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二宮神社|由緒ある下総国二宮の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

二宮神社|由緒ある下総国二宮の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド

千葉県船橋市三山に鎮座する二宮神社は、平安時代初期の弘仁年間に創建されたと伝わる歴史ある古社です。延喜式内社として朝廷からの崇敬を受け、下総国二宮として地域の信仰を集めてきました。安産祈願のご利益で知られ、7年に一度開催される下総三山の七年祭は550年以上の歴史を誇る伝統行事として千葉県の無形民俗文化財に指定されています。

二宮神社の概要・基本情報

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二宮神社は千葉県船橋市三山に位置する延喜式内社で、古くから地域の人々に親しまれてきた神社です。住宅地に囲まれながらも約4,820坪の広大な境内を有し、豊かな自然環境が保たれています。

歴史と由来

二宮神社の創建は弘仁年間(810年~824年)とされ、嵯峨天皇の勅命により建立されたと伝えられています。古くは「寒川神社」と称され、平安時代中期に編纂された『延喜式』神名帳には「下総国千葉郡 寒川神社」として記載されており、現在の二宮神社がその論社とされています。

「二宮神社」という呼称が使われ始めた時期は明確ではありませんが、乾元2年(1303年)に鋳造された梵鐘に「総州二宮社壇」と刻まれていることから、鎌倉時代にはすでにこの名称で呼ばれていたことが確認されています。下総国の二宮として朝廷から崇敬を受け、近郷23ヶ村の総鎮守として広く信仰を集めてきました。

江戸時代には徳川家康から朱印地10石を与えられ、江戸幕府将軍からの寄進も度重なって行われました。地名の「三山」は古くは「御山」と表記され、この神社に由来するとされています。

祭神とご利益

二宮神社には建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)と櫛稲田比売命(くしいなだひめのみこと)を主祭神として祀り、配神として大國主命、藤原時平公、大雀命、譽田別命が祀られています。

特に安産の神として古来より信仰が篤く、室町時代の文安2年(1445年)に馬加の城主である馬加康胤の奥方の安産祈願が成就したことに起源を持つ大祭が現在も続いています。また、縁結び、厄除け、家内安全、交通安全などのご利益があるとされ、地域の人々の様々な願いを受け入れています。

二宮神社の見どころ・特徴

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二宮神社の境内は自然豊かな環境に恵まれ、歴史的な建造物と調和した美しい景観を形成しています。参道から社殿まで続く荘厳な空間は、参拝者に深い感動を与えます。

建造物・構造の魅力

現在の社殿は安永年間(1772年~1781年)に再建されたもので、本殿、幣殿、拝殿が一体となった権現造りの構造となっています。当初は茅葺きでしたが、本殿は大正11年(1922年)、拝殿は大正14年(1925年)に銅板葺きに改修され、現在の姿となりました。

拝殿の唐破風は横方向に大きく設計されており、その迫力ある造形が参拝者を圧倒します。社殿全体の調和のとれた美しさは船橋市指定有形文化財に指定されており、江戸時代後期の神社建築の優れた例として評価されています。

境内には神楽殿も設けられており、祭事の際には船橋市指定無形民俗文化財である二宮神社神楽が奉納されます。神楽殿の柱には獏や獅子の彫刻が施され、細部にまで職人の技術の高さが表現されています。

御神木の大イチョウ

二宮神社のシンボルとして親しまれているのが、拝殿前に聳える樹齢約400年の大イチョウです。樹高25メートル、幹回り4.71メートル、葉張り17.4メートルの雌株で、船橋市内で最も高いイチョウとして市の指定文化財となっています。

このイチョウは江戸時代の『成田名所図会』にも描かれており、古くから人々に親しまれてきました。秋には美しい黄葉を見せ、境内の景観を一層美しく彩ります。御神木として崇められ、多くの参拝者がその威厳ある姿に手を合わせています。

参道を下って再び石段を上った先に位置するこのイチョウは、社殿を背景として境内の良き景色を作り出しており、写真撮影スポットとしても人気があります。

文化財・重要な所蔵品

二宮神社には船橋市指定文化財が4基も存在し、これは船橋市内の28基の指定文化財のうち実に7分の1以上を占める貴重な文化遺産です。社殿、大イチョウ、二宮神社神楽、そして石造物群がそれぞれ指定を受けています。

境内の石造物には歴史的価値の高いものが多く、特に狛犬は時代による様式の違いを見ることができます。一対目の狛犬は頭に角のような突起がある阿形と、頭頂が凹んだ吽形という特徴的な造形を持っています。

また、神社に隣接する旧別当寺の神宮寺との関係も深く、神仏習合時代の名残を今に伝える貴重な文化的景観を形成しています。境内各所に設置された説明板により、参拝しながら文化財について学ぶことができます。

参拝・拝観案内

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二宮神社は一年を通じて参拝可能で、特に初詣や安産祈願で多くの参拝者が訪れます。静寂に包まれた境内では、心静かに祈りを捧げることができます。

参拝作法とマナー

二宮神社での参拝は、一般的な神社の作法に従って行います。まず一之鳥居をくぐる際には軽く一礼し、参道では中央を避けて歩きます。参道は窪地を通る独特な構造になっており、赤い橋を渡って石段を上ると二之鳥居と拝殿が見えてきます。

手水舎で手と口を清めた後、拝殿前で「二拝二拍手一拝」の作法で参拝します。賽銭を納めてから鈴を鳴らし、深く二回礼をして、胸の前で二回拍手を打ち、最後に一回礼をします。参拝後は御神木の大イチョウにもお参りすることをおすすめします。

境内は住宅地に囲まれているため、大声での会話は控え、静粛な雰囲気を保つよう配慮しましょう。写真撮影は可能ですが、他の参拝者の迷惑にならないよう注意が必要です。

下総三山の七年祭

二宮神社最大の行事である「下総三山の七年祭」は、丑年と未年の7年に一度開催される盛大な祭礼です。この祭りは550年以上の歴史を持ち、千葉県の無形民俗文化財に指定されている貴重な伝統行事です。

祭りは船橋市・千葉市・八千代市・習志野市の9つの神社が参加し、各社の神輿が二宮神社の境内に集結します。二宮神社は「父」の役割を担い、他の8社を迎え入れる中心的な存在となります。

祭礼は小祭(湯立祭)と大祭に分かれ、大祭はさらに「安産御礼大祭」と「磯出祭」に区分されます。室町時代の文安2年(1445年)に馬加康胤の奥方の安産祈願が成就したことに起源を持ち、現在でも安産祈願の意味を込めて執り行われています。

御朱印・お守り情報

二宮神社では美しい御朱印を受けることができます。通常の御朱印には「二宮神社之印」の角印と、延喜式内社である「寒川神社之印」の丸印が押印されます。夏詣期間中には特別な夏詣御朱印も用意され、季節感のある美しいデザインが人気を集めています。

お守りの種類も豊富で、特に安産祈願のお守りは多くの妊婦さんに親しまれています。また、嵐ファンの間では神社名にちなんだ五色の開運守や虹が描かれた縁絵馬、心願成就守が人気です。船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」にちなんだ「ふなっしー守」は、全国で唯一この神社でのみ授与される珍しいお守りとして話題を集めています。

御朱印とお守りは、拝殿向かいの授与所で丁寧な対応のもと受けることができます。

アクセス・利用情報

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二宮神社は住宅地に位置しているため、公共交通機関の利用が便利です。最寄り駅からは少し距離がありますが、バス路線が整備されています。

交通アクセス

電車とバスを利用する場合、JR総武線津田沼駅からのアクセスが最も便利です。津田沼駅北口(旧パルコ側)のバスターミナルから、4番乗り場の京成バス「二宮神社行」に乗車し、終点「二宮神社」バス停で下車します(乗車時間約20分)。また、3番乗り場の船橋新京成バス「二宮神社前行」も利用でき、終点「二宮神社前」バス停で下車できます(乗車時間約20分)。

京成電鉄を利用する場合は、京成大久保駅から徒歩約20分でアクセス可能です。また、新京成線前原駅から徒歩3分の「薬園台駅入口」バス停から船橋新京成バス「二宮神社前行」に乗車する方法もあります(乗車時間約10分)。

自家用車でのアクセスも可能で、国道296号線からアクセスできます。神社周辺は住宅地のため、運転の際は速度を控えめにし、歩行者に注意してください。

<住所> 〒274-0072 千葉県船橋市三山5丁目20番1号

参拝時間・料金・駐車場情報

二宮神社は24時間参拝可能ですが、御朱印や授与品の受付時間は午前9時から午後5時までとなっています。参拝料は無料で、どなたでも自由にお参りできます。

境内には参拝者用の駐車場が用意されており、普段は十分な台数が確保されています。ただし、初詣期間中や七年祭などの大きな行事の際は混雑が予想されるため、公共交通機関の利用をおすすめします。駐車場の利用は無料ですが、住宅地に位置しているため、近隣住民への配慮をお願いします。

バリアフリー対応については、参道が窪地を通る構造になっており石段もあるため、車椅子でのアクセスには制限があります。介助が必要な場合は、事前に神社に相談されることをおすすめします。

参照サイト

・二宮神社 公式ホームページ:https://www.ninomiya-jinja.jp/
・船橋市観光協会:https://funakan.or.jp/tourism/807/
・千葉県公式観光サイト ちば観光ナビ:https://maruchiba.jp/spot/detail_10801.html

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