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多賀大社奥書院庭園|豊臣秀吉ゆかりの美しい名勝庭園の魅力と拝観案内を完全ガイド

多賀大社奥書院庭園|豊臣秀吉ゆかりの美しい名勝庭園の魅力と拝観案内を完全ガイド

滋賀県犬上郡多賀町に鎮座する多賀大社奥書院庭園は、戦国の世を駆け抜けた豊臣秀吉が母の病気平癒を祈願し、その願いが叶ったお礼として寄進した歴史ある名勝庭園です。安土桃山時代の作庭技術の粋を集めた池泉鑑賞式庭園として国に指定され、書院から庭を見下ろす珍しい構造が訪れる人々を魅了し続けています。

多賀大社奥書院庭園の概要・基本情報

多賀大社奥書院庭園|豊臣秀吉ゆかりの美しい名勝庭園の魅力と拝観案内を完全ガイド

多賀大社奥書院庭園は、滋賀県犬上郡多賀町にある「お多賀さん」として親しまれる多賀大社境内に位置する庭園です。この庭園は単なる観賞庭園ではなく、日本の歴史と文化が織りなす貴重な文化遺産として、多くの人々に愛され続けています。

現在の庭園は旧不動院の奥書院北側に広がっており、池泉鑑賞式という形式で作庭されています。池泉鑑賞式とは、池を中心とした庭園を建物から眺めて楽しむ様式のことで、特に多賀大社奥書院庭園では書院から庭を見下ろすという珍しい構造を採用しているのが特徴です。

歴史と由来

多賀大社奥書院庭園の歴史は、天正16年(1588年)にまで遡ります。豊臣秀吉が母大政所の病気平癒のお礼として太閤橋、太閤倉とともに寄進したものといわれ、安土桃山時代の作庭として現在まで受け継がれています。

秀吉は母である大政所(おおまんどころ)の病気に心を痛め、延命長寿の神として知られる多賀大社に必死に祈願しました。その甲斐あって母の病気が回復すると、秀吉は感謝の気持ちを込めて米一万石を奉納し、同時に太閤橋や奥書院、そしてこの美しい庭園を寄進したのです。

庭園が造られた当時、多賀大社には神宮寺として天台宗の不動院があり、神仏習合の時代背景の中で、この庭園は不動院の奥書院に付属する庭園として機能していました。明治時代の神仏分離令により不動院は廃寺となりましたが、庭園は多賀大社の貴重な文化遺産として大切に保存され続けています。

国指定名勝としての価値と特徴

多賀大社奥書院庭園は国指定の名勝に指定されており、2020年には名称が「多賀大社庭園」に変更され、指定範囲も拡大されました。この指定は、庭園が持つ歴史的価値と芸術的価値、そして日本庭園史における重要性が認められた証拠です。

庭園の最大の特徴は、書院から庭を見下ろす構造にあります。通常の日本庭園では平面的な視点で庭を眺めることが多いのですが、多賀大社奥書院庭園では高低差を活かした立体的な鑑賞が可能となっています。この手法は安土桃山時代の庭園技術の特徴を表しており、当時の作庭技術の高さを物語っています。

また、庭園内には安土桃山時代の石組技術の粋が込められており、自然石を巧みに配置した構成は見る者に深い感動を与えます。池の護岸に用いられた石組護岸では自然な曲線美が表現され、庭園全体に調和のとれた美しさが演出されています。

多賀大社奥書院庭園の見どころ・特徴

多賀大社奥書院庭園|豊臣秀吉ゆかりの美しい名勝庭園の魅力と拝観案内を完全ガイド

多賀大社奥書院庭園には、安土桃山時代の作庭技術が随所に散りばめられており、訪れる人々を魅了する数多くの見どころがあります。庭園の構造から自然美まで、その魅力を詳しく紹介していきます。

池泉鑑賞式庭園の構造美

旧不動院の奥書院北側に広がる池泉鑑賞式庭園で、書院から庭を見降ろす珍しい形式となっているこの庭園は、日本庭園史においても特異な存在として知られています。

書院から庭園を見下ろすことで、庭園全体のレイアウトが一望でき、まるで一幅の絵画を眺めているような感覚を味わうことができます。この視点の高さにより、池の形状や島々の配置、石組の絶妙なバランスが手に取るように理解でき、作庭者の意図した美的構成を存分に堪能することができるのです。

東北に築山を設け、自然の樹木を背景に正面奥に不動三尊石を組み、庭全体にも大きな石を配置した設計は、空間に奥行きと立体感を与えており、限られた敷地の中に広大な自然景観を表現することに成功しています。

石組と水景の調和

多賀大社奥書院庭園の真骨頂は、巧妙に配置された石組と水景の絶妙な調和にあります。石組護岸で自然な曲線を表現している池は、鶴島・亀島と隅に枯滝を配しています。

池の中央には鶴島と亀島という縁起の良い出島が配置されており、これらは長寿と吉祥を象徴する重要な要素となっています。鶴島は鶴が羽を広げたような形状に、亀島は亀の甲羅を模した形に作られており、日本庭園における伝統的な意匠が見事に表現されています。

特に注目すべきは枯滝の構成です。滝の下に力感があふれる自然石の石橋を渡すなど、見どころが多い庭になっています。この石橋は単なる装飾ではなく、庭園の動線と景観を同時に考慮した機能的な美しさを持っており、安土桃山時代の石工技術の高さを物語っています。

正面奥に組まれた不動三尊石は、庭園全体の精神的な支柱として機能しており、仏教的な世界観と自然美が見事に融合した空間を創出しています。これらの石組は単独で存在するのではなく、背景の自然林と池の水面、そして四季折々の植物と調和して、時間とともに変化する生きた芸術作品として機能しているのです。

季節ごとの自然美

多賀大社奥書院庭園は四季を通じて異なる表情を見せ、それぞれの季節に独特の美しさを楽しむことができます。特に春と秋の美しさは格別で、多くの参拝者が季節の移ろいを求めて庭園を訪れます。

春には庭園を取り囲む樹木が新緑に包まれ、生命力あふれる自然の息づかいを感じることができます。池の水面に映る青空と新緑のコントラストは、見る者に深い感動を与えてくれます。

春のしだれ桜、秋の奥書院の紅葉なども見事で知られており、特に秋の紅葉の時期には庭園全体が錦絵のような美しさに包まれます。築山に植えられた楓やモミジが鮮やかに色づき、池の水面に映る紅葉の影が幻想的な光景を作り出します。

冬の期間は拝観を休止していることが多いのですが、雪化粧した庭園もまた格別の美しさを持っています。雪に覆われた石組や池の静寂な表情は、日本庭園の持つ侘寂の美を存分に表現しており、訪れることができる機会があれば、その静謐な美しさに心を奪われることでしょう。

拝観案内

多賀大社奥書院庭園|豊臣秀吉ゆかりの美しい名勝庭園の魅力と拝観案内を完全ガイド

多賀大社奥書院庭園を十分に楽しむためには、拝観の際のポイントや注意事項を事前に把握しておくことが重要です。この歴史ある庭園の魅力を最大限に味わうための情報をご紹介します。

拝観のポイントと楽しみ方

奥書院庭園の拝観は、まず書院の縁側に座り、庭園全体を静かに眺めることから始めましょう。書院から庭を見降ろす珍しい形式を活かした鑑賞方法こそが、この庭園本来の楽しみ方です。

座って庭園を眺める際は、まず庭園全体の構成を把握してから、徐々に視線を細部に移していくことをお勧めします。正面奥の不動三尊石から始まり、池の中央の鶴島・亀島、そして枯滝から石橋へと視線を移していくことで、作庭者が意図した物語性のある構成を理解することができます。

異なる時間帯に訪れることで、光の変化による庭園の表情の違いを楽しむことも可能です。朝の清澄な光、午後の柔らかな陽光、夕方の斜光など、それぞれが庭園に異なる印象を与え、同じ庭園でありながら全く違った美しさを発見することができるでしょう。

庭園内の説明板や案内を参考にしながら、各石組の意味や配置の意図を理解することで、より深い鑑賞体験を得ることができます。また、可能であれば庭園の歴史や豊臣秀吉とのゆかりについて事前に学習しておくと、単なる景観美を超えた歴史的な感動を味わうことができるでしょう。

拝観時期と注意事項

多賀大社奥書院庭園の拝観には、季節による制限があることを理解しておく必要があります。奥書院庭園は雪の影響により毎年1月1日~2月末頃まで拝観不可となっており、冬期間の拝観はできませんので注意が必要です。

拝観可能期間は概ね3月から12月までとなっていますが、天候や庭園の状況により変更される場合があります。特に春と秋の行楽シーズンには多くの参拝者が訪れるため、混雑を避けたい場合は平日の午前中の拝観がお勧めです。

庭園は文化財として大切に保護されているため、拝観の際は庭園内への立ち入りは禁止されており、書院からの鑑賞のみとなります。写真撮影については許可されている場合が多いですが、フラッシュの使用や三脚の使用については制限がある場合がありますので、現地での案内に従ってください。

また、庭園の修復工事や特別な行事により拝観が中止される場合もあります。確実に拝観したい場合は、事前に多賀大社に電話で確認することをお勧めします。庭園の美しさを長く保つための保護活動にご理解とご協力をお願いいたします。

アクセス・利用情報

多賀大社奥書院庭園|豊臣秀吉ゆかりの美しい名勝庭園の魅力と拝観案内を完全ガイド

多賀大社奥書院庭園へのアクセス方法と利用に関する詳細情報をご案内いたします。公共交通機関でのアクセスが便利で、関西圏からの日帰り観光にも最適な立地にあります。

交通アクセス

多賀大社奥書院庭園へは、近江鉄道を利用したアクセスが最も便利です。近江鉄道多賀線「多賀大社前駅」から徒歩10分という立地にあり、駅から多賀大社の参道を歩いて向かうことができます。

電車でのアクセスの場合、まずJR東海道本線の彦根駅で近江鉄道本線に乗り換え、高宮駅で多賀線に乗り換えて多賀大社前駅まで向かいます。彦根駅から多賀大社前駅までは約30分程度の所要時間となります。また、JR琵琶湖線の米原駅からも近江鉄道でアクセス可能で、貴生川駅経由で多賀大社前駅まで向かうことができます。

自動車でのアクセスの場合は、名神高速道路の彦根ICから約10分、湖東三山スマートICから約15分の距離にあります。関西方面からは約1時間30分、名古屋方面からは約1時間程度でアクセス可能です。

多賀大社前駅にはレンタサイクルも用意されており、周辺の観光スポットと合わせて巡る際には便利な移動手段として活用できます。駅から神社までの参道には土産物店や食事処も点在しており、参拝と合わせて地域の文化に触れることができます。

住所:〒522-0341 滋賀県犬上郡多賀町多賀604番地

拝観時間・料金・駐車場情報

多賀大社奥書院庭園の拝観に関する詳細な料金体系と施設情報をご案内します。拝観無料(奥書院庭園は300円、春秋特別公開は500円)となっており、多賀大社への参拝は無料ですが、奥書院庭園の拝観には別途料金が必要です。

通常の拝観料金は大人300円で、春と秋の特別公開期間中は500円となります。特別公開期間中は庭園の解説や特別な案内が提供される場合があり、より深く庭園の魅力を理解することができます。子供料金については現地でご確認ください。

拝観時間は8:30~16:30となっていますが、季節や天候により変更される場合があります。最終入園は拝観終了時間の30分前となることが一般的ですので、余裕を持った時間での訪問をお勧めします。

駐車場については、多賀大社の参拝者用駐車場を利用することができます。大型バス対応の駐車場も完備されており、団体での参拝にも対応しています。ただし、春の桜シーズンや秋の紅葉シーズン、正月三が日などの繁忙期には駐車場が満車になる可能性がありますので、公共交通機関の利用も検討してください。

拝観に関する最新情報や臨時の変更については、多賀大社まで直接お問い合わせいただくか、公式ホームページでご確認ください。庭園の保護と維持のため、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

参照サイト

・多賀大社 公式ホームページ:https://www.tagataisya.or.jp/
・滋賀県観光情報:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1207/

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