
盛岡八幡宮|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
岩手県盛岡市に鎮座する盛岡八幡宮は、300年以上の歴史を刻む岩手県内随一の大社です。南部藩主により建立されたこの神社は、農業、工業、商業、学問など人間生活に関わる幅広いご利益で、地域の人々に深く愛され続けています。
盛岡八幡宮の概要・基本情報
盛岡八幡宮は、現在「盛岡の顔」として市民に親しまれている岩手県を代表する神社です。朱塗りの美しい社殿が印象的で、境内には12もの摂末社が鎮座し、まさに「神社のテーマパーク」と呼ばれるほど多彩なご利益を授けてくれる特別な場所となっています。
歴史と由来
盛岡八幡宮の創建には二つの起源が伝えられています。一つは前九年の役の際、源頼義・義家父子が必勝を祈願するため、康平5年(1062)に創建したという説であり、もう一つが現在の盛岡八幡宮の直接の起源となる物語です。
現在の盛岡八幡宮は、延宝8年(1680)、第29代南部重信公により建立されました。南部藩主は八幡神を氏神として仰ぐ家柄で、盛岡城内に鳩森八幡宮を祀っていましたが、城下の発展と商業振興のため、新たな八幡宮の造営が必要となりました。
約1万5千坪の広大な境内地を定めて寛文11年に着手された造営工事は約8年を要し、延宝8年にご本殿をはじめ、流鏑馬馬場等の主な建物や施設が整いました。同時に門前町である八幡町も完成し、盛岡八幡宮とともに発展してきた歴史があります。
祭神とご利益
盛岡八幡宮の主祭神は品陀和気命(第15代応神天皇)です。この神様は農業、工業、商業、学問、衣食住など人間生活の根源の神として、昔から地域の人々の多大なる崇敬を集めてきました。
特に商売繁盛、学業成就、家内安全、交通安全などのご利益で知られており、現代においても多くの参拝者が様々な願いを込めて訪れています。八幡神は武神としての性格も持ち、勝負事や困難を乗り越える力を授けてくれるとして信仰されています。
盛岡八幡宮の見どころ・特徴
建造物・構造の魅力
現在の社殿は平成9年12月に新八幡宮として建て直された比較的新しい建物ですが、その美しさと格式の高さは圧倒的です。色あざやかな彫刻の施された朱塗りの大社殿が、新しい「盛岡の顔」として堂々たる風格を漂わせています。
社殿の建築的特徴として注目すべきは、拝殿の内外には、岩手県の「県花」である桐の花の彫刻が華麗な装飾が随所にほどこされています点です。これらの装飾は岩手県の象徴を神社建築に取り入れた貴重な例といえるでしょう。
また、拝殿の正面には扉がありますが、誰でも、いつ何時でも参拝できるようにと、24時間扉が閉められることはありませんという配慮も、参拝者への思いやりを表しています。
境内の特色ある施設
盛岡八幡宮の大きな特徴は、境内に12もの社があるパワースポットとして知られていることです。それぞれの社には異なるご利益があり、参拝者は自分の願いに応じてお参りすることができます。
特に人気が高いのは商売繁盛のご利益があるという「笠森稲荷神社」。盛岡八幡宮が建立される前から八幡山の山頂に祀られていたという境内で最も古い神社です。
その他にも、良縁成就の「縁結美(えんむすび)神社」や安産・子孫繁栄の「梅宮」、料理の神様を祀る「高倍神社」など、多様な摂末社が配置されています。
境内のユニークな見どころとして、運試しの甕があります。これは本殿近くに位置し、1円玉を入れて浮かべば幸運が訪れるとされる人気のスポットです。また、釣糸でおみくじの入った金目鯛を釣る「目出鯛おみくじ」なども、遊び心あふれる要素として参拝者に愛されています。
四季の風景と魅力
盛岡八幡宮は一年を通じて美しい風景を楽しめる神社です。春には桜が境内を彩り、秋には紅葉が朱塗りの社殿と美しいコントラストを描きます。特に拝殿前の手水舎は季節ごとに工夫された花手水が施され、訪れる人々の目を楽しませています。
冬の雪景色もまた格別で、雪化粧をした朱塗りの社殿は荘厳な美しさを醸し出します。ただし、冬季は境内の一部が凍結してスケートリンクのようになる場所もあるため、足元には十分な注意が必要です。
参拝案内
盛岡八幡宮は多くの参拝者を迎える岩手県内最大級の神社として、様々な参拝の機会とマナーを大切にしています。正しい参拝方法を理解して、より有意義な参拝体験を楽しみましょう。
参拝作法とマナー
盛岡八幡宮では、一般的な神社参拝の作法に従って参拝します。まず、入口の鳥居をくぐる際は一礼し、参道の中央は神様の通り道とされるため、端を歩くよう心がけましょう。
手水舎では左手、右手の順に清め、最後に口をすすいで身を清めます。参道には十二支が刻字されており、自分の干支を見つけながら歩く楽しみもあります。
拝殿では二拝二拍手一拝の作法で参拝し、願いを込めてお祈りします。拝殿の正面には扉がありますが、24時間開放されているため、いつでも参拝が可能です。また、拝殿内部には「鳩狛犬」も見ることができ、八幡神の使いである鳩への信仰を感じることができます。
年中行事・季節のイベント
盛岡八幡宮では一年を通じて多彩な行事が開催されます。最も有名なのは9月14日から16日まで開催される「盛岡八幡宮例大祭」です。この祭りは宝永6年(1709)に始まったとされ、華麗な風流山車が町中を練り歩き、勇壮な南部流鏑馬が奉納される盛岡最大の祭典です。
山車行事では、歌舞伎や歴史上の名場面などを題材とした人形を飾った山車が市内を巡行し、消防団(祭りの時は火消しの組名)が中心となって「音頭上げ」と呼ばれる七・七・七・五の文句を独特の節に乗せて歌います。
新春には岩手県内一の人出を誇る初詣(20万人以上)をはじめ、1月15日の「どんと祭」「裸参り」、2月3日の「節分祭」「火防祭」が開催されます。また、6月には「茅の輪祭り」、毎年6月には滝沢市の蒼前神社から色鮮やかな装束で着飾った馬たちが行列をなす神事「チャグチャグ馬コ」でも知られています。
御朱印・お守り情報
盛岡八幡宮では様々な御朱印やお守りを授与しています。御朱印は神職常駐で直書きしていただけ、受付時間は9時から17時です。初穂料は500円で、書置きでも対応可能です。
御朱印帳も頒布されており、青が基調のものと薄いピンクが基調のものの2種類があります。大判サイズで初穂料は3000円となっており、盛岡八幡宮と隣接する盛岡護国神社の二社の御朱印、御朱印袋の代金が含まれています。
お守りについては、恋愛成就、健康祈願、交通安全など多種多様な種類が用意されています。特にユニークなものとして「目標達成守」や「うまくいく守」、受験シーズンに人気の「ころんでたまるか守」などがあり、お土産としても喜ばれています。授与品の受付時間は10時からとなっています。
アクセス・利用情報
盛岡八幡宮へのアクセスは公共交通機関と自動車のどちらも利用しやすく、県内外から多くの参拝者が訪れています。
交通アクセス
公共交通機関を利用する場合は、JR盛岡駅東口の5番のりばより岩手県交通バスを利用します。「251・252 茶畑(中野一丁目)行」や「422・404・611・612」に乗車した場合は「八幡宮前」で下車してすぐです。また、「401・402・403・423・510」に乗車した場合は「山王下」で下車し、徒歩5分程度です。バスの所要時間は約15-20分で、料金は区間により異なります。
なお、八幡宮の諸行事に伴い、「八幡宮前」を経由する路線は経路変更する場合があるため、その際は「山王下」を経由する路線の利用をおすすめします。
自動車でのアクセスは、東北自動車道盛岡ICより約15分です。盛岡駅からは約10分程度でアクセス可能です。
<住所> 岩手県盛岡市八幡町13-1
拝観時間・料金・駐車場情報
盛岡八幡宮の参拝は24時間可能で、拝殿の扉も常時開放されています。祈祷時間は9時から17時までとなっており、御朱印の受付も同様の時間帯です。参拝料は無料です。
駐車場については、境内に参拝者用の無料駐車場が完備されています。収容台数は約200台程度で、大型の駐車場となっています。ただし、例大祭などの大きな行事の際には利用できない場合や混雑が予想されるため、周辺の時間貸駐車場の利用も検討することをおすすめします。
周辺には複数の予約制駐車場やコインパーキングがあり、タイムズ盛岡八幡町(徒歩約4分)、タイムズ盛岡志家町(徒歩約8分)などが利用可能です。特に初詣や例大祭の期間中は、確実に車室を確保したい場合は事前予約可能な駐車場の利用が安心です。
車椅子をご利用の方には、表参道階段の上、社殿近くに車椅子専用駐車場が設けられており、拝殿左手にはスロープも完備されているため、安心して参拝できます。
参照サイト
・盛岡八幡宮 公式ホームページ:https://morioka8man.jp/