大阪欄間とは?特徴や歴史を解説

大阪欄間とは?特徴や歴史を解説

大阪欄間は、400年を超える歴史を持つ伝統ある工芸品です。

今回は、大阪欄間の特徴や歴史を紐解きながら、その魅力を詳しく解説します。

大阪欄間とは

大阪欄間とは

日本家屋において、天井と鴨居(鴨居)、長押(なげし)の間に施される開口部材を欄間といいます。

風通しを良くしたり、光を採り入れたりするために設けられ、そのデザインはシンプルな格子から花や風景を彫り込んだ華美なものまで様々です。

欄間には多様な種類があり、大阪市や吹田市、岸和田周辺で作られる欄間を「大阪欄間」といいます。

大阪は、富山の井波彫刻と並ぶ二大産地の一つです。

大阪欄間の特徴

大阪欄間には、他の欄間には見られない特徴があります。

続いては二つの特徴を解説します。

多様な技法

大阪欄間の大きな特徴として、「彫刻欄間」や「透かし彫刻欄間」、「筬(おさ)欄間」「組子欄間」など多様な技法が挙げられます。

このうち、彫刻欄間は美しい杢目の部材を活用し、風景や建築物などの図柄を立体的に表現する技術です。

手間暇かけて作られる分、他の欄間にはない重厚なデザインが魅力で、大阪欄間を象徴する技術といえます。

その他、繊細な筬欄間や細い部材を緻密に組み合わせて幾何学模様を表現する組子欄間なども、大阪欄間の代表格です。

大阪欄間と同じく、日本を代表する欄間の一つである井波欄間と比較すると、柔らかな印象をもたらすデザインが多く見られます。

実用性と装飾性の両立

実用性の高さも、大阪欄間の魅力の一つです。

多様にある技法のいずれも、通気性や採光性に富んでおり、室内を快適に保つための役割を担っています。

また、日本家屋の品格を演出する上でも欠かせないパーツであり、大阪欄間は実用性と装飾性を兼ね揃えた工芸品といえるでしょう。

大阪欄間の歴史

大阪欄間の歴史

大阪欄間が、現在もなお美しさと実用性のある工芸品として重宝されるのには、長い歴史の間に培った技術があります。

続いては、大阪欄間の始まりから現代までの変遷について解説します。

大阪欄間の始まり

大阪欄間が誕生したのは1604年頃といわれ、大阪府内にある聖神社や四天王寺などに伝統的な技法のルーツが見られます。

当時、大阪では木地取引が盛んに行われており、木材問屋や木工職人が多く暮らしていました。

また、「天下の台所」といわれていたように、商業の中心としても栄えた場所でもあります。

こうした条件の揃った立地において、大阪欄間も瞬く間に全国に出荷されるようになりました。

庶民にも広まった江戸中期

もともと、欄間は寺院や貴族階級において権威を示す手段の一つとして屋敷の装飾に取り入れられていました。

そのため、欄間の需要は京都が中心でしたが、江戸中期に入ると徐々に一般庶民の暮らしにも浸透し始めます。

庶民の住宅では、通風や採光などの実用性が重宝され、美しい装飾としても注目されました。

倹約令による変化

江戸時代後期、日本では贅沢を禁止する倹約令が出されます。

倹約令では、衣服や髪飾り、住宅の装飾なども質素なものを用いることが義務付けられました。

もちろん、豪華で存在感のある大阪欄間も規制の対象となり、質素でシンプルなデザインの欄間が製造されるようになります。

受け継がれる伝統

大阪の堀江・横堀にあった職人町は、戦災の煽りを受けて一時離散の危機に見舞われ、大阪欄間の職人も例外ではありませんでした。

しかし、戦後の復興に伴い少しずつ職人たちが戻り始め、17世紀から続く伝統は、戦災を超えて現在に受け継がれることになります。

そして、1975年9月4日、大阪欄間は経済産業大臣により伝統工芸品として指定されました。

日本家屋が減った近年も、マンションに適したシンプルなデザインや若い世代にマッチするモダンなデザインなども積極的に作られています。

大阪欄間のお手入れ方法

鴨居や長押の装飾に使われることが一般的だった大阪欄間ですが、近年はその技術を生かしたインテリア小物としても人気があります。

伝統工芸品であり価値のある大阪欄間を長く楽しむには、日頃のメンテナンスが大切です。

身につけたり持ち運んだりするものではないため、手垢はほとんどつきませんが、細かな装飾にはホコリがたまります。

ホコリを払う際は、装飾を壊さないように柔らかいはたきを使うことがポイントです。

はたきが入らない組子欄間や彫刻欄間には、エアダスターを使うとよいでしょう。

また、塗装されていない白木の大阪欄間の掃除をする際は、水拭きではなく乾拭きをおすすめします。

水分や油分が付着するとシミになる恐れがあるので、薬剤を染み込ませた化学ぞうきんも避けたほうが懸命です。

まとめ

大阪欄間は、日本を代表する工芸品です。

400年を超える歴史を持ち、戦災による離散の危機を超えて、その技術は現在もしっかりと受け継がれています。

また、日本家屋の装飾だけでなく、小物入れや桐箪笥など繊細な技術を生かしたインテリア品も作られるようになりました。

現代のニーズにマッチするデザインも多く、新築祝いにもおすすめです。

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