和紙の原料とは?和紙に使われる3大原料とその特徴

和紙の原料とは?和紙に使われる3大原料とその特徴

皆さんは和紙を触っていて、どんな原料が使われているのか気になったことはありませんか?

和紙は古くから3種類の原料が使われており、それぞれさまざまな特徴を持っています。とはいえ、今現在では植物であれば向き不向きはあっても和紙にできるため、高価な原料を使う必要性がなくなりました。

それでも古くから使われている原料は大変人気があるので、今でも使われています。

それでは、和紙に使われている原料の特徴についてご説明しましょう。

古くから使われている和紙の原料の特徴

古くから使われている和紙の原料の特徴

古くから使われている和紙の原料は、以下の通りです。

  • 楮(こうぞ)
  • 三椏(みつまた)
  • 雁皮(がんぴ)

以上の3種類の原料に共通しているのは、繊維が長くて丈夫なこと、粘り気があるので繊維同士が絡みやすく、より強固なものが作れること、繊維が一度に多く取れるので和紙が作りやすいこと、完成した和紙が綺麗で使いやすいことなどさまざまです。

それでは、古くから使われている和紙の原料の特徴についてご説明しましょう。

〇楮(こうぞ)

楮は落葉低木のクワ科で、毎年収穫できるほど栽培が手軽にできるのが最大の特徴です。

太くて長い繊維は非常に強靭なので幅広い用途に使われており、作り方によっては表面の黒い皮と繊維の間の甘皮部分を少し残して繊維と一緒に漉くと、水に強くて丈夫な和紙になるのもポイントです。

〇三椏(みつまた)

三椏が和紙の原料として使われ始めたのは400年~500年以上も前のことで、明治時代に印刷局が初めて使ったことで重要な製紙原料となりました。

三椏は基本的に細くて柔軟、そして光沢がある繊維で、三椏を使用して作られる和紙は表面が非常に滑らかで、上品で繊細な雰囲気を醸し出しています。

美術工芸紙や書道用紙などにも使われるほどで、印刷する紙としても適しているので世界一の品質を持つ日本銀行券にも使われているほどです。

〇雁皮(がんぴ)

雁皮は古くから使われている和紙の原料の中で唯一栽培が難しい植物で、生育には苦労することから希少価値が高くなっています。

生育が成功するか分からない以上、場合によっては自生している雁皮を生剥ぎにして加工することもあるほどです。

繊維自体は楮と三椏のいいとこどりのようなもので、細くて短く、光沢があります。さらに害虫などがつきにくいので文化財の補修などに使われることが多いです。

その他に使われている和紙の原料の特徴

その他に使われている和紙の原料の特徴

その他に使われている和紙の原料は、以下の通りです。

  • ネリ
  • アサ
  • タケ
  • ケナフ

それでは、その他に使われている和紙の原料の特徴についてご説明しましょう。

〇ネリ

ネリはノリウツギやトロロアオイなどをネリの原料として用いて使われます。

ネリを繊維に加えることによって強靭な粘りを加えることが可能であり、紙を漉くときに繊維が金一に保たれるので綺麗な和紙が作れるのがポイントです。

〇アサ

アサは植物のアサというよりも、繊維が取れる植物として呼ばれることもあります。

したがって、アサ以外にもチョマやアマ、マニラアサ、コウマといったさまざまな種類があります。

基本的にアサ系統の植物は紙漉きが日本で始まった頃に使っていたとされていますが、繊維が取り出しづらいという理由で徐々に別の原料に取って代わりました。

現在でも日本画用紙を作るためにアサ系統の原料が使われています。

〇タケ(竹)

タケ(竹)からも和紙が作れます。

さらに、タケの他にもワラや古紙が和紙の原料として使われます。

これらの原料は基本的に成長が早いので栽培しやすいですが、繊維が取り出しにくいので苦労に見合うだけのメリットがあまりありませんでした。

紙の質が劣るということもあって徐々に使われなくなったものの、和紙の古紙は非常に利用価値が高いリサイクル品として重宝します。

リサイクルできる和紙は使い古されていても立派な和紙として使えるため、大事な原料として活用できるのがポイントです。

〇ケナフ

ケナフは平成に入ってから注目を集めている原料で、他の原料と違って森林伐採による環境破壊の影響が少ないことから研究が積極的に行われています。

空気を綺麗にしたり土壌に良い影響を与えたりとさまざまなメリットがあるので和紙にも使えないかと言われていますが、ケナフは繊維を取り出すのに手間がかかるのが難点です。

まとめ

まとめ

和紙は普通の紙とは違い、繊維の強さと保存性、吸湿性に優れているのが特徴です。

和紙は繊維同士が複雑に絡み合って作られているので、非常に丈夫な作りになっています。

破れにくい上にしなやかで、水分の放出と吸収を繰り返して温度を効率良く調節する機能にも優れています。

また、正倉院には1000年以上前に使われた和紙が残されているため、和紙がいかに保存性に優れているかどうかが分かるでしょう。

和紙に使われている原料にはさまざまな特徴を持っており、使用用途に応じて使われる原料が違います。

古くから使われている原料はいずれも優れた性能を持っているため、どの和紙も優れていると言えます。

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