上田紬ってどんな着物?歴史や特徴を詳しく解説!

上田紬ってどんな着物?歴史や特徴を詳しく解説!

紬にも色々な種類がありますが、上田紬という紬はご存じでしょうか。

上田紬は長野県上田市で作られる紬で、信州紬の一つとして知られています。紬は江戸時代頃に人気が高まり、各藩で紬の技術を競い合ったほどでした。そんな中、特に人気を誇ったのが上田紬です。今でこそ大島紬や結城紬の陰に隠れてしまっている紬ですが、500年以上の歴史を持つ魅力的な着物なのです。

今回は、上田紬について、その歴史や特徴、魅力について詳しく解説していきます。

上田紬ってどんな着物?

上田紬ってどんな着物?

長野県上田市で作られる上田紬は、ざっくりとした風合いが特徴の絹織物です。シンプルでありながら風合いがあり、かつ大変丈夫なことから人気が出ました。

上田紬の染色は草木染

染色は草木染で行われるのが一般的ですが、近年はデリケートな色合いを出すために化学染料が用いられることも少なくありません。ちなみに、草木染が主流になる前までは藍染で染付を行っていました。喜多川歌麿の美人画にも上田紬を着た人物が登場していますが、そのいずれも藍色で描かれていることからも藍染で染色が行われていたことがうかがえます。

上田紬はとくにかく丈夫

上田紬の丈夫さには定評があり、裏地を3回替えてもなお表地の上田紬は持ちが良いと、「三裏縞」の異名をとったほどです。上田紬の産地の武将である真田幸村と掛けて、「真田も強いが上田も強い!」などと言われることもありました。紬そのものが他の着物生地に比べて丈夫なのですが、その中でもより丈夫だと言われるのが上田紬なのです。

500年以上の歴史を誇る上田紬

長野県上田市は自然豊かな土地で、元々真田織などの織物業が盛んな地域でした。

紬産業が始まったのは1600年代後半です。各藩が産業政策として養蚕業に力を入れるようになり、そこから絹織物業が発展していきました。上田市周辺では、地場産業としての真田織を真田氏が奨励したことを契機に絹織物が盛んになり、上田藩主仙石忠政の時代に現在の上田紬の形が完成しました。

江戸時代は贅沢な着物を禁じる奢侈禁止令が出されたことで、同じ絹織物でも簡素な紬に人気が集中しました。特に信州紬の中でも上田紬は群を抜いて人気があり、戦国武将真田幸村の名と共に上田紬の地位を獲得していったのでした。

江戸時代以降、洋装への変化、戦争などを経て上田紬はどんどん縮小化を余儀なくされましたが、技術だけはしっかり継承してきたのでした。その甲斐あって、上田紬は信州紬の一つとして1975年2月17日に経済産業省から伝統的工芸品に指定されます。上田紬織物協同組合から発行される組合証紙には、真田家の家紋である六文銭が使われているのも有名です。

上田紬の特徴は細かな糸使いと格子・縞模様

上田紬の特徴の一つは、丈夫さです。3回裏地を替えても使えると言われるほどの丈夫さは、細かな糸使いによって生まれるものだと言われています。細かく細かく丁寧に織り上げられるからこそ、程よいコシとハリ、丈夫さが生まれるのです。

また、上田紬の特徴としてよく挙げられるのは格子や縞といった柄行です。格子も細かな格子ものだけではなく、かなり大ぶりな格子を表現したものも多いです。色合いもシンプルな紺、白色のものだけではなく、黄色や桃色、紫色などを組み合わせた明るい色味のものや、50色以上の色をふんだんに使って作り上げたグラデーション格子のものなどがあり、上田紬は色味もデザインもどんどん豊富になってきているのです。

上田紬の魅力を楽しむ

上田紬は地味に思われがちな紬という領域から飛び出し、新しいカラフルな紬へと進化している紬だと言えます。

上田紬の着用シーン

上田紬は絹織物とは言え、あくまでも紬です。カジュアルな街着として着るのが相応しく、ちょっとしたお出かけ、美術館巡り、庭園散策、友達との食事やお茶、観劇などに着用することができます。特に、色鮮やかな上田紬は美術館巡りと相性が良いと言えるでしょう。派手過ぎず個性的な色合いは、美術鑑賞に華を添えてくれます。

上田紬に合わせたい帯と帯結び

紬に合わせる帯は基本的には名古屋帯ですが、シーンによっては袋帯や洒落袋を用いても問題ありません。染の帯で季節の風物詩が描かれたものなどを合わせれば、季節感を出すことができて素敵です。

ちょっと粋な装いを目指すのであれば、帯結びを変形結びの形にしてみてはいかがでしょうか。角出し(銀座結び)と呼ばれる立体的な帯結びはシンプルなデザインの上田紬によく映えます。合わせる帯がシンプルで落ち着いたものならば、結び方を工夫して、お洒落を楽しんでみて下さい。

まとめ

上田紬について、歴史や特徴、魅力などにも触れながら解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。紬は紬でも産地ごとに特色があり、独自の技術を守ってきています。上田紬は江戸時代に最盛期を迎え、その後は歴史に翻弄されながらも技術を守り、現代に繋げてきました。

近年は着物離れも著しいことから、上田紬の頑丈さという特徴を生かし、上田紬生地バッグなどの新しい活路を開拓中だと言います。上田紬のバッグも素敵ですが、やはり着物で着ることでより魅力が出るのではないでしょうか。上田紬をお持ちの方は箪笥の肥やしにせず、どんどん外に着てお出かけ下さい。

参照元:信州紬 | 伝統工芸 青山スクエア
参照元:上田紬|日本三大紬のひとつ、上田紬

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