
箱根神社|由緒ある関東総鎮守の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
芦ノ湖の美しい湖畔に鎮座する箱根神社は、関東総鎮守として1250年以上の歴史を誇る由緒ある古社です。湖上に浮かぶ平和の鳥居で知られ、開運厄除・縁結び・交通安全のご利益で多くの参拝者が訪れます。
箱根神社の概要・基本情報
箱根神社は神奈川県足柄下郡箱根町元箱根に鎮座し、正式には「箱根神社」と称します。古来より「関東総鎮守箱根権現」として親しまれ、現在も年間2千万人を超える内外の観光客が参拝に訪れる名社です。境内には九頭龍神社(新宮)も鎮座し、箱根元宮と合わせて「箱根三社」を構成しています。
歴史と由来
箱根神社の創祀は古く、箱根神社の縁起『筥根山縁起并序』によると、第5代孝昭天皇の御代に聖占仙人が箱根山の駒ヶ岳に神仙宮を開き、神山を神体山としてお祀りしたことに始まります。これにより箱根山は関東における山岳信仰の一大霊場となりました。
現在の地に社殿が建立されたのは奈良時代の天平宝字元年(757年)のことです。万巻上人が箱根山で入峰修行中に箱根大神の御神託を受け、勅願により芦ノ湖畔の現在地に社殿を建立しました。この箱根大神を奉斎する社は「箱根三所権現(箱根権現)」と号し、仏教とりわけ修験道と習合して朝野の信仰を集めました。
平安時代に入ると東海道の官道として箱根路が開通し、道中安全を祈る往来の人々によって広く知られるようになりました。鎌倉時代には源頼朝が深く当社を信仰し、鶴岡八幡宮に次ぐ幕府の準宗祀として「二所詣」の風儀を生み出しました。その後も執権北条氏や戦国武将の徳川家康など、武家による崇敬の篤い神社として栄えました。
明治の神仏分離により関東総鎮守箱根大権現から箱根神社と改称され、現在に至っています。明治6年(1873年)には明治天皇・昭憲皇太后両陛下の御参拝をはじめ、各皇族方の参拝が相次いで行われ、現在も多くの政財界人が参拝する格式高い神社として知られています。
祭神とご利益
箱根神社の御祭神は箱根大神で、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)の御三神を併祀してお祀りしています。
開運厄除・心願成就・勝運守護・交通(道中)安全・縁結びに御神徳が高く、特に運開きの神様として厚い信仰を集めています。鎌倉幕府の基本法典「御成敗式目」の起請文には箱根大神が願いを捧げる神仏の筆頭にあげられており、古くから武門の信仰を集めてきた歴史があります。
境内末社の九頭龍神社(新宮)では九頭龍大神をお祀りし、開運隆盛・金運守護・商売繁盛・縁結びの神様として篤い信仰を受けています。特に毎月13日に本宮で行われる月次祭には全国各地から多くの参詣者が訪れます。
箱根神社の見どころ・特徴
箱根神社は芦ノ湖の美しい自然環境に恵まれ、歴史ある建造物と豊かな自然が調和した神聖な空間を形成しています。湖上に立つ平和の鳥居をはじめ、朱塗りの権現造りの御社殿、重要文化財を収蔵する宝物殿など、多くの見どころがあります。
建造物・構造の魅力
箱根神社の御社殿は美しい朱塗りの権現造りで、神仏習合時代の面影を今に伝えています。本殿前には老杉に抱かれた石段の参道があり、90段ほどの石段を登ると清々しい景観が広がります。足の不自由な方や車椅子の方のために脇参道も整備されており、誰もが参拝しやすい環境が整っています。
境内で最も有名なのが芦ノ湖に立つ「平和の鳥居」です。この鳥居は1952年に建てられ、湖上に浮かぶ神秘的な姿で多くの人々を魅了しています。1964年には箱根大神御鎮座1200年と東京オリンピックを記念して、吉田茂元首相の揮毫による「平和」の扁額が掲げられました。
境内には九頭龍神社(新宮)も鎮座し、こちらでは「龍神水」と呼ばれる霊水が湧出しています。9つの龍の口から流れ落ちる水は心身から不浄なものを清め、良いものを引き寄せる御利益があるとされ、多くの参拝者がお水取りに訪れています。
自然・景観の美しさ
箱根神社は芦ノ湖畔の豊かな自然に囲まれた立地にあり、四季を通じて美しい景観を楽しむことができます。参道は老杉の巨木に抱かれており、境内に足を踏み入れると神聖で清浄な空気に包まれます。
裏山にはヒメシャラ純林(神奈川県天然記念物)が広がり、6月下旬から7月下旬にかけて可憐な花を咲かせます。このヒメシャラ純林は関東地方でも珍しい自然環境として保護されており、箱根の自然の豊かさを物語っています。
芦ノ湖の美しい湖面と富士山を望む景観は格別で、特に平和の鳥居越しに見る富士山の眺望は箱根を代表する絶景として知られています。天候に恵まれれば、遊覧船からも素晴らしい眺望を楽しむことができます。
文化財・重要な所蔵品
箱根神社は数多くの貴重な文化財を所蔵しており、境内の宝物殿では常設展示を行っています。国の重要文化財に指定されている万巻上人坐像、男神坐像、女神坐像をはじめ、鉄湯釜、浴堂釜、箱根権現縁起絵巻などが展示されています。
万巻上人坐像は箱根神社創建者である万巻上人の肖像彫刻として貴重な史料です。男神坐像と女神坐像は関東地方で最も古い神像の一つとされ、平安時代の優れた彫刻技術を今に伝えています。
箱根権現縁起絵巻は鎌倉時代末期に制作された紙本著色の縁起絵巻で、箱根権現と伊豆両所権現の由来を美しい絵と詞書で描いた本地物語の絵巻化としては最古の作品といわれています。
また、曽我兄弟ゆかりの太刀「微塵丸」「薄緑丸」や、静御前の笛と伝えられる白磁洞簫、織田信長や豊臣秀吉の書状など、歴史的価値の高い宝物も多数収蔵されています。
参拝・拝観案内
箱根神社では古来からの神道の作法に従って参拝することができ、年間を通じて様々な祭事が執り行われています。正参道の石段を登って本殿で参拝した後、九頭龍神社(新宮)での参拝や龍神水でのお水取りも人気です。
参拝作法とマナー
箱根神社では一般的な神社の参拝作法に従って参拝します。まず入口の手水舎で心身を清め、正参道の石段を登って本殿へ向かいます。本殿では二拝二拍手一拝の作法で参拝し、静かに祈りを捧げます。
境内は神聖な場所ですので、大声での会話や走り回ることは慎み、敬虔な気持ちで参拝することが大切です。写真撮影は可能ですが、他の参拝者の迷惑にならないよう配慮し、御本殿内での撮影は控えるようにします。
九頭龍神社(新宮)では龍神水を飲むことができます。口に含むことで心身から不浄なものを清めるとされており、持ち帰り用のペットボトルも販売されています。自分で持参した容器でも持ち帰り可能です。
年中行事・季節のイベント
箱根神社では年間を通じて多くの祭事が執り行われています。毎月1日と15日には月次祭が斎行され、どなたでも参列することができます。申し込みをすれば正式な祭典に参加することも可能です。
最も重要な祭事は7月31日の湖水祭(宵宮・九頭龍大神の大御祭)と8月1日の例大祭(本祭・箱根大神の大御祭)です。この期間は7月31日から8月6日まで一週間にわたって「芦ノ湖夏まつりウィーク」が執り行われ、多くの参拝者で賑わいます。
九頭龍神社では毎月13日に本宮で月次祭が行われ、全国各地から多くの参詣者が訪れます。また毎月15日には九頭龍神社(新宮)で月次祭が行われる「両社参り月次祭」として箱根神社の月次祭と続けて執り行われています。
御朱印・お守り情報
箱根神社では四社の御朱印をいただくことができます。箱根神社、九頭龍神社、箱根七福神恵比寿社、箱根元宮の御朱印で、一社500円をお納めします。箱根元宮の御朱印については、元宮へ登拝開所の日は元宮で、それ以外の日に元宮へ参拝された方には箱根神社で授与されます。
御朱印帳も用意されており、初穂料1,500円の中には一社分の御朱印が含まれています。神恩に感謝し、参拝証としてお受けいただく箱根神社オリジナルの御朱印帳です。
お守りや御神札も各種取り揃えており、開運厄除・交通安全・縁結び・学業成就など、様々な願いに応じたものがあります。特に九頭龍神社のお守りは金運守護・商売繁盛・縁結びに御利益があるとして人気です。お札所・御神印の受付時間は8時15分から17時までとなっています。
アクセス・利用情報
箱根神社は芦ノ湖畔の元箱根地区に位置し、公共交通機関や自家用車でアクセスすることができます。首都圏からは比較的アクセスしやすく、箱根観光の中心地に立地しているため、他の観光スポットと合わせて訪れることも可能です。
交通アクセス
電車・バスでのアクセスが便利です。新宿方面からは箱根高速バス「山のホテル」下車徒歩3分が最も直行でアクセスできるルートです。小田急線を利用する場合は、新宿駅から小田急ロマンスカーで箱根湯本駅まで約85分、そこから箱根登山バス(HまたはK路線)で約30分「箱根神社入口」バス停下車、徒歩約10分となります。
ただし、箱根登山バスのルート変更により、バス停「箱根神社入口」には10時から16時の間は停車しませんので、この時間帯は次のバス停「元箱根港」をご利用ください。「元箱根港」バス停からも徒歩約10分で箱根神社に到着します。
大阪方面からは、JR東海道線・新幹線で三島駅・熱海駅・小田原駅経由でアクセスできます。三島駅からバスで「元箱根港」へ53分、熱海駅からバスで「元箱根港」へ63分、小田原駅からバスで「箱根・元箱根」へ75分となっています。
自家用車でのアクセスも可能で、東名高速道路御殿場ICから約30分、小田原厚木道路小田原西ICから約45分程度です。ただし、観光シーズンや週末は道路が混雑することがありますので、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
拝観時間・料金・駐車場情報
箱根神社の境内は年中無休で拝観自由となっており、24時間いつでも参拝することができます。ただし、各種受付には時間が設定されています。
お札所・御神印の受付時間は8時15分から17時まで、御祈祷の受付時間は8時30分から16時までとなっています。宝物殿の拝観受付時間は9時から16時までで、年中無休で開館していますが、展示替え等のため臨時休館することもあります。
宝物殿の拝観料は、個人の場合、大人(中学生以上)500円、小人(小学生)300円です。団体(25名以上)の場合は、大人(中学生以上)350円、小人(小学生)200円となります。
駐車場は境内周辺に複数箇所用意されており、有料駐車場も含まれています。第3駐車場は足の不自由な方や車椅子の方専用となっており、交通安全祈祷の方もこちらを利用できます。ただし、第3駐車場への道路は許可車両限定の交互通行となっていますので、通行には注意が必要です。
観光シーズンや週末、祭事の際は駐車場が混雑することがありますので、朝早めの時間に訪れるか、公共交通機関の利用をおすすめします。特に平和の鳥居での写真撮影を希望される場合は、人が少ない早朝の時間帯が狙い目です。
<住所> 〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80-1
参照サイト
・箱根神社(九頭龍神社)公式ホームページ:https://hakonejinja.or.jp/