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龍潭寺|井伊家ゆかりの寺院と美しい庭園の魅力を完全ガイド

龍潭寺|井伊家ゆかりの寺院と美しい庭園の魅力を完全ガイド

滋賀県彦根市の佐和山麓に佇む龍潭寺は、井伊家代々の菩提寺として400年以上の歴史を刻む名刹です。「庭の寺」とも称される美しい庭園と、3000体ものだるまが安置される「だるま寺」としての顔を併せ持つ、魅力あふれる寺院として多くの参拝者に親しまれています。

龍潭寺の概要・基本情報

龍潭寺|井伊家ゆかりの寺院と美しい庭園の魅力を完全ガイド

龍潭寺は滋賀県彦根市古沢町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号は弘徳山、本尊は釈迦如来で、井伊家の菩提寺として深い歴史を持ちます。「だるま寺」や「庭の寺」とも呼ばれるこの寺院は、静岡県浜松市にある同名の龍潭寺から分寺された由緒ある寺院として知られています。

歴史と由来

龍潭寺の歴史は奈良時代にまで遡ります。天平5年(733年)遠江国引佐郡(現・静岡県浜松市浜名区引佐町)に行基によって開かれたと伝えられるのが始まりで、平安時代中期一条天皇のころに井伊共保がここで葬られたことから、井伊氏の菩提寺となったとされています。

現在の彦根の龍潭寺は、慶長5年(1600年)に井伊直政が近江国佐和山城に転封となると、龍潭寺の五世昊天宗建禅師を当地に招いて遠江国から分寺して建立したのがこの寺であるという経緯で創建されました。井伊家が彦根に移封された際に、家の菩提寺も共に移されたという歴史的背景があります。

宗派と教え

龍潭寺は臨済宗妙心寺派に属する禅宗寺院です。臨済宗妙心寺派の寺院となったのは室町時代末期井伊直平の代のようであるとされており、禅の教えを基盤とした修行道場としての役割も果たしてきました。

特筆すべきは、龍潭寺には禅宗の大学寮が併設されており、その中に造園を学ぶ園頭科(えんずか)があったという点です。これが造園専門学校の始まりとされています。学僧が実習として作った庭などが現在も残り、庭の寺ともいわれています。このような教育機関としての側面も、龍潭寺の重要な特色の一つです。

龍潭寺の見どころ・特徴

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龍潭寺は建造物、庭園、文化財のすべてにおいて見どころが豊富な寺院です。禅宗寺院らしい落ち着いた佇まいの中に、歴史の重みと芸術的価値が凝縮されています。

建造物・構造の魅力

龍潭寺の境内には、江戸時代に建立された貴重な建造物が数多く残されています。江戸時代中・後期に建立された禅寺らしいわびたたたずまいの山門や仏殿が見えてきます。参道は潭龍寺垣と呼ばれる竹垣が続く参道となっており、訪れる人々を静寂な空間へと誘います。

中でも方丈は元和3年(1617年)建立の歴史ある建物で、彦根にある数少ない方丈建築の1つです。この方丈には多くのだるまが祀られていることから、「だるま寺」の名前の由来ともなっています。

また、井伊直弼(なおすけ)や小堀遠州が茶の湯を楽しんだ飄々庵(ひょうひょうあん)などの茶室は、佐和山城の城門を利用したといわれており、戦国時代から江戸時代への歴史の転換点を物語る貴重な建造物として注目されています。

庭園の美しさと特色

龍潭寺の最大の魅力は、異なる趣を持つ複数の庭園です。広い庭園は、佐和(さわ)山を借景に作られています。

方丈南庭「ふだらくの庭」は枯山水庭園で、白砂に48個の石を配した石庭として知られています。この庭園は昊天宗建による作庭とされ、禅の世界観を表現した静寂な美しさを持ちます。

一方、書院東庭「蓬莱池泉庭」は池泉鑑賞式庭園で、山を背景に大きな池が横たわる池泉鑑賞式庭園です。こちらも昊天宗建による作庭で、彦根市指定名勝に指定されています。

さらに書院北庭「露地庭(ろじてい)」もあり、その上に上段庭があります。後丘上には夢窓疎石(むそうそせき)や諸禅師(しょぜんし)、小堀遠州の供養塔や造園史の先賢をまつる庭聖殿があり、見る庭だけでなく、考える庭、思う庭、さらに拝む庭などいろいろな庭があるといわれます。

文化財・重要な所蔵品

龍潭寺には貴重な文化財が数多く保存されています。特に注目すべきは方丈の襖絵で、方丈襖絵前104面は、蕉門十哲(じゅってつ)の1人森川許六(もりかわきょりょく)によって描かれたもので、東庭とともに市指定の文化財になっています。

森川許六は明暦2年(1656)、彦根藩士の子として城下に生まれまた。蕉門(しょうもん)十哲の一人として俳人として高名であり、また絵を狩野派の永野安信に学ぶなど諸芸に通じた多才の人として知られています。襖絵には農耕図、牡丹唐獅子図(ぼたんからじしず)などが描かれています。

また、方丈には佐和山城にあったとされる襖もあり、戦国時代の貴重な遺品として価値を持ちます。寺院裏山の墓地には彦根御前とうたわれた井伊直弼(なおすけ)の母の墓や、直弼の側室であった里和の文塚など、多くの史跡が残っています。

さらに藍渓和尚伝来の七福神も拝観できます。

参拝・拝観案内

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龍潭寺での参拝は、禅宗寺院としての作法を理解して行うとより深い体験となります。境内では静寂を保ち、庭園の美しさとともに心の平安を得ることができるでしょう。

参拝作法とマナー

臨済宗の寺院として、龍潭寺では禅の精神に基づいた参拝を心がけましょう。山門をくぐる際は一礼し、境内では静かに歩くことが大切です。庭園拝観の際は、指定された場所からの鑑賞を守り、庭園内への立ち入りは控えましょう。

方丈でのだるま拝観や庭園見学の際は、写真撮影の可否について事前に確認することをおすすめします。禅宗寺院の静寂な雰囲気を大切にし、他の参拝者への配慮も忘れずに行いましょう。

年中行事・季節のイベント

龍潭寺では毎年4月1、2日に「だるま祭り」が行われることで有名です。この祭りは龍潭寺の最大の年中行事で、多くの参拝者が訪れます。

春には境内の桜が美しく咲き誇り、庭園の新緑とともに清々しい景色を楽しむことができます。秋には紅葉が庭園を彩り、特に借景の佐和山の紅葉と相まって絶景を作り出します。四季それぞれに異なる表情を見せる庭園は、何度訪れても新たな発見があります。

御朱印・お守り情報

龍潭寺では御朱印をいただくことができます。びわ湖百八霊場第55番 楊柳観世音菩薩、近江湖東二十七名刹霊場第2番 楊柳観世音菩薩、井伊家ゆかりの神様・ほとけ様十六巡り霊場第9番札所として位置づけられており、霊場巡りの一環として訪れる方も多くいらっしゃいます。

御朱印については拝観時間内にお願いできますが、だるま祭りなどの行事の際は混雑が予想されますので、時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。

アクセス・利用情報

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龍潭寺への訪問を計画される際は、事前にアクセス方法と利用情報を確認しておくことが大切です。公共交通機関と自家用車、どちらでもアクセス可能です。

交通アクセス

電車でのアクセスは、JR東海道本線 彦根駅より徒歩20分(彦根駅前にレンタサイクルあり)となります。また、彦根駅より巡回バス「龍潭寺」バス停下車徒歩2分のルートも利用できます。より詳しくは、JR琵琶湖線(東海道本線)・近江鉄道本線(彦根・多賀大社線)彦根駅から湖国バス(城北・大藪線)で「彦根グリーンハイツ」停留所下車、徒歩10分というアクセス方法もあります。

自家用車でのアクセスの場合は、名神高速道路彦根インターチェンジから約10分程度の距離にあります。佐和山方面へ向かい、住宅地を抜けて山麓へ向かうルートとなります。

<住所> 〒522-0006 滋賀県彦根市古沢町1104

拝観時間・料金・駐車場情報

拝観時間は9:00〜16:00となっています。ただし、季節によって変更される場合もありますので、事前に確認することをおすすめします。

拝観料については、詳細は公式サイトをご確認ください。だるま祭りなどの特別な行事の際は、通常とは異なる料金体系となる場合があります。

駐車場は境内に設けられており、一般的な乗用車であれば利用可能です。ただし、だるま祭りなどの混雑時には満車となる可能性もありますので、公共交通機関の利用も検討してください。

団体での拝観をご希望の場合は、事前に連絡を取ることをおすすめします。庭園の解説なども含めて、より充実した拝観体験を得ることができるでしょう。

参照サイト

・龍潭寺:観光情報 – 公益社団法人 彦根観光協会:https://www.hikoneshi.com/sightseeing/article/ryotanji
・滋賀県観光情報[公式観光サイト]滋賀・びわ湖のすべてがわかる!:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1205/

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