
麻賀多神社|由緒ある古社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
千葉県成田市台方に鎮座する麻賀多神社は、今から千七百年余前に印旛国造である伊都許利命によって創建された由緒ある古社です。平安時代に編纂された延喜式神名帳にも記載される式内社として、長い歴史と格式を誇ります。境内奥には樹齢千三百有余年を誇る東日本一の大杉が立ち、現在ではパワースポットとしても多くの参拝者が訪れる神聖な場所となっています。
麻賀多神社の概要・基本情報
麻賀多神社は、印旛郡市に18社ある「麻賀多十八社」の総本社であり、全国的に見ても珍しい名前の神社として知られています。これらの神社は印旛沼の東側から南にかけての地域にのみ存在し、成田市に2社、佐倉市に11社、酒々井町に2社、富里市に2社、八千代市に1社の計18社が点在しています。
平安時代中期に制定された国家の法制書である「延喜式」神名帳には、国幣社・麻賀多神社と記されている延喜式内社であり、往時勅使として大伴家持も参拝されています。本社である台方社のほか、北方約1キロメートルの船形区手黒には奥宮があり、二社構成となっているのも特徴です。
歴史と由来
社伝によれば、景行天皇42年(西暦113年)6月晦日、東征中の日本建尊が当地を訪れ、杉の幹に鏡を懸け「この鏡をインバノクニタマオキツカガミと崇めて祀れば、五穀豊穣になる」と言い、伊勢の大神を遥拝したのが当社の起源であるとされています。
その後、応神天皇20年に神八井耳命の8世の子孫である印旛国造・伊都許利命が現在の成田市船形に社殿を造営し、その鏡を神体として稚日霊命を祀りました。また、伊都許利命は杉の木の下から7つの玉を掘り出し、それを神体として和久産巣日神を併せ祀ったと伝えられています。
西暦六百年頃推古天皇の時代に、船形麻賀多神社(現在の奥宮)で御霊代の稚日霊女神と合わせて祀られていた雅産霊神(ワクムスビノカミ)をこの地に遷宮し、麻賀多神社の本宮として建立されました。
祭神とご利益
麻賀多神社の祭神は稚産霊神(わかむすびのかみ)で、五穀の神様で産業を司る神として知られています。神社の社紋が麻の葉であることから安産や子供の守り神でもあり、産業・開運・長寿・厄除けの守護神として崇められています。
麻の葉を神紋とした背景には、この地方が二千年の昔から麻の産地として名が通っていたことがあります。当時、麻は織物類の原料として貴重品であり、都人が身に着ける衣はこの土地から献上されていました。この歴史的背景が神社の性格を物語っています。
麻賀多神社の見どころ・特徴
麻賀多神社には長い歴史に培われた数多くの見どころがあり、訪れる人々に深い感動を与えています。特に自然と歴史が調和した境内は、都市部では味わえない神聖な空間を作り出しています。
東日本一の大杉(御神木)
境内左奥にある東日本一の大杉は、樹齢千三百有余年、太さ8メートル、高さ40メートルの巨木で、聖徳太子の生きていた時代に植えられたものとされています。古来より御神木には心霊が宿っていると言い伝えられ、延命長寿のご利益を授かることでも有名です。
昭和10年(1935年)に千葉県の記念樹第1号に指定されたこの大杉は、現在はパワースポットとしても人気の場所となっています。昔から多くの祈願が行われ、大願成就前には梢より霊光が輝き、神のお告げがあると言い伝えられています。
本殿・拝殿の建築美
現在の本殿は「一間社」の流れ造りで江戸時代中期初頭の寛文13年(1673)に建築されたもので、特に構造柱の斗栱(ときょう)、木鼻、高欄の擬宝珠などに創建時の特色がよく残っています。素木のベージュ色と屋根の淡いレンガ色、そして白壁の三者が見事に調和した美しい建築となっています。
拝殿は木の香が漂う比較的新しい造りで、参拝者が心静かに神様と向き合える空間となっています。建物全体が周囲の緑豊かな環境と調和し、古き良き日本の神社建築の美しさを今に伝えています。
麻賀多神社の森と境内社
御神木を含む周辺の緑豊かな森は「麻賀多神社の森」として、千葉県の天然記念物に指定されています。社叢林の6386平方メートルの土地が指定されており、20本あまりのスギのほか、カシ、シイなどの樹木が茂っています。
境内には印施国造神社、馬来田神社、天日津久神社、幸霊神社、猿田彦神社など多くの境内社が鎮座しています。特に天日津久神社は、日月神示が降ろされた場所として知られ、スピリチュアルな関心を持つ人々にも注目されています。
階段の下には祓戸があり、瀬織津姫、気吹戸主、速秋津姫、速佐須良姫の祓戸四柱大神を祀っています。参拝者はここで心身を清めてから本殿に向かうことができる、伝統的な参拝システムが整っています。
参拝案内
麻賀多神社は千三百年以上の歴史を持つ神聖な場所として、多くの参拝者に親しまれています。古式に則った参拝作法を心がけることで、より深い祈りと感謝の気持ちを神様に捧げることができます。
参拝作法とマナー
神社参拝では、まず鳥居をくぐる前に一礼し、参道は中央を避けて歩くのが基本です。麻賀多神社では境内に入ってすぐに手水舎がありますので、左手、右手の順で清め、口をすすいで心身を浄化します。
麻賀多神社には祓戸があり、瀬織津姫、気吹戸主、速秋津姫、速佐須良姫の祓戸四柱大神が祀られています。ここで災厄や汚穢、罪障などの解除をお祈りしてから拝殿に向かうことで、より清らかな気持ちで参拝できます。
拝殿では二拝二拍手一拝の作法で参拝し、日頃の感謝と願いを込めて祈りを捧げます。東日本一の大杉である御神木にも手を合わせ、延命長寿や願い事成就を祈願する参拝者が多く見られます。
年中行事・季節のイベント
麻賀多神社では2月には節分祭、4月には御田植祭、7月には例大祭など様々な行事が行われています。特に例大祭は歴史ある重要な祭礼として位置づけられています。
麻賀多神社の祭礼は毎年7月最終日曜日に行われ、豊作祈願と悪魔払いの祭りとして古くから伝えられています。この神社とともに暮らしてきた台方と下方両地区が祭りを運営しています。毎年、七月の最終日曜日には祭礼が行われ、伝統ある獅子舞が奉納されます。
節分祭では豆まきが行われ、多くの参拝者が福を求めて集まります。御田植祭では五穀豊穣を祈願し、古式に則った神事が執り行われます。これらの行事を通じて、地域の人々と神社との深い結びつきを感じることができます。
御朱印・お守り情報
麻賀多神社オリジナルの御朱印帳は、表に御拝殿裏表紙に東日本一の大杉のデザインとなっており、一冊千円にて奉仕しています。この御朱印帳は神社の象徴である大杉をモチーフにした特別なデザインで、参拝の記念として人気があります。
毎月1日、15日の8:00-14:00に御朱印等受付を行っています。お問合せの電話については毎月1日、15日の8:00~14:00に対応しています。御朱印をご希望の方は、この時間帯に合わせて参拝されることをおすすめします。
お守りについては、安産や子育て、五穀豊穣、延命長寿など、祭神である稚産霊神のご利益にちなんだものが用意されています。特に麻の葉の神紋にちなんだお守りは、安産や子供の健やかな成長を願う方々に人気があります。
アクセス・利用情報
麻賀多神社は千葉県成田市の住宅地に位置しながらも、豊かな自然に囲まれた静寂な環境にあります。公共交通機関と自家用車の両方でアクセス可能で、多くの参拝者が訪れやすい立地となっています。
交通アクセス
公共交通機関を利用される場合は、京成公津の杜駅から成田市コミュニティバス「北須賀ルート」(甚兵衛渡し方面)で約15分、「麻賀多神社」停留所下車徒歩1分でアクセスできます。また、成田市役所からも同じコミュニティバスの北須賀ルートを利用できます。
自家用車でお越しの場合は、佐倉ICから車で約20分の距離にあります。東関東自動車道を利用して成田方面からもアクセスしやすい立地です。宗吾街道を公津の杜方面から印西方向に向かう途中に位置しており、道路標識に従って進むことができます。
<住所> 千葉県成田市台方1番地
拝観時間・料金・駐車場情報
麻賀多神社の参拝料は無料で、休業日もなく年中無休で参拝できます。神社は24時間境内に入ることが可能ですが、社務所での対応や御朱印の受付は限られた時間となっているため、事前に確認されることをおすすめします。
駐車場は50台収容可能な無料駐車場が完備されており、自家用車でお越しの参拝者も安心して利用できます。クレジットカードでの支払いには対応していないため、御朱印やお守りなどの授与品は現金でのお支払いとなります。
お問合せは電話番号0476-28-5736(FAX同番号)で、毎月1日、15日の8:00~14:00に対応しています。参拝に関するご質問や年中行事の詳細については、この時間帯にお電話でお問い合わせください。
境内はバリアフリーにも配慮されており、車椅子でも参拝しやすいスロープが設置されています。ご高齢の方や身体の不自由な方でも安心して参拝できる環境が整えられています。
参照サイト
・麻賀多神社 公式ホームページ:https://makata-jinja.com/
・FEEL成田 成田市観光協会公式サイト:http://www.nrtk.jp/mypage/00158.html