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熊野那智神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

熊野那智神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

宮城県名取市の高舘山山頂に鎮座する熊野那智神社は、2025年に創建1300年を迎える由緒ある古社です。名取熊野三社の一つとして古くから信仰を集め、縁結びのご利益で知られています。神門の展望台からは名取平野と太平洋の絶景が一望でき、パワースポットとしても人気を博しています。

熊野那智神社の概要・基本情報

熊野那智神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

熊野那智神社は、高舘山の山頂という恵まれた立地に建つ神社で、眼下に広がる名取平野と太平洋の雄大な景色を望むことができます。境内には神仏習合の名残りが色濃く残り、鳥居がない代わりに神門が参拝者を迎える独特な構造となっています。社殿の背後には小さな滝があり、滝沢不動尊が祀られており、紀州熊野那智大社との共通点を見ることができます。

歴史と由来

熊野那智神社の創建は養老3年(719年)にさかのぼります。伝説によると、閖上浜の漁師が海底から光り輝く御神体を引き上げたところ、その光が止まったのが高舘山であったことから、この地に羽黒大権現として祀ったのが始まりとされています。

その後、名取老女が熊野三社を勧請したことにより、那智の分霊を合祀して「熊野那智神社」と改称したと伝えられています。後世には伊達家の厚い崇敬を得て、社殿の造営や社地の寄進などを受けました。この神社は、保安4年(1123年)に鳥羽院の皇女の病を癒したことにより朝廷から特別の許可を得て、紀州熊野より本宮、速玉、那智の三社の御分霊をいただいた名取熊野三社の一つとして重要な位置を占めています。

ご神体が「揺り上げられた」ことから、この浜は「ゆりあげ」と呼ばれるようになり、仙台藩4代藩主・伊達綱村によって「閖上」の字があてられました。このように、熊野那智神社は閖上の地名の由来とも深く関わりを持つ歴史ある神社です。

祭神とご利益

熊野那智神社の主祭神は羽黒飛龍神・伊弉冉尊で、相殿に黄泉事解男命・国常立尊・伊弉諾尊・天照皇大神を配祀しています。特に注目すべきは、主祭神の熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)で、夫須美は「結」と書かれることから縁結びのご利益があると古くから伝えられてきました。

主祭神である伊弉冉尊と相殿神の伊弉諾尊の二柱は、天地万物の化生の力である「結び(産霊)の力」を司る夫婦神です。そのため、熊野那智神社は『結びの社』として様々な縁結びに御利益がある神社として近年信仰を集めています。縁結び以外にも、開運招福、家内安全、商売繁盛などのご利益があるとされ、地元の人々から厚い信仰を受けています。

熊野那智神社の見どころ・特徴

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熊野那智神社の魅力は、その歴史的価値と自然の美しさが調和した独特な雰囲気にあります。高舘山の山頂という立地を活かした眺望の素晴らしさと、神仏習合の名残りを残す建造物、そして貴重な文化財が訪れる人々を魅了しています。境内には季節ごとに異なる表情を見せる自然があり、一年を通じて多くの参拝者が訪れています。

建造物・構造の魅力

熊野那智神社の境内には鳥居は存在せず、鐘堂が境内にあるなど、神仏習合の影響が色濃く残っています。表参道の石段を登り切った所には神門が存在します。この神門は、2013年10月頃に改修が完了し、現在では参拝者が安心して通行できるようになっています。

神門の上部には展望台が設けられており、眼下に広がる名取平野や、仙台港、閖上浜、仙台空港などが一望できます。この展望台は、太平洋から昇る朝日や夜景の美しいスポットとしても知られています。特に元旦の初日の出は絶景で、多くの参拝者が訪れる人気のスポットとなっています。

社殿の背後の谷には「滝沢不動尊」というお不動さまが祀られており、この立地や景観は紀州熊野の那智山に類似していると言われています。これは、本家の熊野那智大社のご神体が滝であることと共通しており、熊野信仰の特徴を表している重要な要素です。

自然・景観の美しさ

熊野那智神社の境内には、二本の木が途中で繋がっている杉の大木があります。「結び」を体現している様子から、近年信仰を集めています。この結びの杉は、縁結びのご利益を象徴する神木として多くの参拝者が訪れ、恋愛成就や良縁を祈願しています。

境内には熊野信仰で象徴的な樹木である「高野槇」や”山で一番大きくて目立つ”ことから「山一」と呼ばれる古代杉があります。また、夏には境内に紫陽花が咲き誇るなど、豊かな自然も見どころです。さらに、境内には山百合が群生しており、夏の時期には美しい花を咲かせて参拝者の目を楽しませています。

高舘山レクリエーション施設ともウォーキングコースでつながっていますので、自然を満喫しながら参拝できます。このような自然環境に恵まれた立地により、四季を通じて異なる表情を楽しむことができ、散策や軽いハイキングを兼ねた参拝も人気となっています。

文化財・重要な所蔵品

熊野那智神社の社宝である「熊野那智神社 懸仏・銅鏡」は鎌倉・室町時代のものといわれ、国指定の有形文化財美術工芸となっています。これらの懸仏は、国内で1カ所で100点を超えて所蔵されているのは当社と滋賀県椋川のみで、さらに製造年代は平安後期から鎌倉時代までにわたり懸仏の歴史を知る上でも貴重な資料です。

現在、これらの貴重な文化財は震災の影響で多賀城市にある東北歴史博物館と仙台市にある仙台市博物館にて修復保管されている状態です。神社では、この御神宝「懸仏」を熊野那智神社に帰還させるために収蔵庫を新設する計画を進めており、創建1300年記念事業の一環として取り組んでいます。

見学希望の方は事前申し込みをお願いします。これらの文化財は、熊野信仰の歴史や中世の宗教美術を理解する上で極めて重要な資料であり、学術的価値も非常に高いものです。

参拝・拝観案内

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熊野那智神社への参拝は一年を通じて可能ですが、季節や時間帯によって異なる魅力を楽しむことができます。神社は高台にあるため眺望が素晴らしく、特に朝夕の時間帯には美しい景色を堪能できます。参拝の際は、神仏習合の特色を持つこの神社ならではの作法やマナーを理解しておくとより深く参拝を楽しめます。

参拝作法とマナー

熊野那智神社では、一般的な神社の参拝作法に従って参拝を行います。境内に鳥居はなく、神門から入ることになりますが、神門をくぐる際には軽く一礼をしてから境内に入りましょう。手水舎があるかどうかは詳細が確認できませんが、参拝前には身を清めることが大切です。

拝殿での参拝は、二拝二拍手一拝の作法で行います。縁結びのご利益で知られる神社ですので、良縁や恋愛成就を願う方は、境内にある結びの杉も合わせてお参りするとよいでしょう。神仏習合の名残りがある神社ですので、仏教的な要素も残っていますが、基本的には神社としての参拝作法で問題ありません。

高台にある神社のため、参拝時には歩きやすい靴を履いていくことをお勧めします。また、境内には多くの猫が住んでおり、参拝者の心を和ませていますが、餌やりなどは控えるようにしましょう。

年中行事・季節のイベント

熊野那智神社では年間を通じて様々な行事が行われています。特に注目すべきは、創建1300年記念事業として復活した「濱降神事」で、神輿の巡行を那智神社から閖上まで行う伝統的な祭事です。これは昔行われていた神事の復活であり、地域の歴史と文化を体験できる貴重な機会となっています。

毎月第3日曜日には「那智てづくりマルシェ」が開催されており(8月は開催なし、11月は勤労感謝の日)、境内に多くのお店が並びます。地元の手作り品や食べ物を楽しみながら、神社の雰囲気を味わうことができる人気のイベントです。キッチンカーやカクテル屋さんなど、バラエティに富んだ出店者が参加し、地域の人々との交流も楽しめます。

季節の行事としては、元旦の初日の出参拝が特に人気で、太平洋から昇る美しい初日の出を神門の展望台から眺めることができます。夏には山百合や紫陽花が咲き誇り、境内が美しい花々で彩られます。

御朱印・お守り情報

熊野那智神社では御朱印をいただくことができます。授与所の営業時間は9:00から17:00となっており、この時間内に参拝すれば御朱印をいただけます。縁結びのご利益で知られる神社らしく、恋愛成就や良縁を願うお守りも用意されています。

特に「結び」にちなんだお守りが人気で、境内にある結びの杉にあやかったお守りなどが授与されています。また、熊野信仰に関連するお守りや御札も用意されており、家内安全や開運招福を願う参拝者に人気があります。

御朱印やお守りについての詳細は、参拝時に授与所でお尋ねいただくか、事前に神社まで電話でお問い合わせください。

アクセス・利用情報

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熊野那智神社は宮城県名取市の高舘山山頂に位置しており、車でのアクセスが便利です。公共交通機関を利用する場合は、バスを利用してアクセスすることも可能ですが、バス停からは徒歩での移動が必要になります。高台にある神社のため、アクセス方法を事前に確認しておくことをお勧めします。

交通アクセス

車でのアクセスが最も便利で、仙台南ICより車で約15分の距離にあります。高速道路からのアクセスが良好なため、仙台市内や県外からの参拝者も多く訪れています。

公共交通機関を利用する場合は、JR南仙台駅の西口で宮城交通尚絅学院大学行きのバスに乗車し、那智が丘4丁目バス停で下車します。バス停からは那智が丘公民館前を過ぎて熊野那智神社境内に至ります。また、市内乗合バス「なとりん号」相互台線(13人乗り)にて「那智が丘2丁目」下車後、徒歩15分でアクセスすることも可能です。

高舘小学校付近の「五方の辻」と呼ばれる分かれ道には、仮宮(熊野那智神社遥拝所)が存在し、遥拝殿内には「浜下り神事」に使われる御神輿が二基安置されています。遥拝所右手の道が熊野那智神社の表参道に通じています。

<住所> 〒981-1242 宮城県名取市高舘吉田字舘山8

拝観時間・料金・駐車場情報

熊野那智神社の境内は基本的に無休で参拝可能です。授与所の営業時間は9:00から17:00となっていますので、御朱印やお守りをご希望の方はこの時間内に参拝することをお勧めします。参拝料は無料ですが、お賽銭やお守りなどのお納めについては各自の信仰に応じて行ってください。

駐車場は50台分が用意されており、無料で利用できます。マルシェ開催日や初詣などの混雑時には駐車場が満車になる可能性がありますので、時間に余裕を持って参拝することをお勧めします。

神社は高舘山レクリエーション施設ともウォーキングコースでつながっていますので、自然を満喫しながらの参拝も楽しめます。池や芝生広場などが整備されている憩いの広場もあり、参拝後の休憩にも適しています。

文化財の見学を希望される方は事前申し込みが必要ですので、詳細については神社まで直接お問い合わせください。電話番号は022-765-8217です。

参照サイト

・熊野那智神社 公式ホームページ:http://kumanonati.com/
・名取市観光物産協会 公式ホームページ:https://www.kankou.natori.miyagi.jp/feature/kumanomoude/kumanomoude03

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