要な所蔵品
竹駒神社には前述の宮城県有形文化財である唐門と岩沼市有形文化財である随神門(楼門)のほか、境内には馬事資料館も設置されています。この馬事資料館では伊達政宗公騎馬像の原型試作品のほか、国内でも数少ない馬に関する資料を展示しており、正月三が日と初午大祭期間中に開館されています。
境内の授与所では、さまざまなお守りや神札を授与していただくことができます。特に人気が高いのは「開運きつねみくじ」で、かわいらしい表情をした狐の縁起物の中におみくじが入っているもので、特に女性の参拝者に親しまれています。
参拝・拝観案内
竹駒神社では日本三稲荷の一社として、多くの参拝者が年間を通じて訪れています。正しい参拝作法を心がけ、神聖な境内での時間を有意義に過ごしていただけるよう、参拝に関する基本的な情報をご案内いたします。
参拝作法とマナー
稲荷神社である竹駒神社では、一般的な神社参拝作法に従って参拝していただけます。鳥居をくぐる際は一礼し、参道は中央を避けて歩くのが基本です。手水舎で身を清めてから拝殿へ向かい、二拝二拍手一拝の作法でお参りください。
稲荷神社ならではの注意点として、竹駒神社では犬を連れてのご参拝はご遠慮いただいております。これは稲荷神社の御使者である狐への配慮によるものですので、ご理解とご協力をお願いいたします。
境内では静寂を保ち、他の参拝者への配慮を心がけることが大切です。撮影については一般的に許可されていますが、祈祷中や神事の際は控えるなど、状況に応じた配慮が必要です。
年中行事・季節のイベント
竹駒神社最大の行事は、旧暦2月の初午の日から7日間にわたり斎行される「初午大祭」です。この大祭は春の風物詩として県内外から大勢の参拝客が訪れ賑わいを見せる盛大な祭事で、やっこ行列などの伝統的な催しも行われます。
7月1日から8月31日まで開催される「夏詣」も竹駒神社の夏の風物詩です。境内には風鈴や風車、行灯が設置され、夏詣だけの特別な装いに包まれるほか、夜間ライトアップなどの特別なイベントも実施されます。
正月三が日の初詣では、陸奥国一宮の鹽竈神社と東北地方で一、二を争うほどの初詣客が訪れることで知られており、新年の無事平穏を祈願する多くの参拝者で賑わいます。
その他、6月30日の「夏越の大祓」など、一年を通してさまざまな祭事が行われています。詳細な日程については公式ホームページやSNSで確認することができます。
御朱印・お守り情報
竹駒神社では美しい御朱印をいただくことができ、夏詣の期間中は特別仕様の御朱印も用意されています。御朱印帳をお持ちでない方には、竹駒神社オリジナルの御朱印帳も授与されています。
お守りについては、稲荷神社らしく商売繁昌や開運招福を願うものが豊富に揃えられています。特に人気の高い「開運きつねみくじ」は、かわいらしい狐の縁起物の中におみくじが入った愛らしいお守りです。
夏詣の期間中には、竹駒神社のきつね風鈴をモチーフとした開運招福のお守りや、思わず持ち帰りたくなるほど可愛い「白狐絵馬」なども登場し、季節限定のお守りとして参拝者に親しまれています。
家内安全・商売繁昌・開運祈願・厄除祈願など、さまざまな御祈祷も広い御社殿で執り行われており、御神徳を授かることができます。御祈祷をご希望の場合は、事前に時間や料金について確認されることをお勧めします。
アクセス・利用情報
竹駒神社は宮城県岩沼市の中心部に位置し、公共交通機関でも自家用車でもアクセスしやすい立地にあります。東北の主要幹線道路や鉄道路線からも近く、県内外からの参拝者にとって便利な場所に鎮座しています。
交通アクセス
電車でのアクセスは、JR東北本線・常磐線岩沼駅から徒歩約15~20分です。岩沼駅前には芭蕉像が立ち、奥の細道に記された「武隈の松」への案内もあり、文学散歩を楽しみながら参拝することができます。駅から神社までの道のりには案内板がところどころに設置されているため、初めて訪れる方でも迷うことなく到着できます。
自動車でのアクセスは、仙台東部道路岩沼ICから車で約10分と大変便利です。東北自動車道をご利用の場合は、村田ICまたは白石ICで仙台東部道路に乗り換えて岩沼ICを目指してください。
竹駒神社の立地は、畿内を始点にして東進する東山道と東海道の双方が、初めて合流する地点という歴史的に重要な交通の要衝にあたります。このため、太平洋岸ルートと内陸ルートの2本の主要幹線が分岐・合流する場所として、古くから多くの人々が行き交う地域でした。
参拝時間・料金・駐車場情報
竹駒神社の開門時間は午前6時から午後5時までとなっています。ただし、夏詣の期間中など特別な期間には夜間参拝も実施されており、その際は午後9時まで開門時間が延長されます。
参拝料は無料ですが、御祈祷を受ける場合は別途初穂料が必要となります。御祈祷の受付時間や料金については、事前に神社にお問い合わせください。毎月第1・第3火曜日は定休日となっておりますので、参拝の際はご注意ください。
駐車場は大型車17台、普通車150台が収容可能な無料駐車場が完備されています。ただし、初詣や初午大祭などの大きな行事の際は、大型車50台、普通車300台まで拡張されますが、それでも混雑が予想されますので、公共交通機関のご利用をお勧めします。
境内にはバリアフリー設備として車椅子の貸出も行われており、身体の不自由な方でも安心して参拝していただけるよう配慮されています。
<住所> 〒989-2443 宮城県岩沼市稲荷町1-1
参照サイト
・日本三稲荷 竹駒神社 公式ホームページ:https://takekomajinja.jp/