
早池峰神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
岩手県花巻市大迫町に鎮座する早池峰神社は、大同2年(807年)に創建された由緒ある古社です。霊峰早池峰山を御神体とし、謎多き女神瀬織津姫命を祀る神社として、近年全国から多くの参拝者が訪れるパワースポットとなっています。修験道の聖地としての歴史と美しい自然に囲まれた境内で、心身の浄化を体験できる特別な場所です。
早池峰神社の概要・基本情報
大同2年(807年)、藤原鎌足の子孫、兵部卿成房が早池峰山頂に祠を建立したのが始まりといわれます。この由緒深い神社は、霊峰早池峰山(標高1917メートル)を御神体として崇める山岳信仰の拠点として発展してきました。
早池峰山には東西南北の四つの登山口があり、それぞれに早池峰神社が建立されているという珍しい形態をとっています。花巻市大迫町の神社は西の登山口にある里宮で、藩政時代には南部利直公の庇護のもと社殿が建立されました。
歴史と由来
創建の伝説によると、来内村(現・遠野市上郷町)の猟師・藤蔵が山中で十一面観音像に遭遇したことをきっかけに、山頂に奥宮を建立したとされています。同時期に花巻側からも藤原兵部卿成房が早池峰山に登り、額に金の星がある白鹿が二人の前に現れ、各々が鹿を追い、同時に早池峰山の山頂に辿り着いたという神秘的な逸話が残っています。
明治時代以前は神仏習合の形態をとり、妙泉寺と名づけ、新山宮は神宮としたものの、明治時代へ突入した折に、廃仏毀釈の影響で早池峰神社と改称したという歴史があります。
祭神とご利益
早池峰神社の御祭神は瀬織津姫(せおりつひめ)です。この女神は神道の大祓詞にのみ登場する女神で、古事記・日本書紀にはその名が記されていない、謎多き神様として知られています。
浄化や罪穢れの祓いを御神徳とする他、水を司る女神様でもあり、祓い清められた全ての罪を山から流れ落ちる渓流によって大海原に持ち去ってくれる神様とされています。特に水を扱う仕事の人に特にご利益があるといわれ、商売繁盛、家庭環境の改善、心身の浄化などのご利益があるとされています。
早池峰神社の見どころ・特徴
境内には見どころが数多くあり、参拝者に深い印象を与える神聖な空間が広がっています。歴史的価値の高い建造物と美しい自然が調和した境内は、訪れる人々に特別な体験を提供します。
建造物・構造の魅力
現存する本殿は内陣柱を中心とした軸組や、軒回りの彫刻・装飾などに慶長期の堅実な手法が残されており、県の有形文化財に指定されています。この本殿は慶長17年(1612年)に建てられたもので、400年以上の歴史を持つ貴重な建造物です。
境内には神楽殿もあり、神事芸能として早池峰・岳神楽(国指定重要無形民俗文化財)が伝わっており、8月1日に例大祭が行われる際には、この神楽殿で神楽の奉納が行われます。
自然・景観の美しさ
早池峰神社の正面鳥居をくぐって右手を流れる清流には小さな橋が架かっており、その先に不動明王の祠があります。境内を流れる清流は神社の神聖さを一層引き立て、水音が心を清らかにしてくれます。
境内右手奥には龍神を祀る「白龍社」があります。ここには霊峰早池峰山の眷属とされる白蛇と白龍が祀られているのですが、白龍の方は上空をずっと飛んでいるために降りて来ないのだとかという興味深い言い伝えがあります。
修験道の聖地としての価値
早池峰山は古くから修験道の聖地として知られ、古くは修験者が多く集まり、精神を鍛え悟りを開くために登りました。現在でもその霊験あらたかな雰囲気を感じることができ、早池峰山は人を奮い立たせる山。早池峰神社はその山の気を受けている神社として、多くの人々に心の支えを与えています。
参拝・拝観案内
早池峰神社への参拝では、神聖な雰囲気の中で心を清め、御祭神である瀬織津姫命に祈りを捧げることができます。季節ごとに異なる魅力を持つ境内で、特別な体験をお楽しみいただけます。
参拝作法とマナー
早池峰神社では一般的な神社参拝の作法に従って参拝いたします。まず鳥居をくぐる際には一礼し、参道を通って手水舎で身を清めます。早池峰神社の参道には、清浄で少し湿った気が満ちています。苔の生す木々や岩など情緒たっぷりで神秘的な雰囲気を醸し出しているため、ゆっくりと歩きながら神聖な空気を感じることができます。
本殿では二拝二拍手一拝の作法で参拝し、心を込めて祈りを捧げます。境内には白龍社や山神社という山岳信仰系の神様のお社もありますので、それぞれにお参りすることで、より充実した参拝体験となるでしょう。
年中行事・季節のイベント
早池峰神社では年間を通じて重要な祭事が行われています。特に注目すべきは3月17日の早池峰神社蘇民祭です。この祭りは1月から順次始まる蘇民祭の締めくくりにあたるもので、蘇民袋の中には十二支の焼き印のある365個の駒が入っており、男達が押し合いながら参道を下り、激しい袋の争奪戦が繰り広げられる迫力ある行事です。
8月1日には早池峰神社例大祭が開催されます。この祭りでは神社本殿で神事の後、お通りが岳地区をひと回り。終了後は神楽殿で神楽の奉納が舞われます。前日の7月31日には宵宮が行われ、宵宮と例大祭の神事の後、神楽殿に奉納される岳(たけ)、大償(おおつぐない)の2つの神楽が有名で、両神楽は総称して「早池峰神楽(はやちねかぐら)」と呼ばれ、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。
御朱印・お守り情報
早池峰神社では御朱印とお守りの授与を行っています。石段の下にある建物は社務所で、御朱印やお守りをいただくことが出来ますが、受付が閉まるのが早いのか、私が行ったときには帰りにはもう閉まっていました。たしか午後1時頃でわりと早い時間だったという体験談もあります。
御朱印を確実にいただきたい方は、事前に受付時間を確認することをおすすめします。また、神社の宿坊で御朱印を頂いている方が多いという情報もありますので、参拝の際にお尋ねください。
お守りについては、瀬織津姫命の浄化の力や白龍社の金運向上など、それぞれの御利益に応じたものが用意されています。座敷わらしに関連するお守りも人気があり、全国から多くの参拝者が求めています。
アクセス・利用情報
早池峰神社は山間部に位置するため、アクセスには少し時間がかかりますが、その分訪れる価値のある神聖な場所です。公共交通機関と自家用車のどちらでも参拝可能です。
交通アクセス
公共交通機関をご利用の場合、新花巻駅 バス 60分 期間限定早池峰登山バス(急行)河原の坊行き 岳下車またはJR東北本線 石鳥谷駅から岩手県交通バス大迫バスターミナル行きで27分、終点下車、岳行きに乗り換え44分、終点下車、徒歩5分。バスは1日3本程度となります。バスの本数が限られているため、事前に時刻表を確認することが重要です。
自家用車の場合は、花巻IC 車 60分でアクセス可能です。花巻市中心部からは国道396号線を利用して約1時間の道のりです。花巻市大迫町の早池峰神社は、山奥にあり、私を含む地元民でない人にとっては少々道がわかりにくいです。スマホのナビなどで行くのをおススメします。また、付近に早池峰神社と似た名前の神社などがあるのでトラップに引っかからないように注意が必要ですとのことなので、「花巻 早池峰神社」と検索して確実にナビ設定することをお勧めします。
<住所> 〒028-3201 岩手県花巻市大迫町内川目第1地割1
拝観時間・料金・駐車場情報
早池峰神社は境内自由で、拝観料/無料となっています。24時間参拝可能ですが、社務所での御朱印や授与品の受付時間については事前にお問い合わせください。
駐車場については、詳細な情報が限られているため、参拝前に花巻市大迫総合支所または早池峰神社に確認することをお勧めします。
参拝にあたっては、山間部のため天候の変化に注意し、適切な服装でお越しください。特に冬季は積雪の可能性があるため、路面状況を確認してからお出かけください。
参照サイト
・一般社団法人花巻観光協会:https://www.kanko-hanamaki.ne.jp/spot/article.php?p=154