曲げわっぱの正しいお手入れ方法と長持ちさせるコツを紹介
曲げわっぱは木のぬくもりや見た目の美しさが特徴の伝統工芸品です。その魅力からお弁当箱として使う人も少なくありません。
お手入れが面倒なイメージを持つ人もいますが、コツさえ掴めば簡単に長く利用できます。
本記事では、曲げわっぱの正しいお手入れ方法と長持ちさせるコツを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
曲げわっぱの種類と性質
曲げわっぱは無塗装(白木)、ウレタン塗装、漆塗りの3種類です。お手入れするときは、曲げわっぱの性質を知っておくと役立ちます。
無塗装(白木)
白木の曲げわっぱは、無塗料なので木のぬくもりや香りなど、木の本来の特性を味わえます。調湿作用の効果が高いので、時間が経ったごはんもふっくらしやすいです。
<メリット>
|
<デメリット>
|
ウレタン塗装
ウレタン塗装の曲げわっぱは、白木にウレタン樹脂が塗られており、白木と見た目が似ています。
中性洗剤で洗えるので初心者にも使いやすいのが特徴です。木目の美しさも変わらないので見た目も楽しめます。
<メリット>
|
<デメリット>
|
漆塗り
曲げわっぱに漆を塗ることで抗菌作用があり、油ものにも使えるのが特徴です。耐久性にも優れているので「長持ちさせたい」人におすすめです。
<メリット>
|
<デメリット>
|
曲げわっぱを使う前のお手入れ方法
曲げわっぱを使う前には、必ず洗ってから使いましょう。曲げわっぱは天然の木で作られているので、木の香りや色素があります。
そのまま使うとご飯やおかずに香りが移る可能性があります。もちろん天然のものなので身体に害はありません。
数回使っていくと香りは薄くなりますが、気になる人は水洗いや70度くらいのお湯につけて捨てることを2.3回繰り返しましょう。
洗ったあとに1日程度、しっかりと乾燥させれば使用可能です。
曲げわっぱの種類別お手入れ方法
曲げわっぱは種類によってお手入れの方法が異なります。正しくお手入れしなければ、カビの原因にもなります。それぞれのお手入れ方法を見ていきましょう。
白木の曲げわっぱは乾燥が大切
白木の曲げわっぱは、無塗料なので中性洗剤などは使わず、基本的には水やお湯で洗います。汚れが気になる場合は、中性洗剤を使っても構いません。
ただし、使いすぎてしまうとカビや黒ずみの原因になるので、気になるときだけ使用しましょう。
またお湯は熱すぎるとゆがみやひび割れなど劣化の原因になります。そのため、50~60℃に短時間つけて洗いましょう。
洗い終わった後は布で拭いてからしっかりと乾燥させるのがポイントです。開口部を下向けにすると底に水がたまりやすいので、横向けにし1日ほど乾燥させてください。
ウレタン塗装の曲げわっぱはお手入れ簡単
ウレタン塗装の曲げわっぱは、中性洗剤を使って洗えます。そのため、一般的なプラスチック製のお弁当箱と同じように洗っても問題ありません。
白木の曲げわっぱと同様にしっかりと乾燥はしてください。ただし、食器洗浄機(乾燥機)は劣化の原因になるので使用は控えましょう。
長く使っていると塗装が薄くなりますが、自分で米油を塗ってもいいでしょう。
漆塗りの曲げわっぱは汚れにくい
漆塗りの曲げわっぱは、ウレタン塗装と同じで洗剤を使って水やお湯で洗うのが基本です。
他の食器と一緒に洗えるため、簡単にお手入れできます。漆塗り曲げわっぱも、しっかりと乾燥させましょう。
曲げわっぱを長持ちさせるコツ
曲げわっぱは基本的にしっかりと乾燥させることが、長持ちさせるポイントです。乾燥させること以外にも3つのコツを知っておくと、さらに長持ちさせられるでしょう。
曲げわっぱを使う前にさっと水で濡らす
しっかりと乾燥した曲げわっぱにご飯を入れると、ご飯がくっつきやすくなります。こびりついたご飯を洗い落とすのはお手入れが大変です。
そこで、水に濡らすことで木が水を吸収し、ご飯がつきにくくなります。濡らした後は布で軽く拭いてからご飯やおかずを入れましょう。
塗装されている曲げわっぱはコーティングされているので、水に濡らさなくて大丈夫です。
放置せずにすぐ洗う
曲げわっぱのお手入れで重要なポイントは「よく乾燥させること」と「すぐに洗うこと」です。
これは塗装の有無にかかわらず、使い終わったらすぐに洗い、よく乾燥させることが長持ちさせるコツです。
洗い忘れてしまうとカビの原因にもなるの、忘れずにすぐ洗いましょう。
曲げわっぱのストックを用意する
曲げわっぱは十分に乾燥させる必要があるので、1日程度は乾燥させる必要があります。乾燥が不十分だとカビや黒ずみの原因になります。
毎日使用すると乾燥が不十分になる可能性があるので、ストックを用意して1日おきに利用するのが好ましいです。
曲げわっぱに関するよくある質問
曲げわっぱに関するよくある質問を見ていきましょう。
洗い忘れたときはどうすればいい?
誰しもうっかりお弁当箱を洗い忘れることがあるでしょう。洗い忘れてしまった場合は、50~60℃のお湯に10分ほどつけ置きしてください。
長時間つけ置きすると曲げわっぱが歪んでしまうので、長くつけすぎないように気を付けましょう。
あとは手やスポンジで水洗いすれば大丈夫です。
黒ずみがあるけど大丈夫?
曲げわっぱは、木に含まれている「タンニン」がでんぷんや卵などと化学変化して黒ずみになってしまうことがあります。黒ずみは身体に無害なので心配ありません。
気になる人は「酢:水=1:1」の酢水を作り、30分ほどつけ置きしてください。そのあとはお湯で洗い流すときれいになります。
黒ずみが残ってしまった場合は、目の細かいサンドペーパーで削ると落とせますが、木地は薄くなってしまいます。
カビが生えてしまったときの対処法は?
ウレタンや漆など塗装している曲げわっぱの場合は、中性洗剤でよく洗いお湯できれいに濯ぎます。その後、熱湯をさっとかけてよく乾燥させれば問題ありません。
コーティングされているので、カビの菌が中まで浸透することはないでしょう。
白木の曲げわっぱの場合は、残念ながら有効な対処法がありません。白木は無塗装なので、たとえ表面上がきれいであってもカビの菌が木の繊維の中に根を張ってしまい、除去できません。
根絶することはできませんが、小さなカビであれば除菌剤やエタノールなどでふき取るのも1つの手です。または、塗り直しをするか新しく買い替えることをおすすめします。
ちなみにどの曲げわっぱもカビキラーや漂白剤を使うことはできません。
詰め方のコツは?
ご飯に立てかけるように詰めていくのがポイントです。汁気や油ものはアルミカップに入れたり、油や調味料をキッチンペーパーで軽くふき取ってから入れたりすると、シミになりにくく長持ちします。
まとめ
曲げわっぱの正しいお手入れ方法は「よく乾燥させること」と「すぐに洗う」ことです。この2つを確実に守れば、曲げわっぱを長持ちさせられます。
洗い忘れや不適切な乾燥方法はカビの原因になるので注意しましょう。正しくお手入れすれば10年、20年と長く使えるのが曲げわっぱの魅力です。
日本の伝統工芸品である曲げわっぱをあなただけの色に染めていきましょう。