和紙のふるさと小川町の魅力とは?小川和紙の特徴も解説

和紙のふるさと小川町の魅力とは?小川和紙の特徴もご紹介

埼玉県比企郡小川町は、和紙のふるさととして知られる地域です。

ユネスコ無形文化遺産登録を受けた手すき和紙の技術は、現在も脈々と受け継がれています。

この記事では、和紙のふるさと小川町の魅力を解説するとともに、小川和紙の特徴も解説します。

小川町について

小川町について

小川町は、埼玉県の中部に位置する町で自然豊かな外秩父の山々に囲まれています。

町の中央に流れる槻川の恵みを受け、古くから和紙や酒造といった伝統産業により栄えてきました。

池袋から電車で約1時間20分程度というアクセスの良さから、ゆったりとした地方の暮らしを楽しみながら都心へ通勤する人も多く暮らしています。

武蔵の小京都

小川町には、日本最古の石造法華経供養塔がある大聖寺があるほか、和紙を含む伝統的産業が受け継がれていることから「武蔵の小京都」ともいわれています。

1985年5月に設立された「全国京都会議」における加盟条件にも該当し、1996年6月には51番目の会員として認められました。

現在も、小川町の古き良き町並みや文化を楽しむために多くの観光客が訪れています。

小川町と和紙の歴史

小川町の一大産業として手すき和紙が挙げられます。

約1,300年前、武蔵野国に移り住んだ高麗人が伝承したといわれており、非常に古い歴史のある技術です。

また、奈良の正倉院文書には774年に武蔵国から「武蔵国紙480張」が納められたという記述が残っています。

小川和紙が始まった当初は、小川町の近隣にある慈光寺が創建された時期でもありました。

同寺で使用されていた紙は、外秩父山麓の村々において漉かれたと推測されます。

江戸時代後期に入り、紙の需要が増加したこともあり、750軒以上もの工房が軒を連ね和紙の一大産地となりました。

こうした背景から小川町には、天日干しされた和紙が太陽を浴びて輝く姿は千両に値するという意味を込めて「ぴっかり千両」という言葉が根付いています。

小川和紙とは

小川和紙とは

続いては、小川和紙の特徴を詳しく解説します。

小川和紙の代名詞「細川紙」

小川和紙の技術の元となったのが、紀州高野山の麓にあった細川村で生まれた「細川紙」です。

公文書を中心に使われていた「細川奉書」という厚手の和紙で、大阪商人の手により一大消費地である江戸に持ち込まれました。

江戸の商人は、古くから和紙の里として知られる小川町の職人に細川紙を作るようすすめます。

小川町で漉かれた細川紙は、水に強く強靭でありながら見た目も美しいことから、庶民の生活必需品として重宝されました。

細川紙の生産量は大幅に増え、小川和紙の代名詞といわれるようになります。

戦後は、製紙業界にも機械化の波が押し寄せたほか、生活様式も一変しました。

その結果、細川紙の工房も減少の一途を辿りましたが、技術伝承と普及を願う職人たちの手により、細川紙技術保存会が結成されています。

細川紙の特徴

手漉きの方法には、簀桁(すげた)にためた和紙の紙料液が下に落ちるのを待つ「溜め漉き」と簀桁ですくった紙料液を縦横に動かしながら繊維をからみ合わせて和紙を漉く「流れ漉き」の2種類があります。

細川紙は、楮(こうぞ)のみを使用して流し漉きを行う点が大きな特徴です。

近年、和紙の生産は効率向上のために機械漉きを採用するケースが多い中で、細川紙は現在も伝統的な技法を受け継いでいます。

また、強靭な性質から保存性も高く、100年間使用しても耐えうるため、海外でも高評価をえています。

ユネスコ無形文化遺産登録

細川紙は、数ある手漉き和紙の中でも最高品質であると認められ、1978年に国の重要無形文化財に指定されていました。

そのため、細川紙の技術や品質を保護することが求められ、厳しい要件が定めらえています。

細川紙の特徴である楮で流し漉きを行う点や細川紙のもつ独特な風合いを保つことなど複数の要件があり、これらを満たさなければ「細川紙」ではありません。

また、2014年には、「石州和紙(島根県)」「本美濃紙(岐阜県)」とともにユネスコ無形文化遺産登録にも認定されました。

埼玉県においては初のユネスコ登録であり、その実績は今も高く評価され続けています。

「人類が守るべき無形文化遺産の代表的な一覧」にも記載され、小川町では、細川紙を中心とした小川和紙の素晴らしさを世界に広め、その技術の継承することを宣言しています。

参照:小川和紙について | 和紙のふるさと 小川町

まとめ

まとめ

和紙のふるさと小川町は、古来より変わらず美しい清流が流れる町です。

約1,300年前から受け継がれる和紙の技術は、細川紙の伝来を機にますます広まりました。

今では、国の無形重要文化財やユネスコ無形文化遺産登録に認定されるなど、その技術の高さや和紙の美しさ、強靭さが評価されています。

武蔵の小京都とも呼ばれる小川町には、こうした小川和紙を伝承する工房や施設があるほか、酒造や建具などの伝統産業も盛んであり深い歴史を体験できる点が魅力です。

和紙作りで栄え、賑やかだった当時の面影を感じられる建築や史跡も残っているので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

参照:和紙のふるさと 小川町

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