【6.kiln】有田の清六窯から生まれたジュエリーブランド

佐賀県有田町に拠点を置く6.kilnは、伝統的な有田焼の技術を受け継ぎつつ、現代のスタイルに合わせたアクセサリーブランドです。伝統とモダンが調和したデザインと高品質な仕上がりで、多くのファンを魅了しています。

今回は、有田焼から生まれた繊細で美しいジュエリーブランドの6.kilnをご紹介します。

6.kilnとは

6.kilnは2019年に有田焼の窯元である清六窯から生まれたブランドです。

有田焼は、佐賀県有田町を中心に生産される日本を代表する陶磁器で、美しい白磁と精緻な装飾が特徴です。1616年、朝鮮からの陶工・李参平が有田で陶石を発見し、日本初の白磁を生み出したのが始まりと言われています。透き通るような白地に、染付や色絵を施した華やかなデザインが有名です。

特に「染付」は藍色の絵付けが有名で、シンプルながらも繊細な美しさが世界でも高い評価を受けています。また、赤、青、金などの鮮やかな色を使った「赤絵」も代表的なスタイルです。硬く耐久性があるため、日常使いの食器としても用いられます。

有田焼を生産している清六窯の「六」に、窯を意味する英語のkiln(キルン)で6.kilnと名付けられました。

量産品が多い時代に、一つずつ品の良い、手作りの一点物の魅力を知っていただきたい。そして、工芸の世界観に入りづらいと感じる方が、6.kilnのアイテムを通して清六窯や有田焼とつながるきっかけになれたらと6.kilnの作家の中村美穂さんは願っています。

清六窯の魅力

清六窯は佐賀県波佐見町出身で、有田に来てロクロ師を始めた中村清六が1966年に窯を立ち上げました。有田焼は主に呉須(ごす)と呼ばれる青い絵具の染付や釉(うわぐすり)を掛けたものが有名ですが、清六は白い磁器「白磁」が中心です

現在は、中村清六の長女のゑ美こさん・孫の清吾さんが制作しています。ゑ美こさんは呉須を使った和紙染め技法で染付をしています。美穂さんは、義母のゑ美こさんから和紙染め技法を学び、アクセサリーに取り入れています。

作家 中村美穂 

美穂さんは、大学で陶芸を学び、清六窯に出会います。在学中、陶芸の様々な技法を学ぶために全国の窯元を巡っていましたが、「ロクロを学ぶなら中村清六先生」と大学の先生の紹介で清六窯へ。

美穂さんは2019年6月の佐賀美術協会展では「和紙染鉄紋壺」、11月の県展では「鉄染線紋壺」を制作し、ともに最高賞に輝くなど清六窯の職人としても実績を残しています

白磁の器にはどんな料理も美しく盛り付けできる安心感があります。6.kilnも同様に幅広い装いにも合わせやすいように、様々なシーンをイメージして制作されています。

おすすめ商品

6.kilnでは、有田焼の特徴を生かし、大きく2つのシリーズを制作しています。上質な磁土を白く焼いた白磁と、呉須で藍色に和紙染めして針で削り絵を描いたものです。種類はピアス、イヤリング、ネックレス、ブローチ、ブックマーカーなど様々なアイテムがあり、どの世代からも愛されています。

ブックマーカー

白磁とゴールドの華やかなブックマーカーです。形がシンプルなので読みかけの本や手帳のしおり、かんざし、帯かざりなどいろいろな使い方ができ、贈り物としても喜ばれます。

6.kilnのパーツは、壺やお茶碗と一緒に清六窯で焼かれています。以前、清六窯とは違う窯で焼いてみたところ違う色になったためです。凛とした輝くジュエリーのような白を出すためには、清六窯が必要不可欠ということが証明された出来事でした。

呉須の染付のイヤリング 

有田焼と言えば主に呉須の染付や、釉(うわぐすり)を掛けたものというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

呉須とは、酸化コバルトを主成分とする青色の顔料を指します。この顔料を用いて白磁の表面に模様や絵を描き、その上から透明な釉薬をかけて高温で焼成することで、独特の深みある藍色が生まれます。

呉須は元々中国から伝わった技法で、16世紀に日本へ伝来。有田焼をはじめとする日本の陶磁器では、この技法を発展させ、独自の美しさを追求してきました。特に有田焼においては、呉須の染付が伝統的なスタイルの一つとして確立されています。

そんな呉須の染付の技法を用いて作られたのが、こちらのイヤリング。小さなパーツの中に、伝統的な麻柄が描かれています。江戸時代の浮世絵では幼児の産着でもこの文様が描かれており、麻がすくすくとまっすぐ伸びる草であることにあやかって、産まれて最初の産着には麻の葉文様をつける風習が生まれ、幼児の健康と成長を願っていました。現代でも健康を祈る縁起の良い伝統文様として数多く使用されています。

まとめ

今回は有田焼清六窯から生まれた6.kilnについて紹介しました。

美穂さんは挑戦を続ける上で、陶芸の新しい技術、技法、材料などに敏感でいることを心がけているそうです。有田という伝統ある素材や技術を活かしつつ、新しい制作を続ける6.kiln。今後の活躍から目が離せません。

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