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盛岡天満宮|歴史ある学問の神社の魅力と啄木ゆかりの名物狛犬、参拝案内を完全ガイド

盛岡天満宮|歴史ある学問の神社の魅力と啄木ゆかりの名物狛犬、参拝案内を完全ガイド

盛岡市の小高い丘に静かに佇む盛岡天満宮は、学問の神様として親しまれる菅原道真公を祀る由緒ある神社です。石川啄木が青春時代に散策と読書を楽しんだ地として知られ、境内にある愛嬌たっぷりのユニークな狛犬は全国的な話題となっています。歴史と文学が息づく静寂な空間で、盛岡の街並みを眺めながら心穏やかなひとときを過ごしてみませんか。

盛岡天満宮の概要・基本情報

盛岡天満宮|歴史ある学問の神社の魅力と啄木ゆかりの名物狛犬、参拝案内を完全ガイド

盛岡天満宮は岩手県盛岡市新庄町の天神山に位置する神社で、学問・文芸の神として崇敬される菅原道真公を主祭神としています。盛岡城下の東側に立地し、境内からは盛岡市街を一望できる絶好のロケーションにあります。現在でも多くの受験生や学生が合格祈願に訪れる、地域に愛され続ける学問の聖地です。

歴史と由来

盛岡天満宮の創建年代は明確ではありませんが、現在地への遷座は延宝7年(1679年)と記録されています。盛岡藩主である南部氏が三戸時代から祀っていた古社と推測され、約340年以上の歴史を持つ由緒ある神社です。

天満宮が建立される以前、この地には室町時代に斯波氏の家臣が築いた花垣館という居館がありました。現在の本殿は、この花垣館の主郭部分に建てられており、境内で発見される古銭などはその時代の遺物と考えられています。江戸時代には盛岡城下の鎮守として、また学問成就を願う人々の信仰を集めてきました。

明治時代以降は特に文学者との縁が深く、石川啄木が盛岡中学時代に頻繁に訪れた散策地として知られています。啄木はこの地を「天神山」と呼び、読書や思索にふけった青春の思い出の場所としていました。

祭神と学問のご利益

主祭神である菅原道真公は、平安時代の学者・政治家・漢詩人として活躍した人物です。幼少より優れた才能を発揮し、5歳で和歌を、11歳で漢詩を詠むなど、その学問的才能は朝廷でも高く評価されました。右大臣まで昇進しましたが、政争により太宰府に左遷され、現地で没しました。

死後、都で相次いだ天変地異が道真公の怨霊の仕業とされ、その霊を鎮めるために全国各地に天満宮が建立されました。時代が下るにつれて怨霊としての恐れは薄れ、むしろ生前の学問的業績が注目されるようになり、「学問の神様」として広く信仰されるようになりました。

盛岡天満宮では、学業成就・合格祈願を中心に、商売繁盛・家内安全・病気平癒・厄除けなど幅広い願い事にご利益があるとされています。特に受験シーズンには多くの学生や保護者が参拝に訪れ、境内には合格を願う絵馬が数多く奉納されています。

盛岡天満宮の見どころ・特徴

盛岡天満宮の魅力は、歴史ある境内に点在する個性豊かな見どころにあります。石川啄木ゆかりの文学的な価値と、自然が織りなす美しい景観、そして長い歴史が刻まれた石造物群が調和した、他では味わえない独特の雰囲気を醸し出しています。

石川啄木愛用のユニークな狛犬

盛岡天満宮で最も有名な見どころが、境内にある一対のユニークな狛犬です。一般的な狛犬とは大きく異なる人間のような愛嬌ある表情で、「人面狛犬」とも呼ばれ親しまれています。この狛犬は明治36年(1903年)6月に、盛岡市上小路の石工・高畑源次郎が病気平癒のお礼として自ら彫刻して奉納したものです。

石川啄木はこの狛犬を「石馬」と呼んで愛し、小説「葬列」の中で「俺は生まれてから未だ世の中といふものが西にあるか東にあるか知らないのだ、と云った様な顔だ」と表現しました。当時の狛犬は地面に直接置かれており、子供たちが馬乗りになって遊んでいたため、啄木は親しみを込めて「石馬」と呼んでいたのです。

現在、狛犬は啄木の短歌が刻まれた石の台座の上に鎮座しています。向かって右の台座には「夏木立中の社の石馬も汗する日なり君をゆめみむ」、左の台座には「松の風夜晝ひびきぬ人訪はぬ山の祠の石馬の耳に」という歌が刻まれており、文学と石造美術が見事に融合した貴重な文化遺産となっています。

境内の自然と石造物の魅力

境内には「銭湧石」と呼ばれる高さ約2メートル、幅約5メートルの花崗岩の巨石があります。この岩の亀裂から無数の古銭が発見されたことからその名が付けられ、現在では岩の割れ目から梅の木が自生して「石割梅」とも呼ばれています。盛岡市内には石割桜や三ツ石神社など巨石にまつわる名所が多く、この石割梅もその一つとして大切に保護されています。

境内の自然は四季折々の美しさを見せ、特に春の梅の開花時期は見事です。小高い丘という立地を生かした境内からの眺望も素晴らしく、盛岡市街から遠くは岩手山まで望むことができます。石川啄木や宮沢賢治が青春時代を過ごした盛岡の街並みを一望できる絶好の展望スポットでもあります。

また、境内には撫で牛の石像もあり、天満宮の象徴的な存在として参拝者に親しまれています。菅原道真公と牛との深い縁にちなんだもので、体の悪い部分と同じ箇所を撫でると病気が治るという信仰があります。

歴史的価値ある記念碑群

境内には石川啄木関連の歌碑が複数設置されており、文学ファンにとって貴重なスポットとなっています。啄木の直筆を大きな石碑に刻んだものをはじめ、狛犬の台座や狐の台座にもそれぞれ歌が刻まれ、合計4つの歌碑を見ることができます。これらは全国で3番目に建てられた石川啄木歌碑として歴史的価値も高く評価されています。

松尾芭蕉の句碑も境内の見どころの一つです。「古池や蛙とびこむ水の音 芭蕉翁」の俳句が刻まれた石柱があり、その台座には愛らしい石蛙の彫刻が施されています。江戸時代の俳聖と明治の歌人、異なる時代の文学者を同時に偲ぶことができる貴重な空間となっています。

近年建立された記念碑として、盛岡菅公会創立90年を記念した石碑があります。この石碑に刻まれた「盛岡天満宮」の文字は、元内閣総理大臣・安倍晋三氏の直筆によるもので、話題となっています。安倍氏は陸奥六郡を統治していた安倍氏の末裔とされており、盛岡の地との歴史的な縁を感じさせる興味深いエピソードです。

参拝・拝観案内

盛岡天満宮では、学問の神様への敬意を込めた正しい参拝作法で心を込めてお参りすることが大切です。境内は自然豊かで静寂に包まれており、ゆっくりと散策しながら歴史と文学の香りを感じることができます。

参拝作法とマナー

天満宮での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従います。まず鳥居をくぐる際には一礼し、参道は中央を避けて歩きます。手水舎で心身を清め、拝殿前では「二拝二拍手一拝」の作法でお参りします。

学問成就や合格祈願を願う際は、具体的な目標や願い事を心の中で明確に伝えることが推奨されています。天満宮では特に、努力を重ねることへの決意とともに祈願することで、菅原道真公のご加護をいただけるとされています。

境内散策の際は、石川啄木が愛した狛犬や歌碑を静かに観賞し、撮影する場合は他の参拝者への配慮を忘れずに行いましょう。銭湧石や石割梅などの自然遺産も大切に保護されているため、触れたり登ったりすることは控えてください。

御朱印・お守り情報

盛岡天満宮では、参拝の記念として御朱印をいただくことができます。社務所の受付時間は午前9時から午後5時までとなっており、丁寧に書いていただけます。御朱印には「盛岡天満宮」の印と菅原道真公を表す「天満大自在天神」の印が押され、参拝の良い記念となります。

お守りや絵馬も各種取り揃えられており、特に学業成就・合格祈願のお守りが人気です。受験生にとって縁起の良い「合角将棋駒」のストラップは、将棋の角行の裏が「合」となることから「合格行き」の語呂合わせで話題となっています。

また、境内の名物である狛犬をモチーフにしたストラップなども販売されており、ユニークなお土産として喜ばれています。絵馬には合格祈願をはじめ、家内安全、商売繁盛など様々な願い事が書かれ、境内に奉納されています。

アクセス・利用情報

盛岡天満宮は盛岡市中心部からアクセスしやすい立地にあり、公共交通機関でも車でも訪れることができます。小高い丘の上という特性を生かした眺望も楽しみの一つとなっています。

交通アクセス

JR盛岡駅から盛岡天満宮へは複数のアクセス方法があります。徒歩の場合は約40分かかりますが、盛岡城跡公園や中ノ橋通りなど盛岡の名所を巡りながら歩くことで、街の魅力を感じながら到着できます。

盛岡都心循環バス「でんでんむし」を利用する場合は、盛岡駅から主要観光地を結ぶ便利な交通手段として人気です。どこまで乗っても120円という料金設定で、「上の橋町」または「若園町」バス停で下車し、そこから徒歩約10分で盛岡天満宮に到着します。

車でのアクセスの場合、JR盛岡駅から約10分の距離にあります。国道4号線や盛岡環状道路からのアクセスも良好で、カーナビゲーションシステムでは「盛岡天満宮」で検索すると正確に案内されます。

拝観時間・料金・駐車場情報

盛岡天満宮の境内は基本的に24時間参拝可能ですが、社務所での御朱印やお守りの授与は午前9時から午後5時までとなっています。ただし、時期や行事によって受付時間が午前10時から午後3時に変更される場合があるため、確実に御朱印をいただきたい場合は事前に確認することをお勧めします。

参拝料は無料で、どなたでも自由に境内を散策できます。ただし、境内は神聖な場所であることを心に留めて、静粛に参拝することが大切です。

駐車場は境内に約10台分が用意されており、無料で利用できます。ただし、初詣や受験シーズンなどの繁忙期には満車となる可能性があるため、公共交通機関の利用も検討してください。駐車場は狭いため、大型車両での来訪は困難です。

境内へのアクセスは石段を上る必要がありますが、最近石段の補修工事が完了し、より安全で歩きやすくなりました。石段からの盛岡市街の眺望は素晴らしく、石川啄木が眺めた同じ景色を楽しむことができます。

<住所> 〒020-0806 岩手県盛岡市新庄町5-43

参照サイト

・盛岡天満宮公式ホームページ:https://moriokatenmangu.com/

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