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金剛輪寺明壽院庭園|近江路一の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を徹底紹介

金剛輪寺明壽院庭園|近江路一の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を徹底紹介

滋賀県愛荘町にある金剛輪寺明壽院庭園は、”近江路一”とも称される国指定名勝の日本庭園です。桃山時代から江戸時代中期にかけて造られた三つの庭園が連なる貴重な景観で、湖東三山の一つとして知られる金剛輪寺の本坊に位置しています。四季折々の美しさを見せる池泉回遊式庭園は、日本庭園愛好家なら一度は訪れたい名園の一つです。

金剛輪寺明壽院庭園の概要・基本情報

金剛輪寺明壽院庭園|近江路一の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を徹底紹介

金剛輪寺明壽院庭園は、紅葉の名所として有名な滋賀県の”湖東三山”の一つに挙げられる松峯山金剛輪寺の本坊「明壽院」にある庭園です。この庭園は平成2年(1990年)8月4日に国の名勝に指定され、その美しさは古くから多くの人々に愛され続けています。

金剛輪寺自体は奈良時代の中頃、天平13年(741年)に聖武天皇の願いにより行基菩薩が開山した天台宗の古刹で、西明寺、百済寺とともに湖東三山の1つに数えられます。境内には国宝の本堂大悲閣や重要文化財の三重塔、二天門などの貴重な文化財が点在し、歴史と自然が調和した美しい空間を形成しています。

歴史と由来

金剛輪寺は奈良時代の741年(天平13年)に聖武天皇の勅願によって行基が開山し、秘仏の御本尊は行基の作と伝わります。平安時代のはじめ、嘉承年間の850年に比叡山延暦寺から慈覚大師円仁が訪れ、お寺を再興されたことをきっかけに天台宗の寺院となりました。

庭園が位置する明壽院は、江戸時代の創建といわれ寺宝を多く保存し、かつて学頭所として使われていました。戦国時代には織田信長が天台宗寺院を焼き討ちにする中、金剛輪寺は入口の総門から本堂・三重塔までの参道が、長い上り坂であったため、幸いにも焼失を免れることができました。

江戸時代に入り彦根藩主・井伊直孝と天台宗の天海僧正により再度復興されましたが、明治時代の上知令により寺院は大幅に縮小され、残ったのは本坊の「明寿院」のみとなりました。現在の明寿院の建築は昭和中期に一度焼失があり、現在のは1978年に再建されたものです。

国指定名勝としての価値と特徴

金剛輪寺明壽院庭園は桃山時代~江戸時代中期にかけて造られた池泉鑑賞式の庭園が3つ連なっていて、数ある文化財庭園の中でも、三時代の庭園が連続して見られる場所は貴重な存在として高く評価されています。

庭園の構成は時代順に、桃山時代に作庭された”石楠花の庭”、江戸時代初期に作庭された主庭、江戸時代中期の庭の三つから成り立っています。この本坊の南・東・北の三方を囲むように庭園があり、心の字池が3庭を結んでいます。

主庭こそ書院からの眺めが意図された池泉鑑賞式庭園ですが、この3つの庭園が一つの心字池として繋がっていて、時代の違う庭園をまわる回遊式庭園といった感じの方が現在は強くなっているため、訪問者は散策しながら異なる時代の作庭技法と美意識を体感することができます。

金剛輪寺明壽院庭園の見どころ・特徴

金剛輪寺明壽院庭園|近江路一の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を徹底紹介

庭園そのものももちろん素晴らしく、その美しさは多くの庭園愛好家から絶賛されています。三つの異なる時代に造られた庭園それぞれが独自の魅力を持ちながら、全体として調和のとれた景観を形成している点が最大の特徴です。

三時代の庭園が織りなす景観美

最初に出会う桃山時代の庭園は”石楠花の庭”と呼ばれ、庭の中央に架けられた優雅な石橋のそばに、鎌倉時代に作られた苔むした多くの石が配され、品格のある雰囲気を醸し出しています。安土桃山時代らしく自然石を使った意欲的なもので、小池には出島が造られ、出島には3石の自然石を連ねた橋が架けられています。

江戸時代初期に造られた主庭は金剛輪寺の主庭で、他の庭と趣が異なり、どっしりと落ち着いた雰囲気が特徴的です。枯れ滝が配され、庭園技法の発展を感じさせる構成となっています。

江戸時代中期の庭園では滝から池に水が流れ、池の中に七福神の宝船を表わす岩でできた舟が配されています。この時代になると、より装飾的で象徴的な要素が庭園に取り入れられるようになった変遷を読み取ることができます。

季節ごとの花と紅葉の魅力

金剛輪寺明壽院庭園は四季を通じて異なる表情を見せる庭園として知られています。春になると、庭のそばにある護摩堂のカキツバタやシャクナゲが鮮やかに咲き、華やかな景観を楽しむことができます。

春は山桜やシャクナゲが、新緑と青モミジの季節から夏にかけては紫陽花や睡蓮が咲き誇ります。夏には池一面に睡蓮が清楚な花を咲かせ、涼やかな風情を演出します。サツキの開花と青もみじの姿もまた美しい季節で、主庭は初夏にサツキの刈込が花を咲かせ彩ります。

秋には”血染めもみじ”と称される紅葉がお見事で、11月中旬から下旬にかけてが見頃となります。この時期の庭園は格別の美しさを誇り、多くの観光客が訪れる人気の季節です。

池泉回遊式庭園の構造と意匠

3つの庭は、作庭された年代がそれぞれ異なる池泉回遊・鑑賞式の庭園として設計されています。中心となる心字池は三つの庭園を巧みに結び、散策路に沿って歩きながら様々な角度から庭園美を鑑賞できる構造となっています。

特に注目すべきは桃山時代の庭の宝篋印塔を見下ろすように立つ水雲閣です。湖東随一の茶室で、天井に桜、なでしこ、菊など四季おりおりの花が描かれています。またこの茶室からの庭の眺めは美しく、一見の価値があります。池にせり出す形で江戸時代後期の天保年間に建てられた茶室”水雲閣”はまさに特等席となっており、庭園鑑賞の最高のポイントとなっています。

拝観案内

金剛輪寺明壽院庭園|近江路一の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を徹底紹介

金剛輪寺明壽院庭園は金剛輪寺の拝観料で見学することができ、境内の他の文化財とあわせて楽しむことができます。庭園は本坊である明寿院を中心として配置されているため、まずは受付で拝観手続きを済ませてから庭園エリアへ向かいます。

拝観のポイントと楽しみ方

庭園は散策路に沿って歩きながら鑑賞する回遊式となっているため、ゆっくりと時間をかけて三つの時代の庭園を順に巡ることをおすすめします。それぞれの庭園で作庭された時代の特徴や技法の違いを感じながら散策することで、日本庭園の歴史的変遷を体感することができます。

庭園鑑賞の際は、各時代の庭園の違いに注目してみてください。桃山時代の石楠花の庭では自然石を使った力強い意匠を、江戸初期の主庭では落ち着いた品格を、江戸中期の庭では装飾的で象徴的な要素をそれぞれ楽しむことができます。

写真撮影も可能ですが、庭園の美しさを損なわないよう配慮しながら撮影しましょう。特に紅葉シーズンや花の咲く時期は、庭園の魅力を最大限に感じられる撮影ポイントとなります。

季節のイベントと特別公開

金剛輪寺では年間を通じて様々な行事が行われており、特別な機会には茶室”水雲閣”の特別公開やお抹茶体験などが実施されることがあります。これらの特別企画では、普段は入ることのできない茶室から庭園を眺める貴重な体験ができます。

11月の紅葉シーズンには湖東三山巡りの観光バスが運行され、多くの参拝者で賑わいます。この時期は庭園が最も美しい季節の一つとして知られており、”血染めもみじ”の見事な紅葉を楽しむことができます。

春のシャクナゲやカキツバタの開花時期、夏の睡蓮の季節なども庭園の魅力を存分に味わえる時期です。季節ごとに異なる表情を見せる庭園の変化を楽しみたい方は、複数回の訪問もおすすめです。

金剛輪寺境内の他の見どころ

庭園とあわせて拝観できる金剛輪寺境内には、国宝の本堂大悲閣をはじめとする貴重な文化財が点在しています。鎌倉時代に元寇の役の戦勝記念として建立された本堂は、鎌倉時代の和様建築の代表とされる見事な建造物です。

本堂の左上段に建つ三重塔や本堂前の二天門も重要文化財に指定されており、建築史的にも価値の高い構造物として知られています。本堂内には十一面観音立像をはじめとする重要文化財の仏像が安置されており、間近に拝むことができます。

山門から本堂までの長い参道には千体地蔵尊が鎮座し、風車を持った地蔵尊の姿が印象的な風景を作り出しています。この参道沿いの風景も金剛輪寺の魅力の一つとして多くの参拝者に愛されています。

アクセス・利用情報

金剛輪寺明壽院庭園|近江路一の美しい日本庭園の魅力と見どころ、拝観案内を徹底紹介

金剛輪寺明壽院庭園へのアクセスは、公共交通機関と自家用車の両方で可能ですが、山間部に位置するため事前の交通手段確認をおすすめします。特に紅葉シーズンなどの繁忙期には交通渋滞が予想されるため、時間に余裕を持って計画することが大切です。

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合、JR琵琶湖線稲枝駅または近江鉄道豊郷駅、愛知川駅から予約型乗合タクシー「愛のりタクシーあいしょう」で「金剛輪寺停留所」下車となります。予約型乗合タクシーは事前予約が必要で、近江タクシー株式会社彦根営業所(0749-22-1111)へ乗車時刻の1時間前までに予約が必要です。

最寄駅は豊郷駅で、豊郷町観光協会案内所でレンタサイクルを利用して約7kmの道のりとなります。体力に自信のある方はサイクリングを楽しみながらのアクセスも可能です。

自家用車でのアクセスの場合、ETC車は湖東三山スマートインターチェンジを出て信号右折1分の便利なルートが利用できます。ETC車以外の場合、京阪神方面からは名神八日市インターを出て信号直進、東近江大橋を越え国道307号線を彦根方面へ12分、中京方面からは名神彦根インターを出てすぐの信号を左折、国道307号線を直進20分となります。

拝観時間・料金・駐車場情報

拝観時間は8時30分から16時30分(17時閉山)となっており、年中無休で拝観可能です。拝観料は一人様800円(20名以上の団体の場合は一人様700円)で、境内の全ての文化財と庭園を見学することができます。

境内には広い駐車場が完備されており、無料で利用することができます。繁忙期には駐車場が混雑することがあるため、特に紅葉シーズンなどは早めの到車をおすすめします。

車椅子での拝観も可能で、受付で申し込むと本堂までは車で行くことができるサービスも提供されています。庭園などを見ることはできませんが、足が不自由な方にとってはありがたい配慮となっています。

〒529-1202 滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺874

参照サイト

・金剛輪寺 公式ホームページ:https://kongourinji.jp/
・滋賀県観光情報[公式観光サイト]金剛輪寺:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1259/

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