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大山阿夫利神社|関東総鎮護の霊峰で紡がれる2200年の歴史と神々の加護を完全ガイド

大山阿夫利神社|関東総鎮護の霊峰で紡がれる2200年の歴史と神々の加護を完全ガイド

神奈川県伊勢原市の霊峰大山に鎮座する大山阿夫利神社は、2200年以上の悠久の歴史を誇る関東総鎮護の聖地です。古代から山岳信仰の対象として崇められ、源頼朝や徳川家をはじめとする武家から江戸の庶民まで、時代を超えて多くの人々の信仰を集めてきました。標高1252メートルの山頂に鎮座する本社と中腹の下社から望む絶景は、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで2つ星を獲得し、国内外から注目を集めています。

大山阿夫利神社の概要・基本情報

大山阿夫利神社|関東総鎮護の霊峰で紡がれる2200年の歴史と神々の加護を完全ガイド

大山阿夫利神社は、神奈川県伊勢原市の大山に鎮座する古社で、延長5年(927年)の延喜式神名帳に記載された相模国の式内社として格式高い歴史を持ちます。現在は神社本庁の別表神社に指定され、関東総鎮護の霊峰として広く信仰されています。

大山は別名を雨降山(あふりやま)と呼ばれ、古くは大福山とも称されました。この山に本社、奥社、前社の三社が鎮座し、中腹には多くの参拝者が訪れる下社が建立されています。本社は標高1252メートルの山頂に位置し、下社は標高約700メートルの中腹に建てられており、ケーブルカーでアクセスすることができます。

歴史と由来

大山阿夫利神社の創建は、今から約2200年前の崇神天皇の御代と伝えられています。古代より大山は山岳信仰の根源地として崇められ、縄文土器が発掘されるなど、その信仰の歴史は非常に古いものです。

天平勝宝4年(752年)には、良弁大僧正によって神宮寺として雨降山大山寺が建立され、本尊として不動明王が祀られました。これ以降、神仏習合の時代が始まり、大山は石尊大権現と称されるようになりました。山頂に常に雨滴をたたえる霊木があることから「雨降山」の名が付けられ、今なお「雨降木」の名で親しまれています。

中世以降は大山寺を拠点とする修験道が盛んになり、源頼朝をはじめ北条氏、徳川氏など武家の厚い崇敬を受けました。江戸時代には「大山詣り」として庶民の間で大流行し、多くの参拝者が関東各地から訪れるようになりました。この大山詣りの文化は現在、日本遺産に認定されています。

明治初期の神仏分離令により、大山寺は現在の地に移され、神社は「大山阿夫利神社」の名称に復して現在に至っています。

祭神とご利益

大山阿夫利神社には三柱の神々が祀られています。主祭神は大山祇大神(おおやまつみのおおかみ)で、山の神として山岳信仰の中心的存在です。摂社奥社には大雷神(おおいかずちのかみ)、前社には高龗神(たかおかみのかみ)が祀られており、これらの神々は古くから大天狗・小天狗とも称されてきました。

また、海人たちの守り神である鳥石楠船神(とりいわくすぶねのかみ)も合祀されており、山と海の両方の守護を司る神社として信仰されています。

ご利益としては、心願成就、商売繁盛、社運隆盛、農産安全、海上安全、大漁祈願などが知られており、特に事業の発展や家内安全を願う参拝者が多く訪れます。雨降山の名の通り、雨乞いの神としても古くから信仰されてきました。

大山阿夫利神社の見どころ・特徴

大山阿夫利神社|関東総鎮護の霊峰で紡がれる2200年の歴史と神々の加護を完全ガイド

大山阿夫利神社の最大の魅力は、霊峰大山に点在する荘厳な社殿群と、そこから望む関東平野の雄大な景色です。本社、下社それぞれに独特の魅力があり、四季を通じて多彩な表情を見せてくれます。

本社・下社の荘厳な社殿

標高1252メートルの大山山頂に鎮座する本社は、大山祇大神を祀る神域の中心です。山頂までは下社から約90分の登山道を歩く必要がありますが、そこには神聖な空気に満ちた荘厳な社殿が佇んでいます。本社の社前には「雨降木」と呼ばれるブナの大木があり、晴天時にも水滴をたたえる不思議な霊木として知られています。

一方、多くの参拝者が訪れる下社は、標高約700メートルの中腹に位置し、大きな拝殿がうっそうとした木立に囲まれて建っています。境内には獅子山や天満宮、浅間社などの摂末社があり、山頂への登拝門も設けられています。拝殿の石段下には参集殿や茶屋が軒を並べ、参拝者の憩いの場となっています。

また、下社の地下には大山名水の水飲み場があり、訪れる人々に清らかな御神水を提供しています。神社に伝わる貴重な品々を展示するコーナーも設けられており、大山の歴史と文化に触れることができます。

ミシュラン2つ星獲得の絶景

大山阿夫利神社からの眺望は、平成27年(2015年)にミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで2つ星を獲得した絶景として国際的に評価されています。下社からは関東平野を一望でき、相模湾をはじめ江ノ島、房総半島、伊豆大島まで見渡すことができます。

特に晴れた日には新宿の高層ビル群まで望むことができ、首都圏とは思えない雄大な景色が広がります。大山山頂からの眺めは「かながわの景勝50選」にも選ばれており、360度のパノラマビューを楽しむことができます。

夕暮れ時には関東平野に沈む夕日が美しく、夜景も格別です。「絵とうろうまつり」や紅葉のライトアップ期間中には、ケーブルカーの夜間運転も行われ、昼間とは異なる幻想的な景色を堪能できます。

四季折々の自然美

大山阿夫利神社は四季を通じて美しい自然に恵まれています。春には樹齢400年を超える大山桜が見事な花を咲かせ、参拝者の目を楽しませてくれます。社務局の裏手には山道があり、4本の古木をすべて巡ることができます。

夏は一面に広がる新緑が清々しく、登山道にはブナやモミの原生林が生い茂ります。大山の豊かな自然の中を歩くことで、都市部では味わえない森林浴を満喫できます。

秋には赤、橙、黄のグラデーションが美しい紅葉が山全体を彩ります。特に下社周辺の紅葉は見事で、毎年多くの観光客が訪れます。紅葉の時期にはライトアップも実施され、幻想的な夜の紅葉を楽しむことができます。

冬は雪化粧した大山の姿が厳かで美しく、澄んだ空気の中で参拝する体験は格別です。雪景色の中に佇む社殿は、より一層神聖な雰囲気を醸し出します。

重要文化財と神社の宝物

大山阿夫利神社には貴重な文化財が数多く保存されています。大山火祭薪能は300年にわたって大山に引き継がれている神事芸能で、伊勢原市の重要文化財に指定されています。袴姿の巫女が御神火を捧げ、静寂の中でかがり火が灯される幽玄な世界は、大山の自然を背景にした美しい光景です。

また、明治初期に奈良春日大社の社家から伝授された倭舞・巫女舞も貴重な文化遺産として受け継がれており、秋季例大祭などで奉納されます。能舞台においては能・狂言などの奉納も行われ、伝統芸能の宝庫としての側面も持っています。

神社には源頼朝が刀を納めたことに由来する「納太刀」の風習があり、木太刀を納める儀礼として現在も続いています。これらの伝統は江戸時代の大山詣りから受け継がれた独特な文化として、地域の貴重な遺産となっています。

参拝案内

大山阿夫利神社|関東総鎮護の霊峰で紡がれる2200年の歴史と神々の加護を完全ガイド

大山阿夫利神社への参拝は、ケーブルカーを利用して下社を訪れるのが一般的です。神聖な山岳信仰の聖地として、適切な参拝作法とマナーを心がけて訪れましょう。

参拝作法とマナー

大山阿夫利神社での参拝は、まず下社の手水舎で心身を清めることから始まります。左手、右手の順に清め、口をすすいで身を清めてから鳥居をくぐります。参拝の際は二拝二拍手一拝の作法に従い、心を込めて祈りを捧げましょう。

山岳信仰の聖地として、自然環境への配慮も重要です。ゴミは必ず持ち帰り、動植物の採取は厳禁です。登山道では他の参拝者や登山者への配慮を忘れず、静寂な山の環境を保つよう心がけましょう。

本社への登拝を希望する場合は、しっかりとした登山装備が必要です。下社から本社までは約90分の登山道となるため、登山靴、雨具、飲み物などの準備を整えてから向かいましょう。天候の急変もあるため、事前の天気確認も大切です。

年中行事・季節のイベント

大山阿夫利神社では一年を通じて様々な神事が執り行われています。毎年1月7日には筒粥神事が下社で行われ、江戸時代から続く伝統行事として親しまれています。古式にのっとり薪で炊いたお粥を小さな竹筒ですくい、形の崩れていない米粒の数で18種類の農作物の出来栄えを占う神事です。

8月27日から3日間にわたって開催される秋季例大祭は、大山全区をあげて行う盛大なお祭りです。阿夫利神社下社から男坂を御輿を担いで下りる勇壮な「お下り」で祭りの幕が開き、各町内では神輿の渡御が夜まで続きます。この期間中には倭舞・巫女舞の奉納や、能舞台での能・狂言の奉納も行われます。

秋には伊勢原秋豊会の方々が丹精込めて育てた菊の花が奉納され、下社に美しく展示されます。また、大山火祭薪能も秋に開催され、幽玄な世界を楽しむことができます。

夏の「絵とうろうまつり」では、ケーブルカーの夜間運転が行われ、昼間とは異なる神秘的な雰囲気を味わえます。紅葉の時期にもライトアップが実施され、夜の紅葉見物を楽しむことができます。

御朱印・お守り情報

大山阿夫利神社では4種類の御朱印をいただくことができます。山頂分、下社、社務局、下社でいただける浅間社の御朱印があり、各500円で授与されています。現在は書置きのみの対応となっており、山頂は社務所が開いていないため、山頂へ行った旨を下社に伝えることで山頂分の御朱印をいただけます。

お守りや授与品については、心願成就、商売繁盛、交通安全、学業成就など様々な種類が用意されています。特に大山詣りにちなんだお守りや、山岳信仰に関連したお守りが人気です。

御祈祷も随時受け付けており、七五三詣、初宮詣、厄除け、安全祈願など各種祈祷を行っています。詳細については事前に神社へお問い合わせいただくことをおすすめします。

アクセス・利用情報

大山阿夫利神社|関東総鎮護の霊峰で紡がれる2200年の歴史と神々の加護を完全ガイド

大山阿夫利神社へのアクセスは公共交通機関の利用が便利で、小田急線伊勢原駅からバスとケーブルカーを乗り継いで向かうのが一般的です。

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合は、小田急線伊勢原駅北口4番乗り場から神奈川中央交通バス「大山ケーブル」行きに乗車します。バスは平日・土日とも運行しており、約30分で終点の大山ケーブルバス停に到着します。

バス停からケーブルカー乗り場までは「こま参道」と呼ばれる参道を約15分歩きます。この参道には362段の階段があり、大山の特産品である「大山こま」をデザインしたタイルが踊り場ごとに設置されています。参道沿いには土産店や食事処、大山こまの工房などが軒を連ね、江戸時代の大山詣りの雰囲気を感じることができます。

大山ケーブル駅からは大山ケーブルカーに乗車し、約6分で阿夫利神社駅に到着します。駅から下社までは徒歩約2分です。

自動車でアクセスする場合は、新東名高速道路伊勢原大山インターチェンジから約15分です。東名高速道路を利用する場合は厚木インターチェンジから約30分となります。

拝観時間・料金・駐車場情報

大山阿夫利神社の参拝自体に料金はかかりませんが、ケーブルカーの利用には料金が必要です。ケーブルカーの運行時間は平日(月〜金)が9時から16時30分、土日が9時から17時となっています。ただし、季節や天候により運行時間が変更される場合があるため、事前に確認することをおすすめします。

駐車場については、伊勢原市営の駐車場が2箇所あります。市営第1駐車場は大山ケーブルバス停から約600メートル下にあり、普通車84台、大型車6台が駐車可能で、料金は普通車1日600円、大型車1日1500円です。

市営第2駐車場は大山ケーブルバス停のすぐ上にあり、普通車44台、二輪車6台が駐車可能で、料金は普通車1日1000円、二輪車1日200円です。なお、マイクロバスや観光バスなどの中型車以上は第2駐車場には駐車できません。

この他にも民営駐車場が複数あり、1日1000円程度で利用できます。紅葉シーズンなど混雑が予想される時期は、早めの到着をおすすめします。満車の場合は近隣の民間駐車場の利用も可能です。

神社が運営する阿夫利第一駐車場も令和4年に新設されており、普通車のみ利用可能です。

下社には「茶寮 石尊」が隣接しており、御神水で淹れた珈琲を味わいながら絶景を楽しむことができます。大山の悠久の自然と神社の魅力を感じながら、ゆっくりと過ごすことができる貴重な空間です。

住所:〒259-1107 神奈川県伊勢原市大山355

参照サイト

・大山阿夫利神社 公式ホームページ:https://www.afuri.or.jp/
・伊勢原市観光協会 公式ホームページ:https://isehara-kanko.com/history/afurijinja/
・伊勢原市公式サイト:https://www.city.isehara.kanagawa.jp/kankou_guide/docs/2014100700027/
・神奈川県神社庁:https://www.kanagawa-jinja.or.jp/shrine/1209278-000/
・大山観光電鉄(大山ケーブルカー):https://www.ooyama-cable.co.jp/access/

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