
長者山新羅神社|由緒ある神社の歴史と見どころ、参拝情報を完全ガイド
青森県八戸市の長者山山上に鎮座する長者山新羅神社は、八戸三社大祭や八戸えんぶりで全国に知られる由緒ある神社です。江戸時代から続く美しい社殿と、全国でも珍しい騎馬打毬が体験できる貴重な文化遺産として、多くの参拝者に愛され続けています。
長者山新羅神社の概要・基本情報
長者山新羅神社は、青森県八戸市の市街地南側にある長者山の山上に位置する神社で、地元では「長者山」の名で親しまれています。旧社格は県社で、八戸市内では櫛引八幡宮と並んで篤く崇敬を集める重要な神社として知られています。現在の正式名称は「長者山新羅神社」ですが、昭和51年(1976年)に改称されるまでは単に「新羅神社」と呼ばれていました。
境内は長者山の緑豊かな自然に囲まれており、参道から境内にかけて四季折々の美しい景観を楽しむことができます。特に春の桜の時期には多くの花見客で賑わい、八戸市内でも有数の桜の名所として親しまれています。
歴史と由来
長者山新羅神社の歴史は古く、長者山には古来より様々な祭祀が行われていたとされています。神社としての正式な創建は延宝6年(1678年)で、八戸藩2代藩主南部直政が藩家の守護と領内の五穀豊穣、領民の安穏、無病息災を祈念する祈願所として山上に社を建立したのが始まりです。
創建当初は「三社堂」または「虚空蔵堂」と号していました。これは、初代藩主南部直房が寛文5年(1665年)に長者山山頂に一宇を設けて素戀嗚尊と虚空蔵菩薩を勧請し、「祇園堂」と俗称された堂祠を前身としているためです。新羅神社としては、南部氏の遠祖である新羅三郎義光命(源義光)を勧請したことに由来します。
明治初期の神仏分離政策に伴い、明治2年(1869年)に社号を「新羅神社」と改めて郷社に列せられました。明治14年には明治天皇の東北巡幸の際に行幸があり、騎馬打毬が天覧に供されるという栄誉を受けました。その後県社へ昇格し、現在に至っています。
祭神とご利益
長者山新羅神社の主祭神は新羅三郎義光命(源義光)です。新羅三郎義光は平安時代後期の武将で、源頼朝・義経兄弟の曾祖父にあたる人物です。甲斐源氏や常陸源氏の祖として知られ、特に南部氏の遠祖として崇敬されています。
義光は武勇に優れた人物として知られており、そのため武運長久、勝負運向上、家運隆盛などのご利益があるとされています。また、八戸藩の藩祖として祀られていることから、地域の発展と繁栄、五穀豊穣、無病息災などの願いも込められています。
境内には義経北行伝説に関する言い伝えも残されており、源義経が奥州平泉から北へ逃れる際に、この地に家来を派遣したという伝説があります。このような歴史的背景から、旅行安全や道中守護のご利益も期待されています。
長者山新羅神社の見どころ・特徴
長者山新羅神社には、江戸時代から受け継がれる貴重な文化財や美しい自然景観など、多くの見どころがあります。歴史ある社殿建築から四季折々の自然の美しさまで、訪れる人々に深い感動を与える要素が豊富に揃っています。
建造物・構造の魅力
長者山新羅神社の本殿と拝殿は、青森県の重宝に指定されている貴重な建造物です。延宝6年(1678年)の創建当時の面影を残す社殿は、江戸時代の建築技術の粋を集めた美しい構造となっています。
特に注目すべきは、本殿と拝殿に施された細やかな彫刻と鮮やかな丹塗りの装飾です。江戸時代の特徴がよく表現されたこれらの彫刻は、当時の職人たちの卓越した技術を現代に伝える貴重な文化遺産となっています。彩色模様も美しく保存されており、参拝者は江戸時代の美意識と技術力を間近で感じることができます。
境内には立派な門もあり、こちらも江戸時代の特徴を残す美しい建造物として参拝者の目を楽しませています。これらの建造物は長い歴史の中で大切に維持管理されており、現在でも創建当時の荘厳な雰囲気を感じることができます。
自然・景観の美しさ
長者山新羅神社は八戸市街地の南側に位置する長者山の山上にあり、豊かな自然環境に恵まれています。境内は鎮守の森として保護されており、四季を通じて様々な野鳥や植物を観察することができます。日本野鳥の会でも八戸市の代表的な鎮守の森として紹介されており、夏にはチゴハヤブサ、コムクドリ、ヒガラなどの野鳥が繁殖する貴重な自然環境となっています。
特に春の桜の季節は圧巻で、境内には立派な桜の木が植えられており、八戸市内でも有数の桜の名所として親しまれています。桜の開花時期には多くの花見客が訪れ、美しい桜と歴史ある社殿が織りなす風景は多くの人々に愛されています。
また、長者山の山上という立地から、八戸市街地を一望できる眺望も魅力のひとつです。参拝の際には、歴史ある神社での祈りとともに、八戸の街並みを見渡す爽快な景色も楽しむことができます。
文化財・重要な所蔵品
長者山新羅神社には、県重宝に指定されている本殿・拝殿をはじめとする貴重な文化財が数多く保存されています。これらの文化財は、八戸地方の歴史と文化を物語る重要な資料として大切に保管されています。
神社に関連する最も貴重な文化的行事として、全国でも3例しか現存しない「加賀美流騎馬打毬」があります。これは毎年8月2日の八戸三社大祭の中日に、境内の桜の馬場で行われる伝統的な武芸です。騎馬打毬は古来より武士の鍛錬として行われていた競技で、現在では宮内庁と山形県、そして長者山新羅神社の3か所でのみ継承されている極めて貴重な文化遺産です。
4人ずつの騎馬武者が紅白に分かれて毬を打ち合う様子は、まさに平安時代から続く武芸の伝統を現代に伝える貴重な光景です。西洋のポロに似た競技ですが、日本独自の発展を遂げた伝統文化として、多くの見学者に感動を与えています。
参拝・拝観案内
長者山新羅神社では、一年を通じて多くの参拝者を迎え入れており、特別な参拝作法や年中行事、御朱印の授与なども行っています。八戸の伝統文化を体験できる貴重な機会も提供されており、訪れる人々にとって特別な体験となることでしょう。
参拝作法とマナー
長者山新羅神社での参拝は、一般的な神社参拝の作法に従って行います。まず鳥居をくぐる際には一礼し、参道は中央を避けて歩くのが基本的なマナーです。手水舎で手と口を清めてから拝殿へ向かいます。
拝殿での参拝は「二礼二拍手一礼」の作法で行います。お賽銭を納めた後、二回深くお辞儀をし、胸の高さで二回柏手を打ち、最後に一回深くお辞儀をします。参拝の際は心を込めて感謝の気持ちや願いを伝えることが大切です。
長者山新羅神社は山上にあるため、参道には石段があります。一段一段が高く作られているため、参拝の際は足元に注意して上り下りしてください。境内は自然豊かな環境にあるため、野鳥や植物の保護にも配慮し、静かに参拝することを心がけましょう。
年中行事・季節のイベント
長者山新羅神社では、一年を通じて様々な祭事や行事が執り行われており、中でも「八戸えんぶり」と「八戸三社大祭」は全国的に有名な重要な行事です。
毎年2月17日から20日まで開催される「八戸えんぶり」は、重要無形民俗文化財に指定されている八戸地方の代表的な予祝芸能です。2月17日の早朝には、八戸市と周辺市町村から集まった30組を超える「えんぶり組」が長者山新羅神社に参拝し、奉納舞を行います。その後4日間にわたって市内各所で演じられるこの芸能は、豊作を祈願する伝統的な民俗芸能として大変貴重な文化遺産です。
8月には例祭と八戸三社大祭が開催されます。八戸三社大祭は、長者山新羅神社、櫛引八幡宮、神明宮の三社が合同で行う華やかな祭りで、豪華絢爛な人形山車が市内を練り歩きます。特に8月2日の中日には、長者山新羅神社の境内で「加賀美流騎馬打毬」が奉納され、全国でも類を見ない貴重な伝統芸能を見学することができます。
御朱印・お守り情報
長者山新羅神社では御朱印の授与を行っており、参拝の記念として多くの方に親しまれています。御朱印は社務所で書置きタイプをいただくことができます。御朱印をいただく際は、参拝を済ませてから社務所を訪れるのが一般的なマナーです。
神社では各種お守りや絵馬も授与されており、特に「えんぶり絵馬」は八戸の伝統文化にちなんだ特色あるお守りとして人気があります。新羅三郎義光を祀る神社として、武運長久や勝負運、家運隆盛などのご利益を願うお守りも用意されています。
授与品の詳細や授与時間については、事前に神社へお問い合わせすることをおすすめします。特に祭事期間中は多くの参拝者が訪れるため、時間に余裕を持って参拝されることをお勧めします。
アクセス・利用情報
長者山新羅神社は八戸市の中心部からアクセスしやすい立地にあり、公共交通機関でも自家用車でも参拝することができます。山上に位置するため、アクセス方法と駐車場情報を事前に確認しておくと安心です。
交通アクセス
長者山新羅神社へのアクセスは、鉄道、バス、自家用車のいずれでも可能です。最寄り駅はJR八戸線の本八戸駅で、駅から神社までは徒歩約20分から25分の距離です。八戸駅からは約20分程度の距離にあります。
公共交通機関を利用する場合は、バスの利用も便利です。八戸市営バスまたは南部バスを利用し、「二十三日町」または「十六日町」で下車して徒歩約10分で神社に到着します。バスを利用することで、本八戸駅からの徒歩時間を短縮することができます。
自家用車でのアクセスの場合、八戸自動車道八戸インターチェンジから約15分の距離にあります。八戸市街地からも比較的近く、カーナビゲーションシステムを利用すれば迷うことなく到着できます。ただし、長者山は小高い丘になっているため、山道での運転となることを事前に理解しておきましょう。
<住所> 〒031-0802 青森県八戸市長者1-6-10
拝観時間・料金・駐車場情報
長者山新羅神社は基本的に年中無休で参拝可能ですが、社務所の受付時間や御朱印の授与時間については事前に確認することをおすすめします。一般的な参拝に関しては特に時間制限はありませんが、早朝や夜間の参拝は控えめにし、近隣住民への配慮も大切です。
参拝料は無料です。ただし、特別な祭事や行事の際には、見学に関して案内や注意事項がある場合がありますので、事前に神社または八戸市の観光案内で確認してください。
駐車場は神社境内に設けられており、一般参拝者も利用することができます。ただし、八戸えんぶりや八戸三社大祭などの大きな行事の際には非常に混雑するため、公共交通機関の利用を検討することをお勧めします。また、桜の開花時期なども多くの見学者が訪れるため、時間に余裕を持って参拝されることが大切です。
境内へは石段を上る必要があるため、足の不自由な方や高齢の方は事前に神社へ相談されることをおすすめします。詳細な利用情報や最新の情報については、直接神社へお問い合わせください。
参照サイト
・長者山新羅神社 公式ホームページ:https://www.at-ml.jp/72215/
・VISIT HACHINOHE(八戸市観光サイト):https://visithachinohe.com/spot/chojasan-shinra-jinja/