
八雲神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
神奈川県鎌倉市大町に鎮座する八雲神社は、永保年間(1081年~1084年)に創建された鎌倉最古の厄除け神社として知られています。新羅三郎義光が奥州に向かう途中、疫病が流行していた鎌倉の地に京都祇園社の祭神を勧請したのが始まりとされ、以来900年以上にわたって地元の人々から「八雲さん」「お天王さん」の愛称で親しまれ続けています。厄除け・開運のご利益で多くの参拝者が訪れる由緒正しい古社です。
八雲神社の概要・基本情報
八雲神社は鎌倉市大町に位置し、旧社格は村社として格式ある神社です。もと鎌倉祇園社や祇園天王社などと称したが、明治維新に際して現社名に改称されました。境内はこじんまりとしながらも歴史の重みを感じさせる厳かな雰囲気に包まれており、都市部の喧騒を忘れて静寂の中で参拝できる貴重な空間となっています。
歴史と由来
社伝によれば、永保年間に源義光が奥州へ向かうのに際し、鎌倉に疫病が流行しているのをみて、京都祇園社の祭神を勧請し、祭ったのが始まりと伝えられています。源義光は新羅三郎義光とも呼ばれ、平安時代後期の武将として知られる人物でした。
応永年間には、義光の子孫である佐竹氏の屋敷に祀られていた祠が合祀され、佐竹天王と称したという歴史もあります。江戸時代には将軍から朱印を賜り、地元の人々からは「祇園さま」として崇敬を集めていました。
明治時代の神仏分離により、従来の「鎌倉祇園社」「祇園天王社」から現在の「八雲神社」へと改称されました。社名は、日本神話においてスサノオが詠んだ歌「八雲立つ出雲八重垣妻籠に八重垣作るその八重垣を」の八雲に因むものです。
祭神とご利益
八雲神社の祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)をはじめとする祇園信仰の神々です。八雲神社は、牛頭天王・スサノオを祭神とする祇園信仰の神社として位置づけられています。
主なご利益として、創建の由来からもわかるように厄除け・疫病退散が第一に挙げられます。神様のご利益は、五穀豊穣・夫婦円満・子孫繁栄なども授かることができ、開運招福の神社としても広く信仰されています。特に厄年の方や健康祈願を願う参拝者が多く訪れており、鎌倉屈指のパワースポットとして親しまれています。
八雲神社の見どころ・特徴
八雲神社は規模こそ大きくありませんが、歴史ある神社ならではの見どころが数多く点在しています。境内に一歩足を踏み入れると、都市部とは思えない静寂と神聖な空気に包まれ、長い歴史を感じることができます。
建造物・構造の魅力
神社の中心となる社殿は、こじんまりした境内には、「ご神木」や四座の神輿が安置されている「宝物殿」などがあります。社殿は伝統的な神社建築の様式を保ちながら、親しみやすい雰囲気を醸し出しています。
八雲神社の宝蔵殿(宝物殿)には、「鎌倉大町まつり」で披露される御神輿などが安置されています。窓の外からの自由拝観というかたちではありますが、立派な御神輿を見ることができます。これらの御神輿は歴史ある祭礼の際に使用される貴重な文化財であり、その荘厳な造りは一見の価値があります。
境内の見どころと文化財
境内で最も印象的なのは、社殿前にそびえ立つ立派な御神木です。ご神木の下には、「新羅三郎手玉石」と呼ばれる大きな力石が置いてあります。義光公は文武に長けた人物であったので、その象徴に名称が付いています。この手玉石は源義光の怪力を物語る貴重な史跡として、多くの参拝者の関心を集めています。
参道には奉納された厄除け祈願のノボリが並び、厄除け神社としての信仰の篤さを物語っています。これらの赤いのぼりは境内の雰囲気を彩る重要な要素となっており、参拝者の願いが込められた象徴的な存在です。
末社と境内社
八雲神社の境内には複数の末社が祀られており、それぞれ異なるご利益を授けてくれます。八雲神社のご社殿の右奥には、末社である「御嶽三峯社」、またご社殿の左側には「諏訪社」や、「稲荷社」そして「於岩稲荷社」があります。
これらの末社は本殿への参拝と合わせてお詣りすることで、より多面的なご利益を授かることができるとされています。特に御嶽三峯社は山岳信仰、諏訪社は武運長久、稲荷社は商売繁盛など、それぞれ特色あるご利益で知られています。
参拝・拝観案内
八雲神社での参拝は、古来より受け継がれた作法に従って行うことで、より深いご利益を授かることができます。鎌倉最古の厄除け神社として、特に厄年の方や健康祈願を願う参拝者には格別な霊験があるとされています。
参拝作法とマナー
神社での参拝は、まず鳥居をくぐる前に一礼し、参道は中央を避けて左右どちらかを歩くのが基本的な作法です。手水舎で心身を清めた後、社殿前で「二拝二拍手一拝」の作法で参拝します。
八雲神社では厄除け祈願が特に人気で、正式な祈祷を受けることも可能です。祈祷を希望される場合は事前に社務所にご相談ください。また、末社への参拝も忘れずに行うことで、より総合的なご利益を授かることができるとされています。
年中行事・季節のイベント
八雲神社の最も重要な行事は、毎年7月に開催される例祭です。この例祭は地元では「大町まつり」として親しまれており、鎌倉の九百年以上続く伝統文化として知られています。
提灯に火を入れた四社の神輿が横一列に揃う姿はとても美しく幻想的。奉舁する者も、拝観する人も「悪疫退散招福繁昌」が約束されると古くから語り伝えられている伝統的なお祭りです。この祭礼では、宝物殿に安置されている四座の神輿が練り歩き、厄除けと招福を祈願します。
春には境内で八重桜が見頃を迎え、静かな花見スポットとしても親しまれています。ただし、台風被害により一部の桜は現在見ることができませんが、境内の自然は四季を通じて美しい表情を見せてくれます。
御朱印・お守り情報
八雲神社の御朱印は、社務所にていただけます。初穂料は通常300円ですが、お昼12時から13時30分の間は500円となります。神職の方の休憩時間への配慮として設定されているユニークなシステムです。
なお、甘縄神明神社・蛭子神社・十二所神社・熊野神社(浄明寺)の御朱印もいただけます。これは八雲神社が兼務社として管理している神社の御朱印で、一度の参拝で複数の御朱印を授かることができる貴重な機会です。
お守りについては、厄除けお守りをはじめ各種取り揃えられています。詳細については参拝時に社務所でお尋ねください。
アクセス・利用情報
八雲神社は鎌倉駅から徒歩圏内にあり、鎌倉観光の際に気軽に立ち寄ることができる立地です。住宅街の中に静かに佇む神社で、都市部の喧騒を離れた落ち着いた参拝が可能です。
交通アクセス
電車でのアクセスが最も便利です。JR東海道本線・横須賀線、江ノ島電鉄の鎌倉駅東口から徒歩約8~10分の距離にあります。「本覚寺」辺りで八雲神社の看板があるので、分かりやすいです。
バスをご利用の場合は、鎌倉駅から京急バス「鎌30・31」系統に乗車、「大町四ツ角」下車、徒歩約2分でアクセス可能です。ただし、駅からの距離がそれほど長くないため、徒歩での参拝をおすすめします。
近隣には北条政子ゆかりの「安養院」や「妙本寺」などの観光スポットも数多くあり、一日かけて観光が十分楽しめます。
拝観時間・料金・駐車場情報
八雲神社の境内は基本的に自由に参拝できます。拝観時間は境内自由、拝観料は無料です。ただし、正式な祈祷を受ける場合や御朱印をいただく場合は、社務所の受付時間内(一般的には9:00~17:00頃)に訪れることをおすすめします。
駐車場が無いため、鎌倉駅から徒歩で向かうのがおすすめです。近隣には有料駐車場がありますが、土日は満車になっていることもあります。鎌倉は観光地として人気が高く、特に週末や観光シーズンは交通渋滞も予想されるため、公共交通機関の利用が推奨されます。
なお、八雲神社の境内の裏手は祇園山ハイキングコースの起点となっており、神社脇にハイキングコースの入口があります。軽いハイキングを楽しみたい方は、参拝と合わせて自然散策も楽しむことができます。
<住所> 〒248-0007 神奈川県鎌倉市大町1-11-20
参照サイト
・神奈川県神社庁:https://www.kanagawa-jinja.or.jp/shrine/1205004-000/
・鎌倉大町まつり公式サイト:https://www.kamakura-omachi.jp/