山次製紙所の和紙の魅力|伝統と最先端のハイブリッドへの挑戦!
古くから文章をしたためるために使われていた和紙。美しさと丈夫さを兼ね備えているにもかかわらず、時代とともに日本人にとって身近なものではなくなってしまいました。
今回は「和紙を現代の当たり前にしたい」と挑戦し続ける山次製紙所を紹介します。
職人の思いを知ることで、きっと和紙のある丁寧な暮らしに魅力を感じるはずです。
山次製紙所の挑戦をみていきましょう。
明治元年から和紙を作り続ける!山次製紙所
山次製紙所は、手漉き越前和紙のメーカーです。明治元年創業でありながら、最先端の和紙製紙所の一面も持ち合わせています。
創業当初は最高級の公用紙として用いられる無地物の手漉き和紙を製造。昭和初期からは、「引っ掛け」「漉き合わせ」「流し込み」といった模様をつける技法を用いた色とりどりの和紙も作るようになりました。
近年では新しい技法を活用した「浮紙」の製造にも積極的に取り組んでいます。
受け継がれた技術と最先端技術をかけ合わせながら、越前和紙の可能性を切り開いているのが、山次製紙所です。
福井の伝統工芸!越前和紙について
1500年前、「越前和紙」は誕生。紙漉きの技術は神様から伝えられたのだそうです。
清らかな川が流れる福井県越前市は、多くの工程で水を使う和紙作りにとって絶好の環境。町は、水と繊維と確かな技術が調和する和紙工房が軒を連ね、和紙の産地として栄えていました。
丈夫で、しなやかで、美しい越前和紙は、人々の生活にとって身近な存在で、心を豊かにするアイテムでもあったのです。
和紙を現代のあたりまえにしたい
かつては、生活必需品であった和紙。時代が変わるにつれ「伝統工芸品」「特別なもの」として見られてきました。
現代人との心の距離が離れてしまった和紙を、昔のように身近に感じてほしい。
山次製紙所は「和紙を現代のあたりまえに」をビジョンに掲げながら、和紙の制作に邁進しています。
「使うのにはハードルが高い」と思われることの多い越前和紙。けれど、使い方次第で現代のライフスタイルに溶け込むはず。どうすれば、今よりふだん使いしやすくなるのだろう。
職人たちの葛藤・信念・絶え間ぬ努力が、山次製紙所の原動力となっています。
伝統と最先端のハイブリッド和紙「浮き紙」
需要を失いつつある和紙を、後世に残したい。未来への希望から生まれたのが「浮き紙」。これは山次製紙所オリジナルの越前和紙です。
「浮き紙」は、くっきりとした凹凸がある表面が特徴で、裏側はフラットであるため、自由に貼り付けたり縫い付けたりできます。平面で作成するグラフィックデザインが、まるで浮いたように見えることから名づけられました。
原料から手作業でつくるアナログな手漉き和紙に、デジタル技術を掛け合わせた浮紙は、伝統と最先端のいいとこ取りをしたハイブリッドな和紙と言えます。
心が動く!和紙アイテム
浮き紙を用いた茶缶やカードケース、ノートなど。
「これ、デザインが新しくて素敵だな」
「他で見たことがないかもしれない」
伝統工芸品である越前和紙を使用したアイテムであるにもかかわらず、新鮮さが感じられるのが、山次製紙所の魅力です。
アイテムをみて「新しい」と心が動かされる理由は、時代が変わり、もう古くなったから終わりではなく、時代の進化を和紙にもアップデートしていったからではないでしょうか。
商品ブランド「UKIGAMI」は、すべてオリジナルデザインで、発案から社内のデザイナーが担当しています。
茶缶
浮き紙を使った茶缶。蓋を開けるときに触れる凹凸に、使うほど愛着が湧くはずです。
茶缶は茶葉だけではなく、コーヒー豆やパスタ、お菓子などを保存するのに便利です。また小物入れとしても活躍します。
デザイン性の高い見た目が、キッチンやリビングに彩りを添えてくれます。
和紙箱
和紙箱の蓋に、浮紙を使用しています。箱の部分には、日本三大美林のひとつである「天然秋田杉」を使用。浮紙の華やかさと、秋田杉の温もりがマッチしていて、お気に入りのものを入れたくなるアイテムです。
文房具やメイク道具、名刺など、小物入れとして役立ちます。
部屋に溶け込むデザイン。心落ち着く手触りと豊かな香り。使うたびに、癒されることでしょう。
カードケース
カードケースは、外側には浮き紙を、内側には丈夫な「楮紙」を使用して作られたアイテムです。名刺入れとしてはもちろん、ポイントカードやミニウォレットとしても使用可能。約20枚の名刺が収納でき、プライベートからビジネスシーンまで幅広く使えます。
愛用するほど、だんだんやわらかい質感に。自分の手に馴染んでいく経年変化も楽しめるカードケースです。
インパクトのある見た目は、大切な名刺交換の時間に彩を添えてくれるのではないでしょうか。
エンベロープ
封筒のような形と、大切なものを「包む」という意味から「エンベロープ」と名づけられました。
ワクワクな旅を供にするパスポート、大好きな趣味を楽しむチケット、大切に保管したい通帳などを入れるのにちょうどいい大きさです。
外側には浮き紙を、内側には丈夫な楮紙(こうぞし)を縫い合わせることで強度がアップ。スリムな見た目とかわいらしいデザインは、生活のあらゆるシーンで活躍することでしょう。
職人の挑戦は明日も続く
山次製紙所の和紙は、浮き紙に限らず、すべて手漉きで制作しています。職人ひとりで一日約400枚も漉くことも。
わずか30秒の作業であるけれど、100枚200枚を同じ厚みで漉く技術を習得するには3〜4年かかるそうです。
鍛錬が欠かせない和紙職人は「和紙を現代のあたりまえにしたい」という信念をもって、日々の製作に励んでいます。
職人たちの情熱と洗練された技術によって生まれる越前和紙は、昔も今も人々の生活に寄り添いながら、心を豊かにしてくれます。
「山次製紙所」公式HP
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