
蕪嶋神社|由緒ある弁財天の聖地と見どころ、参拝情報を完全ガイド
青森県八戸市の蕪島に鎮座する蕪嶋神社は、700年以上の歴史を誇る弁財天の聖地です。ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定された島に建つ神社として、商売繁盛と漁業安全の守り神として多くの人々に愛され続けています。2015年の火災で全焼した社殿は、5年の歳月をかけて美しく再建され、新たな魅力を備えた参拝地として生まれ変わりました。
蕪嶋神社の概要・基本情報
蕪嶋神社は、青森県八戸市大字鮫町字鮫56-2に位置し、弁財天をまつり、商売繁盛、漁業安全の守り神として古くから地元の人々の信仰を集めてきました。太平洋を一望できる蕪島の頂上に建つこの神社は、種差海岸の絶景と共に八戸市のシンボル的存在として親しまれています。
御祭神は市杵嶋姫命(イチキシマヒメミコト)で、例大祭は旧暦三月三日、付祭は四月第三日曜日に行われます。また、十二年に一度、巳年の旧暦三月三日には御開帳が執り行われます。現在の社殿は木造2階建ての近代的な造りとなっており、青森県産のケヤキやヒノキを中心とした建材が使用されています。
歴史と由来
蕪嶋神社は社伝によれば1269年に江ノ島弁才天を勧進したのがはじまりだとされています。創建は鎌倉時代で、源頼朝に仕えた武将工藤祐経の子の犬房丸が、流罪となり現八戸市鮫町へ流された際、鎌倉の都にある江ノ島と蕪島が似ていたので懐かしみ、それにちなんで市杵島姫命(弁財天)を祀り崇めたと伝わります。
歴史的に、蕪嶋神社は八戸藩の庇護を受けており、藩主は健康な後継ぎが生まれることを祈願してこの神社に参拝しました。漁師は安全な航海と豊漁、商人は財運と商売繁盛を祈願しました。この長い歴史の中で、神社は地域の人々の精神的支柱として重要な役割を果たしてきました。
2015年11月5日に発生した火災により社殿が全焼しましたが、全国各地からの寄付金も集まり、約5年の歳月を経て再建され、2020年3月26日の例大祭に合わせて一般参拝が可能となりました。再建工事では、ウミネコの繁殖期である4月から8月は工事を行わないなど、自然環境への配慮も徹底されました。
祭神とご利益
蕪嶋神社の御祭神である市杵嶋姫命は、弁財天として親しまれ、商売繁盛、漁業安全、財運、厄除け、縁結びなどのご利益があるとされています。弁財天は仏教と神道の両方で財運、商売繁盛、五穀豊穣、旅の安全、知恵、芸術、音楽の守護神として信仰されています。
特に注目すべきは、蕪島の「蕪(かぶ)」と「株」が同じ読みであることから、株価と人望の「かぶ」が上がるご利益があると言われています。このため、現代では投資家や経営者からも厚い信仰を集めており、財運向上を願う多くの参拝者が訪れています。
また、弁財天は水の神様でもあることから、海に囲まれた蕪島という立地も相まって、漁業関係者にとって特に重要な守り神となっています。子授けや安産祈願のご利益もあるとされ、様々な願いを持つ人々に慕われています。
蕪嶋神社の見どころ・特徴
蕪嶋神社の魅力は、歴史ある弁財天信仰と自然豊かな蕪島の環境が織りなす独特の聖域にあります。再建された美しい社殿と、国の天然記念物に指定されたウミネコの繁殖地という希少な自然環境が、訪れる人々に深い感動を与えています。
再建された新社殿の魅力
令和2年3月、約5年の歳月をかけて新社殿が完成し、ウミネコが羽ばたいている様子を表現したという社殿の屋根や建物内にある吹き抜け天井彫刻や「龍」の天井画など、随所に工夫が凝らされています。新社殿は木造2階建てとなっており、従来の平屋建てから大きく変化を遂げました。
ケヤキやヒノキなど青森県産材を中心とした建材が使用され、長さ8mの通し柱を22本用いることで強風にも耐えることができる構造となっています。海風の強い蕪島という立地を考慮した現代的な建築技術が取り入れられています。
吹き抜けの天井には、伝統的な楽器を持った天女がウミネコと一緒に空を舞う様子が彫刻されており、幣殿の天井には、弁財天の使いである龍が白波から現れるダイナミックな中国風の絵が描かれています。これらの装飾は、蕪島の自然と弁財天信仰を見事に融合させた芸術作品として高く評価されています。
ウミネコと自然の絶景
蕪島は「蕪島ウミネコ繁殖地」として国の天然記念物に指定されている場所で、毎年3月から8月頃まで約3万羽のウミネコが飛来し繁殖を行います。6月・7月になると境内はウミネコだらけの光景に変わり、神社を訪れる参拝者は間近でウミネコの生態を観察することができます。
ウミネコたちは神社の鳥居の上や境内の至る所に止まり、時には参拝者のすぐそばまで近づいてきます。春には蕪島全体が黄色い菜の花で彩られ、ウミネコの白い羽根との美しいコントラストを楽しむことができます。太平洋を背景にした絶景は、多くの写真愛好家や観光客を魅了しています。
ただし、繁殖期には運が悪いとウミネコの糞を浴びてしまうことがあります。しかし、地元では「ウミネコの”運”をかけられた」と縁起の良いこととして捉えられており、参道の石段前には自由に使える傘が用意されているほど親しみを持って受け入れられています。
かぶあがりひょうたん御守とお守り
蕪島の「蕪(かぶ)」と「株」が同じ読みであることから、株価と人望の「かぶ」が上がるご利益があると言われる「かぶあがりひょうたん御守」が人気です。このお守りは、投資や事業の成功を願う多くの人々に愛用されており、蕪嶋神社を代表する授与品となっています。
ひょうたんの形をしたお守りは、古来より福を呼ぶ縁起物とされており、弁財天の財運向上のご利益と相まって、特に商売繁盛や金運上昇を願う参拝者に重宝されています。また、漁業安全や海上安全を願うお守りも豊富に用意されており、海に関わる仕事をする人々からの信仰も厚く集めています。
参拝案内
蕪嶋神社での参拝は、美しい自然環境の中で心静かに祈りを捧げることができる貴重な体験です。ウミネコとの共存を大切にしながら、マナーを守って参拝することが重要です。
参拝作法とマナー
蕪嶋神社での参拝は、一般的な神社と同様の作法で行います。鳥居をくぐる際は一礼し、参道の中央を避けて歩きます。手水舎で手と口を清めてから拝殿へ向かい、二拝二拍手一拝の作法でお参りします。
特に蕪嶋神社では、ウミネコの繁殖地という特殊な環境への配慮が必要です。ウミネコを驚かせないよう大きな音を立てないこと、巣や卵に近づかないこと、餌を与えないことなどが重要なマナーとなります。繁殖期には境内の一部が立入制限されることもありますので、案内に従って参拝しましょう。
写真撮影は可能ですが、ウミネコや他の参拝者への配慮を忘れずに行うことが大切です。また、糞害対策として帽子や汚れても良い服装での参拝をお勧めします。
年中行事・蕪島まつり
蕪嶋神社の例大祭は旧暦三月三日に行われ、付祭は四月第三日曜日に執り行われます。また、蕪嶋神社付近では、毎年4月の第3日曜日に蕪島まつりが開催されます。この祭りは地域の重要な年中行事として親しまれており、多くの参拝者や観光客で賑わいます。
蕪島まつりでは、弁財天への感謝と豊漁、商売繁盛を祈願する様々な神事が執り行われます。地元の人々による奉納演芸や特産品の販売なども行われ、八戸の文化と伝統を感じることができる貴重な機会となっています。
年末年始には蕪嶋神社カウントダウンフェスティバルが開催されることもあり、約100発の花火が打ち上げられ、多くの人々を魅了しています。詳細な行事日程については、事前に神社へお問い合わせください。
御朱印情報
蕪嶋神社では御朱印をいただくことができます。社務所は神社境内にあり、通常は拝観時間内に対応していただけます。御朱印は神社の歴史と由緒を記した貴重な記念品として、多くの参拝者に喜ばれています。
御朱印帳をお持ちでない方は、神社オリジナルの御朱印帳を購入することも可能です。蕪嶋神社らしいウミネコや弁財天をモチーフにしたデザインの御朱印帳は、参拝の記念品としても人気があります。
繁忙期や祭事期間中は混雑することがありますので、時間に余裕を持って参拝されることをお勧めします。
アクセス・利用情報
蕪嶋神社は八戸市の沿岸部に位置し、公共交通機関と自家用車の両方でアクセスが可能です。美しい種差海岸の観光と併せて訪れることができる立地も魅力の一つです。
交通アクセス
自動車でのアクセスは、八戸駅から30分、八戸市中心街から20分、八戸自動車道八戸ICから25分となっています。東北自動車道や八戸自動車道を利用すれば、青森県内各地からも比較的アクセスしやすい立地です。
公共交通機関を利用する場合は、JR八戸線鮫駅から徒歩15分です。鮫駅は八戸駅から約30分で到着でき、海岸沿いの美しい景色を楽しみながら電車の旅を満喫できます。
バスでのアクセスも可能で、種差海岸遊覧バスうみねこ号「蕪島海浜公園」で下車すれば神社まですぐです。このバスは観光バスとしても人気があり、種差海岸の絶景を楽しみながら蕪嶋神社まで向かうことができます。
<住所> 〒031-0841 青森県八戸市大字鮫町字鮫56-2
拝観時間・料金・駐車場情報
蕪嶋神社の拝観時間は9:00から16:00となっています。拝観料は無料で、どなたでも自由に参拝することができます。ただし、ウミネコの繁殖期や天候によっては、安全のため境内の一部が立入制限される場合があります。
駐車場は無料で利用できる広いスペースが確保されています。海浜公園と共用の駐車場となっており、乗用車はもちろん大型バスも駐車可能です。繁忙期や祭事期間中は混雑することがありますので、時間に余裕を持って訪れることをお勧めします。
駐車場の近くには蕪島物産販売施設「かぶーにゃ」があり、お土産の購入や休憩に利用できます。また、観光案内所を兼ねた休憩所では、各種パンフレットの入手やポンチョの販売も行われています。
冬季は降雪や路面凍結の可能性がありますので、車でお越しの際は冬用タイヤの装着やチェーンの準備をお勧めします。
参照サイト
・蕪嶋神社 公式ホームページ:http://kabushimajinja.com/
・VISIT HACHINOHE 蕪嶋神社:https://visithachinohe.com/spot/kabushima-jinja/