
伊勢山皇大神宮|横浜総鎮守の由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
横浜みなとみらいの高台に鎮座し、”関東のお伊勢さま”として親しまれる伊勢山皇大神宮は、明治時代の横浜開港とともに歩んできた由緒ある神社です。天照大御神を御祭神とし、横浜の総鎮守として多くの人々の信仰を集める神聖な場所の魅力と歴史、参拝情報をご紹介します。
伊勢山皇大神宮の概要・基本情報
伊勢山皇大神宮は、明治3年(1870年)に創建された神奈川県横浜市西区宮崎町にある神社です。天照大御神を御祭神とし、明治初年に国費を以て創建された歴史ある神社で、神奈川県の宗社、横浜の総鎮守として重要な位置を占めています。境内からは横浜港や街並みを一望でき、都市部にありながら静寂と神聖さを保つ貴重な空間となっています。
歴史と由来
伊勢山皇大神宮の創建には、横浜開港という時代背景が深く関わっています。一寒村であった横浜は開港場となり、貿易の街として急速に発展した。神奈川県はキリスト教を始めとする外来文化に接する横浜の精神的支柱とするために、神社信仰の確立が必要と考えたのです。
そこで神奈川県は、武蔵国の国司が勅命によって伊勢神宮から勧請したと伝わる、戸部村海岸伊勢の森の山上の神明社を同年4月に現在地の野毛山に遷座させました。この遷座により、横浜の港を見下ろす高台に新たな神社が誕生し、急速に発展する横浜の人々の心の支えとなったのです。
興味深いことに、1875年(明治8年)に神奈川県は太政官に対し、伊勢山皇大神宮を伊勢神宮の別宮へと昇格するように願い出るほど、当時の関係者は神社の格式向上に意欲的でした。結果的にこの申請は却下されましたが、それほど重要視されていた神社であることがわかります。
祭神とご利益
伊勢山皇大神宮の御祭神は天照皇大神です。全ての生命の源である太陽をつかさどり、神々の世界・高天原(たかまのはら)を統治される女神で、皇室のご祖先であり、我々の祖先に稲穂をお授け下さり、お米を大切にするように定められました。
天照大御神から授かるご利益は多岐にわたります。家内安全商売繁盛・交通安全・厄除開運・安産祈願・縁結び・学業成就・健康祈願・開運招福・心願成就など、人生のあらゆる場面での守護を願うことができます。特に光と繁栄を象徴するこの神様は、家内安全、身体健康、学業成就、交通安全など、幅広いご利益を授けるとされています。
また境内には杵築宮もあり、豊受姫大神、須佐男命、大国主命、姥母大神、底・中・上筒男神(住吉三柱神)が祀られています。豊受姫大神は、明治初年、特に養蚕関係者の信仰が厚く生糸及び蚕種の守護神として崇敬を集めました。
伊勢山皇大神宮の見どころ・特徴
伊勢山皇大神宮は、歴史ある建造物と美しい自然が調和した見どころの多い神社です。境内には長い石段の参道があり、奥行がある石段と広めの踊り場。この組み合わせを何セットか越え、高台へと緩やかに上がっていきます。参拝者は段階的に心を清めながら神域に向かうことができます。
建造物・構造の魅力
現在の社殿は関東大震災後に再建されたもので、旧来の社殿は関東大震災の禍を蒙り、ことごとく倒壊し、現在の御社殿は昭和3年、新たに復旧建造されたものです。本殿は神明造りの美しい建築様式で、伊勢神宮の影響を受けた荘厳な造りとなっています。
参道には二つの鳥居があり、表参道の一の鳥居は昭和45年、御鎮座100年を記念し横浜金沢の相川文五郎氏より寄贈されたもので、総檜造り、二の鳥居は昭和55年、御鎮座百拾年を記念して建造されました。興味深いことに、当社では「二之鳥居」と呼び、ナンバリングが一般と逆になっています。
自然・景観の美しさ
境内は都心部にありながら豊かな緑に囲まれており、樹齢100年を超えるご神木や、四季折々の花々が咲き誇る庭園があります。桜の花が社紋であることからもわかるように、春には美しい桜が境内を彩ります。
高台に位置するため、境内からは横浜港やランドマークタワーなどの景色を望むことができ、境内から見える横浜ランドマークタワーの眺めは参拝者に人気のスポットとなっています。この立地の良さから、都会の喧騒を離れて心身を清めたい時に訪れるのに最適な場所とされています。
境内の文化財・重要な施設
境内には歴史的な価値のある施設が点在しています。特に1874年(明治7年)1月に神奈川県により伊勢山皇大神宮の表参道に建立された「横濱伊勢山碑」には「神宮別宮」と刻まれており、同年2月23日発行の横浜毎日新聞968号には、付録として碑の全文が掲載されていた。この碑は、今も表参道大鳥居の横に残されているなど、明治時代の歴史を物語る貴重な文化財があります。
また、本殿左側の社殿、唯一神明檜造りの杵築宮は、建築的にも価値のある構造物です。境内には他にも鳥居の左手、木柵越しに見ることができます。この社は「境内案内図」に掲載されておりません。前回参拝時、授与所に尋ねたところ、水神社とのことなど、ひっそりと佇む小さな社もあり、探索の楽しみを提供しています。
参拝・拝観案内
伊勢山皇大神宮では、日々多くの参拝者が訪れ、心を込めて参拝しています。通常のご参拝は午前九時より午後五時までとなっており、また初宮参りや七五三参りなどのお祝い事、また安産・厄除・家内安全などの特別なお願い事がある時には、ご神前で祈願を行います。ご祈願の受付は、午前九時より午後四時三十分までとなっています。
参拝作法とマナー
伊勢山皇大神宮では、正しい参拝作法を守って心清らかに参拝することが大切です。手水では手を洗い、口をすすぎます。手や口を洗い清めることは禊を簡略化した儀式です。身も心も清め、清々しい気持ちでお参りください。
手水の作法については、基本的な流れに従って行います。まず右手で柄杓を持って左手を清め、次に左手で柄杓を持って右手を清めます。再び右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口をすすいだ後、最後に柄杓の柄を清めて元の位置に戻します。
御神前では清々しい気持ちで「感謝の心」を捧げてお参りくださいという神社からの案内の通り、参拝では願い事だけでなく、日頃の感謝の気持ちを込めることが重要とされています。
年中行事・季節のイベント
伊勢山皇大神宮では年間46件の恒例祭典が執り行われ、特に5月15日の例祭と11月23日の新嘗祭は、盛大に斎行されます。また1月1日と5月15日をのぞく毎月1日・15日は、午前8時30分より月次祭を執り行います。
主要な年間行事として、1月1日の歳旦祭に始まり、2月3日の節分祭、2月11日の紀元祭、春分の日の春季皇霊祭遥拝式、そして明治三年の旧暦4月15日に、伊勢山皇大神宮が創建されたことにちなむお祭りである5月15日の例祭があります。
現在の敬老の日は、9月の第3月曜日とされていますが、本来は9月15日に定められていました。この日の月次祭に合わせ、高齢者を敬愛し、その長寿を祝う敬老祭を執り行いますほか、11月23日の新嘗祭まで、四季を通じて様々な祭典が行われています。
特に注目すべきは摂社・杵築宮のお祭りです。杵築宮には、野毛一帯の氏神である子之大神さまも合わせお祀りされているため、周辺の町内に御神輿が繰り出します。特に二年に一度の連合神輿渡御では、伊勢山皇大神宮の境内に七基の御神輿が集結し、勇壮な宮出しが行われますなど、地域に根ざした祭事も魅力的です。
御朱印・お守り情報
伊勢山皇大神宮では、御朱印は「伊勢山皇大神宮」の朱印に、社紋の桜の印が特徴的な御朱印をいただくことができます。御朱印は、本殿正面にして右側の授与所にていただけます。
令和二年(2020)は創建百五十年の記念すべき年のため限定御朱印を用意。同年夏には限定の夏詣御朱印も用意されたなど、季節や記念日に合わせた特別な御朱印も頒布されています。また伊勢山皇大神宮は京急夏詣キャンペーンにも参画しています。
お守りについては、当宮で頒布されております授与品の一部をご紹介いたします。頒布を行う授与所には神職・巫女がおりますので、お気軽にご相談下さいとあるように、豊富な種類が用意されています。身体健康のお守りです。二種の絵柄は当宮のオリジナルですなど、独自性のある授与品も特徴的です。
横浜にちなんだ柄のキティちゃん御守りが可愛いですといった現代的なお守りも人気で、幅広い年代の参拝者に愛されています。お神札については伊勢の神宮のお神札(小大麻)です。1,500円や伊勢山皇大神宮のお神札です。1,500円などが頒布されています。
アクセス・利用情報
伊勢山皇大神宮は横浜の中心部からアクセスしやすい立地にありながら、高台という特別な環境に位置する神社です。電車でのアクセスが便利で、複数の駅から徒歩圏内となっています。
交通アクセス
電車でのアクセスは、桜木町駅(JR線・市営地下鉄線)より徒歩10分、日ノ出町駅(京浜急行)より徒歩10分、みなとみらい駅(みなとみらい線)より徒歩15分となっています。最も利用しやすいのは桜木町駅で、JR根岸線・東海道線と横浜市営地下鉄ブルーラインが乗り入れています。
桜木町駅から徒歩10分。伊勢山皇大神宮を目指して歩くと入りくんだ道になるのでわかりにくいのですが、成田山横浜別院を目指して歩くとわかりやすいですというアドバイスがあります。桜木町駅からは紅葉坂を上る形になり、途中信号を渡り少し坂登ると目印となる看板がありました。伊勢山皇大神宮まで280m。ここから本格的な登りがはじまります。
バスでのアクセスも可能で、紅葉坂バス停より徒歩5分、戸部1丁目バス停より徒歩5分となっています。
車でお越しの場合は、首都高速横羽線:みなとみらいランプより5分、東名高速・保土ヶ谷バイパス・横浜横須賀道路:狩場インターから高速3号阪東橋ランプより7分となっています。ただし県立青少年センター、県立図書館側からは駐車場に入ることが出来ませんのでご注意下さい。
拝観時間・料金・駐車場情報
伊勢山皇大神宮の拝観料は無料で、どなたでも自由に参拝することができます。通常のご参拝は午前九時より午後五時までとなっており、社務所は9:00~17:00、授与品頒布時間は8:30~19:00となっています。
ご祈祷を希望される場合は、ご祈祷は原則当日受付で、事前に予約する必要はありません。ただし、特別祈祷を希望する場合は、予約が必要となります。ご祈祷の受付時間は、午前9時〜午後4時30分までです。
駐車場については参拝者用の無料駐車場が用意されており、約40台まで駐車可能です。ただし神社駐車場の予約はできません。また9~2月は非常に込み合いますのでご注意ください。年末年始などの繁忙期には駐車場が使用できない場合もあるため、公共交通機関の利用が推奨されます。
坂道と階段を上るので歩きやすい靴がおすすめですとのアドバイスもあるように、境内へのアクセスには石段を上る必要があるため、動きやすい服装での参拝をお勧めします。
<住所> 〒220-0031 神奈川県横浜市西区宮崎町64番地
参照サイト
・横浜総鎮守 伊勢山皇大神宮 公式ホームページ:https://www.iseyama.jp/