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清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院庭園は、滋賀県米原市に佇む京極氏の菩提寺として知られる歴史ある寺院に造られた美しい庭園です。小堀遠州作庭と伝わる池泉回遊式庭園として滋賀県指定名勝に登録されており、清滝山の借景を取り入れた風雅な景観で多くの人々を魅了し続けています。

清瀧寺徳源院庭園の概要・基本情報

清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院は、滋賀県米原市清滝にある天台宗の寺院です。山号は霊通山、本尊は聖観世音菩薩で、寺号で清瀧寺(せいりゅうじ)とも呼ばれています。鎌倉時代から戦国時代にかけて近江国で勢力を振るった京極氏の菩提寺として創建され、現在も歴史の重みと自然の美しさが調和した特別な空間を保持しています。

歴史と由来

当院は、弘安6年(1283年)に近江守に任ぜられた京極氏の初代当主・京極氏信によって、弘安9年(1286年)に柏原城の跡地に創建されました。京極氏は、鎌倉中期に近江で勢力を振るっていた近江源氏佐々木氏から分かれた家系で、家名は氏信の宿所が京都の京極高辻(きょうごくたかつじ)にあったことに由来します。

寺名は氏信の法号である清瀧寺殿からとられ清瀧寺とされ、氏信の死後にはその菩提寺とされました。その後、戦国時代に京極氏が没落すると当院も一時期衰退しましたが、寛文12年(1672年)に讃岐国丸亀藩主京極高豊によって復興され、現在に至っています。

庭園の特徴と様式

滋賀県指定名勝となっている池泉式庭園は小堀遠州の作庭と伝わります。池泉回遊式庭園として設計されており、本来は池の周辺を歩いて楽しむ構造となっていますが、現在は主に本堂から鑑賞する形で利用されています。庭園の最大の特徴は、背後にそびえる清滝山を借景として取り入れた雄大な景観にあります。

小堀遠州(1579-1647年)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した大名・茶人・建築家・作庭家として知られ、「綺麗さび」という新たな美意識を確立した人物です。徳源院庭園においても、その洗練された美的感覚が随所に表現されています。

滋賀県指定名勝としての価値

この庭園は江戸初期の典型的な作風を示す貴重な文化遺産として、滋賀県の名勝に指定されています。特に清滝山という自然の地形を巧みに取り入れた借景技法は、日本庭園の美学を理解する上で重要な事例とされています。庭園が持つ歴史的価値と芸術的価値の両面において、滋賀県の文化財として高く評価されています。

清瀧寺徳源院庭園の見どころ・特徴

清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院庭園は、その美しさを構成する複数の要素が調和して、訪れる人々に深い感動を与える空間となっています。小堀遠州の作庭技法と自然環境が織りなす美的世界は、日本庭園の真髄を体感できる貴重な場所です。

小堀遠州作庭と伝わる池泉回遊式庭園

造りとしては池の周辺を歩ける池泉回遊式庭園です。庭園の中心には美しい池があり、その周囲に配置された石組みや植栽が季節ごとに異なる表情を見せてくれます。小堀遠州が得意とした「綺麗さび」の美学が随所に表現されており、華やかさの中にも落ち着いた品格を感じることができます。

池の形状や石の配置、植物の選択に至るまで、すべてが計算し尽くされた美的構成となっており、どの角度から眺めても絵画のような美しい景観を楽しむことができます。特に本堂からの眺めは格別で、庭園全体を一望しながら静寂の中で心を落ち着かせることができます。

清滝山を借景とした美しい景観

清滝山の借景が美しい庭園で、余計な雑音が少なくとても癒やされる庭園です。借景技法は日本庭園の重要な手法の一つで、庭園の背景に自然の山や丘を取り入れることで、限られた空間に無限の広がりを感じさせる効果があります。

清瀧寺徳源院庭園では、清滝山の緑豊かな山容が庭園の背景として自然に溶け込み、人工的に造られた庭園と自然の山々が一体となった壮大な景観を創り出しています。この借景効果により、庭園は実際の面積以上の奥行きと広がりを感じさせ、訪れる人々に深い安らぎと感動を与えています。

四季折々の自然美

訪れたのが夏だったので緑一色の風景ですが、秋には紅葉の美しい名所になります。清瀧寺徳源院庭園は、一年を通じて異なる美しさを楽しむことができる庭園として親しまれています。

春には新緑が美しく、特に境内の道誉桜が見事な花を咲かせます。夏は深い緑に包まれた静寂の空間で涼やかな時間を過ごすことができ、秋には真っ赤なモミジが庭園の床に落ちた様子が絨毯のように見える敷紅葉は絶景です。冬には雪化粧した庭園が凛とした美しさを見せ、四季それぞれに異なる趣を持つ庭園として多くの人々に愛され続けています。

境内の文化財・重要な所蔵品

清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院は庭園だけでなく、境内には数多くの貴重な文化財が保存されており、歴史的価値の高い寺院として知られています。これらの文化財は京極氏の栄華と信仰の深さを物語る重要な遺産となっています。

京極家墓所(国指定史跡)

境内にある京極家墓所は国の史跡に指定されています。本堂裏手の山麓にあり、上段の始祖氏信を筆頭に、南北朝時代に活躍した道誉を含む、歴代当主の墓碑宝篋印塔が18基、下段には、それ以降の当主や分家やらの宝篋印塔14基と、淀殿の妹・はつをめとった京極高次の墓石などが、整然と並んでいます。

34基に及ぶ宝筺印塔が並んでいます。これらの宝篋印塔は年代ごとに特徴のある型を示しており、京極氏の長い歴史と変遷を物語る貴重な史料となっています。塔の大きさは様々で、京極家の栄枯盛衰を表しています。特に婆沙羅大名として知られる佐々木道誉(京極高氏)の墓所は、当時の権勢を偲ばせる重要な史跡です。

三重塔(滋賀県指定有形文化財)

寛文12年(1672年)に讃岐国丸亀藩主京極高豊により建立された朱塗りの三重塔は、滋賀県指定有形文化財になっています。この三重塔は京極氏の復興と信仰の象徴として建てられたもので、美しい朱色の外観が境内に彩りを添えています。

三重塔の建立は京極高豊による寺院復興事業の一環として行われ、この時期に京極氏が勢力を取り戻したことを示す重要な建造物です。建築様式や装飾には江戸時代初期の特徴がよく表れており、当時の建築技術と美意識を知る上で貴重な文化遺産となっています。

道誉桜(米原市指定天然記念物)

婆沙羅大名として知られる佐々木道誉(京極高氏)が愛したと伝えられるしだれ桜で、現在の桜は2代目と3代目です。この桜は米原市指定天然記念物として保護されており、春になると美しい花を咲かせて多くの人々を魅了しています。

道誉桜は単なる自然の美しさだけでなく、歴史上の人物との深いつながりを持つ特別な存在です。婆沙羅大名として知られる佐々木道誉の人物像と重ね合わせることで、より深い歴史的ロマンを感じることができます。現在の桜は代替わりしていますが、その精神は脈々と受け継がれ、春の境内を美しく彩っています。

拝観案内

清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院庭園を訪れる際には、事前の準備と適切なマナーを心がけることで、より充実した拝観体験を得ることができます。歴史ある寺院として、また貴重な文化財を有する場所として、敬意を持って拝観することが大切です。

拝観のポイントと楽しみ方

現在は本堂から鑑賞する形になります。庭園拝観は本堂からの眺めが中心となりますが、庭園拝観等は要予約となっているため、事前に電話での予約が必要です。本堂からは庭園全体を一望でき、借景として取り入れられた清滝山との調和した美しい景観を楽しむことができます。

庭園を鑑賞する際は、小堀遠州が意図した視点場を意識しながら、池の形状、石組みの配置、植栽の選択などに注目してみてください。また、季節や時間帯によって光の当たり方が変わるため、異なる表情を見せる庭園の美しさを味わうことができます。静寂の中で心を落ち着かせ、日本庭園の美学をゆっくりと堪能することをお勧めします。

季節ごとの見どころとイベント

春は道誉桜をはじめとする桜の花が美しく咲き誇り、境内全体が華やかな雰囲気に包まれます。新緑の季節には清々しい緑に包まれた静寂の時間を過ごすことができ、秋には庭園内をモミジが美しく彩り、訪れる人々の目を楽しませます。

特に秋の紅葉シーズンには、客殿から眺める、真っ赤なモミジが庭園の床に落ちた様子が絨毯のように見える敷紅葉は絶景として多くの人々に愛されています。冬には雪化粧した庭園が凛とした美しさを見せ、四季それぞれに異なる魅力を発見することができます。

拝観マナーと注意事項

歴史ある寺院であり、現在も信仰の場として利用されているため、静粛を保ち、他の参拝者への配慮を心がけることが重要です。庭園拝観等は要予約のため、必ず事前に連絡を取ってから訪問してください。

撮影については寺院の規定に従い、建物内や文化財の撮影については事前に確認することをお勧めします。また、植物や石組みに触れることは避け、庭園の保護にご協力ください。境内は神聖な場所であることを常に意識し、敬意を持った行動を心がけることが大切です。

アクセス・利用情報

清瀧寺徳源院庭園|小堀遠州作庭と伝わる美しい池泉回遊式庭園の魅力と見どころを完全ガイド

清瀧寺徳源院への訪問を計画される際には、交通手段や拝観条件を事前に確認しておくことで、スムーズで充実した見学ができます。自然豊かな立地にあるため、アクセス方法をしっかりと把握しておくことが重要です。

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合、JR柏原駅から徒歩30分となります。JR東海道本線柏原駅から徒歩約20分という情報もあり、歩行時間には個人差がありますが、概ね20分から30分程度を見込んでおくとよいでしょう。駅からは田園風景の中を歩くルートとなり、自然豊かな環境を楽しみながらアクセスできます。

自動車でのアクセスの場合、北陸道米原ICから車で20分、米原ICから約15分となっています。国道21号線を通って津島神社前交差点を北へ向かうのが近道とされており、細い道を通るため運転には注意が必要です。境内には参拝者専用の駐車場が設けられており、10台まで駐車可能で無料、大型バスは3台まで入場可能となっています。

拝観時間・料金・駐車場情報

拝観時間は9:00から16:00まで、不定休となっています。拝観料は500円(小中学生は無料)で、500円で本堂と京極家墓所を拝観できます。ただし、庭園拝観等は要予約のため、庭園を見学される場合は事前に電話での予約が必要です。

連絡先は電話:0749-57-0047となっており、拝観希望日時を事前に相談することをお勧めします。駐車場は無料で利用でき、徒歩1分程度で境内に到着できる立地にあります。拝観時間や休館日については変更される場合があるため、訪問前に最新情報を確認することが大切です。

<住所> 〒521-0201 滋賀県米原市清滝288

参照サイト

・徳源院 公式サイト:https://tokugenin.net/
・清瀧寺徳源院 | 長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト:https://kitabiwako.jp/spot/spot_314
・米原市公式サイト 徳源院:https://www.city.maibara.lg.jp/soshiki/keizai_kankyo/shoko_kanko/kanko_info/spot/tokugenin.html

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